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みんなの恋愛をわたしは知らない。 芥川賞受賞のベストセラー『おいしいごはんが食べられますように』著者が放つ、最高の〈恋愛〉小説集。 あなたはどこまで共感できますか? ひと筋縄ではいかない5つの「恋」のかたち。 【収録作品】 「花束の夜」「お返し」「新しい恋愛」「あしたの待ち合わせ」「いくつも数える」
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Posted by ブクログ
子供の頃は、その人の顔がかっこいいとか、スポーツができるとか、性格が優しいなんてところを見て好きになっていた記憶がありますが、 大人になるとその人の社会的なポジションとか、家柄、収入、年齢など その人が置かれている環境に惹かれているんじゃないか?と自分を疑ってしまうことが多々あり… 友達との恋バナ...続きを読む(最近はあまりないけれど)では、 こんなふうに水をさすような発言はできないので、この本を読むなかで自分の気持ちを本と共有することができて、少しすっきりしました。
作者の本は「おいしい〜」に続いて2冊目。 前回も感じたが、会社での人間関係諸々があるあるすぎる。作者の経歴は調べてないので分からないが、社会人経験も長いのではないだろうか。 私は40代男性だが、グサグサと心を抉られる感触があった。ああ、若い子たちはこんな気持ちで過ごしているのかと。でも面白い。本...続きを読む屋ポップに【モヤザワの女王】と書かれていたのも納得。
様々な恋愛の形を書いた短編集。 表題の『新しい恋愛』が1番好きだった。 読み進める途中で本作が少し先の未来の話であることがわかる。新しい恋愛感を持っている中学生の視点は美しく、純粋。一見良いことに見えるけど、現代の常識や倫理観を崩壊させるものになっていた、という最後の結末が皮肉めいていて面白かった。...続きを読む 恋愛は、若いうちは学業等との兼ね合いで嫌厭されるのに、結婚適齢期に近くなれば推奨され、結婚したら今度は不倫になるからと再度タブーになる。人を好きになることは、感情であるはずなのに、年齢やステイタスでその感情を出しても良い時もあり、控えなくてはいけない時もあり…矛盾めいたものを誰しも感じているはずで、それを小説として表現してもらった感じがする。
高瀬隼子さんは2冊目 めちゃくちゃ面白い 答えの出ない感情や物事を、ほどいて束ねてまとめてやっぱりわかんないね、むずかしいね、でもなんかいいね、と言われてる気持ち 花束の夜の主人公がとても良くて幸あれ あーでも本当に全部良かった
恋愛や結婚をテーマにした作品なんて山ほどあるのに、この視点・この感情で書かれた作品は初めて読んだ。読みながら「くぅ~」っと思った程。 高瀬さんすごい。
自由と権利の尊重が謳われる現代。そんな個人裁量の幅の広がった今に生きる人たちの恋愛模様を描いた「恋愛」短編集。 ◇ 送別会がお開きになり、水本は部屋の中を見て回っていた。忘れ物がないか確認するのは、いちばんペーペーの水本の仕事だ。 今夜は倉岡の送別会だった。倉岡は退職までの...続きを読む3ヶ月間、新入社員の水本への引き継ぎを兼ねて指導してくれた中堅社員である。 倉岡は明るく元気な体育会系らしい男だ。誰にでも気さくに接するし、面倒見もよい。それだけに距離の詰め方もうまく、水本はいつの間にか倉岡と男女の関係になっていた。 店の前で部長による一本締めの音頭と倉岡への花束贈呈があり、皆が三々轟々その場をあとにする。倉岡とともに一同を見送った水本は、このあとの倉岡との過ごし方を考えていた。 同僚の姿が見えなくなったところで、倉岡は水本の方を向いて言った。 「これいらねえから」 そして花束を水本に押しつけた倉岡は、 「気ぃつけて帰れよ」 と言い残して、1人でさっさと帰って行ったのだった。( 第1話「花束の夜」) ※全5話。 * * * * * 5編それぞれに、なかなか面倒くさい恋愛模様が描かれていました。各話を簡単に紹介すると……。 第1話「花束の夜」 ☆この日も倉岡のマンションに泊まることになるだろうと思っていた水本でしたが、倉岡に花束を押しつけられ置き去りにされてしまいます。 大きな花束を抱えて電車に乗るわけにもいかず、夜の街をウロウロする水本。倉岡の携帯は電源を切られていてつながりません。 どうやら倉岡の「これいらねえ」ということばは、花束とともに水本に向けられたものでもあったようです。 夜の街をさまよう水本のとった行動とは? 第2話「お返し」 保育園で、息子が同じ園に通う女の子からバレンタインチョコをもらった。それを見た「おれ」は、遠い昔のことを思い出す。 おれが初めてチョコをもらったのは小学4年のとき。近所に住むひとつ年下の女の子からだった。 ユウハというその子のバレンタインチョコはおれが中学を卒業するまで6年間続いた。高校入学後はピタッと途絶えたが、おれには高校内で彼女ができていたため気にもしなかった。 ところが、大学入試を直前に控えた高3の2月。家で受験勉強をしていたおれを、ユウハが訪ねてきた。半年前に彼女と別れていたおれにチョコを差し出したユウハは……。 ☆ユウハはこれまでずっと、バレンタインデーにチョコをくれるけれど、特に想いを告げることはしないのです。おれの方もホワイトデーにお返しをするものの、幼い頃から知っているユウハに特別な感情を抱くことはありませんでした。 別々の高校に進学した2人。疎遠になっていたはずのユウハが、おれの前にバレンタインチョコを持って現れた理由とは? 第3話「新しい恋愛」 26歳を目前に控えた知星。ある日のこと、近くに住む姉に頼まれ、姪の美寧々をひと晩預かることになった。 美寧々は中学生になったばかりで、恋バナがしたいお年頃。知星に恋人がいることを知っている美寧々は、さっそく知星の恋愛事情をいろいろと尋ねてくる。 学生時代からの知り合いだったこと。 就職後につきあい始めたこと。 つきあいも3年を過ぎ、結婚について意識するようになったこと。 笑いながら答える知星だが、実は胸の中には奇妙な感情が広がっているのだった。 ☆「プロポーズされたくない」という知星の気持ち。何かわかるようであり、わからないようでもある、モヤモヤした気持ちです。 知星自身もうまく整理できない感情なのですが、美寧々のかわいい追及にあううち……。 さすが表題作だけあって、うまくできたお話でした。 第4話「あしたの待ち合わせ」 かな子には、狛村くんというフォロワーがいる。狛村くんは学生時代からずっと、かな子のことを密やかに追跡し続けている。そしてそのことを、かな子はよく知っているのだった。 かな子がSNSで呟くと、それをチェックした狛村くんはそっと行動を起こす。 例えば、かな子が「上野駅構内のガシャポンに欲しかったフィギュアがあると聞いた」と呟くと、次の日にはガシャポン近くで狛村くんを見かけるし、美術館や神社に行くつもりだと呟くと、やはりその付近で狛村くんは姿を現す。 狛村くんは大学時代の同期で、気づけば常にかな子の近くにいた。真面目で控えめ。英語の教科書に出てくる模範的な日本人学生のような狛村くんを、かな子は少しも好きではない。 そうでありながら、狛村くんとの微妙な関係を、かな子は続けたいと思ってもいた。そんなある日……。 ☆かな子はどちらかと言えば、自堕落で身持ちのよくない女性です。すぐに男性と関係を持ってしまうところがあるし、うまくいかなくなれば簡単に別れもします。不倫にもあまり抵抗がないようです。 なのに、自分を一途に愛する狛村くんとの距離を縮めることもしなければ、冷たく突き放すこともせずに33歳の今日まできました。 もはや妖気さえ感じてしまうかな子と、影のごとく付き従うストーカーのような狛村くん。どう決着するのでしょうか。 第5話「いくつも数える」 津野が給湯室でコーヒーを淹れていると、課長の天道が入ってきた。天道課長は穏やかな温かい人柄であり、仕事もよくできることもあって部下から慕われている。おまけに50歳とは思えないほどスタイルがいいという、まさに理想の上司である。 そんな天道課長が珍しくおずおずした態度で「話がある」と切り出したのは、結婚の報告だった。 「おめでとうございます」と心から祝福した津野だが、その後、社内事情に詳しい同僚から驚くべき事実を耳にする。 なんと課長の花嫁は24歳。つまり26歳の年の差婚だったのだ。 噂は広まり、課内であれほど慕われていた天道課長の評判は微妙なものになってしまった。特に嫌悪感を示したのは若い女性社員で「気持ち悪い」とまで言われる始末。 そして、それを耳にする津野の心境は、実に深刻で複雑だった。38歳の津野もまだ独身のため婚活中だったのだが……。 ☆「年の差婚」がテーマです。 淡々と描かれる津野の懊悩が却ってユーモラスなのですが、小心で真面目な津野のことが気の毒になったりもしました。 ところで年の差婚って、そこまで非難されるべきものなのでしょうか。 ( 特に男が年上の場合は、女性からは不潔だと言われてしまい、男性からはやっかまれるようです。) そう言えば、年の離れた異性と親しくなることに向けられる目が、昔より特異な熱気を孕んだものになっているような気がします。 それは好奇であれ非難であれ、あまり好ましくない傾向ではないかと感じているのは自分だけでしょうか。 初めて読む高瀬さんの短編。5編ともすごく面白かったです。個人的には第3話の表題作と最終話が好みでした。
切ない恋やどうにもならない恋を経験すると、ひとつひとつの描写に敏感になる。その感覚を見事に呼び起こすような文章でした。短編集なので、さくさくと読み進められました。あと僕、とか私とかではなく客観的な書き方も好みです。 歳の差婚について、自分の場合、きっと、私に関係のない人たちがそれをするのであれば...続きを読む、当然自分の人生には全くもって関係ないので、どうぞお好きなように、と言える。だけど、自分が長く関係を築いてきた人、好きな人、魅力的に感じている人など、ある意味で性的な魅力を感じる相手であればあるほど、受け入れることは難しいのかもしれないなー、と。 歳の差について嫌悪感を感じるというより、その人の趣向を知ってしまった、覗いてはいけない部分を覗き見ているような、それが自分の想像していた「こうであってほしい」という、こちらが勝手に抱いている相手のイメージが打ち砕かれた感覚が、あとで嫌気となってやってくる。そんな読後。
私の心の中にもあるあまり人には見せたくない、傲慢なところやドロドロしたところや矛盾したところが高瀬作品にはあって、読んでいてもはや心地よい 短編集も、色んな高瀬作品を読めてとってもよかった 私にも、私のことをずっと好きな人がいた。私はあの人を好きじゃないし好きにならないのに、あの人はどんな私でも...続きを読む好きという事実だけで、気持ち悪いと思ったり、はたまた少し強くも生きていけた
新しい恋愛 お見合い→自然恋愛→マッチング→ロマンチックな純愛?! 恋愛や結婚の形は変わっていくもので、ドラマや映画では現実にはほとんどありもしない純愛が描かれているところを見ると、あながちこの先に純愛が主流となる未来が来ないとも言い切れないと感じた。 いくつも数える 年の差婚。本人たちが幸せなら...続きを読むそれでいい。 そう思っていたけれども、好きな芸人が18歳の女性と結婚したときには、正直「えっ?」と思った。 年の差婚と彼の芸とは全く関係ないけど、これまでと同じように笑えるかしら?と立ち止まってしまったのは事実である。今となっては同じように笑えていて何の心配もいらなかったけど、私が立ち止まったのは一種の反射神経のようなものであったと思う。 そういう反射神経のような嫌悪を描いた作品。
どの短編も日常にありそうな恋愛にまつわるエピソードを、ちょっと気づかない角度で捉えている。 なんかちょっと哲学的というか…ある種の痛々しさを実感したりする。 そこがやはり、高瀬さんの凄さなのかなとも思う。 自分が若い頃には考えもしなかった、見ようともしなかった恋愛に対する視点が新鮮だった。 20代...続きを読む前半にこの本が読めてたら、恋愛観も変わっていたかもなぁ。
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