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庭・池・電燈付二階屋。汽車駅・銭湯近接。四季折々、草・花・鳥・獣・仔竜・小鬼・河童・人魚・竹精・桜鬼・聖母・亡友等々々出没数多……本書は、百年まえ、天地自然の「気」たちと、文明の進歩とやらに今ひとつ棹さしかねてる新米精神労働者の「私」=綿貫征四郎と、庭つき池つき電燈つき二階屋との、のびやかな交歓の記録である。――綿貫征四郎の随筆「烏蘞苺記(やぶがらしのき)」を巻末に収録。
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Posted by ブクログ
まさしくタイトル通りの物語だった。
学生時代亡くなった親友の家。
彼は湖でボートを漕いでいる最中に行方不明になった。
庭の手入れはご随意に、ということだったので、全く手を入るということはしなかった。
しかしそのせいか草木の勢いがやけに良い。
山の裾には湖から引いた疎水が流れている。
隣家のおかみさんが、庭のサルスベリの花の咲きぶりを称賛した。
煮詰まって庭を回るときはサルスベリを撫でてやるようになった。
床の間の掛け軸から音がする。
掛け軸の雨の風景の向こうから亡くなった親友がボートに乗ってやってくる。
彼は言う。
サルスベリのやつがおまえに懸想している――。
Posted by ブクログ
あぁ、なんて優しい世界なのでしょう
植物の名前がついた28章
1話ずつ丁寧にゆっくり読み進めました
主人公の征四郎は、学生時代に亡くなった親友の実家に〝家守〟として住んでいる。
最初の【サルスベリ】の章から、次々と不思議な現象が起き、えっ?と思ったものの美しい文章にのせられて、気付けば物語世界に身を委ねていた。
掛け軸の中から出てくる亡き友
サルスベリの木に惚れられた征四郎
タツノオトシゴを孕んだ白木蓮
ふきのとうを取りに来た子鬼
──等々
これらをごく普通に受け入れ、植物や怪異たちと心を通わせながら巡る季節は、とても豊かなものに思える。
本書を読んでいる間、現代社会で一日を終えた私は、早くこの本を開きたくて仕方なかった。
優しさに満ち、ゆったりと時の進むこの世界に帰りたくて…
この本は、私の心が〝帰る場所〟になるのかもしれない。
大切な一冊になった。
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