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お前の指を、腕を、舌を、愛着した。僕はお前に恋していた――。相手は旧制中学の美しい後輩、清野少年。寄宿舎での特別な関係と青春の懊悩を、五十歳の川端は追想し書き進めていく。互いにゆるしあった胸や唇、震えるような時間、唐突に訪れた京都嵯峨の別れ。自分の心を「畸形」と思っていた著者がかけがえのない日々を綴り、人生の愛惜と寂寞が滲む。川端文学の原点に触れる知られざる名編。(解説・宇能鴻一郎)
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Posted by ブクログ
こんな事されたら誰だって好きになってしまうよ…。恋なのか愛なのか信仰なのか性なのかはっきりしない感じが良い。
理解に苦しむ場面もあったが、新鮮な感じだった。空気感や感情を読み取りやすかった。少年がきれいだった。
50歳の記念に全集を刊行するにあたり 過去の作品を見直す作家 少年の頃の日記や手紙も見直される そこには中学の寄宿舎での美しい後輩との 同性愛のような関係が 綴られている 『床に入って、清野の温かい腕を取り、 胸を抱き、うなじを擁する。 清野も夢現のように私の頸を 強く抱いて自分の顔の上にのせる。...続きを読む 私の頬が彼の頬に重みをかけたり、 私の渇いた脣が彼の額やまぶたに落ちている ‥‥清野は時々無心に眼を開いては私の頭を抱きしめる。私はしげしげ彼の閉じたまぶたを 見る。別に何も思っていようとは見えぬ。 半時間もこんなありさまがつづく 私はそれだけしかもとめぬ。 清野ももとめてもらおうとは思っていぬ』 この清野との関係はわずかな期間で 離ればなれになってからは 手紙のやり取りがあるのみ 美しい後輩に慕われてお互いの 寂しさを埋めていたようなそんな 関係はよくある話なのかもしれない 普段のはかなげな清野の姿と 滝にうたれる清野のキリリとした姿が 対照的で この不安定さが少年なのかなと 思わせる ちょっとぞわぞわしてしまう また、装画が素敵です 遠藤竜太さんの版画のようです
文豪川端康成の若き日の知られざる一面をのぞきみるようなエッセイ?回顧記録。旧制中学時代に綴ったリアルな日記が特に秀逸。 とてつもなく私的なことを綴っているが、若い頃から文才が光りまくり、日本語の美しさによって文学的な情緒を醸し出してる。 湯ヶ島の温存宿でみた巫女の入浴の散々なこけおろしと、宗教自体を...続きを読む冷ややかにとらえつつも、同宗教に属する清野少年の滝行に妬みすらおぼえる清廉さをみたときの感想があまりにも鮮明に対照的でおもしろすぎる。 『伊豆の踊り子』を改めて読みなおしたくなった。
川端康成のノロケです 学生時代に同室の少年と添い寝していた思い出が綴られています 唇まで許していたとありますが、挿入描写とかはなかったです とことん愛撫描写で留まっており、性欲が指先に集まっていました 回想を見るなり、川端康成は体育会系気質な作家だと思いました 少年から向けられる思慕に痛く快感を...続きを読む覚えられているようで、気持ちよさそうでした 少年はまるで神のごとく偶像のように敬意を向けられ、それを受け止めている様子から、器が人と違うなと思いました 自分に陶酔しているワケではなく、少年のもつ信仰心に萌えているところが作家性なのかなとおもいました 翻って少年が帰依している宗教は平熱でディスっており、巫女の醜さをこれでもかと書いていました 青年となった少年をみるに、少し女々しいところに少し萎えたのかなと思いました 少年から送られてくる手紙はどれも助けを乞うような内容ばかりで、おそらく家族よりもアテにしてる様子が伺えました 川端康成も変に距離を取らず、すぐに迎えに行っていれば少年との関係性を手に入れることが出来たのに、勿体ないなと思いました
旧制中学のころの川端康成の文章がうますぎる。ノーベル文学賞をとることになる素地が垣間見える。しかし、文通相手の清野少年の文章も美しい。全体を通して日本語の美しい響きを教えてくれる。そのうえに、川端少年の思春期の心模様が映し出されて、なお美しい。
川端康成作品の中でもあまり整理されていない(いい意味で)、直球の表現が多い感じがする でもその表現が好きだった
50歳で、日記や手紙や小説で、10代後半から20代前半にかけての自身を紐解き振り返る。川端康成が幼い頃から両親や祖父母や兄弟との別離を繰り返していたことを知らなかった。美しい年下の少年が、孤独を癒しあるがままに受け入れ側にいることは、どんなに必要なことだったのだろう。どこかに別れや死を感じさせる既読...続きを読むの小説が、腑に落ちた。
神奈川近代文学館「没後50年 川端康成展 虹をつむぐ人」に足を運び、この方の人となりに強く興味を持った。 悲しいけれど今までまともに読んだことがなかったのが、 先入観なく、かえって良かったのかもしれない。 この作品も小説というよりも随想のような感じなのが好ましく、彼に抱いた印象がますます色濃くなった...続きを読むように思う。 今年は川端康成を沢山読みたい。
小説というより随筆だった。川端康成が生まれ育ちから人とは異なる自分を後ろめたく思っていた頃に、寄宿舎でであった少年がその自分を受け入れてくれたことから自分を認められるようになった原点の話。心の中では性的な思いも抱えていたらしい描写もあったが、少年とのふれあいは純粋なもので、ただ乾いた紙に湿った手で触...続きを読むれるような、そういう微妙な湿度があった。書簡のやりとりが本文の大半を占めていて、少年の頃のあどけない言葉が微笑ましくて、そして少し羞恥を煽られた。あんな、世界が君だけみたいな時代、たしかに自分にもあったなぁという。
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