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Posted by ブクログ
二00八年、第7回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。
柚月裕子ファンなら、既読ではないかと思う反面、『孤狼の血』シリーズや検事「佐方貞人シリーズ」だけ読まれた方も多いはず、そういう僕も今頃になってデビュー作品を読んで良かったと思っています。未読作品は多数ありますが、この著書名から事件物ではないと思っていた。
「女横山秀夫」の異名を持つ彼女なら当然かもしれませんが、『検事の本懐』の著書の帯に横山秀夫氏の推薦文を書いてもらえたことに感動したという。
著作は臨床心理士の主人公・佐久間美帆が、知的障害者更生施設に入所していた藤木司を担当することになった。彼は、人の感情が色でわかる「共感覚」を持つという青年で、自殺を図った親しくしていた少女・水野彩は、自殺ではないと主張したことから物語が始まります。(動機の一部です)
犯罪者の動機の心理が明確で分かり易く、ラストに至るまでの緊迫感が面白い。
タブーに思える題材に若干閉口したが、型に嵌らない発想は奇想天外で、読後感はすっきりした印象でした。
読書は楽しい。
Posted by ブクログ
人の感情を色として感じ取る「共感覚」を持つ青年・藤木司を担当することになった臨床心理士・佐久間美帆。親しかった少女の死は自殺ではないと訴える司の言葉をきっかけに、美帆はその真相を追い始める。
人の心理を読み取り、理解しようとする心理士と、人の隠された感情まで見えてしまう青年。この二人を組み合わせた設定がまず面白い。
そして事件の核心に触れてからの後半は、緊迫感が凄まじい。主人公が追い詰められていく展開にはハラハラさせられ、ページをめくる手が止まらなかった。そんな中で特に心に残ったのが、理解できないものを無理に理解したふりをせず、それでも相手を信じ、冷静に行動する人物の姿。人と人との信頼が伝わってくる展開には胸が熱くなった。
立場も目的も異なる登場人物たちが、それぞれの「真理」を追い求めていく物語でもあったと思う。しかし、真理にたどり着けば、すべてを理解できるわけではない。犯罪へと向かった心理は読み取れても、それを理解することは到底できなかった。人の心理を知ることと、その人を理解することは同じではない。そう考えると、『臨床真理』というタイトルが読み終えて一層深く響いてくる。
知的障害というデリケートな題材を扱い、共感覚という特殊な設定を物語に溶け込ませながら、時には目を背けたくなるほど過激な描写にまで踏み込んでいく。それでいて、登場人物の心模様や組織のあり方、行動に至る動機は丁寧に描かれている。
社会の暗部にも、人間の心の奥底にも容赦なく踏み込み、最後は圧倒的なサスペンスで読ませる。これがデビュー作とは驚かされる。後の作品で何度も感じてきた「柚月裕子さんらしさ」は、すでにこの一作目からあったのだ。
読み終えて改めて思う。やはり私は、柚月裕子さんの作品が好きだ。
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