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この鳥たちが話してくれたら、それはきっと人間に負けないくらいの冒険譚になるに違いない──。一万キロを無着陸で飛び続けることもある、壮大なスケールの「渡り」。案内人に導かれ、命がけで旅立つ鳥たちの足跡を訪ねて、知床、諏訪湖、カムチャツカへ。ひとつの生命体の、その意志の向こうにあるものとは何か。創作の根源にあるテーマを浮き彫りにする、奇跡を見つめた旅の記録。
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Posted by ブクログ
「渡り」をキーワードに様々な事象が語られる。その場所の季節感、鳥、花、土の声や匂いがありありと伝わってくる。自然の強さ、美しさ、儚さ。生命の尊さ。
梨木さんのネイチャーライティング、エッセイ集。 渡りをする鳥たち、周りの自然。 とても深い知識に基づいたエッセイだけど文学的表現に富んだ、読み応えたっぷりの一冊。 「街の機嫌」 「ノーノーボーイ」 「存在」は移動し、変化していく。生きることは時空の移動であり、それは変容を意味する。それが「渡...続きを読むり」の本質だろう。 梨木さんの世界観に魅せられる、そんな一冊でした。 これも手元にずっと置いておき、また何度も読み返したいと思います。
これまた素晴らしい一冊だった。日本のネイチャーライティングの到達点とあった。 外部を、自然を探索することが、自らの内面を探る旅であるということが、渡り鳥の定位のメカニズムを通じて語られる。
梨木さんのエッセイやノンフィクションを読むとなぜだろうかいつも気持ちがすっきりする。 なにかもやもやしているとき、自分が嫌でたまらなくなったとき、梨木さんの文庫本をパラパラめくり目に留まる部分を読んでみたりする。わたしは梨木さんのことが好きなのだなあとしみじみ思う。 さあこの本はどんな事が書いてあ...続きを読むるのかしら 「渡り」をする鳥たちを観て感じたこと・・鳥に限らず「渡り」をした人たちとの関わり・・「渡り」ができない植物・・鳥たちや自然とともにある人たち・・ そして梨木さんの、梨木さんの中で柔らかく時に激しく衝突して生る(なる)思いが素晴らしい・・ とりわけ鳥たちに対する、語りかけや問い、感動、それぞれが直球で、梨木さんの可愛らしさが感じられ、とても幸せな気分になる。 鳥に限らず生きているものはその中に測り知れない命のリズムを持つ。この本を読んで、鳥のことがとても好きになり尊敬の感情が湧いた。でもそれは鳥に対してだけではなく命に対しての尊敬、と感じる。 きっと私もあなたも、素晴らしい鳥だ。 辛いなと思っても、 「個の体験はどこまでもその内側にたたみこまれて存在の内奥を穿ってゆく」(78頁より) だからこの先も、命を諦めず生きていこうと思う。
渡り鳥を題材に、自然と人間との関わりや、人の在り方、物語についての考察が記されている。著者の、鳥たちへの眼差しがとても親密。ただ優しいだけでなく、まるで人間観察するように表情を読み取る。 文章は静かで濃密。読み進むうちに、心が静まるように感じる。 (2014.3)
環境問題とは何か。実は簡単ではないことを著者と共感する。 案内人という視点面白い。鳥たちにとっては太陽と星座だという! ノーノーボーイ 侵略と越境。鳥の視力 門間あや子さんは私も好きになった
自然を題材にしたノンフィクションエッセイ(ネイチャーライティング) 渡りをテーマに梨木さんの主観でやさしい文体で表現されていて、とても楽しく読めました。渡り鳥の生態ついてあまり知らなかったので、とても興味深く勉強になりました。国境など政治的な障壁なく自由に各国を周遊して旅する姿あこがれます。ハチクマ...続きを読むの渡りを見に行きたくなりました。
野鳥の観測記録、に留まらないのはこの著者ならではだと思う。描写に色があって、著者の気持ちや人との会話も小説のような楽しみ方が出来た上に鳥の知識まで得られたんじゃー御礼のひとつも言わねば!
渡り鳥がテーマのエッセイ… なのではあるが、それだけにとどまらない骨太の本。ワイルドな行動と繊細な知性を併せ持つ梨木氏の文章を心して読むべし。
自然に造詣の深い著者が、渡り鳥を追って冬の北海道~カムチャツカ半島へ。渡り鳥だけではなく、自然と共に生きる遊牧民や戦中戦後に「渡り」として生きるしかなかった日系人についての考察も。 全体を通して、生真面目な梨木さんらしい一冊だと思いました。自然について、「渡り」について考えるいい機会になりました。
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渡りの足跡(新潮文庫)
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