おもいでがまっている

おもいでがまっている

1,700円 (税込)

8pt

3.8

「待つ」ことでしか、進まなかった人生がある。

今は古びた平成初期の新興マンション。 その一室に、ひとりの年老いた男が、孫とともに住んでいた。
男が訥々と語る、心温まる、この部屋の思い出。
孫はここで、ずっと母を待っている。
この部屋に残された母の愛に囲まれて。

しかし、男が語る思い出はすべて“嘘”だった。
かつてこの男は、とある幼い兄妹から、この部屋を奪った。
男には、そうしなければならない、痛切な理由があったーー。

風吹く部屋で、ずっと誰かを待ち続けた、ある家族と男の物語。
水野良樹(いきものがかり)が筆名で描く、渾身の書き下ろし小説。


■著者からのメッセージ
すぐに話せて、すぐに理解できる。
待つことが少なくなったそんな世界において、人に会えず、先が読めず、いつ終わるかわからない、待つことを強いられた3年間でもありました。今という瞬間を侵食する過去との向き合い方。そして場所に沈殿し、宿り続ける記憶。
人生という自分たちの時間を、前に進めようともがく人々の物語です。

なお、本小説のプロットから受けたインスピレーションを元に創り上げられた楽曲『ただ いま (with 橋本愛)』が、各種音楽配信サイト・ストリーミングサービスにて配信中。
本楽曲は女優の橋本愛が初めて作詞を手掛け歌唱を担当。
作曲は著者の清志まれ、編曲は鈴木正人が手掛けた。

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おもいでがまっている のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2023年04月02日

    今まで読んだ本の中で1番泣きました。
    チューさんの深い愛情も、深雪と駿介、はるとがそれぞれずっと待っていた母親に対する想いも、それぞれの母親が子供を想っていたことも、ぜんぶぜんぶ深い愛情からくるもので。
    最後の駿介がはるととはるとの母親に向かって言った言葉に、幼い頃ずっと母親を待っていた自分の気持ち...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2023年09月05日

    作家名は、初めて聞いたが、「いきものがかり」の水野氏による小説。
    作詞家らしく、一文一文が、比喩的な表現で、まるで歌詞のようだ。
    市役所で福祉を担当している主人公の女性、自身も親に捨てられた過去がある。その過去につながる案件を担当することになり、過去の真相が明らかになっていく。
    ミステリーの要素もあ...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2023年05月03日

    愛が沢山つまっている本でした。
    自分が悪になろうとも、相手のことを心底考えて生きている人たちが素敵でした。

    0

    Posted by ブクログ 2023年04月03日

    感想
    自分の手足を動かせない。そんなもどかしい時間をどうやって過ごせばいいのか。語ることもできず自分の中で発酵していく。いつか進んでいく。

    0
    ネタバレ

    Posted by ブクログ 2023年07月22日

    子ども達を守るために失踪した母親、その子供達を施設に逃がし、アパートで彼らの戻ってくるのを待っているチューさん。平成から20年、また同じように母子を助けて待つチューさんに認知症が表れて、そして運命は待ち人に出会いを運んでくる。
    すれ違う気持ち恨む気持ちに最後は愛が勝る。良かったけれど、もう少し早く会...続きを読む

    0
    ネタバレ

    Posted by ブクログ 2023年04月22日

    ヤングケアラーのお話。お話は平成と令和で展開していく。最近問題になっている話題を盛り込んでいくとはね。

    0

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