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昭和二年二月号『新潮』合評会での谷崎の小説に対する芥川発言に端を発し、舞台を『改造』に移して文学史上に残る〈筋のない小説〉を巡る論争が始まった。――芸術とはなにか。何が文学を文学たらしめているのか――本書では二人の文学観の披瀝と応酬を雑誌発表順に配列し、「新潮合評会」とその俎上に載った小説二篇、論争掲載中の昭和二年七月に自殺した芥川への谷崎の追悼七篇を収録する。
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Posted by ブクログ
「話の筋」について,否定的な芥川龍之介と肯定的な谷崎潤一郎との論争を再現した構成。晩期の芥川と初期の谷崎といった対比もある。
芥川は、小説から構造を廃すべきと言ったわけではない ただ小説の前提には作家の個性がなければならず 作家は、その自己表現を面白く読ませるための技法として 構造を用いなければならない もちろんまた一方では個性が技法となり 二代目○○、三代目○○と積み重ねられていきもするわけだが それを扱って作品とするの...続きを読むはあくまでも個人だ そうでなくては、詩はスローガンに 小説はプロパガンダに堕していくしかないだろう それに対する谷崎は 東京と大阪の文化性の違いなど挙げて 要は受け手の個性が作品を完成させるという立場を取っているようだ もちろんそれもひとつのあり得べき解釈である しかしやがては スノビスト達の鼻持ちならない閉鎖性につながってゆくものでもあろう そこに、ある暗い可能性を見いだしてしまうのは ちょっと意地の悪い見方かもしれないが 「日本に於けるクリップン事件」 クリップン事件は、1910年にイギリスで起きた マゾヒストによる情婦殺害事件 日本でも起こった同じような事件をレポートするのが この作品の主眼である しかしマゾ男が女王様を殺すこと以外に事件の共通点は薄く 単に同じものとして並べるのはやや乱暴な気がする 「藪の中」 ひとつの殺人事件をめぐり すべての容疑者(および被害者)が自らの犯行と主張する話 各人のプライドがそれぞれにそういう主張をさせるようで 真相はわからない ただ、誇りのために損害を被ることをも厭わない人間の気高さ それが主題と見ることはできる
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文芸的な、余りに文芸的な/饒舌録 ほか 芥川vs.谷崎論争
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