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Posted by ブクログ
人生は、ままならない。
ハッピーエンドで終わる物語が好きで、報われない物語に対して毛嫌いをしていた。けれど、人生は不平等で不公平なのが普通であり、その現実を教えてくれた作品の一つでもある『女の一生』は、お気に入りになった。ジャンヌがレ・プープルにやってきた時の夜の思い出に浸っている時、この世界に喜びも幸福もないということがありうるだろうかと訝しんでいる描写が印象的であった。どれだけ辛いことに直面していたとしても、何かしらの過去の嬉しい出来事がいつかの自分を救ってくれる、そんな気持ちにしてくれたからだ。人生にはどうしようもないことがたくさんあるけれど、過去の嬉しい出来事が生きる活力を与えてくれると信じて、感情に左右されることなくありのままを受け入れて生きていきたい。
Posted by ブクログ
この作品好きすぎる…!モーパッサンの人生における現実を浮かび上がらせる残酷なまでの冷徹な観察眼と、直接そうとは表現せずとも登場人物の心情の奥底まで読者の心に突き刺してくる表現技術によって、長編とは思えないほどあっという間に引き込まれ一夜で貪るように読破してしまいました。
はじめ完璧な男性に見えた夫ジュリヤンが、新婚旅行の最中から徐々にそのケチで小狡い性格を露呈していく描写のなんと面白いこと!それに対し、あれほど夢見がちにジュリヤンに恋していたジャンヌにその存在を「赤の他人」を言わしめるほど諦めに満ちた冷めた感情のなんとリアルなこと!
劇的な展開に引き込まれる作品でありながら、母親に裏切られたあの永遠の別れの夜の情景や、引っ越し準備の際に育った家の思い出を名残惜しむジャンヌの言動など、とにかく何気ないひとつひとつの文章にハッとさせられます。彼女の行動から、感情表現などほとんどなくても、その悲しみや失望、喪失感が胸に迫るのです。
生きる時代も国も家族もまるで違うのに、どうしてこんなにもジャンヌの人生がまるで自分のことのように感じられるのでしょうか。物語そのものが面白いのはもちろん、文学の尊さを感じられる作品でした。
Posted by ブクログ
「朝ドラ」ことNHK『連続テレビ小説』題材によくある
「波乱万丈な女性主人公の半生」もの
小説分野でいうなら女性が主役の教養小説
というものの古典
フランスの田舎の田園に生きたある女性の半生
書かれたのは1880年くらい
なので「女性」というものの扱いが現在とはいろいろ違うと思われる
題名の『女の一生』は大正二年に和訳されたとき付けられたらしいが
現在だったらこの題名にはならないのでなかろうか
「女性の生涯とはだいたいこのようなものであるとして、作者から客観的に外からながめられている」
というように解説には書いてある
ほほう
「朝ドラ」のようなものは小説の分野でいうなら何にあたるのだろうか
主人公が男性の場合だったらどうか
主材料における「仕事」「家庭」の割合の違いの他に
男性と女性はそれほど明確にわけられるものだろうか
この作品では「ある1人の女性の半生」を
「だいたいこのようなもの」と表現するには不十分
修道院時代がまるきり空白であるし
解説にあるように本編も短編の断片のつながりでしかなく
主人公の家族に向ける視点しか書かれていない
都会へのあこがれはなく田園に住みたがるのだが
新婚旅行はイタリアに行きたがるのである
主人公の行状に「だいたいこのような」とみられる
すなわち「朝ドラ」のような一面は確かにあるものの
それは男性側である彼女の夫も彼女の両親のどちらにも変わらずあるものだ
この時代のある「生涯」がこの小説のようで
それが100年後にも「だいたいこのような」普遍性を持つのは確かでも
「女性の」だけ
であることにはかなり疑問
同じように教養小説といったら男性のもので
女性は「少女」「娘」の次は「妻」で「母」で上がりであるのは
だいたいそうかもしれないが
男だっていつの時代でも家庭においてはだいたいそのようなものである
外では仕事で名誉で英雄で事跡で歴史で蹉跌で諦観で教養小説なのかもしれないが
家庭のなかだけだって仕事とだいたい同じようなものではないか
演じるひとは同じなのだから
と(この題名をよしとする)解説に文句を書いたが
内容には特になし
この前に読んだ武者小路せんせいの『友情』と比べると
どちらが「古い」のかわかったものではない
その時代を描くことの結果が
どの時代でも変わらぬひとの在りかたでなければならなく
そのほうが偉くて高くで良い
というわけではもちろんないが
100年後も読まれるのがどちらかは明らかである
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