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八十歳になろうとする老大納言は、若い妻を甥の左大臣に奪われるが、妻への恋情が断ちきれず、死んでしまう。残された一人息子の胸にも幼くして別れた母の面影がいつも秘められていた――。平安期の古典に材をとり、母への永遠の慕情、老人の美女への執着を描き、さらに、肉体の妄執が理性を越えて、人間を愛欲の悩みに陥れるという谷崎文学の主要なテーマを深化させた作品。
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Posted by ブクログ
▼かなり以前に読んだんですがその時に感想を書き忘れたもの。だいぶ忘れていますが。 ▼平安時代、初老の中級貴族?が、歳の差婚の若妻を、権力者の藤原ナントカさんに、奪われるんです。でこの若妻は当然評判の美人である。初老貴族は屈辱に震えます。悔しい。惨め。この若妻との間に子供がいて、これがのちの少将滋幹...続きを読むなんです。つまり少将滋幹にとって、幼年期にそんな形で生き別れになっちゃった、お母さん。少将滋幹の母。 ▼この顛末と、母恋の思い。これが実に心理劇で映画「羅生門」の如きサスペンスフル。な、だけではなくて。それに加えてなんだか禁断な恥ずかしさ。身悶えするほどの気はづかしさ。そしてなんだかエグくて儚くて人肌で美しい。つまりは谷崎なんです。 ▼どうやら本作は翻訳などされているという意では谷崎の代表作だそうです。まあ、海外受けしやすそうですが(短いし)。圧倒的におもしろいのだけど、個人的谷崎ベスト3には入らないかなあ・・・。って何がベスト3なんだろう。「細雪」「猫と庄造」「台所太平記」な気もするが・・・いや「春琴抄」・・・「痴人の愛」・・・「卍」・・・そもそも未読の作品も(谷崎前期中心に)まだまだあるし・・・うーん。
少将滋幹は大納言藤原国経の息子。母は業平の孫。 この2人50歳の歳の差がある。70代の国経が大事に大事にしていた美しく若き妻は20代。 おいらくの恋にも程がある。本当に国経の子だろうか? この若くて美しい妻の噂を聞きつけ、国経の甥である藤原時平に奪われてしまう。 その時国経の元に残された子供が滋幹で...続きを読むある。 話はまだ、若き夫人が国経の元にいた頃、平中が夫人のところに通うところから始まる。 噂を聞いた時平が平中を呼び夫人のことを聞き出す。2人のやりとりが面白いし、時平にしてやられる平中が不憫すぎて笑える。 以前読んだ小説「時平の桜、菅公の梅」ではこの滋幹は時平が夫人の元に忍び込んで、その時の子のような描き方だったが実際はどうだろうか? 時平の元に行った夫人は、「時平の桜、菅公の梅」では子供は生まれていないが、谷崎潤一郎さんのこの小説では子供を生んでいる。色々と設定が異なっている。国経はやや老ぼれた感じが強いけれど、時平は傲慢で自信家な谷崎作品の方がしっくりくる。 妻を奪われた後の国経が不憫。 その行動は不可能だけれど、そうするしかなかったのも哀れ。 時平の元に行ってしまった母に会いたいとも言えず、耐えていた滋幹が、40年経ってやっと再会したところは涙ぐんでしまう。 「時平の桜、菅公の梅」と読み比べてみるのも面白いと思う。 昭和28年に書かれたと思えない小説。
平安期の古典のどこが出典でどういういきさつかという解説のような部分が時折入るけれど、そこはまあ「そうなのかー」くらいに思いながら読んでいた。この小説は何より、物語の部分がとても美しいと思う。文章が美しい。なまめかしくてやわらかくて胸が苦しくなった。 そしてラストが良い。
三島由紀夫は見上げて「大谷崎」と呼んだ。私にとっても神に等しい作家だからレビューを書くのも畏れ多い。かつて法然院の墓に参った時、思わず柏手を打った。すぐに仏と気づいて、恥ずかしかった。 谷崎の作品には、建前の裏に隠れた生々しい情欲と、幼い頃に失った母の美しすぎる記憶への憧憬とが、良く出てくるものだ。...続きを読む その二つが盛り込まれているだけでなく、とにかく盛りだくさんだ。よくぞ、このページ数に収まるものだ。超絶技巧を持つ作家の推敲の賜だろう。 一人の女を、妻として執着する老人と、母として慕う滋幹は、いずれも谷崎の思いの反映であろう。 そして、ただただ美しいラスト。思わず涙が溢れた。
これを授業で取り上げられたから読んだんだけど・・・ もう、これで谷崎に落ちました。 老人→美しい若い妻 っていうのがたまらない。
蘆刈・吉野葛の系譜の作品で大好きだった。中世の色好みな男と周辺の解説のような顔で始まって、北の方という一人の美しい女をめぐる男達それぞれに焦点が当たりずれていき、少将滋幹が登場するのは大分あと。御簾の影に暗闇色の霧のように立ちこめていた北の方を時平が劇的に引きずり出したあと再び彼女は姿が朧気になり物...続きを読む語から遠ざかった掻き消えたかのように見えるが・・・。最後まで北の方は月の暈のような女性だった。彼女の意志は見えずそれとは関係なく男達は彼女を扱い、興亡を繰り返す。彼女に自由意志はないけど、彼女を真に自由に扱えた男もいない。筆もこちらも一番盛り上がる北の方の奪取場面、鼻をつまみたくなるおかしいおまる事件など人間味や実感のあるエピソード群の真ん中におぼろな母の影が匂う、谷崎おじいさんの技の冴える一品。
なんだろうこれ、どうしよう。 びっくりするくらいあちこち歪んでいて、でも描写があんまり綺麗なもんだからくらくらする。 特に北の方が時平に引っ張り出されてきた時、滋幹にはっきり顔を見せた時、その情景がどうしようもなく儚くて美しい。 美女のせいで男がどんどん狂ってしまって一人も幸せになれないし、渦中...続きを読むの美女の心境は読みにくい、というかちっとも分からないし、こんなの絶対いい話じゃない。語り口だって結構突っぱねてるし。 それなのに、でも、やっぱり、だ。 08.12.11
主人公ではないけれど、平中が、好きな女性の「おまる」を奪ってしまうあたりの描写が、一番(作者が)楽しそう。元になった古典と照らしあわせると面白い。こういうセンスは、私は芥川よりよっぽど谷崎の方が好き。
母への思慕、老人の美女への執着を描きます。平安を舞台にし、王朝文学を題材にしたこれぞ日本みたいな作品。
匂い立つような美しさが文章から滲み出るよう。過剰な美は人を狂わせる。 最後の再会の場面が眼に浮かぶようだ。
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少将滋幹の母
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谷崎潤一郎
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