ユーザーレビュー ヘクタール 大森静佳 大森静佳の三冊目の歌集。歌集としては珍しく大手の文藝春秋から出版されていることに驚いた。それだけ期待されているのだろう。それに応えて第四回塚本邦雄賞を受賞した。言葉同士がぶつかり、重なり、裏切る。その狭間からイメージがこぼれる。「鳥影はするどく空を斬りわたり結末が見えているからって何だ」「青空の深い...続きを読むところでほのひかる見たことのないあなたの乳歯」「さびしさの単位はいまもヘクタール葱あおあおと風に吹かれて」「生まれると生きるの間に咲きそよぐねこじゃらしたち根こそぎ毟る」「約束はひとりっきりでもできること 虹よ おまえをずたずたにする」「人魚なのに溺れてしまうこんなにもつめたい水にそしてあなたに」「あなたより先に死にたしそののちのあなたの死後にふたたびを死ぬ」 Posted by ブクログ ヘクタール 大森静佳 以下が特に好きな3首でした。 ジェルソミーナを理想の女と言ったひとが明日は山羊になりますように 会えた気がするのです、少し 手鏡をおなかに伏せて眠る夜更けは 産めば歌も変わるよと言いしひとびとをわれはゆるさず陶器のごとく Posted by ブクログ ヘクタール 大森静佳 読んでて度々涙がでた 感動の涙でも、悲しくて泣いてるのでもなくて ただただ涙がでた ひとことで表すなら、赤黒い血の塊 言葉としては敬遠されたり忌み嫌われるものだけれど、だれもが身体のなかに宿していて、でもふだん見ることもないしそんなものありませんていう顔をしてみんな生きている それらを静かに意識さ...続きを読むせてくるというか、ぐ…と深いところに沈み込ませる力がある Posted by ブクログ ヘクタール 大森静佳 ・さびしさの単位はいつもヘクタール葱あおあおと風に吹かれて ・飛行機に生まれたかったと言うひとの額はしろいまま夕焼ける ・わが髪を撫でつつ力のない髪と言ったのは母 五月の庭で ・白髪のあなたを思い描くとき黒目の黒さばかりが浮かぶ Posted by ブクログ ヘクタール 大森静佳 世代が違う、なんせ息子と同世代なので親子ほどの違い、それに短歌には門外漢でもあり、理解できない歌も多くありました。 しかし、分からないながらも、静かだが美しく、時に意志の強さも感じられ、現代の短歌会を代表する歌人なのだと感じ入りました。 先日、90歳すぎていまなお矍鑠たるおば、ふだんからうち息子の歌...続きを読むや現代短歌がわからない、と言っているおばが、「現代短歌は歌と言うより詩のようなものね」といっていました。 この大森静佳さんの歌集もそう思って読めば、より楽しめるのかも、と思いました。 また、繰り返し読みたい歌集です。 Posted by ブクログ 大森静佳のレビューをもっと見る