家守綺譚(新潮文庫)

家守綺譚(新潮文庫)

小説・文芸
605円 (税込)

3pt

庭・池・電燈付二階屋。汽車駅・銭湯近接。四季折々、草・花・鳥・獣・仔竜・小鬼・河童・人魚・竹精・桜鬼・聖母・亡友等々々出没数多……本書は、百年まえ、天地自然の「気」たちと、文明の進歩とやらに今ひとつ棹さしかねてる新米精神労働者の「私」=綿貫征四郎と、庭つき池つき電燈つき二階屋との、のびやかな交歓の記録である。――綿貫征四郎の随筆「烏蘞苺記(やぶがらしのき)」を巻末に収録。

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  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    新潮社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    新潮文庫
  • タイトル
    :
    家守綺譚(新潮文庫)
  • タイトルID
    :
    1144365
  • 電子版発売日
    :
    2022年05月27日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

閲覧環境

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家守綺譚(新潮文庫) のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    現実と幻想の境目が曖昧で、現実ではない世界に迷い込んだような感覚になる。

    静かで穏やかでとても不思議な世界へ連れて行ってくれる一冊。

    0
    2026年09月12日

    Posted by ブクログ

    ニラ吉推薦書
    引き込まれる文章。
    梅雨時、私自身も朦朧とした時間を過ごしていたタイミングも相まって、作中の世界は、地続きで広がっていく。
    摩訶不思議な空間への実在感。
    違和感なく受け入れていける表現力
    言葉の運びにわかりにくさがなく
    時折、挟まれる実在地名がさらに
    この作品の登場者たちがそこにいると感じる

    喧騒に苛まれていた私に
    ふんわりとした世界を彷徨わせてくれた

    単元の植物名が今はスマホで確認できる
    時に読めたのは振り返読みによかった

    0
    2026年07月13日

    Posted by ブクログ

    西の魔女が死んだの作者の本が漫画化されたようで、本屋さんで目に留まり、なぜか文庫の方を読みにいく。主人公の鷹揚さに感服しながら「ここ」と地続きの「あちら」に身を任せるのが心地よかった。
    最終章で見せる主人公の芯の強さと細やかさが印象に残った。

    0
    2026年06月19日

    Posted by ブクログ

    本に出てくる植物、わからないものは調べたけど本に出てくる表現そのままなのが素晴らしかった。
    綿貫の素直な性格も良いし、高堂のミステリアスで聡い感じも良かった。

    0
    2026年06月06日

    Posted by ブクログ

    とにかく物語全体を通して、あるがままを受け入れる征四郎の人間性というか人生観が魅力的だなぁと思う。
    最後の湖底に赴く話がとても素敵。
    続編の冬虫夏草も買って読もうと思う。

    全面的に同意したいキラーフレーズ↓
    「寝床の中にいて、この世の彼方此方に思いを遣るのは、これもまた立派な精神活動であるからして、肉体労働の向こうを張って、(知的とは云えぬにしても)精神労働者とぐらいは自ら称してもいいのではないかと開き直っている。進化か退化か」

    0
    2026年05月23日

    Posted by ブクログ

    あぁ、なんて優しい世界なのでしょう

    植物の名前がついた28章
    1話ずつ丁寧にゆっくり読み進めました



    主人公の征四郎は、学生時代に亡くなった親友の実家に〝家守〟として住んでいる。

    最初の【サルスベリ】の章から、次々と不思議な現象が起き、えっ?と思ったものの美しい文章にのせられて、気付けば物語世界に身を委ねていた。


    掛け軸の中から出てくる亡き友
    サルスベリの木に惚れられた征四郎
    タツノオトシゴを孕んだ白木蓮
    ふきのとうを取りに来た子鬼
     ──等々

    これらをごく普通に受け入れ、植物や怪異たちと心を通わせながら巡る季節は、とても豊かなものに思える。


    本書を読んでいる間、現代社会で一日を終えた私は、早くこの本を開きたくて仕方なかった。
    優しさに満ち、ゆったりと時の進むこの世界に帰りたくて…

    この本は、私の心が〝帰る場所〟になるのかもしれない。
    大切な一冊になった。


    0
    2026年04月26日

    Posted by ブクログ

    再読です。やっぱり好き!
    「家を、まもらなければならない。友人の家なのです。」で終わるのも最高。こんな不思議な物語なのに感動させてくれる。

    0
    2026年04月10日

    Posted by ブクログ

    今から100年以上前(明治時代頃?)が舞台で、主人公の綿貫征四郎が書いている体なので古典的な文体が特徴的。
    草木や花、動物、虫に至るまで全てのものに神聖さがあるという日本独自の宗教観を感じられた。

    不思議な出来事がたくさん起こる中で、中々動じない綿貫征四郎と周りの人々の受容性は、当時の自然との共生意識と宗教観があってこそのものかもしれないが、現代においても見習うべきことがあると思った。

    0
    2026年04月06日

    Posted by ブクログ

    現実世界と幻想世界がゆるやかに混ざり合って静かに流れていくようなお話でした。
    描かれているのは静かな日常でありながら、物書きとしての主人公の葛藤、生き方の哲学がしっかり描写されていてとても良かったです。
    風情のある素敵なリズムの小説でした。

    0
    2026年03月08日

    Posted by ブクログ

    友人宅の留守を頼まれた、住んでみると古い庭には樹や草花の陰に不思議な動物や花の精のようなものが棲んでいた。
    行方不明になった友人宅の家守をするまだ新米の文士、綿貫征四郎の著述をまとめたもの。

    という形で、古い家と庭の木々、草花や狐、狸、隣の面倒見のいいおばさん、山のお寺の和尚さん、迷い込んで住み着いた犬のゴローなどとの交わり、はたまた床の掛け軸から時々亡友が訪ねてきたりするのを、暖かく記してある。

    征四郎のまわりで起きる小さな不思議な出来事。サルスベリに小猿がちょこんと座っていたり、池で河童が脱皮していたり、白木蓮の蕾がタツノオトシゴを身籠っていたりする。
    土間に生えたカラスウリが、天窓の光を受けて天井を覆うほど茂り、レースのような花が咲き、その中に干からびたヤモリがいた、征四郎もヤモリになった夢を見た。

    筍が食べたくなって山を散策していて、貝母の精のような人を見かける。あなたは何者ですか、と聞くと私は百合ですと答えた。

    梨木さんは 筍の名産地、琵琶湖疏水の流れる山の麓に住んでいるのだろうか。

    貝母は貝母百合ともいう。奈良の春日大社神苑に、春になるとそこここに咲いて、素朴な色で俯いている。
    四季を飾る素朴な花にまつわる話が、この世のものでないようでいて、土俗的な郷愁をさそう。ありそうでない、いやあるかもしれない、夢幻と現実の境にたってみるのもよい。

    いつの間にか掛け軸の中の風景は雨、その向こうからボートが一艘近づいてくる。・・・高堂であった。

    ――どうした高堂。
    私は思わず声をかけた。
    ――逝ってしまったのではなかったのか。
    ――なに、雨に濡れて漕いできたのだ。
    と言っては時々現れる。

    ――サルスベリのやつが、おまえに懸想している。
    ――・・・・ふむ。

    実は思い当たることがある、サルスベリの名誉のためにあまり言葉にしたくはないが。
    ――木に惚れられたのは初めてだ。

    ――どうしたらいいのだ。
    ――どうしたいのだ。

    ――迂闊だったな。
    高堂は明らかに面白がっていた。
    ―― ああ見えて、存外話し好きのやつだから、ときどき本でも読んでやることだな。そのうちに熱もさめるだろう。
    ――なるほど。


    それから午後はサルスベリの根方に座り、本を読んでやる。
    あまり撫でさするのはやめた。サルスベリも最初は不満げであったが、次第に本にのめり込むのが分かる。サルスベリにも好みがあって、好きな作家の本の時は葉っぱの傾斜度が違うようだ。ちなみに私の作品を読み聞かせたら、幹全体を震わせるようにして喜ぶ、可愛いと思う。出版書肆からはまともに相手にされないが、サルスベリは腐らず細々とでも続けるように、といってくれている。それで時々魚をおろしたときの内臓などを根方に埋めてやっている。

    そんなことやこんなことが起きても、征四郎の日常はゆったり悠々と流れて行く。たとえ筆が進まず、筆?今はペンではないか?と思うことはあっても、注文の原稿は、周りの出来事を話の種にして、出来上がる。

    原稿取りの山内が、部屋の隅の桜の花びらの吹き溜まりに気づく。

    ――おや、これは。
    ああ、と云いかけて、こいつに桜鬼などと云って通じるのかと危ぶみながらも、
    ――今朝方、暇乞いをすると云って見知らぬ女人が座った。近所のおかみさんの話しでは桜鬼だというんだが、どうしても鬼のようには思われん。小鬼なら庭にもいるが、到底似ても似つかぬ者なのだ。
    山内は一寸呆れた、という顔をして、一旦息を大きく吸い、
    ――小鬼は子鬼にあらずして、小鬼という立派な種の名前なのです。

    云々と、雄弁に語りだす。征四郎はたじろぐ思いで、何故、そんなに詳しいんだ。
    ――常識ですよ。


    ああ、類は友を呼ぶか、なら私も同類にしてもらえるかな、とつい嬉しくなる。
    野の花や、季節の風物のなんとも言えない香りを漂わせる本であった。

    0
    2026年03月05日

家守綺譚(新潮文庫) の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    新潮社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    新潮文庫
  • タイトル
    :
    家守綺譚(新潮文庫)
  • タイトルID
    :
    1144365
  • 電子版発売日
    :
    2022年05月27日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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