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小説と現実の境目が溶けはじめる、サスペンスフルな傑作
嘘だけど嘘じゃない、作家デビューの舞台裏!
「おいしいごはんが食べられますように」で芥川賞を受賞した高瀬隼子さんが挑む新たなテーマはなんと「作家デビュー」。
ゲームセンターで働く長井朝陽の日常は、「早見有日」のペンネームで書いた小説が文学賞を受賞し出版されてから軋みはじめる。兼業作家であることが職場にバレて周囲の朝陽への接し方が微妙に変化し、それとともに執筆中の小説と現実の境界があいまいになっていき……職場や友人関係における繊細な心の動きを描く筆致がさえわたるサスペンスフルな表題作に、早見有日が芥川賞を受賞してからの顛末を描く「明日、ここは静か」を併録。
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Posted by ブクログ
好きな作風。社会が押し付けてきた価値観に対する憤りや諦めが作品に現れているように感じた。
人は誰しもがペルソナを使い分けて生きていると考えるのだが、発言したことに一貫性を求める風潮がある。その場その場で求められそうな発言をしていると、いつの間にか過去と現在の発言内容に乖離が生じてしまい、その点を人々は糾弾する。けれど、空気を読まずに言葉を発すると無愛想な人間だと烙印を押されたり、空気を読めずに発言する頭の良くない人間であると思われてしまう。そういったことがあるから、人とのコミュニケーションに疲れてしまうのかもしれない。そういったことが頭に思い浮かぶ作品だった。
Posted by ブクログ
芥川賞を受賞して華やかに作家デビューするはずが、自分以外の人があれよあれよと変化していき巻き込まれていく。変化があったのは自分のはずなのに、周囲が変わってしまったように感じられる。手の平を返したかのように態度を変える人もいれば勝手に期待して勝手に失望して勝手に離れていく人もいて、その渦の中で苦しい表情を見せないようにして何とか息継ぎしている感じ。頭の中の自分と作家の自分とが同時に存在して本当の自分が分からなくなる感覚の描写がリアルで、劇中劇みたいに「これも高瀬さんの体験談かも…」というメタ視点になってみたりした。
高瀬隼子さんの作品の中でも特に好きかもしれない。
Posted by ブクログ
賞を受賞して拗れてしまう作家のお話だった
作家とゆう生き物がどんな思考で物語を紡いでいくのかが垣間見える
これはフィクションで高瀬準子の純粋な経験ではないのだろうが ‘垣間見える’とゆうだけでも作家って面倒くさくて大変で苦しい生き物だ 作家に産まれなくて本当によかった…と思った
作家とゆう主人公の職業と高瀬準子の複雑人間への描写の巧みさが親和性を持って織り交ぜられて、緻密な高技術タペストリーの様に複雑繊細腹黒人間が出来上がってしまっている
高瀬準子は本当に 腹の中と行動がちぐはぐな人間を描くのが上手だ
今作の共感ポイント
ー分かられてたまるかとゆう気持ちと、分かってほしいとゆう気持ちと、分かり合ったつもりでいても芯のところで分かり合えるはずがないから別の人間なのだとゆう確信ー の一文
自分も何度もこの矛盾を感じた事がある
作家とゆう生き物を想像するのによき物語
作家を消費してしまう自分への自戒の念もちょっと沸きました
主人公はこの後どうなってしまうんだろう…と感じる終わり方もうまく収まっていたと思います
Posted by ブクログ
主人公はPALというゲームセンターで働きながら小説を書いている長井朝陽。物語は、そんな朝陽が書いている小説から始まる。(作中作)
主人公が書いている小説と現実の描写が交互に進んでいくんだけど、最初ははっきり分かれていた現実と小説の二つの世界が、いつの間にかぐにゃぐにゃと混ざり合っていって、どっちがどっちかわからなくなっていく感覚が、気持ち悪いけどおもしろかった。 (何度も前のページを読み返して確認したりした(笑))
他人からどう見られるかを異常なくらい気にして、頭の中であれこれ考えすぎる朝陽には「もう、考えすぎだよ〜」と思いつつ、相手を傷つけたくなかったり、訂正するのがめんどくさくなって嘘をついたり、取り繕ったりする姿は、共感はできないけど、わからなくもなくて、どこか愛おしくも感じた。
実際に作家である高瀬隼子さんが「作家」を描いているから、ついつい朝陽と高瀬さんを重ねて読んでしまったけど、それこそがこの作品の仕掛けなのかも。 「小説の登場人物=作者」だと勝手に決めつけないで!って。
読んでいる自分まで試されているようで、最後までなんとも落ち着かない、でも「また読みたいな」と思う読後感だった。
(表紙めくったら『PAL』のコインが。アドさん、残念だったな〜)
Posted by ブクログ
風変わりなタイトルに惹かれ、読み始めましたが…。
初めから25ページくらいまでの感想は、なんなん?意味わからん!
前情報も帯すら見ずに読んだので、「芥川賞作家が書く芥川賞作家のデビューの裏側的な作品」と言うことに気づくまでそれくらいかかりました。
主人公の生真面目さと自信のなさと相反する万能感全てがないまぜになり、他人に迎合するのを厭うのにしてしまう自分を嫌悪しつつも許容する。
人間って複雑な生き物ですね。
共感する部分があったり、それは違うなと思ったり。主人公の内面を100%ではないにしろ、詳らかに書いてある作品だなと、思いました。
ほとんどの人間が、自分が傷つくことにはものすごく過敏だけど、傷つけていることには鈍感なのだ。
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