【感想・ネタバレ】診療室にきた赤ずきん―物語療法の世界―のレビュー

あらすじ

「むかしむかし、あるところに……」まさか精神科を受診して、昔話や童話を聞かされるなんて誰も思ってもみなかっただろう。でも、患者たちの当惑はすぐ驚きに変わる。そこに繰り広げられるのは自分の物語なのだ。悩みを抱えた心の深層を「赤ずきん」「ももたろう」「幸運なハンス」「三びきのこぶた」などで解き明かす、ちょっと不思議で、ほんとうは不思議じゃない12話の「心の薬」。

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Posted by ブクログ

物語が人を救う、って実際にあるのだとしみじみ。ただ一時の気晴らしではなく、本当の意味で人生を変えてしまった実例の数々。
というより、物語は人を救うからこそ語り継がれている、が正しいのかも。

「誰の心の中にも小さな主人公たちがいて、皆さんに呼び出されるのを待っています。」
子どものころ読んだ絵本や童話の世界をもう一度訪ねたくなる。

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2024年12月14日

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著者は、聖路加国際病院精神科部長でもあります。患者の治療を目的として、童話や昔話を話します。確かに、童話や昔話は、勧善懲悪だったり、最後に愛は勝つだったり、子供を良い方向へ導くための物語です。しかし、長い間語り継がれてきたのには、それだけではない理由があるのでしょう。話す人・聞く人の心を癒すという大きな理由が。

ここでは、『ねむりひめ』『三ねんねたろう』『幸運なハンス』『食わず女房』『ぐるんぱのようちえん』『ももたろう』『赤ずきん』『うたしまたろう』『三びきのこぶた』『いっすんぼうし』『つる女房』『ジャックと豆の木』のお話が書かれています。その中で、『三びきのこぶた』が一番印象に残りました。

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2019年02月11日

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この本は心の病を著者が「ももたろう」等の物語で解き明して治療してゆく様子がわかりやすく描かれています。なじみ深いけれど遠い物語たちが読む前と違った面を持って自分にぐっと近くなって来ます。
 かなり前の本ですが今の時代にも通じる内容です。
 訳もなくだるーい日がやたら続いたり、何となく暗い気分の続く人におススメです。
 何かが見えてハッとしたりホッとしたり出来ると思います。

ペンネーム:猿亀

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2017年03月01日

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2013/06/29
精神科医である筆者が患者に昔話やおとぎ話をつかって患者の原因をわからせるというフィクション

さまざまな人のさまざまな問題を分かりやすく教えてくれて面白い

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2013年07月05日

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童話や昔話といった物語を心療に用いる精神科医、大平健先生エッセイ。
もともとは看護師向け雑誌の「看護技術」(メジカルフレンド社)に連載されていたものから修正・加筆をおこなったもの。

物語を”面接の鏡”として、そして推理として用いることによって心療を進める様子が12編。
おおきく4章にわかれていて、それぞれの終わりにまとまった解説が加えられていて、話の解釈がさらに深められている。

ある程度抽象化された物語の中に、”自分”を見つけ出す場面が描かれていて興味深かった。
そういった”気付き”を物語によって引き出す過程がおもしろかった。

僕にぴったりの物語は何かあるだろうか・・・と考えてみるのもいい。

ちなみに著者も、『自分の物語』をみつけられている。それが『王子と乞食』。
自分自身を症例として紹介されているのもおもしろかったな。

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【内容(「BOOK」データベースより)】
「むかしむかし、あるところに…」まさか精神科を受診して、昔話や童話を聞かされるなんて誰も思ってもみなかっただろう。でも、患者たちの当惑はすぐ驚きに変わる。そこに繰り広げられるのは自分の物語なのだ。悩みを抱えた心の深層を「赤ずきん」「ももたろう」「幸運なハンス」「三びきのこぶた」などで解き明かす、ちょっと不思議で、ほんとうは不思議じゃない12話の「心の薬」。
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【目次】
まえがき
I
・ねむりひめ
・三ねんねたろう
・幸運なハンス
・鏡の国の精神科医(下)

II
・食わず女房
・ぐるんぱのようちえん
・ももたろう
・鏡の国の精神科医(下)

III
・赤ずきん
・うらしまたろう
・三びきのこぶた
・不思議の国の精神科医(上)

IV
・いっすんぼうし
・つる女房
・ジャックと豆の木
・不思議の国の精神科医(下)
小さなあとがき
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2013年03月09日

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学生さんに教えていただいた本です。
私は絵本好きで(蔵書600冊以上)、しかも医療面接の研究をしております。
私にぴったりの本でした。
臨床では絵本は使いませんが、絵本は子どもが理解できるようにシンプルで、しかも人間の本質が書かれております。
様々な人生を生きる私たちにピッタリ当てはまる絵本が必ずあるはずです。
そんな本に出会えたら幸せですね!

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2012年05月18日

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著者の「豊かさの精神病理」を読んで以来のファンです。症例に応じておとぎ話や童話を患者に聞かせることによって、患者自らに自分の悩みが何たるかを気付かせるという物語療法の世界を著わしたもの。誰しも「自分の物語」を持っているそうだが、私の物語って何だろう?

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2011年07月17日

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まさに傑作である。
豊富な臨床経験を持つ筆者が、面接の経験の中から「物語」を引き合いに出して当事者に自ら考えさせる道筋を開ける。まさに精神医療の理想の姿ではなかろうか。

DSM偏重、投薬治療偏重の流れの中で、このような、型にとらわれない心理療法的手段が取れる実地医家は多くはないはずである。本書は、そんな貴重な存在である著者の経験を垣間見ることができる、大変有用な一書である。

一般書として出てはいるが、すべての実地医家に一読をおすすめしたい。

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2010年08月27日

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 昔々あるところに...。子供のころ、さんざん聞かされたフレーズだ。
 その昔話、童話、民話、おとぎ話が精神医療に用いられてるとしたら、意外に思うだろうか。

 精神を病んだ人が医者に「あなたの病気はこうで、原因はあーです」と言われても、素直に受け入れるほどの心の余裕はないだろう。

 そこで、物語療法では誰もが聞いたことのある物語を使う。
 あなたの状況は、この物語にそっくりではないでしょうか。突然に物語の話を出された患者は驚き、自身の状況を物語に当てはめて納得する。

 子供のころに聞いた物語が、大人にも必要な時がある。
 昔々あるところに...。このフレーズが今の社会にも途絶えず子供たちに伝えられますように。

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2015年12月10日

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中々面白いし、含蓄がある。
人の心の悩みと言うものは、他人には分かりにくいものですが、それが童話になぞらえて上手に説明されています。
それが、中々タメになりそうな感じなのがまた良いです。

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2015年10月12日

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興味を持てばいろんな見方ができる。人の気づきのサポートできるというのは素晴らしい。老後の職業、ボランティア活動に増えてきそうだ。13.8.3

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2013年08月03日

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頭のいい人は話がわかりやすい。幸運なハンスの話が特に素敵に思えた。絵本は大切なことを教えてくれているので、子供にもたくさん読んであげたい。

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2013年01月20日

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精神科の医師が、この著者のように患者の話を聞いてくれたらいいのに。
さんざん待たされて、ろくに話もせずに診察が終わるようなクリニック、多いですからね。

病院やクリニックに行かなくても、自分の置かれている状況が「もしかしたらこんなお話に似てるかも!」という考え方…客観的に自分を見つめることができたら、精神疾患に陥る人は減るんじゃなかろうか。

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2012年08月09日

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「病気は私たちに自分を、自分の人生を見直すきっかけを与えてくれる機会でもあるのです。」本文より引用

起こったすべての出来事に意味があるという。
だが、病気や怪我など不幸なことが起きると悲観してしまうことも少なくない。
著者はそんな出来事さえも今までの行動・習慣・考えを変えるきっかけになると主張している。
見方一つでこれほど変わる。
私も『機会』と捉え、変化を巻き起こしたいものだ。

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2012年03月27日

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語り継がれてきた昔話やおとぎ話は、偽りや憧れの話ではなく、私たちの心の鏡。
この本を読むと不思議と落ち着く。

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2012年01月22日

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舞台は精神科の病院。来院した患者さんの症状にあわせて先生が物語を処方しているという実話をまとめた本です。受け取り方は人それぞれなんでしょうが、単純に感心してしまいました。

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2010年08月17日

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島の古本屋で購入。

精神科医を訪れた患者の症例が
誰もが知っている「昔話」「童話」
を通して語られる。

著者は実際の治療時に、
患者や家族への説明に
「物語」を利用しており、
「物語」を通して話すことによって
不思議と理解が得られるのだそう。

なかなか興味深い本だった。

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2010年07月04日

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いつの時代にもどんな人にも悩みはある。
多かれ少なかれ悩みはある。
本人にとっては一大事な事でも、大きな目で大きな立場から見れば、何でもない様な事もたくさんある(と思う)。
そっと、何でもないよ、大したことないよ、と優しく導いてくれる精神科医、スゴいなぁ。尊敬。
誰でも知っている物語から学んでいくのは分かりやすいし、受け入れやすい。
紹介されている中には、私の知らない昔話や童話もあり、原作もかなり違うものもあるらしいので機会があれば読んでみたい。
私にも「自分の物語」があるのかなぁ。
子どもの頃読んだ「ちっぽくんこんにちは」は忘れられないなぁ。


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2025年04月15日

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「むかしむかしあるところに…」精神的な悩みを抱えてやってくる患者たちに、昔話や童話を聞かせて治す精神科医が描いた本著。ノンフィクションで、患者たちが自分のために語られた物語の中に、自分の姿を見出して、診療室から飛びたっていく様子を描いている。

一番最後の「人には誰にでも『自分の物語』があるのです。…人生の節目節目に自分に合った童話や昔話を見つけて下さい。」という言葉にわくわくした。
私の物語は何だろう…今は「ヘンゼルとグレーテル」かな。道を模索中だし…あ、でもそしたらお菓子の家という甘いワナにひっかかってしまう;用心しなくちゃ!

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2023年08月05日

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精神科の症例集×童話。患者は精神科へ出向き心の悩みを吐露する。一方、医者は患者の話を聞き『赤ずきん』や『幸運なハンス』などの“童話”の一部に例えて深層心理を明解にする。

少々のこじつけ感は否めないですが、患者側は馴染み深い例えをまえに目の前の霧が晴れたように解決されているので効果的な解決法なのだと思います。謎に覆われた心療内科の世界を覗かせてくれます。
本書では“童話”を迷える患者の「例え」として示していますが、もとは幼い子には「道徳」を教え、大人には時に「訓戒」として忙しい日々に気付きを与えてくれます。“童話”はつい子供のモノと考えがちですが、常に人生に寄り添っていて、大人となっても時々立ち返る必要があるかもしれません。

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2017年05月20日

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可もなく不可もなく、と言った印象。
物語「療法」というからには、それなりの理論と臨床例が必要と思われるが、精神科医が「療法」と名乗るには、まだまだそのハードルを満たしているとは思えない。
ただ読み物としては面白い。精神科における診断書の謎(患者の気持ちがかなり影響する)が解けた。

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2012年03月09日

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物語療法というものが、精神科医療として使われていることを初めて知りました。童話や昔話をきっかけにして、患者の奥深くに眠る問題の本質を見極めていく過程は、なるほどなと思わされます。考えてみれば、そういった物語は、大昔から沢山の人間に口伝えで語り継がれ、あるいは推敲がなされてきました。であれば、その物語たちに、人間の芯に触れるものがあったとして、それは当然のことなのかも知れません。それにしても精神科医とは策士ですね。

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2013年01月18日

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精神病について理解を深められた。
精神病というのは特別なものではなく自分に本当に身近なものなのだと改めて思った。

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2011年04月23日

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心理学への興味から読んだ、はず。でも何気なく買ったやつ。
これを読んだ3年後くらいに読書療法に興味を持ったけど、そう思うと不思議な出会い…。

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2013年02月28日

Posted by ブクログ

童話・寓話にあてはめて、精神的な悩みを解きほぐしていく、実際の患者さんにまつわるエピソード12編。
寓話にぴったりとあてはまるケースが実際多いのかは分からないけど、人生をなぞらえたりできるから童話・寓話は語り継がれるのだろう。
患者さんの気づきのキーワードになる、という点が非常に納得した。
行き詰ったとき、何かの寓話に自分の人生のヒントがあるかも。
実際に病んでなくても、受診してみたくなった。

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2010年05月14日

Posted by ブクログ

人は一生の間、
内省的な時期と行動的な時期を繰り返す
人生に区切りをつけながら新しい人生を歩む

失恋した人
亡くなった人とのつながりを
静かに考える

そして、
その人を失った後の
新しい世界に備えるために
人は休む



人はしばしば自分のことが決められない
誰かに決めてもらいたがっている
事柄によっては
誰かの責任にしたい


人はときに自分の置かれている状況を
つかめなくくなる
自分の状況を説明してもらいたくなる
相談するのは、
人に理解してもらおうとすることで
整理がつき
自分の状況が見え解決するから


そんな人が
診療所にくる
赤ずきんの話をしてくれる
先生のところへ


自分のこと理解するには
人と話してみることだと思った

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2012年12月30日

Posted by ブクログ

精神科医である著者が、患者さんに語ったお話の事例を元にした本です。
患者さんの心の悩みを聴いて、昔話を語り始めます。
患者さんの疲れた心を癒す一方、そのストーリーが
自分の抱える問題と不思議にリンクしていて
患者さん自身が、はたと気づきます。
主人公が自分であったり、オオカミ側であったり…。

そして、気付くことで新たな一歩を踏み出していきます。

読んでいて、上手くリンクするもんだなぁと感心しちゃいました。
もちろん、先生の選択が合っているからなんですが
昔話って、生活に密着していたんですね。

教訓めいたものではなく、物語の中に同化することで
すっと気付くようです。

改めて、物語のもつ力も感じました。

最後に著者は、こう書いています。
「人には誰にでも 「自分の物語」 があるのです。
過去に限る必要はありません。人生の節目節目に自分に合った
童話や昔話を見つけてください。
誰の心の中にも小さな主人公たちがいて、皆さんに呼び出されるのを待っています。」

私の物語は何だろう…

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2010年02月14日

Posted by ブクログ

非常に多面的な見方をする人なので良い勉強にはなりましたが多面的過ぎて解釈がそれでいいのかと思うことが多々ありました。2007/10/14

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2012年07月31日

Posted by ブクログ

 患者に、昔話をまじえて面談を行う精神科医の記録。患者は昔話を聞いているうちに、その中に自分と共鳴する部分を見つけ、そしていつのまにか解決の道をも見つけ出す。

 中には「よくそんなこじつけで・・・」と思う症例もあったけど、カウンセリングに昔話を使うなんて考えてもみなかったので、興味深く読めた。担当がこの先生だったら、自分はどんな物語をもちだされたのだろうとちょっと気になる。

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2011年09月26日

Posted by ブクログ

物語で治る? なに?
というわけで 読んでみました。

凝り固まって 見えなくなっている自分の「気持ち」を
物語の主人公になぞらえることで、
客観的に見ることができるという内容のようです。

たとえば ひきこもってしまった人には 
「3年ねたろう」をすすめています。

人は何か悲しいこととかがあったりしたときに
内静的になって、じっと自分をみつめる静かな時間をもちたくなる
それは あらたに飛び立つための準備期間。
そういった意味で
「ねたろう」 つまりひきこもっていたあなたの時間は
飛び立つための準備、チカラをたくわえることができるための
大切な時間だったのだと読み取っているようです。

これを 実際の人間にあてはめて
それでうまくいくのかといえば
本当はそんな単純なものなんかじゃないとは思うけれど。

私は病気で休職して2年間自宅療養していた
「2年ねたろう」でした。

あの病気から5年たってやっといま、
あのとてもとても孤独で焦りつらい日々は
自分のために必要だった期間だったのだ、と考えられるようになったけれど、あのつらいときにこの話をきいて本当に腑に落ちたかどうかは疑問です。

渦中にいるときは出口が見えなくてとてもとてもとてもつらい。

いつその苦しみが終わるのか
自分でもわからない気持ちの波に翻弄されて
その苦しみが永遠に続く気持ちがしてしまう。

ほかにも同じような人がいるとか
もっと大変な人がいるとか、
理屈でわかっても気持ちは理解なんかできない。

ただ ただ 暗い闇と 
脳みそからわしづかみにされて
内臓をひっかきまわされるような不安が時々襲う。

そんな渦中の人間に
「3年ねたろうの時間は必要な時間だったんだよ」
といってもそんなの 一瞬のなぐさめにしかならないんですから。

どちらかといえば周りの人間があの人は準備期間なのだと自分を納得させるために必要な物語なのかもしれません。

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2010年02月21日

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