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みんなの恋愛をわたしは知らない。 芥川賞受賞のベストセラー『おいしいごはんが食べられますように』著者が放つ、最高の〈恋愛〉小説集。 あなたはどこまで共感できますか? ひと筋縄ではいかない5つの「恋」のかたち。 【収録作品】 「花束の夜」「お返し」「新しい恋愛」「あしたの待ち合わせ」「いくつも数える」
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Posted by ブクログ
みんな一癖あってまともな恋愛できないのも肯定できる気がした。 【花束の夜】 自信が無いと自信がある人に好意を持つし、振り回されるんだなって思った。花束いいな。 【お返し】 思春期の小さな思い出はずっと心に残るのかと思った。 【新しい恋愛】 マッチングアプリをやってても心が動かされないのに現実では割と...続きを読むすぐ動かされるから新しい恋愛に共感した。この人と現実で会ってたら好きだったろうなって人もアプリにはいる、僕はロマンチックに自然な出会いから恋愛したいと思った。 【あしたの待ち合わせ】 好きじゃない人からの好意は高揚感より安心感なのかな。実らない片想いはずっと心に残る感じもある。 【いくつも数える】 歳の差恋愛の話。丁度深瀬が20下の女と結婚してて感じてたことと重なった。羨ましいとみっともないが同時に存在する感じ、尊敬の念を持って人が大きく下と結婚したと知ったら確かにギクシャクしちゃうけど、なんだかんだ若い人は素敵だよね。
恋愛小説として素晴らしいと思います。 私が思うに一般的に読み物は、しばしば起承転結に進みます。しかし恋愛小説にはその形にハマらないこともあり、この作品もまた、感情移入できる感情の情景や登場人物達の関係性を次第に読み解いていくことを基礎として、先の読めない不安定さと、それとは逆にその不安定さをバラン...続きを読むスよく紡がれていく様が読み取れます。そして登場人物達がそれぞれ衝動を駆り立てられる様がこの作品には描かれています。 もちろん、人それぞれなのでどうしてそんな選択をしてしまったのだろう。と、思わせる登場人物もいますが、それも“恋愛”らしさとして私の中では落とし所についています。 新しい恋愛。とは、誰かの未来(私の未来?)なのか。そもそも私の過去の恋愛なのか。はたまた疑似体験なのか。を、読者に委ねられた情緒のある作品として読み進められた様に思います。 この素晴らしい作品は、私にとっては恋愛小説についてや情緒を揺さぶられる心地よさについてを気づかせてくれる作品にもなりました。それは今後に色々な恋愛小説を読んでみたいと思わせるものでした。 この作品にはとても人間性のある作品として、新しい恋愛として、私には記憶に残っていく。そうも感じました。 最後にあなたにとっての“新しい恋愛”とはどの様なものになるでしょうか。 この本が気になる方は是非読んでみて下さい。
確かにこれは恋愛小説なんだけど、ときめきに限らないさまざまな感情の機微がたくさん書き記されていて、逆にときめき以外のすべてがここにあるんじゃないかと思った。 【読んだ目的・理由】高瀬隼子さんの他の作品を読んで好きだったから 【入手経路】買った 【詳細評価】☆4.5 【一番好きな表現】それはまばたき...続きを読むから次のまばたきへの間だったり、息の吐き方だったり、吐かれなかった息のことだったり、津野がメニューへ注意を向けている時に注がれる眼差しが、視野の端ぎりぎりで捉えられること、その感覚に日菜子さんが気付いてないわけがないと思うことだったりした。(本文から引用)
恋愛にまつわる短編集。 各作品に「こういう一文のために小説を読んでるんだ」と思うような文章があった。 どの話も、ラストがよい。そこにたどり着くまではずっともやもやしたり行ったり来たりしている思考が、最後そうやって締めるのかという感じ。
それが自然の摂理というように、多くの人が誰かとつがいになって生きていくことを選ぶのに 沢山の人がそれについて言葉を尽くして語ってきただろうに それでもなお"正解"が見つからないのが恋愛 この本の中では、私自身が言葉にできなかったあれこれが腑に落ちるかたちで表現されていて 私にと...続きを読むっては"正解"に近いものだったかもしれないけど、他の誰かにはまったく理解し得ないものかもしれなくて よくもわるくも「あてられた」(毒にあたるような意味で)と思った作品集だった
抉らないで。 日菜子さんはあちこちくたびれていて、それは悪口とかじゃなくて実際にそうで、だって人間の身体は老いていくから。津野の身体も同じように老いていっている。皺とかシミとか目に見えるものだけではなくて、隣の席から漂ってくるにおいも、やっぱり昔とは違う。お気に入りの香水は何年も変わらないけれど、...続きを読むその奥から漂う芯のにおいが、くさいのではなく歳を重ねて深まっている。 (花束の夜/お返し/新しい恋愛/あしたの待ち合わせ/いくつも数える)
自由と権利の尊重が謳われる現代。そんな個人裁量の幅の広がった今に生きる人たちの恋愛模様を描いた「恋愛」短編集。 ◇ 送別会がお開きになり、水本は部屋の中を見て回っていた。忘れ物がないか確認するのは、いちばんペーペーの水本の仕事だ。 今夜は倉岡の送別会だった。倉岡は退職まで...続きを読むの3ヶ月間、新入社員の水本への引き継ぎを兼ねて指導してくれた中堅社員である。 倉岡は明るく元気な体育会系らしい男だ。誰にでも気さくに接するし、面倒見もよい。それだけに距離の詰め方もうまく、水本はいつの間にか倉岡と男女の関係になっていた。 店の前で部長による一本締めの音頭と倉岡への花束贈呈があり、皆が三々轟々その場をあとにする。倉岡とともに一同を見送った水本は、このあとの倉岡との過ごし方を考えていた。 同僚の姿が見えなくなったところで、倉岡は水本の方を向いて言った。 「これいらねえから」 そして花束を水本に押しつけた倉岡は、 「気ぃつけて帰れよ」 と言い残して、1人でさっさと帰って行ったのだった。( 第1話「花束の夜」) ※全5話。 * * * * * 5編それぞれに、なかなか面倒くさい恋愛模様が描かれていました。各話を簡単に紹介すると……。 第1話「花束の夜」 ☆この日も倉岡のマンションに泊まることになるだろうと思っていた水本でしたが、倉岡に花束を押しつけられ置き去りにされてしまいます。 大きな花束を抱えて電車に乗るわけにもいかず、夜の街をウロウロする水本。倉岡の携帯は電源を切られていてつながりません。 どうやら倉岡の「これいらねえ」ということばは、花束とともに水本に向けられたものでもあったようです。 夜の街をさまよう水本のとった行動とは? 第2話「お返し」 保育園で、息子が同じ園に通う女の子からバレンタインチョコをもらった。それを見た「おれ」は、遠い昔のことを思い出す。 おれが初めてチョコをもらったのは小学4年のとき。近所に住むひとつ年下の女の子からだった。 ユウハというその子のバレンタインチョコはおれが中学を卒業するまで6年間続いた。高校入学後はピタッと途絶えたが、おれには高校内で彼女ができていたため気にもしなかった。 ところが、大学入試を直前に控えた高3の2月。家で受験勉強をしていたおれを、ユウハが訪ねてきた。半年前に彼女と別れていたおれにチョコを差し出したユウハは……。 ☆ユウハはこれまでずっと、バレンタインデーにチョコをくれるけれど、特に想いを告げてきたりはしないのです。おれの方もホワイトデーにお返しをするものの、幼い頃から知っているユウハに特別な感情を抱くことはありませんでした。 別々の高校に進学した2人。疎遠になっていたはずのユウハが、おれの前にバレンタインチョコを持って現れた理由とは? 第3話「新しい恋愛」 26歳を目前に控えた知星。ある日のこと、近くに住む姉に頼まれ、姪の美寧々をひと晩預かることになった。 美寧々は中学生になったばかりで、恋バナがしたいお年頃。知星に恋人がいることを知っている美寧々は、さっそく知星の恋愛事情をいろいろと尋ねてくる。 学生時代からの知り合いだったこと。 就職後につきあい始めたこと。 つきあいも3年を過ぎ、結婚について意識するようになったこと。 笑いながら答える知星だが、実は胸の中には奇妙な感情が広がっているのだった。 ☆「プロポーズされたくない」という知星の気持ち。何かわかるようであり、わからないようでもある、モヤモヤした気持ちです。 知星自身もうまく整理できない感情なのですが、美寧々のかわいい追及にあううち……。 さすが表題作だけあって、うまくできたお話でした。 第4話「あしたの待ち合わせ」 かな子には、狛村くんというフォロワーがいる。狛村くんは学生時代からずっと、かな子のことを密やかに追跡し続けている。そしてそのことを、かな子はよく知っているのだった。 かな子がSNSで呟くと、それをチェックした狛村くんはそっと行動を起こす。 例えば、かな子が「上野駅構内のガシャポンに欲しかったフィギュアがあると聞いた」と呟くと、次の日にはガシャポン近くで狛村くんを見かけるし、美術館や神社に行くつもりだと呟くと、やはりその付近で狛村くんは姿を現す。 狛村くんは大学時代の同期で、気づけば常にかな子の近くにいた。真面目で控えめ。英語の教科書に出てくる模範的な日本人学生のような狛村くんを、かな子は少しも好きではない。 そうでありながら、狛村くんとの微妙な関係を、かな子は続けたいと思ってもいた。そんなある日……。 ☆かな子はどちらかと言えば、自堕落で身持ちのよくない女性です。すぐに男性と関係を持ってしまうところがあるし、うまくいかなくなれば簡単に別れもします。不倫にもあまり抵抗がないようです。 なのに、自分を一途に愛する狛村くんとの距離を縮めることもしなければ、冷たく突き放すこともせずに33歳の今日まできました。 もはや妖気さえ感じてしまうかな子と、影のごとく付き従うストーカーのような狛村くん。どう決着するのでしょうか。 第5話「いくつも数える」 津野が給湯室でコーヒーを淹れていると、課長の天道が入ってきた。天道課長は穏やかな温かい人柄であり、仕事もよくできることもあって部下から慕われている。おまけに50歳とは思えないほどスタイルがいいという、まさに理想の上司である。 そんな天道課長が珍しくおずおずした態度で「話がある」と切り出したのは、結婚の報告だった。 「おめでとうございます」と心から祝福した津野だが、その後、社内事情に詳しい同僚から驚くべき事実を耳にする。 なんと課長の花嫁は24歳。つまり26歳の年の差婚だったのだ。 噂は広まり、課内であれほど慕われていた天道課長の評判は微妙なものになってしまった。特に嫌悪感を示したのは若い女性社員で「気持ち悪い」とまで言われる始末。 そして、それを耳にする津野の心境は、実に深刻で複雑だった。38歳の津野もまだ独身のため婚活中だったのだが……。 ☆「年の差婚」がテーマです。 淡々と描かれる津野の懊悩が却ってユーモラスなのですが、小心で真面目な津野のことが気の毒になったりもしました。 ところで年の差婚って、そこまで非難されるべきものなのでしょうか。 ( 特に男が年上の場合は、女性からは不潔だと言われてしまい、男性からはやっかまれるようです。) そう言えば、年の離れた異性と親しくなることに向けられる目が、昔より特異な熱気を孕んだものになっているような気がします。 それは好奇であれ非難であれ、あまり好ましくない傾向なのではないかと感じているのは自分だけでしょうか。 初めて読む高瀬さんの短編。5編ともすごく面白かったです。個人的には第3話の表題作と最終話が好みでした。
切ない恋やどうにもならない恋を経験すると、ひとつひとつの描写に敏感になる、その感覚を見事に呼び起こすような文章でした。短編集なので、さくさくと読み進められました。あと僕、とか私とかではなく客観的な書き方も好みです。 歳の差婚について、自分の場合、きっと、私に関係のない人たちがそれをするのであれば...続きを読む、当然自分の人生には全くもって関係ないので、どうぞお好きなように、と言える。だけど、自分が長く関係を築いてきた人、好きな人、魅力的に感じている人など、ある意味で性的な魅力を感じる相手であればあるほど、受け入れることは難しいのかもしれないなー、と。 歳の差について嫌悪感を感じるというより、その人の趣向を知ってしまった、覗いてはいけない部分を覗き見ているような、それが自分の想像していた「こうであってほしい」という、こちらが勝手に抱いている相手のイメージが打ち砕かれた感覚が、あとで嫌気となってやってくる、そんな読後でした。
高瀬さん作品に登場する人はクセが強い人が多い。過去作では女のイヤーな部分が出ていて嫌悪感をいだくともあった。今作はクセが強いというよりはちょっと嫌な部分とかちょっと理解できる部分とかそういうところにスポットがあたっている感じ。 理解できないと切り捨てることができなくて、でも大きな声でそれわかる!と共...続きを読む感はできない。絶妙なところをついてくるな…と思いながら読んだ。
確とした輪郭を持たない感情。 愛だか恋だか欲だか気の迷いだか分からないものを掬い出した物語。 思い起こせば、そのうちのどれかだったんだろうなあとは思うのかも。 私は今年56歳になりました。 愛だか恋だか欲だか気の迷いだか。 が、あんまり体のなかから湧き上がらない予感がします。残念ながら。 ところ...続きを読むで。 「いくつも数える」 歳の差のある関係への違和感。 いろいろある「差別的な感情」の中で、男性高年齢者に対する差別を、少し相対的に扱っていることに筆者のバランス感覚を感じた。 進歩的であることと、現代的であること。 それは決して、生きやすい、より優れた社会になることと同義ではないのだろうと思う。
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