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小さな生き物への愛情と尊敬に満ちた奇跡の実話 第二次大戦中の英国でひ弱な雀が寡婦に拾われた。雀は愛情を込めて育てられ、驚くべき才能を開花させる。世界的ベストセラーの名作。 酒井駒子さんのイラスト、小川洋子さんの解説も完全収録。
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Posted by ブクログ
序に「私は野生の鳥は基本的には野にあるべきだと思っている」とある。だから、作者のキップスさんは生まれたばかりで巣から落ちた障害のあるスズメを深い愛情を持って育てながらも、彼がスズメであることを尊重して適度な距離感を保った視点で見ていたのだろう。この本がスズメの生態や人と一緒に暮らしていたからこそ開花...続きを読むした潜在的な能力などの観察記録としても興味深いものになっているのは、そのおかげだろうと思う。 科学的な興味もさることながら、このスズメの愛らしさと逞しさには驚かされる。巣に見立てたベッドで迸るような歓喜の歌をひとくさり歌ったり、老いて病気になってからも生きる意志と聡明さで自由が利かなくなっていく状況に自分を適応させたり。ティースプーンを見て「がっくりと小さな頭を落とし、視線をそらす」ところなどはかわいらしい上に、キップスさんとのしっかりとした信頼関係も窺えて、心温まる。 訳者の梨木香歩さんはキップスさんと似たところのある人なのではないかと思っている。訳者あとがきもよかった。
梨木香歩さん訳の、 1953年初版のベストセラー。 ある1人の寡婦が出会った、自然界では生きていけないだろう雀の子供。 その雀-クラレンスと名付けられた雀の、12年に渡る生涯。 フラットに書かれた文章に現れる、キップス夫人の洞察力の深さにも驚かさせるが、 街中で景色に溶け込むように眺めていた雀が こ...続きを読むんなに感情豊かで、才能溢れる鳥であることを 本書を通じて知ることが出来てよかったと思う。 訳者も書いている通り、クラレンスが老いて、 いつ亡くなるのかも分からない中で書かれた 物語であるからか、クラレンスが全盛期である頃の生き生きとした描写の中にも、一貫して静謐さが漂っている。 全ての生き物が迎える老いと死を、静かに見つめるキップス夫人と、老いてなおその生命の尊厳を決して失わないクラレンス。 今頃2人で、天国で歌い合っているだろうか。 キップス夫人はピアノで、クラレンスはその高らかな歌声でー。
文春文庫のフェア「戦火の記憶を未来へつなぐ」で平積みになっていたのをたまたま手に取り呼んだ。“言葉を解さない”動物たるスズメと、これほどに感情を汲み交わし寄り添いあった事実があったのだ。 読み終えて、というより読み進めるうちから、自らの傍らにあるものとの関係を(それが人であれ動物であれ、自然であれ)...続きを読む疎かにせず慈しもうと、そう思えてくる本だった。
読みたかった本の一冊。 いやー、冒頭から何かしら良い雰囲気を感じてましたが…、綺麗、興味が湧く、ドキュメンタリー、 良かった!! 実話なんですね。余計に凄い。 鳥を飼ったことがある人ならば、必ず頭に画が浮かびます。そして顔がニヤけます。 読んで良かった✨
人間もスズメも、長く生きられるにこしたことはないなあと思った。いくつになっても学ぶことやあたらしい発見は絶えずつづいていく。
野生の雀の孵化すぐと思われる雛を育て上げ看取るまでを回想の形で記した本。第二次世界大戦中から戦後の時代です。 動物を慈しみながら一緒に生活している全ての人がそうであると思うが、非常によく観察(?)されていて驚くほどだ。そして野生の雀とは異なる生態を時に見せていく事を客観的に捉えて記載されているとこ...続きを読むろが凄い。研究目的ではないのだから。また文章が高尚で時には難しく哲学的雰囲気の事もある。 そして主人公の雀がまた凄いのだ。素敵な文章の中に登場するこの雀の一生が、通常の野生の雀とは一線を画している。その面白さが端的な文章にギュッと詰まってる。著者の雀との関係性も素晴らしい。決してヒトの思う通りにするのではなく、雀彼本人の個性にあくまでも寄り添う形で生活していく様が凡人には出来ぬことかもなと思った。雀の晩年に創意工夫をして如何に彼が快適に過ごせるかを模索しておりもう愛しか感じない。挿入される写真が慈愛に満ち満ちていてなんとも愛おしい。 酒井駒子さんの優しい装丁。 梨木香歩(西の魔女が死んだ)さんの訳本。 MRさんのタイムライン?で知った本ですがそこに本当に感謝♪
ある女性と雀の交流 ノンフィクション ①鳥が好き! ②梨木香歩さん訳! ③酒井駒子さんの表紙絵! で何となく手に取ったのだけど 結果とても良い本! 鳥(雀)の知性と可能性に驚くし 人との深い愛情が 鋭いけど暖かな眼差しで描かれてて 生命の可能性に静かに感動 解説は小川洋子さん 好きな作家さん3揃...続きを読むい! どんだけ贅沢な作品なんだ...
キップス夫人が家の前で拾ったスズメと、約12年間一緒に暮らした日々の記録。 夫人はスズメくんに愛情を持ちながらも、観察する姿勢は研究者的なところも感じた。 ある日家の前で弱ったスズメの雛を見つける。介抱して元気にはなったが、そのスズメは生まれつき足と翼に障がいがあり、自力では自然界には戻れないだろ...続きを読むうということで、キップス夫人が子供のように育てる。 ベッドに潜って一緒に寝たり、服のポケットに巣篭もりしたりする様子が可愛い。 成長するに従って、夫人のピアノに合わせて歓喜の歌を歌ったり、ちょっとした芸を披露して戦時中、子供を癒したりと大活躍。 そんなスズメくんも老いには逆らえず、11歳の時に病気を患う。ティースプーンで薬を飲まされていた彼は、「ティースプーンが目に入ると、彼はがっくりと小さな頭を落とし、視線をそらすのだった」という可愛さよ。 あとシャンパンを飲み交わす場面もあったなぁ。 思うように体が動かなくなってからも、今まで使ってこなかった障がいのある足の使い方を発見し、精一杯生きていく姿に感動した。 総じて、可愛かった! 生態についても初耳なことが多くて、色々な面で面白い一冊だった。
あまりにも有名なスズメの話。 勇敢で賢いのはスズメだけでなく、スズメを救った作者も同じ。 誇り高く尊い。 自然の中ではあり得ないほど長生きしたスズメは何を思って生きていただろう。 スズメの歌を弾いてみた。 きっともっと気高いものだったろう。
このクラランスの伝記を読んでいると、 作者とスズメの関係が、 単なる飼い主とペットの主従の関係ではなく、 一人の人間に接するかのように、 時には一人前に男として、 スズメを尊重し、愛情と敬意をもって スズメを大事に育てたのかが伝わってくる。 空襲の中、明日、死ぬかもしれない 戦時下の中を、12年間...続きを読むも長く生きる事が できたのは、作者の深い愛情と支え。 逆も然りで、 クラランスの存在自体が、作者や 戦時下の人々の喜びに。 だから尚さら一層、脳卒中を患ってから、 だんだんと弱って行く姿を読むのは、辛い。 不自由な体になってからも、生きることを諦めずに、最後はぼろぼろの羽毛になったが、 命を全うする最後の瞬間まで、命の輝きを 失わなかったクラランス。 私も小鳥を飼っているが、 動物を飼っている人は、誰もが直面する 生老病死。 あまり、考えたくはないが、この本を読んで、 尚一層、小鳥達が愛おしく、彼らと一緒に過ごす時間をもっと大切にしたいと思った。
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ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯
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クレア・キップス
梨木香歩
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