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昔、英国人一家の別荘だった、今では荒れ放題の洋館。高い塀で囲まれた洋館の庭は、近所の子供たちにとって絶好の遊び場だ。その庭に、苦すぎる想い出があり、塀の穴をくぐらなくなって久しい少女、照美は、ある出来事がきっかけとなって、洋館の秘密の「裏庭」へと入りこみ、声を聞いた――教えよう、君に、と。少女の孤独な魂は、こうして冒険の旅に出た。少女自身に出会う旅に。(解説・河合隼雄)
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Posted by ブクログ
今の自分に置き換えて、生きるヒントをいただいたような、少し救われたような気持ちになった。 私は、傷を恐れ、支配されてしまいがちなので、読み進めるたびに反省...。鎧を着ても、傷は治らないんだよなぁ。 裏庭を冒険する照美ちゃんの姿を見て、勇気が湧いた。 実は高校生くらいの時に読んだけれど、その時...続きを読むはなんとなく世界観がイメージしにくかった。大人になって、やっと面白さがわかるようになった。 今出会えてよかったと思える作品でした。
こんな感じ、知っているような知らないような、空を飛ぶような地を這うような。 英国人別荘の裏庭から繋がる異世界への旅。 仏教の輪廻転生(六道)を旅するということ、言語化するとこんな感じなのかも。 恐ろしい美しさと共に、抗えないほどの凄まじい肯定がある。
中学時代に読んだ本。 梨木さんの「西の魔女が死んだ」を読み、 他の作品にも興味を持ち、購入。 家族旅行の際に、この本を持っていき、夜ホテルで読み始めたら先が気になり、ページを捲る手が止まらなくなり、ほぼ徹夜をして読んでしまったことを今でも覚えています。 学生時代の私に良い読書体験をもたらしてくれ...続きを読むた、かけがえのない作品です。 近々、再読したいです。
自分の中の庭をどう育み、生きていくのか。 少女が自分の心の中にある家族へのわだかまりや罪悪感を抱きしめられる強さを得るためには、こんなにもしんどい試練を受けなきゃいけないのかと。何度も涙したし、一生読み続けたい大作。
こども時代、こんな大人になりたい。なりたくない。と思うことがあるだろう でも、気づいたら、ああ私あの時のなりたくない大人になってしまった。と そんな人にゆっくり時間をかけて、思案しながら読んで欲しい おとなだからこそ
年の瀬にとても素敵な本に出会ってしまった!もうこれはプレゼントでしょう。 1回じゃ理解し切れていない部分が多々ある。2回、3回と読んで自分の中に落とし込まないと。 最近自分の怒り方が母親と同じことに気付いた。何を言っても取り付く島のない母親の怒り方に、幼い頃の自分はどうしたらいいか分からなくて途...続きを読む方に暮れた。だから作中の「プラスにしろ、マイナスにしろ、人は遺産からは逃げようがないのかしら」は刺さった。マイナスに比べて、プラスの面は本当に分からない。プラスの部分も受け継いでいると信じたいなぁ。
率直に感動した。大作だった。 己の傷と対峙することのどれほど険しく難しいことか。傷との融合の話でもあったのかと思う。印象に残る文が多くて、それぞれの箇所について感想を言い合いたくなる。 日本の家庭って、家に庭って書くんだね。その庭をどう手入れし育み作り上げていくかは庭師次第なのだと。 エピローグ後の...続きを読む展開も気になるけど、それはそれぞれ私たちの中でまた育てていくものなんだろう。 最後に河合隼雄氏の解説があるのもよき。
仲が悪いわけでもないけど、良くもない家族の中孤独感を抱え、双子の弟を亡くした照美は、近所の廃屋の鏡から"裏庭"と呼ばれる不思議な世界へ。様々な出会いと試練を超えて照美の心は成長します。 大人に近づいた照美の成長に、どこか切なさを覚えるのは私だけでしょうか? 感動と小さな引っ掻き傷...続きを読むのような切なさが残る作品。何度も読み返して味わいたくなる作品。
私にとってほぼ初めてのファンタジー小説。 想像しきれない描写がありつつも、世界観に引き込まれました。 面白かったです。
読書好きの友人から貰った本。いい本を頂きました。ありがとうございました。 1995年の第1回児童文学ファンタジー大賞の受賞作。文庫版は2001年1月の発行から20年間で37刷のロングセラー。そんなことは知らずに、友人から貰ったというだけで、内容も全く知らずに読み始めましたが、一気読みでした。 戦前...続きを読む、英国人一家の別荘だった荒れ果てた洋館。現在、その裏庭は近所の子どもたちの絶好の遊び場。そこで双子の弟を死なせてしまったという辛すぎる思い出を持つ13歳の少女、照美。ある出来事がきっかけで照美は裏庭の奥に入り込みます。照美の冒険が始まりました。 この小説の中盤まで、この物語の主題は「死」であり、「再生」の物語かと思っていました。大事な人を失った場合、「死」は死んでしまった人だけでなく、残された我々にも大きなダメージを与えます。その手の物語は多くありますが、「裏庭」は「再生」で完結するような単純な物語ではなく、現世で生きる人間、死んでしまった人間をも巻き込む照美の「魂」の冒険譚です。 本書は照美が「裏庭」の世界で繰り広げる冒険ファンタジーのパートと現実の世界のパートが並行して展開されます。2つの世界の中で家庭、孤独、団欒、優しさ、冷酷さ、安心、不安、友情、信頼など、感情における矛盾が渦巻きのように描かれます。物語は荒唐無稽。しかし、最後はこれ以上ないような座りの良さになっています。最後の2行では、不覚にも泣いてしまいました。 著者は「西の魔女が死んだ」の梨木香歩さん。本書の中でも色々な仕掛けが組み込まれています。その仕掛けの数々が物語の中枢部分に絡んできます。小説の技巧が楽しめました。 この複雑な物語は、やはり「再生」の物語です。ただ、それに気づくのは最後の方で、ストーリー展開は決して気持ちのいいものではありません。それでも、読んで良かったという満足感を本書は与えてくれ、読書っていいなぁと改めて感じさせてくれました。
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裏庭(新潮文庫)
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梨木香歩
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