新潮社作品一覧

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  • へそのない本
    -
    〈へそのない本〉の身体各部は次のとおりです。――1 野の花にふれて幼い頃の思い出や終戦直後のひもじかった青春の日々を語る花物語。 2 オホーツクの氷海をゆく航海日記などの紀行文。 3 女性の愛らしさと意地悪さを皮肉とユーモアで綴るエッセイ。 4 「宵」「童女」「うつろの中」「意地悪爺さん」等の空想の愉しさあるれる短い10の物語。――以上、郷愁と幻想にみちた一巻。
  • あくびノオト
    -
    1巻506円 (税込)
    夢想の世界に遊ぶ主人公の、現実とのくいちがいに生ずる悲哀をユーモラスに描いて苦い笑いを誘う『第三惑星ホラ株式会社』『少年と狼』『活動写真』等の物語。他に、なまけものやホラ吹きへの共感、沖縄紀行、医学生時代の思い出や精神科医としての体験、子供マンガへの愛着と無理解な大人への抗議、等々、あわただしい現代社会への批評の眼を、爽やかな笑いに包んだエッセイを収める。
  • 少将滋幹の母
    4.1
    八十歳になろうとする老大納言は、若い妻を甥の左大臣に奪われるが、妻への恋情が断ちきれず、死んでしまう。残された一人息子の胸にも幼くして別れた母の面影がいつも秘められていた――。平安期の古典に材をとり、母への永遠の慕情、老人の美女への執着を描き、さらに、肉体の妄執が理性を越えて、人間を愛欲の悩みに陥れるという谷崎文学の主要なテーマを深化させた作品。

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  • 果樹園のセレナーデ
    4.0
    荒廃した果樹園の古びたベンチにすわって、ひとり静かにヴァイオリンを奏でる美少女キルメニイ。悲運の母の偏愛ゆえに世間から隔絶された口のきけない少女に、大学を出て赴任してきた若い臨時教師エリックが真実の愛をそそぎ、奇蹟を起こす、この美しい愛の物語は、『赤毛のアン』で知られ、生涯青春の情熱を失わなかったモンゴメリ女史の実質的処女作。

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  • どくとるマンボウ昆虫記
    4.0
    虫に関する思い出や伝説や空想を自然の観察を織りまぜて語り、美醜さまざまの虫と人間が同居する地球の豊かさを味わえるエッセイ。

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  • 背中の勲章
    4.0
    1巻506円 (税込)
    昭和17年4月18日――太平洋上の哨戒線で敵機動艦隊を発見した特設監視艇・長渡丸の乗員は、玉砕を覚悟で配置につき、死の瞬間を待った。けれども中村一等水兵以下五名は、米軍の捕虜となり、背中にPWの文字のついた服を着せられて、アメリカ本土を転々としながら抑留生活をおくった――。運命のいたずらに哭く海の勇士の悲しい境涯を通して描く、小説太平洋戦争裏面史。

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  • 空白の戦記
    4.2
    闇に葬られた軍艦事故の恐るべき真相、「戦艦武蔵」の極秘設計図紛失事件の後日譚、悲しくも痛ましい沖縄決戦の秘話……。戦記文学に定評のある著者が、正史にのらない埋もれた戦争の真実を掘り起して、巨大な戦争の陰の部分に生きた人間たちのドラマを追求する戦争秘録小説集。「艦首切断」「顛覆」「敵前逃亡」「最後の特攻機」「太陽を見たい」「軍艦と少年」の六編を収録。

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  • ブランコのむこうで
    3.8
    ある日学校の帰り道に、「もうひとりのぼく」に出会った。鏡のむこうから抜け出てきたようなぼくにそっくりの顔。信じてもらえるかな。ぼくは目に見えない糸で引っぱられるように男の子のあとをつけていった。その子は長いこと歩いたあげく知らない家に入っていったんだ。そこでぼくも続いて中に入ろうとしたら……。少年の愉快で、不思議で、すばらしい冒険を描く長編ファンタジー。
  • 星よ またたけ―井上靖童話集―
    -
    1巻517円 (税込)
    亡くなったお姉さんが日記に書き残した「高い山、青い湖」という謎めいた文字。その言葉の秘密を解くために琵琶湖や芦ノ湖をたずね歩くゆかりちゃんの前に、思いがけない事実が……。表題作ほか、ひょんなことから地球にやってきた月のウサギのピロちゃんの冒険『銀のはしご』、ショート・ショート『猫がはこんできた手紙』『ほくろのある金魚』など4編を収めた著者唯一の童話集。※挿絵は当電子版では掲載しておりません。ご了承ください。
  • 怪盗ジバコの復活
    -
    1巻517円 (税込)
    あの心優しい大怪盗ジバコが帰ってきた。謎多き男、年齢不詳、国籍不明etc. その正体を誰も知らない。南海のヤシの実10個から大国の金の延棒、宝石の数々を難なく頂戴する。だがジバコの変装をいとも簡単に見破るひとがいる。その名はジバコの愛しい恋人ルネ嬢。今や巨大組織を解散したジバコが彼女のために世界の名探偵=コロンボ、ポアロ、ホームズらを相手に奇抜な挑戦をする。
  • 輝ける碧き空の下で 第一部(上)
    -
    1~4巻517~572円 (税込)
    明治四十一年、第一回ブラジル移民七百九十一名を乗せ笠戸丸がサントスに入港した。夢と希望に満ちた彼らを待ち受けていたのは、苛酷な自然と厳しい労働だった――。大農場で農奴にひとしい生活を送る井原・山口家の人々。色々な職業を転々とする香山六郎。農場主に支配されない日本人入植地を夢みる平野運平。紺碧の空の下、苦闘する初期移民の姿を描いた構想十余年の大作第一部。
  • 白きたおやかな峰
    -
    1巻517円 (税込)
    想像を絶する巨大な山塊、猛々しくも優雅にそそり立つ大伽藍――白雪におおわれた未踏の高峰ディラン。長い準備の末に憧れのヒマラヤにやって来た10人の日本人たちは、病気や悪天候などさまざまな障害を克服しながら、冷酷に人間を拒否しつづける頂上に挑む……。ドクターとして遠征隊に参加した著者が、大自然の魅惑と愛すべき山男たちの素顔を描く書き下ろし長編。
  • 奇病連盟
    -
    1巻517円 (税込)
    歩き始めると4歩目ごとに、ピョコリピョコリとのびあがる奇癖の主・ピョコリ氏こと山高武平。37歳にもなって独身、うるさく古風な母親と二人暮しのさえないサラリーマンの彼が「奇病連盟」にスカウトされた。次々と彼を襲う奇妙きてれつな体験と遅すぎるロマンスを、著者独特のユーモアいっぱいに描く。読者はモタモタした武平を笑う、と同時に、なぜか共感と愛着をも禁じえない。
  • 高みの見物
    -
    海外放浪癖があり、“高級”ゴキブリを自称するわたしは、南洋漁業調査船に潜伏しているうち、なまけ者の船医、目玉医者の奇妙な言動に興味をそそられ、帰国する彼についてゆくことにした。彼の友人でヘチマのような顔をしたケチの食いしん坊、SF四文作家氏の家庭にも触手を伸ばしたわたしは、両家を往復しつつ、複雑怪奇な人間世界の“高みの見物”と洒落れこんだ……。
  • 過ぐる川、烟る橋(新潮文庫)
    4.0
    1巻528円 (税込)
    1970年代、東京。貧しくとも、ささやかな夢を分け合う二人の男がいた。九州から単身上京、中華料理店で働く篤志。身体がデカいのが悩みの彼は、店の先輩・勇のすすめでプロレスの世界に足を踏み入れる。運を掴む篤志と、見放される勇、その間で揺れるユキ。時を経て再会した三人は、何を得、何を失ったのか――? 青春の記憶を手繰り、夜の博多に漂うノスタルジック・ラブストーリー。
  • 星の王子さま
    4.4
    砂漠に飛行機で不時着した「僕」が出会った男の子。それは、小さな小さな自分の星を後にして、いくつもの星をめぐってから七番目の星・地球にたどり着いた王子さまだった……。一度読んだら必ず宝物にしたくなる、この宝石のような物語は、刊行後七十年以上たった今も、世界中でみんなの心をつかんで離さない。最も愛らしく毅然とした王子さまを、優しい日本語でよみがえらせた、新訳。
  • ミタカくんと私
    4.1
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 一見とっつきにくいけど、顔がいいから女の子にモテる。幼稚園から一緒だったという理由で、いろいろな人にミタカくんのことを聞かれたりする私の家に、ミタカは日常的にいついている。うちはママと中学生のミサオ、パパは家出中。だからいつも4人で、ごはんを食べたり、テレビを見たり、日々は平和に過ぎていき、これからも続いていく―ナミコとミタカのつれづれ恋愛小説。 ※この商品は固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
  • 山頂の憩い―『日本百名山』その後―
    4.0
    日本は名山に事欠かない。日本の山は、森林あり、渓谷あり、高原あり、火山あり、褶曲山脈あり、秩父古成層あり、石灰岩あり―その千差万別の美しさと品格、古い歴史で、山好きの心を魅了する。名著『日本百名山』以降も山登りを続けた著者が選んだ、さらなる日本の名山二十余を収録する。脱稿からわずか三日後、忽然と茅ヶ岳で逝った著者の、最後の自選山岳紀行エッセイ集。 ※新潮文庫に掲載の写真・図版は、電子版には収録しておりません。
  • イタリアからの手紙
    4.0
    芳醇なるブドウ酒の地中海。死んでいく都、ヴェネツィア。生き馬の眼を抜くローマ。だましの天才はナポリ人。田園風景に、マフィア……。ここ、イタリアの風光は飽くまで美しく、その歴史はとりわけ奥が深く、人間は甚だ複雑微妙で、ぞくぞくするほど面白い。──壮大なライフ・ワーク『ローマ人の物語』へと至る遥かな足跡の一端を明かして、人生の豊かな味わいに誘う24のエセー。
  • 診療室にきた赤ずきん―物語療法の世界―
    3.9
    「むかしむかし、あるところに……」まさか精神科を受診して、昔話や童話を聞かされるなんて誰も思ってもみなかっただろう。でも、患者たちの当惑はすぐ驚きに変わる。そこに繰り広げられるのは自分の物語なのだ。悩みを抱えた心の深層を「赤ずきん」「ももたろう」「幸運なハンス」「三びきのこぶた」などで解き明かす、ちょっと不思議で、ほんとうは不思議じゃない12話の「心の薬」。
  • 古風堂々数学者
    4.2
    (1)武士道精神を愛して卑怯を憎み、(2)他人の向上に熱心な性向をもち、(3)論理的、合理的でないものを尊ぶ情緒の国に生まれたことを誇りとする、情に棹さしてばかりの数学者は、いかにして誕生したか。独特の〈教育論〉〈文化論〉、十八番の〈家族もの〉、皆が貧しかった時代の少年期に(1)~(3)を血肉にしていく経緯を活写した中編等、論理の美しさとユーモアが見事に和した、48編の傑作エッセイ。
  • ゲーテ格言集
    4.1
    偉大なる詩人であり作家であると同時に、最も人間的な魅力にあふれたゲーテは、無限に豊富な知と愛の言葉の宝庫を残している。彼の言葉がしばしば引用されるのも、そこには永久に新鮮な感性と深い知性と豊かな愛情とが、体験に裏づけられて溶けこんでいるからである。本書は、彼の全著作の中からと、警句、格言として独立に書かれたものの中から読者に親しみやすいものを収録した。
  • デミアン
    4.1
    ラテン語学校に通う10歳の私、シンクレールは、不良少年ににらまれまいとして言った心にもない嘘によって、不幸な事件を招いてしまう。私をその苦境から救ってくれた友人のデミアンは、明るく正しい父母の世界とは別の、私自身が漠然と憧れていた第二の暗い世界をより印象づけた。主人公シンクレールが、明暗二つの世界を揺れ動きながら、真の自己を求めていく過程を描く。
  • テレーズ・デスケイルゥ
    3.3
    ボルドの荒涼たる松林を吹きぬける烈風にそそのかされたように、なぜ、と問われても答えられぬ不思議な情熱に誘われて、テレーズは夫を殺して自由を得ようとうするが果せず、しかも夫には別離の願いを退けられる……。情念の世界に生き、孤独と虚無の中で枯れはててゆく女テレーズを、独特の精緻な文体で描き、無神の世界に生きる人の心を襲う底知れぬ不安を宗教的視野で描く名作。
  • オセロー
    3.9
    ムーア人の勇敢な将軍オセローは、サイプラス島の行政を任され、同島に赴く。副官に任命されなかったことを不満とする旗手イアーゴーは、策謀を巡らせて副官を失脚させた上、オセローの妻デズデモーナの不義をでっちあげる。嫉妬のあまり、妻を自らの手で扼殺したオセローは、すべてが、イアーゴーの奸計であったと悟り自殺する。シェイクスピアの後期の傑作で、四大悲劇の一つ。
  • 不愉快な本の続編
    3.5
    フランス留学時代に女でしくじり、帰国後も生来のヨソ者として暮らしてきた乾ケンジロウ。東京でのヒモ生活から遁走し、新潟で人生初の恋に落ち結婚するも破局。富山では偶然再会した大学の女友達に、美術館で盗んだジャコメッティの彫刻を餞別に渡し、逃げるようにして故郷の呉へ――。『異邦人』ムルソーを思わせる嘘つき男の、太陽と海をめぐる不条理な彷徨。著者の最高到達点。
  • マンボウ 遺言状
    3.3
    歯が痛い。腰も痛い。年をとるのがこんなにつらいとは思いもしなかった。親しい人も亡くなって、残されたたった一つの望みは、安楽に、早く死ぬことだ――。ハチャメチャ大王・マンボウ氏もいよいよ気弱な年頃に……なるわけがありません! たとえ老体となっても、心は少年。常識にとらわれぬぶん、年甲斐もないマンボウ流の雄叫びは、老いてますます絶好調。抱腹絶倒エッセイ。※新潮文庫版に掲載の挿絵は、電子版には収録しておりません。
  • 草原の記
    4.1
    史上空前の大帝国をつくりだしたモンゴル人は、いまも高燥な大草原に変わらぬ営みを続けている。少年の日、蒙古への不思議な情熱にとらわれた著者が、遥かな星霜を経て出会った一人のモンゴル女性。激動の20世紀の火焔を浴び、ロシア・満洲・中国と国籍を変えることを余儀なくされ、いま凜々しくモンゴルの草原に立つその女性をとおし、遊牧の民の歴史を語り尽くす、感動の叙事詩。
  • 女という病
    3.5
    ツーショットダイヤルで命を落としたエリート医師の妻、我が子の局部を切断した母親、親友をバラバラにした内気な看護師……。殺した女、殺された女。際限ない欲望、ついに訪れた破滅。彼女たちは焼けるような焦りに憑かれて「本当の私」を追い求め、狂い、堕ちた。女性が主役を演じた13事件の闇に迫る圧倒的ドキュメント! 女の自意識は、それ自体、病である。これは、あなたの物語。
  • 女の一生
    3.9
    修道院で教育を受けた清純な貴族の娘ジャンヌは、幸福と希望に胸を踊らせて結婚生活に入る。しかし彼女の一生は、夫の獣性に踏みにじられ、裏切られ、さらに最愛の息子にまで裏切られる悲惨な苦闘の道のりであった。希望と絶望が交錯し、夢が一つずつ破れてゆく女の一生を描き、暗い孤独感と悲観主義の人生観がにじみ出ているフランス・リアリズム文学の傑作である。
  • 雁の寺・越前竹人形
    4.3
    1巻528円 (税込)
    “軍艦頭”と罵倒され、乞食女の捨て子として惨めな日々を送ってきた少年僧・慈念の、殺人にいたる鬱積した孤独な怨念の凝集を見詰める、直木賞受賞作『雁の寺』。竹の精のように美しい妻・玉枝と、彼女の上に亡き母の面影を見出し、母親としての愛情を求める竹細工師・喜助との、余りにもはかない愛の姿を、越前の竹林を背景に描く『越前竹人形』。水上文学の代表的名作2編。
  • 暖簾
    4.0
    一介の丁稚から叩きあげ、苦労の末築いた店も長子も戦争で奪われ、ふりだしに戻った吾平の跡を継いだのは次男孝平であった。孝平は、大学出のインテリ商人と笑われながら、徹底して商業モラルを守り、戦後の動乱期から高度成長期まで、独自の才覚で乗り越え、遂には本店の再興を成し遂げる。親子二代“のれん”に全力を傾ける不屈の気骨と大阪商人の姿を描く作者の処女作。
  • 後白河院
    3.7
    朝廷・公卿・武門が入り乱れる覇権争いが苛烈を極めた、激動の平安末期。千変万化の政治において、常に老獪に立ち回ったのが、源頼朝に「日本国第一の大天狗」と評された後白河院であった。保元・平治の乱、鹿ヶ谷事件、平家の滅亡……。その時院は、何を思いどう行動したのか。側近たちの証言によって不気味に浮かび上がる、謎多き後白河院の肖像。明晰な史観に基づく異色の歴史小説。
  • 天平の甍
    4.1
    天平の昔、荒れ狂う大海を越えて唐に留学した若い僧たちがあった。故国の便りもなく、無事な生還も期しがたい彼ら――在唐二十年、放浪の果て、高僧鑒真を伴って普照はただひとり故国の土を踏んだ……。鑒真来朝という日本古代史上の大きな事実をもとに、極限に挑み、木の葉のように翻弄される僧たちの運命を、永遠の相の下に鮮明なイメージとして定着させた画期的な歴史小説。
  • 猟銃・闘牛
    4.0
    1巻528円 (税込)
    ひとりの男の十三年間にわたる不倫の恋を、妻・愛人・愛人の娘の三通の手紙によって浮彫りにした恋愛心理小説『猟銃』。社運を賭した闘牛大会の実現に奔走する中年の新聞記者の情熱と、その行動の裏側にひそむ孤独な心情を、敗戦直後の混乱した世相のなかに描く芥川賞受賞作の『闘牛』。無名だった著者の名を一躍高からしめた初期の代表作2編の他『比良のシャクナゲ』を収録。
  • 華岡青洲の妻
    4.2
    世界最初の全身麻酔による乳癌手術に成功し、漢方から蘭医学への過渡期に新時代を開いた紀州の外科医華岡青洲。その不朽の業績の陰には、麻酔剤「通仙散」を完成させるために進んで自らを人体実験に捧げた妻と母とがあった――美談の裏にくりひろげられる、青洲の愛を争う二人の女の激越な葛藤を、封建社会における「家」と女とのつながりの中で浮彫りにした女流文学賞受賞の力作。
  • 思い出トランプ
    4.0
    浮気の相手であった部下の結婚式に、妻と出席する男。おきゃんで、かわうそのような残忍さを持つ人妻。毒牙を心に抱くエリートサラリーマン。やむを得ない事故で、子どもの指を切ってしまった母親など――日常生活の中で、誰もがひとつやふたつは持っている弱さや、狡さ、後ろめたさを、人間の愛しさとして捉えた13編。直木賞受賞作「花の名前」「犬小屋」「かわうそ」を収録。

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  • こころの処方箋
    4.3
    「耐える」だけが精神力ではない。心の支えは、時にたましいの重荷になる。――あなたが世の理不尽に拳を振りあげたくなったとき、人間関係のしがらみに泣きたくなったとき、本書に綴られた55章が、真剣に悩むこころの声の微かな震えを聴き取り、トラブルに立ち向かう秘策を与えてくれるだろう。この、短い一章一章に込められた偉大な「常識」の力が、かならず助けになってくれるだろう。
  • 二十歳の原点
    3.9
    独りであること、未熟であることを認識の基点に、青春を駆けぬけていった一女子大生の愛と死のノート。学園紛争の嵐の中で、自己を確立しようと格闘しながらも、理想を砕かれ、愛に破れ、予期せぬうちにキャンパスの孤独者となり、自ら生命を絶っていった痛切な魂の証言。明るさとニヒリズムが交錯した混沌状態の中にあふれる清冽な詩精神が、読む者の胸を打たずにはおかない。

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  • ため息の時間
    3.6
    1巻528円 (税込)
    愛したことが間違いなんじゃない。ただ少し、愛し方を間違えただけ──。完璧に家事をこなす妻を裏切り、若い女と浮気する木島。妻が化粧をするのを許さなかった原田。婚約寸前の彼女がいるのに社内で二股をかけた洪一。仕事のために取引先の年上女性に近づく孝次…。裏切られても、傷つけられても、性懲りもなく惹かれあってしまう、恋をせずにいられない男と女のための恋愛小説9篇。

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  • 馬鹿な男ほど愛おしい
    -
    恋はいいもの、楽しいもの。だから十代の恋愛はすごく大切。どんな恋愛をしたかで、そのあとの恋愛体験に大きな影響を与えるから。一生懸命に誰かを好きになった、そのせつない気持ちを大切にできたならそれでいい。振り返れば面白かった――恋愛&友情&自分の未来……想いは乱れながら、いつも夢中だったあの頃。迷いながらも突き進んだ怒濤の青春の日々を綴る恋愛体験エッセイ。

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  • 笑う怪獣 ミステリ劇場
    3.0
    突如出現する巨大怪獣。地球侵略を企むナゾの宇宙人。そして人々に襲いかかる驚異の改造人間。いい年齢をしてナンパが大好きな、アタル、京介、正太郎の3バカトリオに、次々と恐怖が襲い掛かる! 彼らを救うヒーローは残念ですが現れない! 密室、誘拐、連続殺人。怪物たちは、なぜか解決困難なミステリを引き連れてくるのであった。空前絶後のスケールでおくる、本格特撮推理小説。

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  • 水の肌
    3.4
    妻の実家の金で留学した男が旅先で資産家の娘と知り合い、妻の前から姿を消す。彼は妻に落ち度があれば離婚が成立すると、私立探偵を雇い、密かに動向を監視し続ける。ところが知らぬ間に、彼が軽蔑していたかつての同僚と妻が再婚していたのを知った時、男の心に理不尽な怒りが湧く…。表題作をはじめ計りがたい人間の愛憎と欲望をテーマに、現代社会の不確実な内面をえぐる傑作短篇5話を収録した推理小説集。

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  • 天国の本屋
    4.2
    1~2巻528円 (税込)
    さとしはアロハシャツの不思議なおっさんに誘われ、突然天国の本屋でアルバイトをすることになった。この店の売り物の、朗読サービスを受け持つことになったさとし。そして緑色の目を持つ少女ユイに恋心を抱く……。でも、ユイの心は、この世でできた大きな傷に塞がれていた──。慌しい毎日に押しつぶされそうな貴方にお勧めします。懐かしさと優しさが、胸一杯に込み上げてきます。

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  • 小説 日本婦道記
    4.2
    千石どりの武家としての体面を保つために自分は極端につましい生活を送っていたやす女。彼女の死によって初めて明らかになるその生活を描いた『松の花』をはじめ『梅咲きぬ』『尾花川』など11編を収める連作短編集。厳しい武家の定めの中で、夫のため、子のために生き抜いた日本の妻や母の、清々しいまでの強靱さと、凜然たる美しさ、哀しさがあふれる感動的な作品である。

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  • 破船
    4.3
    1巻528円 (税込)
    二冬続きの船の訪れに、村じゅうが沸いた。けれども、中の者は皆死に絶えており、骸が着けていた揃いの赤い着物を分配後まもなく、恐ろしい出来事が起った……。嵐の夜、浜で火を焚いて、近づく船を座礁させ、積荷を奪い取る――僻地の貧しい漁村に古くから伝わる、サバイバルのための過酷な風習“お船様”が招いた海辺の悲劇を描いて、著者の新境地を示す異色の長編小説。

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  • 黄泉びと知らず
    3.1
    感動再び! 原作でも映画でも描かれなかった、もう一つの『黄泉がえり』。不思議なことが起きていると聞いた。熊本のある地域で、死者が蘇るというのだ。もう一度だけ、あの子に逢いたい――。事故で亡くした子供を生き返らせるべく、別れた夫婦が再会し、熊本へ向かう。再生への祈りを込めた旅路を描く表題作ほか、短編の名手と謳われるカジシンの魅力満載で贈る一冊。

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  • 漱石の孫
    -
    百年前、祖父・夏目漱石がヨーロッパ文化と格闘していた下宿。その部屋を訪れた時、僕は予想しなかった感動に襲われた――。日本を代表する作家の直系として生を享けた著者は、如何にして、その運命を受け入れるようになったのか。ロンドンで祖父の足跡を辿りながら、愛するマンガへの眼差しを重ね合わせつつ、漱石を、音楽家だった父・純一を、そして、自分自身を語ってゆく。

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  • 新約聖書を知っていますか
    3.8
    新約聖書の冒頭で、マリアの夫ヨセフの系図を長々と述べているのはなぜでしょう。処女懐胎が本当ならば、そんなことはイエスの血筋と無関係のはずです。ところで、聖書の中に何人のマリアが登場するか知っていますか? ではヨハネは? そして、イエスの“復活”の真相は? 永遠のベストセラー『新約聖書』の数々の謎に、ミステリーの名手が迫ります。初級者のための新約聖書入門。

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  • 強力伝・孤島
    3.9
    五十貫もの巨石を背負って白馬岳山頂に挑む山男を描いた処女作「強力伝」。富士山頂観測所の建設に生涯を捧げた一技師の物語「凍傷」。太平洋上の離島で孤独に耐えながら気象観測に励む人びとを描く「孤島」。明治35年1月、青森歩兵第五連隊の210名の兵が遭難した悲劇的雪中行軍を描く「八甲田山」。ほかに「おとし穴」「山犬物語」。“山”を知り“雪”を“風”を知っている著者の傑作短編集。

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  • 天に遊ぶ
    3.8
    1巻528円 (税込)
    見合いの席、美しくつつましい女性に男は魅せられた。ふたりの交際をあたたかく見守る周囲をよそに、男は彼女との結婚に踏みきれない胸中を語りはじめる。男は、独り暮らしの彼女の居宅に招かれたのだった。しかし、そこで彼が目撃したものは……(「同居」)。日常生活の劇的な一瞬を切り取ることで、言葉には出来ない微妙な人間心理を浮き彫りにする、まさに名人芸の掌編小説21編。

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  • 名札のない荷物
    -
    《荷物 一個 内容 死体》トルストイの遺体にひっそりと付けられた荷札をめぐる随想。信長暗殺に臨んで御神籤を三回引いた明智光秀の心中劇とマクベスの葛藤の姿。そしてエイズについての率直な発言。創作の為に書き留められた日記とメモと紀行文からは、記録を超えた玄妙な香りさえ立ち昇る。イメージの飛躍としたたかな小説構造を両立させた清張文学を読み解く最後の記録作品。

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  • 眼の気流
    3.9
    車の座席で戯れる二人づれに憎しみの執念をもやす若い運転手。愛人に裏切られた初老の男のひそやかな怒り――二人の男の接点に生じた殺人事件を追う表題作。立身出世のために愛する女性を殺すが、女は奇蹟的に息を吹き返し、記憶を失ったまま男の前に姿を現わす……非情なエリート官僚を描く『たづたづし』等全5編。日常生活に潜む怖ろしい生の断層、現代の憎悪を抉る推理傑作集。

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  • 巨人の磯
    3.7
    大洗海岸に巨人と見紛うほどに膨張した死体が流れ着いた。警察は苦心の末に、海外旅行中の県議会議員と特定したが、その腐爛状態には驚きのトリックが隠されていた(表題作)。実力はありながら、地味な風貌が災いし、どの組織でも決してトップの椅子にはつけない元銀行副頭取。男が三十一歳も若いバーのマダムと再婚したとき、悲劇が幕を開ける「礼遇の資格」など傑作短編五編。

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  • 酒みずく・語る事なし
    3.0
    酒びたりになるほかはないほどに己れを追い詰めて、創作に励む姿を刻んだ「酒みずく」。晴れがましいことの嫌いだった母のただひとつの思い出を綴る「語る事なし」。“曲軒”の真骨頂をしめす「直木三十五賞『辞退のこと』」。作家的信念を力強く述べた「小説の効用」など。エッセイのほかに、対談・インタビューをまじえて周五郎の人生観・文学観を総覧する。『小説の効用・青べか日記』改題。

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  • 朝顔草紙
    4.0
    顔も見知らぬ許婚同士が、十数年の愛情をつらぬきとおし、藩の奸物を討って結ばれるまでを描いた『朝顔草紙』。徳川四天王、本多平八郎と同姓同名の臆病な青年武士が、戦場で名乗りをあげるたびに敵の第一目標とされ、あわてて逃げ出すという滑稽な設定の『違う平八郎』。いずれ劣らぬあわて者同士主従の不思議な心の通いあいを描いた『粗忽評判記』。ほかに『義理なさけ』など全12編。

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  • 彦左衛門外記
    3.3
    身分のちがいを理由に大名の姫から絶縁された旗本、五橋数馬は奇抜な方法で出世を試みる。失意のうちに市井に隠棲していた大伯父の大久保彦左衛門をおだてあげ、戦記を捏造し、なき家康のお墨付きを偽造して天下の御意見番にしたてあげてしまう。それを侍、侠客、水野十郎左衛門たちが担ぎあげたために大騒動がもちあがる。諷刺と虚構を存分に駆使した奇想天外、抱腹絶倒の異色作。

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  • 山彦乙女
    3.9
    武田家再興――百三十余年にわたる悲願に翻弄される甲州甘利郷のみどう一族。江戸の新御番、安倍半之助は甲府勤番中に失踪した叔父の遺品を調べるうち、叔父を狂気へと導いた武田家の莫大な遺産をめぐる「かんば沢」の妖しい謎のとりことなり、己れもまた甲州へと出奔してゆく。著者の郷里甲州の雄大な自然を舞台に謳いあげた、周五郎文学に特異な位置を占める怪奇幻想の大ロマン。

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  • 夕映え天使
    3.7
    東京の片隅で、中年店主が老いた父親を抱えながらほそぼそとやっている中華料理屋「昭和軒」。そこへ、住み込みで働きたいと、わけありげな女性があらわれ……「夕映え天使」。定年を目前に控え、三陸へひとり旅に出た警官。漁師町で寒さしのぎと喫茶店へ入るが、目の前で珈琲を淹れている男は、交番の手配書で見慣れたあの……「琥珀」。人生の喜怒哀楽が、心に沁みいる六篇。

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  • 薄妃の恋―僕僕先生―
    3.9
    あれから5年目の春、ついに先生が帰ってきた! 生意気に可愛く達観しちゃった僕僕と、若気の至りを絶賛続行中の王弁くんが、波乱万丈な二人旅へ再出発。さっそく道中の漉水のほとりで、男女の熱愛現場に遭遇した一行。しかしそれは、人間の男と、すでにこの世のものでなくなった女との、悲しい恋の目撃だった──新しい旅の仲間も増えて、ますます絶好調の僕僕シリーズ第二弾!

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  • 白雪姫―グリム童話集I―
    4.1
    ドイツ民衆の口から口へと語りつがれてきたメルヘンを、こまめな熱意をもって収集し、文学的才能によってナイーヴな詩に高めたグリム兄弟。本書は、世界中に愛読されるグリム童話のなかから、表題作をはじめ、『歌う骨』『金の鵞鳥』『強力ハンス』『勇ましい豆仕立屋』『灰だらけ姫』『千匹皮』『鉄のハンス』『金の鳥』『藁と炭といんげん豆』など23編を収録した傑作集である。

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  • 窓際OL トホホな朝ウフフの夜
    3.5
    入社以来十何年。初めての異動で向かった部署。そこで出会った仕事は、何と「精力剤」のPR!? かくて始まったトホホの毎日。けれどOLパワーはへこたれない! 悩める男性に「精力剤」を売りまくり、上司をおちょくり、カイシャの裏話を大暴露。気持ひとつでOLライフはこんなにオモシロイ。実は有名作家のお嬢様による、凹んだOL・疲れたオジサン全員必読のスーパー爆笑エッセイ。

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  • 化粧の素顔
    4.0
    もっと開いて。もっと受け入れて。もっと満たして――。理想の女性を求めて遍歴を重ねる河島文也。大胆で細やかな文也のアプローチとテクニックは相手を歓ばせるが、燃え上がった官能は、なぜかいつも途中から醒めてゆく。甘美な性愛のさなかに、身体と身体で交わされる男と女の駆け引きの行方をシニックに描く。もう一段、恋愛上手になるための秘密が詰まった六篇。大人の小説集。

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  • 美智子さまの恋文
    3.0
    私の大切な仕事として、家庭を作ることから始めさせて頂けましたらと存じます――。日本中が沸いたご成婚の陰で、24歳の美智子妃が認めた手紙があった。そこに吐露された懊悩と決意、そして秘めた希望とは。昭和から平成にかけての皇室の変貌を、民間から初の皇妃となった女性の心中を軸に描く。天皇のご学友が見た宮中裏面史。

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  • この人と結婚していいの?
    4.1
    男はウルトラマン、女はシンデレラ──結婚カウンセラーとして数多くのカップルの問題を解決してきた著者が、男女の思考・行動の違いを、ユーモラスにわかりやすく解説! 「結婚したら夫が急に無口に……」「突然怒ったり泣いたりする彼女が理解できない」「性生活が不一致で……」など、心当たりはありませんか? 結婚前は勿論、倦怠期、破局寸前の夫婦にも効き目抜群の“愛の処方箋”。

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  • そして殺人者は野に放たれる
    4.1
    無罪判決。その時、殺人者はニヤリと笑った――「テレビがうるさい」と近隣の5人を滅多刺しにした男が、泥酔し見知らぬ主婦を背後から殺傷した通り魔が、罪に問われず社会に戻ってくる!! 「心神喪失者の行為は罰しない」という法の下に――。ある殺人者は「やられたほうが悪い。自分は被害者」と開き直り、ある殺人者は「死んだ人間は運命だと思って諦めたほうがいい」と口にする……こうして彼らは、何度も何度も野に解き放たれる! 日本の無法ぶりを暴いた渾身の衝撃作。

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  • 怪しいお仕事!
    3.3
    別れさせ屋に裏口入学もこなす興信所、カラミありのヌード撮影会仕掛人、死体部屋の鍵を開けるカギ師……世間には、さまざまな裏稼業が存在する。そんな怪しいギョーカイの仕組みやエピソード、ビジネスの方法を徹底公開! 一筋縄ではいかない男たちが編みだしたカラクリと、スリリングな生活に迫る。そのほか、ライターである著者が“裏ゴーストライター”に仕事を依頼!? 見られたい願望夫婦のセックスを覗く“寝室覗き屋”を体験! など、著者自身が潜入&チャレンジした「怪しいお仕事」体験記も収録。

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  • 心がだんだん晴れてくる本
    3.6
    話の間をもたせようと頑張ってしまう……相手の反応が恐くて、自分から誘えない……「印象に残らない自分」がイヤだ……なんだか自分を好きになれない……そんな風に思ったこと、ありませんか? 心がどんよりしてどうしようもない時、そんなにがんばらなくても、むりしなくてもいいのです。たまには「がんばる自分」をお休みしましょう。時に逃げたり避けたりするほうが正しい場合もあるのだから――。むりせず元気になるためのこころの処方箋。

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  • 卒業式まで死にません─女子高生南条あやの日記─
    4.1
    初めて手首を切ったのは、中学一年のときでした――。渋谷、ゲーセン、援交、カラオケ。青春を謳歌しているイマドキの女子高生かと思いきや、実は重度のリストカット症候群にしてクスリマニアだった南条あやの死に至るまでの三ヶ月間の日記。行間から孤独と憂鬱の叫びが溢れ出る、同じ悩みを抱える十代のバイブル書。

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  • 水曜の朝、午前三時
    4.0
    児玉清氏絶賛のベストセラー。45歳の若さで逝った翻訳家で詩人の四条直美が、娘のために遺した4巻のテープ。そこに語られていたのは、大阪万博のホステスとして働いていた23歳の直美と、外交官としての将来を嘱望される理想の恋人・臼井礼との燃えるような恋物語だった。「もし、あのとき、あの人との人生を選んでいたら……」。失われたものはあまりにも大きい。愛のせつなさと歓びが心にしみるラブストーリー。

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  • セックス レスキュー
    3.7
    自分がだんだん死んでいくみたい……家庭内セックスレスで深く静かに追いつめられる妻。彼女たちとボランティアでセックスする「性の奉仕隊」という組織。年間セックス回数世界最下位の日本で、何がおきているのか? 隊を組織する性人類学者キム・ミョンガン氏とは? 利用した女性は本当に救われたのか? 隊員の本音は?

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  • ふたり
    3.8
    お姉ちゃんは高校二年までしか生きなかった。でも、私が来年高校一年になり、二年になり、三年になったら、私はお姉ちゃんの歳を追い越してしまう。それでもお姉ちゃんは、ずっと私の中にいてくれる? 死んだはずの姉の声が、突然、頭の中に聞こえてきた時から、千津子と実加の奇妙な共同生活が始まった……。妹と17歳で時の止まった姉。絶対泣ける、二人の姉妹のほろ苦い青春ファンタジー。

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  • 危ないお仕事!
    3.7
    超能力開発セミナー講師、タイの日本人カモリ屋、彼らは巧みな話術で人々をとりこにする。スレスレ主婦モデル、ダッチワイフを創る人形師、彼らは男たちの欲望に火を点け、お金に換える。警察マニアは無線を傍受し勝手に追跡、汁男優は“発射”に職業人のプライドをかける――。知られざる“仕事師”たちの実態が、今ここに明かされる。著者による、新聞拡張団・冷や汗体験記も収録。

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  • 不思議の国のアリス
    3.7
    ある昼下がりのこと、チョッキを着た白ウサギを追いかけて大きな穴にとびこむとそこには……。アリスがたどる奇妙で不思議な冒険の物語は、作者キャロルが幼い三姉妹と出かけたピクニックで、次女のアリス・リデルにせがまれて即興的に作ったお話でした。1865年にイギリスで刊行されてから、世界中で読まれた傑作ファンタジーを、金子國義のカラー挿画でお届けするオリジナル版。

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  • いじわるペニス
    -
    1巻528円 (税込)
    3年間を捧げた同僚に振られて、29歳の私は会社を辞めた。彼は同じ会社の別の女と結婚したのだ。あの時から、私は、普通の恋愛というものから、なるべく遠ざかるように生きている…。勃たないウリセンボーイに募る想い、哀しいため息、膨らむレディースローン。最後に二人を結ぶのはお金?それとも愛?このまま、私はどこに行ってしまうんだろう…。

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  • 格闘する者に○
    3.8
    これからどうやって生きていこう? マイペースに過ごす女子大生可南子にしのびよる苛酷な就職戦線。漫画大好き→漫画雑誌の編集者になれたら……。いざ、活動を始めてみると思いもよらぬ世間の荒波が次々と襲いかかってくる。連戦連敗、いまだ内定ゼロ。呑気な友人たち、ワケありの家族、年の離れた書道家との恋。格闘する青春の日々を妄想力全開で描きます。直木賞受賞作家の才気あふれる小説デビュー作。(解説・重松清)
  • 人民は弱し 官吏は強し
    4.0
    明治末、12年間の米国留学から帰った星一(はじめ)は製薬会社を興した。日本で初めてモルヒネの精製に成功するなど事業は飛躍的に発展したが、星の自由な物の考え方は、保身第一の官僚たちの反感を買った。陰湿な政争に巻きこまれ、官憲の執拗きわまる妨害をうけ、会社はしだいに窮地に追いこまれる……。最後まで屈服することなく腐敗した官僚組織と闘い続けた父の姿を愛情をこめて描く。
  • ウィステリアと三人の女たち(新潮文庫)
    4.0
    大きな藤の木のある、壊されつつある家。真夜中に忍び込んだわたしは、そこに暮らした老女、ウィステリアの生を体験する。かつて存在した愛を魔術的に蘇らせる表題作。思いがけぬ大金を得、デパートで連日買い物を続ける女性の虚無を描く「シャンデリア」。いくつかの死、失った子ども、重なり合う女たちの記憶……研ぎ澄まされた言葉で紡がれる、美しく啓示的な四作を収録した傑作短編集。
  • 村上朝日堂(新潮文庫)
    完結
    4.0
    ビールと豆腐と引越しとヤクルト・スワローズが好きで、蟻ととかげと毛虫とフリオ・イグレシアスが嫌いで、あるときはムーミン・パパに、またあるときはロンメル将軍に思いを馳せる。そんな「村上春樹ワールド」を、ご存じ安西水丸画伯のイラストが彩ります。巻末には文・安西、画・村上と立場を替えた「逆転コラム」付き。これ一冊であなたも春樹&水丸ファミリーの仲間入り!?
  • 苦役列車(新潮文庫)
    4.1
    劣等感とやり場のない怒りを溜め、埠頭の冷凍倉庫で日雇い仕事を続ける北町貫多、19歳。将来への希望もなく、厄介な自意識を抱えて生きる日々を、苦役の従事と見立てた貫多の明日は――。現代文学に私小説が逆襲を遂げた、第144回芥川賞受賞作。後年私小説家となった貫多の、無名作家たる諦観と八方破れの覚悟を描いた「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」を併録。(解説・石原慎太郎)
  • 渡りの足跡(新潮文庫)
    4.2
    この鳥たちが話してくれたら、それはきっと人間に負けないくらいの冒険譚になるに違いない──。一万キロを無着陸で飛び続けることもある、壮大なスケールの「渡り」。案内人に導かれ、命がけで旅立つ鳥たちの足跡を訪ねて、知床、諏訪湖、カムチャツカへ。ひとつの生命体の、その意志の向こうにあるものとは何か。創作の根源にあるテーマを浮き彫りにする、奇跡を見つめた旅の記録。
  • 家守綺譚(新潮文庫)
    4.1
    庭・池・電燈付二階屋。汽車駅・銭湯近接。四季折々、草・花・鳥・獣・仔竜・小鬼・河童・人魚・竹精・桜鬼・聖母・亡友等々々出没数多……本書は、百年まえ、天地自然の「気」たちと、文明の進歩とやらに今ひとつ棹さしかねてる新米精神労働者の「私」=綿貫征四郎と、庭つき池つき電燈つき二階屋との、のびやかな交歓の記録である。――綿貫征四郎の随筆「烏蘞苺記(やぶがらしのき)」を巻末に収録。
  • ハレルヤ(新潮文庫)
    4.2
    五月の晴れた日に、お饅頭のようなかわいらしい子猫と出会った。親猫はおらず、病院に連れて行ったところ、特別な猫であることがわかって――。花ちゃんと名付けられた子猫が、元気に走り回るようになるまでを描いた「生きる歓び」。それから十八年八カ月後、花ちゃんとの別れが語られる「ハレルヤ」。青春時代を振り返った川端康成文学賞受賞作「こことよそ」など愛おしさに満ちた傑作短編集。(解説・湯浅学)
  • 話術(新潮文庫)
    4.2
    話は誰でもできる。だからこそ、上手に話すことは難しい。日常の座談では、何を、どう話すか。大勢の聞き手を相手にするときに気を付けておくことは。声の出し方、間の置き方はどうする? 一人で喋るな、黙りこむな。お世辞、毒舌、愚痴、自慢は、やりすぎると嫌われる。ほら吹き、知ったかぶりは恥ずかしい。人生のあらゆる場面で役に立つ、“話術の神様”が書き残した〈話し方〉の教科書。(解説・濵田研吾、久米宏)
  • 少年(新潮文庫)
    3.6
    お前の指を、腕を、舌を、愛着した。僕はお前に恋していた――。相手は旧制中学の美しい後輩、清野少年。寄宿舎での特別な関係と青春の懊悩を、五十歳の川端は追想し書き進めていく。互いにゆるしあった胸や唇、震えるような時間、唐突に訪れた京都嵯峨の別れ。自分の心を「畸形」と思っていた著者がかけがえのない日々を綴り、人生の愛惜と寂寞が滲む。川端文学の原点に触れる知られざる名編。(解説・宇能鴻一郎)
  • 木(新潮文庫)
    4.2
    樹木を愛でるは心の養い、何よりの財産。父露伴のそんな思いから著者は樹木を感じる大人へと成長した。その木の来し方、行く末に思いを馳せる著者の透徹した眼は、木々の存在の向こうに、人間の業や生死の淵源まで見通す。倒木に着床発芽するえぞ松の倒木更新、娘に買ってやらなかった鉢植えの藤、様相を一変させる縄紋杉の風格……。北は北海道、南は屋久島まで、生命の手触りを写す名随筆。(解説・佐伯一麦)
  • 青銅の魔人―私立探偵 明智小五郎―(新潮文庫nex)
    3.5
    月夜の晩、銀座の街に現れたのは、青銅の仮面をかぶり歯車の音をさせた不気味な男。貴重な時計を次々盗み出す彼が次に目を付けたのは、手塚邸の「皇帝の夜光の時計」だった。手塚氏は名探偵・明智小五郎に助けを求めるが、神出鬼没の怪盗は宝物を鮮やかに奪い去る。助手の小林少年は、浮浪少年を集めてチンピラ別働隊を組織、怪盗を追い詰めるも、逆に囚われて絶体絶命の危機に――。(解説・青柳碧人)
  • 白いしるし(新潮文庫)
    3.9
    女32歳、独身。誰かにのめりこんで傷つくことを恐れ、恋を遠ざけていた夏目。間島の絵を一目見た瞬間、心は波立ち、持っていかれてしまう。走り出した恋に夢中の夏目と裏腹に、けして彼女だけのものにならない間島。触れるたび、募る想いに痛みは増して、夏目は笑えなくなった──。恋の終わりを知ることは、人を強くしてくれるのだろうか? ひりつく記憶が身体を貫く、超全身恋愛小説。(解説・栗田有起)
  • 窓の魚(新潮文庫)
    3.8
    温泉宿で一夜を過ごす、2組の恋人たち。静かなナツ、優しいアキオ、可愛いハルナ、無関心なトウヤマ。裸の体で、秘密の心を抱える彼らはそれぞれに深刻な欠落を隠し合っていた。決して交わることなく、お互いを求め合う4人。そして翌朝、宿には一体の死体が残される――恋という得体の知れない感情を、これまでにないほど奥深く、冷静な筆致でとらえた、新たな恋愛小説の臨界点。(解説・中村文則)
  • 老いも病も受け入れよう(新潮文庫)
    4.5
    92歳のとき、相次いで襲ってきた腰椎の圧迫骨折と胆嚢ガン。つらい痛みで、死んだ方がましとさえ思う日々。でも、病のおかげで自分のいちばん大切なことがはっきりした。最期まで、小説を書いていたい――。リハビリの末、寂聴さんは再び筆を執れるようになった。老い、おしゃれ、食事、恋、友だち、手術、最愛の人たちとの別れ……。悩みながら生きるすべての人へ贈る瀬戸内流人生の叡智。
  • 1R1分34秒(新潮文庫)
    3.7
    デビュー戦を初回KOで華々しく飾ってから、3敗1分けと敗けが込むプロボクサーのぼく。そもそも才能もないのになぜボクシングをやっているのかわからない。ついに長年のトレーナーに見捨てられるも、変わり者の新トレーナー、ウメキチとの練習の日々がぼくを変えていく。これ以上自分を見失いたくないから、3日後の試合、1R1分34秒で。青春小説の雄が放つ会心の一撃。芥川賞受賞作。(解説・町田康)
  • 好き、だからこそ(新潮文庫)
    3.4
    画廊勤めの風子の前に台風のように現れ、19歳の身体を心ごと奪った大岸豪介。不器用で情にもろい豪介に深く刻まれた風子の愛の記憶は、幼い娘を抱えスナック勤めをした洋子との暮らしを彼が選んだあとも甘く、苦しいほどに切ない。元妻を自殺で失った河野至高と風子が結ばれた20年後のいまも……。70年代フォークの調べにのせ、秘めた想いを、肉体の歓びへと解き放つ大人の愛の物語。
  • 心療内科を訪ねて―心が痛み、心が治す―(新潮文庫)
    3.9
    ひどい腰痛に苦しんだ3年間の地獄体験が、著者を心療内科取材に駆り立てた。潰瘍性大腸炎、顎関節症、高血圧、拒食・過食症、脱毛……原因不明のすべての症状の裏には、心の痛みが隠れていた。心はあらゆる形をとって警告を出していたのだ。様々な症状に苦しむ人々の体験を語り、大反響のルポルタージュ。腰痛、肩こり、不眠、倦怠……の原因は、あなた自身かもしれません――。
  • なにを食べたらいいの?(新潮文庫)
    3.9
    では、どうやって食べ物を選べばいいのですか? ベストセラー『食品の裏側』の著者のもとに最も多く寄せられる質問です。みなさんのそんな悩みに応えるため、この本は書かれました。手軽で「おいし」くて長持ち。三拍子そろった商品はなぜ危険なのか。スーパーやお店では、どんな基準で買えばいいのか。添加物そして食の安全の専門家が、あなたに、やさしく丁寧に伝えます――。
  • 八つ花ごよみ(新潮文庫)
    3.6
    満開の美しさも散りゆく儚さも、一緒に眺めたいと願うのはいつだってただ一人、おまいさんだけだった。幾年もの時を重ね、季節の終わりを迎えた夫婦が愛でる花。あるいは、苦楽をともにした旧友と眺める景色。桔梗、女郎花、菖蒲、小梅、桜……移ろいゆく花に、ゆっくりと熟した想いを重ね綴られる、八つの絆。江戸市井に生きる人々の、ゆかしい人情が深く心に沁み渡る、傑作短編集。(解説・細谷正充)
  • シズコさん(新潮文庫)
    4.0
    四歳の頃、つなごうとした手をふりはらわれた時から、母と私のきつい関係がはじまった。終戦後、五人の子を抱えて中国から引き揚げ、その後三人の子を亡くした母。父の死後、女手一つで家を建て、子供を大学までやったたくましい母。それでも私は母が嫌いだった。やがて老いた母に呆けのきざしが──。母を愛せなかった自責、母を見捨てた罪悪感、そして訪れたゆるしを見つめる物語。(解説・内田春菊)
  • 百年泥(新潮文庫)
    4.0
    豪雨が続いて百年に一度の洪水がもたらしたものは、圧倒的な“泥”だった。南インド、チェンナイで若い IT 技術者達に日本語を教える「私」は、川の向こうの会社を目指し、見物人をかきわけ、橋を渡り始める。百年の泥はありとあらゆるものを呑み込んでいた。ウイスキーボトル、人魚のミイラ、大阪万博記念コイン、そして哀しみさえも……。新潮新人賞、芥川賞の二冠に輝いた話題沸騰の問題作。(解説・末木文美士)
  • 老人と海(新潮文庫)
    3.9
    八十四日間の不漁に見舞われた老漁師は、自らを慕う少年に見送られ、ひとり小舟で海へ出た。やがてその釣綱に、大物の手応えが。見たこともない巨大カジキとの死闘を繰り広げた老人に、海はさらなる試練を課すのだが――。自然の脅威と峻厳さに翻弄されながらも、決して屈することのない人間の精神を円熟の筆で描き切る。著者にノーベル文学賞をもたらした文学的到達点にして、永遠の傑作。
  • ルビンの壺が割れた(新潮文庫)
    3.8
    「突然のメッセージで驚かれたことと思います。失礼をお許しください」――送信した相手は、かつての恋人。フェイスブックで偶然発見した女性は、大学の演劇部で出会い、二十八年前、結婚を約束した人だった。やがて二人の間でぎこちないやりとりがはじまるが、それは徐々に変容を見せ始め……。先の読めない展開、待ち受ける驚きのラスト。前代未聞の読書体験で話題を呼んだ、衝撃の問題作!(解説・西山奈々子)
  • しんせかい(新潮文庫)
    4.5
    十九歳のスミトは、船に乗って北へ向かう。行き着いた【谷】で待ち受けていたのは、俳優や脚本家を志望する若者たちと、自給自足の共同生活だった。過酷な肉体労働、同期との交流、【先生】の演劇指導、地元に残してきた“恋人未満”の存在。スミトの心は日々、揺れ動かされる。著者の原点となる記憶をたぐり、等身大の青春を綴った芥川賞受賞作のほか、入塾試験前夜の希望と不安を写した短編も収録。(解説・朝吹真理子)

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