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『家守綺譚』『沼地のある森を抜けて』の著者が動植物や地理を豊かにえがき、埋もれた記憶を掘り起こす長編小説。 月下香の匂ひ漂ふ一夜。植物園の園丁がある日、巣穴に落ちると、そこは異界だった。前世は犬だった歯科医の家内、ナマズ神主、愛嬌のあるカエル小僧、漢籍を教える儒者、そしてアイルランドの治水神と大気都比売神……。人と動物が楽しく語りあい、植物が繁茂し、過去と現在が入り交じった世界で、私はゆっくり記憶を掘り起こしてゆく。自然とその奥にある命を、典雅でユーモアをたたえた文章にのせてえがく、怪しくものびやかな21世紀の異界譚。
...続きを読むPosted by ブクログ 2024年03月22日
f植物園に転任してきた佐田豊彦。
造成された水生植物園が担当だ。
彼はそこを「隠り江」と名付けて情熱を注ぐ。
が、ある日大切にしていた日本水仙がなぎ倒されていることに気付く。
何物かが通ったように、椋の大木の"うろ"から水辺へと倒れていたのだ。
思い起こせば、自分はその&quo...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年02月11日
人間、嫌な経験をするとそれを意識から追い出すことで何とか生きていく、という仕組みになっているみたいだけども、そのやり方が必ずしも最善ではないということだろうな。フロイトの治療過程を思わせた。
同著者の「家守綺譚」のシリーズにも近い和風異界的な「不思議」の描写が多いので、お好きな方はどうぞ。
本作...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年11月09日
地球っこさんに教えていただいた前回読んだ「家守綺譚」がとっても面白かったので、次も地球っこさんが読まれていたこの本を読みました。
うーむ とっても面白い。
家守綺譚より、こちらの方がよりハマってしまいました。。
解説から
「穴」は垂直の移動。「川」は水平の移動を表す。
語り手の人生における、三...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年01月23日
序盤は読み辛い文体でよくわからなかったが、どんどん不思議な世界に引き込まれて行った。
植物園の木のうろに落ちて気を失っている状態、夢にありがちな辻褄の合わないめちゃくちゃなストーリーなのは想像できたが、これがどうオチがつくのか想像できなかった。
最後の最後「道彦」でこんなに温かいお話であったことに驚...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年10月10日
夢か現か、化かしているのか化かされているのか。妖しく美しい日本語の調べに誘われて覗いてはいけない世界を覗いてしまったような、恐ろしくも心地よい不思議な世界でした。後半に進むにつれ、彼と同様、私自身の記憶もとても曖昧な気がしてきて、虚ろな暗い闇の中に落ちるような不安を覚えました。自分の記憶を辿る旅は、...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年08月26日
心がザワザワしているときに読んで、しんしんと鎮まってきた本。
異界譚、夢の中のような話。
どこから夢でどこから現実なのか、読み終わって、あああそこからか、と思う。
異界の描き方の、イメージや、夢の中で論理的ではなくても本人は論理的だと思っているのだろう思考の描き方が秀逸で、私も眠って夢を見ているよ...続きを読む
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