【感想・ネタバレ】家守綺譚(新潮文庫)のレビュー

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梨木香歩さんの小説を読んだのは初めてでした。実は『西の魔女が死んだ』を読みかけているのだけれど、先に『家守綺譚』を読んでしまった。目次を見たら全て植物で、季節が移ろう感じに惹かれた。内容もすごくよかった。「蟲師」とか、「陰陽師」になんとなく雰囲気が似ているな、と思って親しみを持ったので、これらの作品が好きな方なら容易に『家守綺譚』の世界へと入っていけるはず。

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2024年03月07日

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大好きな作品です。
生きとし生けるもの、そうでないもの、全てを愛しく感じます。
梨木さんの作品からしか得ることが出来ない栄養のようなものがある気がします。

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2023年12月27日

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綺譚だけあって、不思議な話ばかり。それが話の中で淡々と、自然に受け入れられている書き方なので何故か違和感がなく読める。そして季節感があり、動植物にも心があることを感じさせる世界観がとても好き。読んでいて、何だか心が落ち着いてくるのは何故だろう。各章の最後はどれも心地良い余韻がある。出会えて嬉しかった本。

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2023年11月01日

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久しぶりにこの作者の本を読んだ。一時はよく読んんでいたのだが、なんとなく遠のいてしまっていた。
亡くなった親友の家に家守として住み込むことになった。広い庭には池があり、多くの樹木や草花が生い茂る環境。時代は多分1890年頃、場所は琵琶湖の周囲のよう。池にカッパが流れ着いたり、不思議なことがたくさん起こるけれど、近隣の人や動植物に助けられて、なんとなくやり過ごしていく主人公。各章のタイトルは植物の名前で、季節が一巡りする間のできごとと連動している。大きな出来事があるわけではないけれど、不思議な感覚を残す物語。この作者の本を、また読んでみようかなと思った。

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2023年11月01日

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植物や動物と触れることで人間は生きていけるのかもしれない。何となく受け入れて、それとなく面白がって過ごしている感じがとてもよい。

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2023年02月10日

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とても味わい深い1冊だった。
本書は、駆け出しの物書きである綿貫征四郎による随筆のような体をなした作品。
物語は、ひょんなことから綿貫が、学生時代に亡くなった親友・高堂の実家の家守となるところからスタートする。
死んだはずの高堂が出てきたり、植物であるサルスベリに慕われたりするのに、綿貫も物語も慌てふためくこともなく悠々と進んでゆく。
ちょっぴり面白い。

「夢十夜」のような独特の浮遊感の中で、「雨月物語」のような不思議な出来事が、美しい季節の移り変わりと共に描かれている。
風土記や古事記にある、伝説を読んでいるようでもある。
季節の神や動植物の精霊たちとの、交流とも言えぬ程のちょっとした出会いやすれ違い。
ほんの少し前、もっと人々のペースがゆっくりで野山の自然と近かった頃なら、こんなこともあったかもしれない。

それぞれのタイトルが季節の草花なのも趣がある。
植物がお好きな方だったら、その花の佇まいを思い浮かべることが出来るので、世界観に入っていきやすいと思う。
(白木蓮とホトトギスは好きな花の1つであったので、どんなエピソードだろうと楽しみだった。)
タイトルの草花だけでなく、本文は野草や庭木たちの名前で溢れている。
日本家屋の土間や硝子戸、旅籠や山寺など、見える景色にも風情がある。
また、「ざぁーという雨の音が縁の回り、家の回り、庭のぐるりを波のように繰り返し繰り返し…。…さながら雨の檻の囚人になったような」や、
黄昏時の葛の花を「赤紫の闇」と言い表し、その花を池に落とすシーンでの「赤紫の闇が、鏡のような池の面に浮いた」など、
豊かな表現力に読み手の心も潤う。

パッとその植物や物の容姿が浮かばない方は画像検索などしながら、
浅井姫や竜田姫・天女の羽衣伝説の云われ、二十四節気、花の時期などをご存知なければチラリと検索しつつ、
どうかゆっくりと時間をかけて読み進めることをお勧めしたい。
例えば本文では、葛の花が萩の花に入れ替わることで微妙な季節の移り変わりや侘しさを表現していたりと、読み手の知識がある程にこの物語の奥行きが広がるからだ。
他にも、ぽろりと南天の実がこぼれ出てくるシーンがあるが、南天は「難が転じる」→「災い転じて福となす」ということで縁起物だ。
それを知っているだけで、その章の味わいも増す。
そしてこの世界観にどっぷり浸れば浸る程、読み手は癒されるに違いない。
まるで、お寺の境内で深呼吸したような。
目を閉じれば、季節の風や鳥の鳴き声まで感じることが出きるような。


初めて梨木香歩さんの作品を読むにあたり、やっぱり「西の魔女が死んだ」を読まなくては!と思いそうしたけれど、一緒に手にした「家守綺譚」の方がずっとずーっと好みだった。
正直「西の魔女が死んだ」を読んだ時は、この作風で他の作品も書かれているのなら、私はちょっと好みと違うかな…と思っていた。
もし「家守綺譚」も同じタイミングで手にしていなかったら、そう思い込んだまま他の作品は読まなかったかもしれない。
こちらも入手しておいて良かった!
何度も読み返したい大切な1冊になった。
続編である「冬虫夏草」も、きっと近いうちに読もう。

【備忘録】

「佐保姫」
春の女神
佐保山の神霊

「筒姫」
夏を司る神

「竜田姫」
秋の女神
竜田山の神霊で、元は風神
秋の季語

「宇津田姫」
冬を司る神


「春は竹の秋」
新緑の頃は、いっそうまぶしいその姿。しかし実は、竹にとっての新緑の頃…つまり「春」は、春夏秋冬で言うと「秋」に当たる
モウソウチクやマダケにとっての春から初夏は、竹の子を育てるのに栄養をとられる、いわば「実りの季節」でもあります。また、竹の葉は1年で生え変わりますが、5~6月に黄色く色づいて落葉します。竹の子が大きくなった後なので、まるで子どもを育てた親の竹が疲れて枯れていくようにも見えますが、実際は、新芽に日光を当てるために古い葉を落としているのだと考えられます。
「竹の秋」は春の季語、「竹の春」は秋の季語

「般若湯 はんにゃとう」
僧侶などの隠語の一つで、「お酒」を表す言葉。
本来僧侶は「不飲酒」といって飲酒は禁じられているため、こういう間接的な表現になったらしい

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2022年11月02日

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ネタバレ

私が初めて読んだ梨木さん作品です

何事もなかったかのようにボートで帰ってくる亡くなったはずの友人高堂、綿貫に恋慕を寄せるサルスベリ、
仲裁犬ゴロー、信心深い狸、河童や小鬼と
不思議なことが日常の一部となって物語が紡がれています

解説の吉田伸子さんが書かれていた、読後の「間違ってなかった」との感想はまさにその通りで、
一遍一遍は短い物語なのですが、ずっと浸っていたい気持ちになりました

明記はされていないものの、滋賀と京都の県境のあたりが舞台になっており、安寧寺川(安祥寺川)の記載などから山科のあたりではないかと推測されている方もいました
疎水縁に咲く桜、美しい山並み、いつか訪れてみたいものです

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2022年10月05日

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日本にまだ不思議な生き物が沢山いて、人と生きている話だった。

犬のゴローが不思議の世界に通じているみたいで面白いし、隣のおかみさんは何を聞いても知らないと言わずに答えをくれる。
狐やたぬきは、きっちりと人を騙すし、川にはカッパが来る。
こんな世界に居てみたい。

また、忘れた頃に読んでみたい。

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2022年09月29日

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短歌友達から薦められて手に取りました。
初めて読むのに懐かしいような不思議な感覚
木々や動物など自然に囲まれて対話している
よく考えると奇妙だけど豊かな時間
他の作品も読んでみようと思いました。

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2022年11月29日

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時間がゆるりゆるりと流れる、非現実的な世界観。こんな時間が其処にあっても、手に余してしまう忙しない性分だけど、憧れる。

西の土地という共通点から有頂天家族のようでもあるし、主人公が物書きでのらりくらりとした生活が夏目漱石のそれから、のようでもある。

植物に明るくないので、無粋だけど植物調べながら読んでいる。悪くない。やっぱり知らないより知る方がいい。

実家にもサルスベリがあったな〜身近な自然の豊かさを懐かしく思う。

読んだからといって、明日から何が変わるわけでもないけれど、読んでこんな世界を想像したことが、日常の幅を少し広げてくれる気がした。

2019.12.10

再読。贅沢な時間を味わいました。
2023.11.26

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2023年11月29日

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ネタバレ

なんとも不思議な読み心地の本だ。
ふわふわしているというか、飄々としているというか。浮世離れしているけど、俗世を超越した高みにあるわけではなくて、むしろ土っぽい匂いのする物語だ。水面にたゆたう睡蓮みたいに。

明治時代のとある一軒家が舞台である。
駆け出し作家の綿貫征四郎は、ふとした縁から大学時代の親友、高堂の家にひとりで住むことになる。高堂は数年前、ボート部の活動中に消息を絶ち、遺体はあがらぬものの既に故人とみなされていた。

その家では奇怪なことが次々と起こる。
サルスベリの木に恋慕されたり、河童が庭に迷いこんだり。今は亡き(はずの)高堂が、床の間の掛け軸の中からボートを漕いで出てきたり。綿貫が珍事・珍客に生真面目に対応する傍らで、季節は淡々と移ろってゆく。
そういう物語である。

一種の怪異譚だが、おどろおどろしい感じは全くない。河童も竜もカワウソも、はては神々までも、まるで風景の一部のように、何食わぬ顔で日常に溶け込んでいる。人々も「そういうものだ」と、ごく自然にそれらを受け入れる。知識人の綿貫より、庶民代表たる隣家のおかみさんの方が、どっしりと腰が座っているのが可笑しい。

百日紅、都わすれ、ヒツジグサ、ダァリヤ…
日本人の遺伝子に刻み込まれた原風景。
頁を繰るたび外の喧騒が遠のき、時間がゆったりと流れていく。

熱いほうじ茶が飲みたくなった。

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2022年09月10日

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移り変わる四季の描写の美しさ。 自然に在る異端のもの達との交流。 花、小鬼、狸、河童…。 主人公、「私」が彼方の世界へ迷い込む幻想小説短編集。 面白かったです。

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2024年03月23日

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家に住むだけでお金が貰えるなんて羨ましい。
亡くなった友人と、亡くなってからも会えるなんていいな。狸に化かされるって、こういう、割と自然なことなんだ。おかみさんも、和尚さんも、とてもいい人。

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2024年01月24日

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他の方のレビュー、他の小説の中でも紹介されていてやっと読めました。
感想は難しいです。
知らない言葉、花の名前、調べながら読み進めました。それがまた楽しかったです。
内容は読んでみないと良さが分からない世界で、残念ながら私には感想が書けません。
でもこの本を読んでいる間の時間はとても気持ちの良いものでした。

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2023年11月17日

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ネタバレ

とにかく奇妙で、綺麗なお話だった。
明治頃の京都あたりの物語で、昔っぽい語り口調が特徴的。だから意味がよく理解できていない部分もある。

インターネットとか近代的なものがないから、そういったものに時間を取られることなく、自然と共にゆっくりと時間が過ぎていくのを眺める生活をしていて羨ましいと思った。できないこともないけど、便利だからやっぱりスマホは使っちゃうよね。

主人公の綿貫は怪異についての知識がないから読者目線の人物だった。怪異に驚きつつも受け入れる綿貫は素直な人物なのだろうなと思った。鈍感なところもあるけど、そこも愛らしい。

長虫屋の親がカワウソなのが衝撃的で面白かった。腹違いの弟がいるところも、複雑な家庭でとても気になる。
黒い虫が腕にとまって、それが黒子になったという話も不思議だった。私の黒子ももしかしたら虫だったのかもしれない。

竜田姫と佐保姫のところがちょっと理解できなかったからもう一度読みたい。二人とも伝説上で実在してるみたいだから事前に知識をつけてから。

高堂はあの世の狭間に行ったときに、葡萄を食べてしまったみたいだけど覚悟がなかったのだろうか。

これからも、掛け軸から高堂が遊びに来て、二人で話すんだろうなと思うと微笑ましい。

私が見えないだけで、この本に登場したような怪異は周りにたくさんあるのかもしれない。私も見つけてみたい。もう一度読みたいと思えるお話だった。

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2024年01月16日

Posted by ブクログ

家族に勧められて読み始めたのが1月、読まない期間も経てやっと読み終えた。穏やかな暮らしの中での自然のものたちとの交友記録、こういう世界観は好き。

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2023年05月21日

Posted by ブクログ

童話のような不思議な世界。
短編でタイトルが植物、その植物にちなんだ話になっている。
のんびりしたいときに1話、1話大事~に読みたい本。

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2023年05月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

亡くなった友人の家に家守として住む主人公。時は明治の最後のほう、場所は京都と滋賀の間の疏水沿いのどこか。毎回異なことのおこるファンタジー。穏やかで雰囲気良し。ちょっと切ないところも夏目友人帳みたいな読み心地です。

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2023年04月13日

Posted by ブクログ

雰囲気がすごく好きだった。サルスベリとゴロー可愛い!決して笑わせにきているわけではないのだが、愛嬌のある行為に愛しさが込み上げてきて、思わずクスッとしてしまう感じ。ゲーテの「君知るや…」の詩はこれで初めて知ったが、物語の雰囲気にマッチしていてとても良い。

☆勝手にイメソン
Bye for now(藤井風)

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2023年02月05日

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のんびりゆっくりちょこちょこ読めた本。
不思議なことを「そういうもの」と受け入れている人々……というより時代なのかな。今現代にはもうない世界、空気感。

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2022年12月24日

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ネタバレ

2005年。第3位。
100年前の話? 旧友を湖でなくした作家。旧友の家にすむ。ヤモリの話かと思ってた。
サルスベリに懸想され。旧友はボートに乗ってやってくる。狸に化かされ。それを淡々と受け入れる。天狗や河童も。飼い犬のゴローが良い働きをする。
知らないことを知らないと理解するべき。意訳。
ほわんほわんと異世界を楽しんだ。

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2022年12月09日

Posted by ブクログ

学生時代に読んだ本なので登録してなかったけど残しておきたいと思った。
春夏秋冬、過ぎ去りし季節の描写や空気感が丁寧に描かれていてこんな風に日常を大事にしていきたいと思わせてくれた本。

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2022年10月23日

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ふわ~っとした雰囲気ですごい静かなイメージの小説。
ずれてるかもしれませんが夏目漱石「夢十夜」と共通な何かがあるような感じでした

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2022年09月16日

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不思議な世界。
人と幽霊と動物と草木、プラス妖怪?
これらが共存共栄してるというか一体化して結び付いている。

最初は「何これ?」「どういう話?」と意味不明で、読み続けられないかもと思ったが、
ただ単に、この世界に浸っているのも悪くないと感じ始めたら素直に受け入れられた。

怪奇現象はヒトの心が創り出すが、誰もが持っている深層心理を具象化した物語といった感じ。
特別なストーリーもなく、喜怒哀楽の起伏も少ないファンタジー。

植物の名前をタイトルにして物語が綴られているのに「ホトトギス」が出てきた。
鳥だと思いきやホトトギスの腹に化けたような花の植物だった。

梨木香歩さんの作品は「西の魔女が死んだ」しか読んでいないが、
あの魔女の魂もどこかにいそうな気がして「アイノウ」という声を思い出した。

このような雰囲気の作品は少ないと思うが、串田孫一さんの「鳥と花の贈りもの」は似た感じだったかな。

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2024年02月23日

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植物を題材にした不思議なショートストーリーがいくつも途切れる事なく年間を通じて綴られていく物語
主人公のボーッとしたゆるさ、しかし実は芯がある人柄が好ましい
不思議な犬のゴローや明治時代までは普通にあった田舎の光景が目に浮かび知らないはずのノスタルジーを感じる
最後に友がなぜ消えたか判明するが納得いく終わり方だった

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2023年05月23日

Posted by ブクログ

んんんぜったい素敵な話なんだからもうちょいちゃんと読めばよかった、、
読み返したいリストに入れておこう。
読みながら口角上がっちゃうくらいに楽しいのに、どこか切ない気持ちもする不思議な小説だった。

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2023年04月07日

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狸にばかされたり、早生した友人が部屋を訪れ話しをしたり、河童の脱け殻を拾ったり。身の回りで起こる摩訶不思議な出来事を当然の如く受け入れる主人公綿貫征四郎。というより、そんな事が普通にある世界の物語なのか。
この世界観が、不思議さよりも、懐かしさ、というか心の落ち着きの様なものを感じさせてくれ何とも魅力的。
征四郎の、長虫屋との遣り取りで別に感じる必要の無い引け目を感じてしまう様な繊細さ、小物っぽさが可愛い。
どこか地方を列車でのんびり旅する時にちょいちょい読み進められたら良いな、って感じの本でした。

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2022年12月30日

Posted by ブクログ

昔の人の自然との関わり、近所の人との関わりの描写が興味深かった。中でも印象的なのは、狸狐が人を化かすはなし。日本昔ばなしみたい。

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2022年10月30日

Posted by ブクログ

植物、自然を通して不思議が起こる話。
単語が難し鋳物が多く、植物も知らないものが多かったからあまり入り込めなかった。

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2022年10月29日

Posted by ブクログ

みなさんの評判が良かったので読んでみました。
最初は面白かったのですが、途中で飽きてしまいました。私には合わないんでしょうね、そんなこともあるんだなとちょっとびっくり。

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2022年09月18日

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