2022年2月5日に急逝した著者の、読者からの熱烈な要望によって実現した未刊行小説集。
完結した小説としては著者最後の作品となった表題作をはじめ、著者の本領たる藤澤清造“歿後弟子”としての覚悟を扱った3篇を収録。
北町貫多30歳、地元に残された藤澤清造資料の調査に本腰を入れるため、東京の自室とは別に七尾に部屋を借りる(「廻雪出航」)。貫多31歳、七尾の部屋に清造の書簡を飾るため額装を依頼したが、思ってもいない仕上がりになる(「黄ばんだ手蹟」)。死の前年、53歳の貫多の姿を描く。ここ数年の自身を振り返り、“歿後弟子”の責を全うすべく新たなスタートを誓う(「蝙蝠か燕か」)。
Posted by ブクログ 2023年04月13日
完成した小説で言えばラストということで、不思議と死を匂わせたところも有り、読んでいてなんとも言えない気分となった。
出されてしまった小説感は否めず、個人的な評価は凡作という判断ではあるが、独特の作風で、読み手を不思議と惹きつける類稀なる作家さんの新作をもう読めないというのは、矢張り悲しい限り。
西村...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年03月19日
2022年2月5日に急逝した著者の、読者からの熱烈な要望によって実現した未刊行小説集。
完結した小説としては著者最後の作品となった表題作をはじめ、著者の本領たる藤澤清造“歿後弟子”としての覚悟を扱った3篇を収録。
三次文庫の件など、厳しい出版事情がうかがえる部分があり、興味深く読んだ。
これが最後...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年05月11日
逝去からちょうど一年後に発売された本。P148(まあ、あれだ。人それぞれってことだよな……)がとても良かった。著者は孤独の中で自分の支えを見つけ、人生を捧げている人だからこそ、そこに関わる他人の所作には非常に厳しい。皆同じ価値観ではないのに……。「これしかない!」と人生を棒に振り、お金も人間関係も自...続きを読む