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この者は、神か、悪魔か――。
気鋭の著者が、医療の在り方、命の意味を問う感動巨編。
大学病院で、手術支援ロボット「ミカエル」を推進する心臓外科医・西條。そこへ、ドイツ帰りの天才医師・真木が現れ、西條の目の前で「ミカエル」を用いない手術を、とてつもない速さで完遂する。
あるとき、難病の少年の治療方針をめぐって、二人は対立。
「ミカエル」を用いた最先端医療か、従来の術式による開胸手術か。
そんな中、西條を慕っていた若手医師が、自らの命を絶った。
大学病院の闇を暴こうとする記者は、「ミカエルは人を救う天使じゃない。偽物だ」と西條に迫る。
天才心臓外科医の正義と葛藤を描く。
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Posted by ブクログ
柚木裕子の小説はどの小説も好きだ。とても好きだ。
特に、小説のコアになる場面での表現がなんともカッコよすぎて大好きだ。
例えば、この小説で僕が一番気に入ったところを引用する。
駒田は顔から笑みを消し、じっと西條の目を見つめた。やがて、諦めたように息を吐き、答えた。
「ふたりが似ているからですよ」
「真木先生と、私がー」
駒田は頷く。
「私は西條先生のことを、心臓外科の名医であることしか知りません。出自や生い立ちなど、なにも知らない。
でも、感じるんですよ。真木さんと同じ寂しさを。そして医療に対する誠実さをも」 P444
全くキャラクターが違う2人の対立する医師、その2人、西條と真木が似ていると表現させるこの描写、それも「感じるんですよ」という感覚に訴える描写が、脳裏に稲妻が落ちたように激しく痺れた。
この小説を読み終わった後、数日間、何度も何度のこの場面が頭の中を行き交う。
こんな経験、今までにあっただろうか。
Posted by ブクログ
幼い心臓手術に先端医療の手術支援ロボットを選ぶか、従来からの人間の手による手術か、患者の選択を重視するか執刀医の決断を問う。その背景には手術支援ロボットミスによる仲間医師の自殺があった。瀬戸際まで油断を許さない前代未聞の心臓外科手術での心の選択を問う。
現実、これからの医療改革は最先端のロボットを使うのは自然の動きになるだろうが、人が作った「メカ」には必ず誤動作、劣化がつきものである事を忘れてはいけない。常にプログラムとメカのアップデートが必須であり、100%、先端医療でも完全なものは無いと思わなければならない。小説内で気になった言葉「先のことはその時に考えればいい、今は目の前ある事をするだけだ」「何かを守るものがある人間は強い。苦難に打ちのめされて倒れたとしても、自分の大切なものを守るために何度でも立ち上がれる」
本書でのキーワードは医者としての名声・名誉・肩書・権力、さらに病院長としての経営判断。最後に掲げた経営判断では、収益の良い時に次なる一手を編み出せるかどうかだ。
Posted by ブクログ
病院内の権力争い、関係機関との癒着といった、病院を舞台にした話にありがちな内容もありますが、それだけでなく登場人物の言葉に考えさせられる場面があるのが柚月作品が好きな理由。
「航くんがいうふつうってなに?心臓が丈夫な人のこと?心臓が丈夫でも、手が不自由な人はいるよ。身体が健康でも、心が傷ついている人もいる。走るのが苦手でも、泳ぐのが得意だったり、人とうまく話せないけど、文章を書くのは好きだったり、この世の中には、いろいろな人がいる。同じ人はいない。みんな違う。人と違うから普通じゃないなんてことはないの」
中盤は、寝不足になるとわかっていても読み進めてしまうほどでしたが、読後感は少しもやもや感もあり。
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