Posted by ブクログ
2013年03月09日
童話や昔話といった物語を心療に用いる精神科医、大平健先生エッセイ。
もともとは看護師向け雑誌の「看護技術」(メジカルフレンド社)に連載されていたものから修正・加筆をおこなったもの。
物語を”面接の鏡”として、そして推理として用いることによって心療を進める様子が12編。
おおきく4章にわかれていて、...続きを読むそれぞれの終わりにまとまった解説が加えられていて、話の解釈がさらに深められている。
ある程度抽象化された物語の中に、”自分”を見つけ出す場面が描かれていて興味深かった。
そういった”気付き”を物語によって引き出す過程がおもしろかった。
僕にぴったりの物語は何かあるだろうか・・・と考えてみるのもいい。
ちなみに著者も、『自分の物語』をみつけられている。それが『王子と乞食』。
自分自身を症例として紹介されているのもおもしろかったな。
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【内容(「BOOK」データベースより)】
「むかしむかし、あるところに…」まさか精神科を受診して、昔話や童話を聞かされるなんて誰も思ってもみなかっただろう。でも、患者たちの当惑はすぐ驚きに変わる。そこに繰り広げられるのは自分の物語なのだ。悩みを抱えた心の深層を「赤ずきん」「ももたろう」「幸運なハンス」「三びきのこぶた」などで解き明かす、ちょっと不思議で、ほんとうは不思議じゃない12話の「心の薬」。
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【目次】
まえがき
I
・ねむりひめ
・三ねんねたろう
・幸運なハンス
・鏡の国の精神科医(下)
II
・食わず女房
・ぐるんぱのようちえん
・ももたろう
・鏡の国の精神科医(下)
III
・赤ずきん
・うらしまたろう
・三びきのこぶた
・不思議の国の精神科医(上)
IV
・いっすんぼうし
・つる女房
・ジャックと豆の木
・不思議の国の精神科医(下)
小さなあとがき
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