ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
2pt
陰翳によって生かされる美こそ日本の伝統美であると説いた「陰翳礼讃」。世界中で読まれている谷崎の代表的名随筆をはじめ、紙、厠、器、食、衣服、文学、旅など日本の伝統に関する随筆集。解説・井上章一 ※本文中に「*」が付されている箇所には注釈があります。その箇所を選択すると、該当する注釈が表示されます。
アプリ試し読みはこちら
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
薄い本です。後半に入っている、他愛もない掌篇のいくつかが、僕は一番好きでした。 軽くてふわふわ、何のムツカシサも無く、のどごしまろやか爽やかで。薄味で腹に貯まらぬ胃にやさしい。 肩の力も腰くだけな脱力感の中に、ほのめいた品位。群れない孤高と、「へ~なるほど」と。何ともくだらなおかしいユーモアだ...続きを読むなあ、と思っていたら読み終わる。 読むたびに心地いい谷崎潤一郎さん。そしてこの本を作った編集者さんに、パチパチ。 ############# 谷崎潤一郎さんの、まあ、エッセイ集です。 無論の事、最近になっていろいろな掌編を集めて作った本ですから、編集具合は谷崎さん本人はあずかり知らぬことでしょう。 表題作になっている、「陰翳礼讃」。 「日本的な美っていうのは、陰翳を愉しむ感じの、暗さを愛おしむ感じ。なんでもかんでも明るいっていうのも無粋だよね」 と、いうような内容です。(雑ですが)。 で、このエッセイは、一般の読書好き、谷崎好きという愛好家の枠を超えて、建築の世界でとっても大きな「考え方のよりどころ」というか「考え方の古典」みたいな人気?があるようですね。 この文章は、そういう建築的な提言というよりも、趣味の発表みたいなものとして愉しめました。 あまりはっきり見えないことの喜びというか。悦びというか。ヨロコビ。 現実的な暮らしの実際よりも、「俺はこういう世界観が好きだ」みたいな。 ちょっとこう、暗くって。じめっとして。合理的とか明快さとかで割り切れないぐにょっとした営みというか。谷崎さんですからねえ。 こういう風に言葉で要約されると、ただの変態なんですけど(笑)、それを谷崎さんが文章で小説にしていくと、そこにユーモアもあれば人肌な温もりもあって何だか実にこう、美味しい。 変態さんではありますが、ただの変態ではありません。 この本には「陰翳礼讃」の他に、「現代口語文の欠点について」「懶惰の説」「客ぎらい」「ねこ」「半袖ものがたり」「厠のいろいろ」「旅のいろいろ」の7篇が入っています。 「陰翳礼讃」と「現代口語文の欠点について」の2篇は、エッセイというよりは「説」みたいな文章ですが、ほかはエッセイ、雑文、という類のものです。これがどれも素晴らしい。 ######### ●「現代口語文の欠点について」 明治以降の文章日本語の改革を、一定の評価をもちろん下しながらも。 専門家、人文科学系の学者の晦渋すぎる言葉使いや、文末の言葉遣いの味わいにいたるまで、もう目が眩むくらい素敵に具体的な検証を行います。 それでいて無論の事、谷崎さん。この文章自体が毛ほどの難解さもなくまろやかに軽やかに読み易く進みます。 無駄に難解な言葉使いへの批判など、そのまま2015年の日本語状況にも目が覚めるくらいに当てはまります。 本、文章を読む、書く、などが好きな人には大いにおすすめな一篇。 僕は「陰翳礼讃」よりこっちが面白かった。 ●「懶惰の説」「客ぎらい」 なまけたいなあ、ごろごろするのがいいなあ、他人と会うのもシンドイなあ。 というような、それだけのことが素敵な短文。 ●「ねこ」 猫好きにはたまらないでしょうねえ。「庄三と猫」の作者ですから。 ●「半袖ものがたり」「厠のいろいろ」「旅のいろいろ」 谷崎さんは、東京生まれのお坊ちゃん。都会でモダンで洒落て西洋かぶれで金持ちな育ちです。 そんな谷崎さんが、関東大震災のあとに関西に移住します。 そして、大変に関西が気に入ります。 関西人の着る半袖の着物がいいんだよなあ。色んな厠があるなあ。旅の面白み、こういうの好きなんですよ。 そんな他愛も無い話のそこかしこに、関西礼賛もありつつ、たまに冷静に「こういうのは関西はアカン」というのもありつつ。 このあたりの肩の力の抜けた文章、関西生活がとにかく愉しかった僕としては、にやにやふむふむが止まらない、極上な味わいでした。 これを翻訳ではなく、原文で味わえる。 日本人で良かったなあ、と、僕としてはココに偽らざる愛国心があります。 (できれば谷崎さんが書いた通りの旧仮名で読みたい!というのが趣味としてはありますが…)
陰翳礼讃 著:谷崎 潤一郎 出版社:KADOKAWA 角川ソフィア文庫 L 203 1 戦後間もない時期に書かれた随筆、日本人であることを意識させられるような内容である 木と和紙によって和らいだ夜の灯りを、谷崎潤一郎は、陰翳と表現しています。 あゝ、日本人は、いつからか、そのような陰翳のある世界か...続きを読むら、乾ききった、ゼロ・イチの世界に迷い込んだのか。 気になったのは、以下です。 われわれは西洋紙に対すると、単なる実用品という以外に何の感じも起こらないけれど、唐紙や和紙の肌理を見ると、そこに一種の温かみを感じ、心が落ち着くようになる 日本の漆器の美しさは、そういうぼんやりした薄明りの中においてこそ、始めてほんとうに発揮される 美というものは、常に生活の実際から発達するもので、暗い部屋に住むことを余儀なくされたわれわれの先祖は、いつしか陰翳のうちに美を発見し、やげては美の目的に添うように陰翳を利用するに至った われわれ東洋人は何でもないところに陰翳を生じせしめて、美を創造をするのである 美は物体にあるのではなく、物体と物体との作り出す陰翳のあや、明暗にあると考える 他 「客ぎらい」はおもしろかった 「厠のいろいろ」は直接的で、ちょっとNG 「旅のいろいろ」は、有名な観光地にいくよりも、風光明媚な田舎ですごしたほうがいいというものです。 目次 陰翳礼讃 現代口語文の欠点について 懶惰の説 客ぎらい ねこ 半袖ものがたり 廁のいろいろ 旅のいろいろ 注解 ISBN:9784044094713 判型:文庫 ページ数:190ページ 定価:480円(本体) 2014年09月25日初版発行 2020年09月15日7版発行
私はこの書を読んで気づけなかった日本の美しさを知り、古典的な考え、便利になりすぎない考えを私は自分の人生の中で大切にしたいと思った。日常のあれこれから陰翳を見つけられたらステキですね
1933年に出版された書 建築、インテリア、照明を専門とする者においては今なおバイブル的な存在である 日本的な美のあり方を陰翳を軸に語られている 改行が少なく読みにくい文体ではあるが丁寧に読み進めると、文章の美しさから情景が浮かび上がってくる
インテリアや照明に携わる職業の方々に幅広く読まれている本書。日本家屋についてだけではなく、すぐれた日本人論としても読める珠玉の一冊。 日本人が好む美しさとは、省略の美であるということ。空白を持って画面を構成する日本画もそうであるし、無駄な言葉や描写のない小津安二郎、北野武の映画も実に日本的な美と言...続きを読むえる。宮崎駿さんが「アニメーションは三歩あるいて十歩あるいたように見せなければ意味がない」というような主旨のことを何処かて語っておられたが、それも日本の美なんだなあと強く思った。また、世界で評価されているのはまさにそれら省略の美そのものなのだ。 その点では若者の流行言葉の略語なども日本独自の文化なのだと思う。一から十まで説明過剰というのは西欧文化なのだろう。しかし、現在の日本では行き届いたサービスや過剰な説明などが多くなり、かなり文化は変化してきている。もちろん外国文化を取り入れることで快適になり、発展するのはうれしいことだ。一概に善し悪しを言えることではないが…。比較文化論としても興味深い内容だった。もっと谷崎を読んでみたい。
文章が美しく、正に声に出して読みたい日本語という感じ。陰翳礼讃は、闇や暗がり、影と言った、通常好まれないものに対する別の見方を与えてくれる。特に、漆器や黄金の闇との調和から見た美しさ、日本人の肌の色から生じた微妙な影から来る独特の美しさなどの記述は、それ自身が美しい。 懶惰の説、旅のいろいろ、ねこ、...続きを読むなども谷崎のノスタルジックな見方を伝えてくれる。内容もさることながら、文章そのものの美しさが心地よく、何度も読んでしまう。
いつ読んでも…
いつ読んでも飽きない。和紙を眺めるときのように心が和むし、示唆に富んでいて、読みながら様々なことに思いを馳せらせてしまう。私ごときが言うまでもないことですが、名著です。
7月30日は谷崎潤一郎の命日ということで。 『美というものは常に生活の実際から発達するもので、暗い部屋に住むことを余儀なくされたわれわれの先祖は、いつしか陰翳のうちに美を発見し、やがては美の目的に添うように陰翳を利用するに至った。』 民藝とはちょっと違う観点。
薄い本ではあるけど、とても素敵な本だった 今の日本の文化があるのは重ねてきた歴史の産物とは思う一方、日本が西洋欧米の影響を一切受けずに現代になってたらどうなってたのかとか想像すると面白い
なかなかおもしろい。 エッセイ集であり、表題にある「陰翳礼賛」をきっかけに「適切」とはなにかを探るエッセイが並ぶ。 「陰翳礼讃」は文字通り「暗さ」についてのエッセイ。 日本の建物は以前は暗くて、それがよかったのだという。 古い料亭で、電気を使わずに、薄暗い灯りの中で食事をするのがよいという。 日...続きを読む本の場合、器や、食べ物そのものが、手元もよく見えないような明るさの中で楽しむようにできているだそうだ。 西洋はなんでも明るくしてしまう。そして、日本もその影響を受けて、当の西洋人が驚くくらいになんでも明るくしてしまった、と嘆く。 西洋人が明るさを好むかどうかという話については、聖書において神が天と地を作られて、そのあとで「光あれ」と言われたという描写があるし、ギリシャ神話でもプロメテウスが人間のために火を盗む。そう考えると、西洋人は明るいのが好きなのかな、と思う。 他のエッセイでは、口語体や「のである調」と命名した文体のことなども語られている。また、西洋の文章はなんでも説明するから、それを翻訳するとやたらと事細かくていけないという。日本語には向かないそうだ。 建物の陰翳にも通じるものがあって、すべてをさらけ出すのは美しくないということなのだろう。 文体へのこだわり、もしくは敏感さといったものは、さすがだ。このくらいのこだわりがあるからこそ、超絶技巧的な句読点の使い方をしている「春琴抄」のような作品が書けるのだろう。 ただ、平安時代の文章も口語体であり、当時の人は実際にああいう文章と同じ口調で話していたのだろうと書いてあるくだりは、ちょっと首をかしげた。 人づきあいについても、もはやあまり交友関係を広げたくないと語る。 大阪の暑さや、それに適した生活のことなども。 角川ソフィア文庫で読んだのだが、「解説」がおもしろい。 本作で「陰翳」への礼賛を熱っぽく語りながら、実際には谷崎は明るい間取りの家を建てたりもしていて、かならずしも本書に即した生活を送っていたわけではないようだ。種明かしを見ているようで、最後まで楽しめた。
レビューをもっと見る
新刊やセール情報をお知らせします。
陰翳礼讃
新刊情報をお知らせします。
谷崎潤一郎
フォロー機能について
「角川ソフィア文庫」の最新刊一覧へ
「エッセイ・紀行」無料一覧へ
「エッセイ・紀行」ランキングの一覧へ
細雪(上)
少将滋幹の母
試し読み
悪魔 乙女の本棚作品集
陰翳礼讃/吉野葛 〈大活字版〉
お艶殺し
鍵
「谷崎潤一郎」のこれもおすすめ一覧へ
一覧 >>
▲陰翳礼讃 ページトップヘ