無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで203万冊以上配信中!
小さな生き物への愛情と尊敬に満ちた奇跡の実話
第二次大戦中の英国でひ弱な雀が寡婦に拾われた。雀は愛情を込めて育てられ、驚くべき才能を開花させる。世界的ベストセラーの名作。
酒井駒子さんのイラスト、小川洋子さんの解説も完全収録。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
序に「私は野生の鳥は基本的には野にあるべきだと思っている」とある。だから、作者のキップスさんは生まれたばかりで巣から落ちた障害のあるスズメを深い愛情を持って育てながらも、彼がスズメであることを尊重して適度な距離感を保った視点で見ていたのだろう。この本がスズメの生態や人と一緒に暮らしていたからこそ開花した潜在的な能力などの観察記録としても興味深いものになっているのは、そのおかげだろうと思う。
科学的な興味もさることながら、このスズメの愛らしさと逞しさには驚かされる。巣に見立てたベッドで迸るような歓喜の歌をひとくさり歌ったり、老いて病気になってからも生きる意志と聡明さで自由が利かなくなっていく状況に自分を適応させたり。ティースプーンを見て「がっくりと小さな頭を落とし、視線をそらす」ところなどはかわいらしい上に、キップスさんとのしっかりとした信頼関係も窺えて、心温まる。
訳者の梨木香歩さんはキップスさんと似たところのある人なのではないかと思っている。訳者あとがきもよかった。
Posted by ブクログ
梨木香歩さん訳の、
1953年初版のベストセラー。
ある1人の寡婦が出会った、自然界では生きていけないだろう雀の子供。
その雀-クラレンスと名付けられた雀の、12年に渡る生涯。
フラットに書かれた文章に現れる、キップス夫人の洞察力の深さにも驚かさせるが、
街中で景色に溶け込むように眺めていた雀が
こんなに感情豊かで、才能溢れる鳥であることを
本書を通じて知ることが出来てよかったと思う。
訳者も書いている通り、クラレンスが老いて、
いつ亡くなるのかも分からない中で書かれた
物語であるからか、クラレンスが全盛期である頃の生き生きとした描写の中にも、一貫して静謐さが漂っている。
全ての生き物が迎える老いと死を、静かに見つめるキップス夫人と、老いてなおその生命の尊厳を決して失わないクラレンス。
今頃2人で、天国で歌い合っているだろうか。
キップス夫人はピアノで、クラレンスはその高らかな歌声でー。
Posted by ブクログ
第二次大戦下の英国、女性ピアニストの著者がイエスズメのクラレンスと暮らした12年の記録(紹介文には「老ピアニスト」とあるが、著者のキップス夫人がクラレンスに出会ったのは50歳のことであるから、現代の感覚とは合わない)。
翼や足に障害をもって生まれたクラレンスだったが、著者と暮らしていく中で、自作の歌を歌ったり芸をしたりと、スズメらしかぬパフォーマンスをみせる。生き物がサバイバルから解放されたとき、有り余った力を何に使うか。秘められたポテンシャルは未知数である。
また、年老いてからのクラレンスの、生きることをあきらめない姿勢にも感銘を受けた。
本書は(序文で著者が示す通り)「気取りのない文体を使い、シンプルに物語ろう」とされているのだが、あえて言えばもっとドラマチックな演出で観たい気がする(アニメかCGで映画化してほしい)。
日本語訳は梨木果歩氏。「訳者あとがき」と「訳者文庫版あとがき」も掲載。文庫版解説は小川洋子氏。
Posted by ブクログ
野生の雀の孵化すぐと思われる雛を育て上げ看取るまでを回想の形で記した本。第二次世界大戦中から戦後の時代です。
動物を慈しみながら一緒に生活している全ての人がそうであると思うが、非常によく観察(?)されていて驚くほどだ。そして野生の雀とは異なる生態を時に見せていく事を客観的に捉えて記載されているところが凄い。研究目的ではないのだから。また文章が高尚で時には難しく哲学的雰囲気の事もある。
そして主人公の雀がまた凄いのだ。素敵な文章の中に登場するこの雀の一生が、通常の野生の雀とは一線を画している。その面白さが端的な文章にギュッと詰まってる。著者の雀との関係性も素晴らしい。決してヒトの思う通りにするのではなく、雀彼本人の個性にあくまでも寄り添う形で生活していく様が凡人には出来ぬことかもなと思った。雀の晩年に創意工夫をして如何に彼が快適に過ごせるかを模索しておりもう愛しか感じない。挿入される写真が慈愛に満ち満ちていてなんとも愛おしい。
酒井駒子さんの優しい装丁。
梨木香歩(西の魔女が死んだ)さんの訳本。
MRさんのタイムライン?で知った本ですがそこに本当に感謝♪
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。