小説 日本婦道記

小説 日本婦道記

小説・文芸
528円 (税込)

2pt

千石どりの武家としての体面を保つために自分は極端につましい生活を送っていたやす女。彼女の死によって初めて明らかになるその生活を描いた『松の花』をはじめ『梅咲きぬ』『尾花川』など11編を収める連作短編集。厳しい武家の定めの中で、夫のため、子のために生き抜いた日本の妻や母の、清々しいまでの強靱さと、凜然たる美しさ、哀しさがあふれる感動的な作品である。

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小説 日本婦道記 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    奇遇にも愛媛県旅行中にこの一冊を読む。
    二十三年、は伊予松山でのお話。

    哀しくも美しい武家に生まれた女の話。
    平等叫ぶ現代では受け入れられ難いものも多いものの、自ら律するため、或いは過去の日本を知る縁として、良い一冊だと思った。

    初めて祖先の墓へまいるのに遊山を兼ねるのは不作法だと思う、
    糸車 p121

    0
    2021年10月14日

    Posted by ブクログ

    (再読)この四半世紀で価値観がだいぶ変容したように思う。この作品が発表された時代においても賛否両論あったのだが、現代においては更に受け入れがたい諸氏が大半なのではないだろうか...。ただ、私はつつましやかにけなげに生きていきたいと共感してしまうのです。

    0
    2021年08月23日

    Posted by ブクログ

     「人の道」を説く山本周五郎の名作「小説 日本婦道記」、1958.10発行、11話が収録されています。妻たる道(覚悟)を描いた「松の花」「不断草」、母たる道を示した「箭竹(やだけ)」、姑たる道を示唆した「梅咲きぬ」、娘の道を貫いた「糸車」・・・、感動しました。「糸車」「松の花」「不断草」、秀逸です。

    0
    2021年02月28日

    Posted by ブクログ

    もし無人島に1冊の本を持っていくことを許されるならこの本を選びます
    女性で生まれたことを誇らしく思える
    私にとって大切な1冊です

    0
    2020年10月07日

    Posted by ブクログ

    時代小説好きの友人がお勧めしてくれた作家、山本周五郎。司馬遼太郎、藤沢周平は好きだけれどどちらかといえば「坂の上の雲」のような近代を舞台にしたものが好みなのでなんとなく読む機会が無かった。けれど、これほど読んでよかったと思った本は最近ないかもしれない。短編集だが、どの作品にも自分を見失わず凛と生きる美しい女性が描かれている。「女性はこうあるべき」という押し付けがましい本なのかとタイトルから早合点していた自分がちょっと恥ずかしい。日本語を母国語としてこの小説を堪能できる幸せに感謝。

    0
    2016年02月12日

    Posted by ブクログ

    武家の時代に生きた女性を描いた短編集。文庫本の裏表紙には連作集とあるが、すべて独立しており個々の話の繋がりはない。

    内容的にはいつもの周五郎節で、弱者にむけた温かい眼差しが心地良い。個人的には「墨丸」が一押しだが、11編全てに味わいがあるので老若男女関係なく楽しめるだろう。

    いつの時代も女性は強い。凛とした美しさ、とはこういうことを指すのだなあとしみじみ思った。

    0
    2015年01月01日

    Posted by ブクログ

    山本周五郎の書に「小説 日本婦道記」があります。
    その中に「風鈴」という作品があります。
    物語はこうです。

    主人公・弥生は夫、三右衛門と一人の男の子の三人で
    つつましやかに暮らしております。
    わずか十五石の下級武士である。
    一片の塩魚を買うにも、財布と相談しなければならない。

    そんなある日、良家に嫁いだ二人の妹が
    実家である姉・弥生の家を訪れる。
    相変わらず質素な生活を送っている姉に、
    「お姉さまこんなにして一生を終っていいのでしょうか、
    いつまでもはてしのない縫い張りお炊事や、煩わしい家事に追われとおして、
    これで生き甲斐があるのでしょうか」
    二人の妹は母が早死にしたため、彼女の手一つで、
    厳しい生活の中、彼女のやりくりよって育てられたのです。

    妹たちの言葉によって、彼女はあらためて、これまでの生活を振り返ります。
    「冷える朝の厨(くりや)で水を使いながら、
    またひょうひょうと風の渡る夜半、
    凍える指さきを暖め暖め縫い物をしながら、
    弥生は再び生き甲斐ということを思いはじめた。」
    彼女はもんもんとします。これまでの辛苦は何だったのだろうと。

    養子である夫はあまり口をきかないけど、温厚な人である。
    彼は農民とじかに接し、その年の年貢の割合を決める部署にいました。
    でも、役どころでいえばかなり低い立場にあった。
    従って、生活は相変わらず厳しい。
    こうした実情をみかねて、妹たちはそれぞれの夫をとおして、
    もっと役替えをすすめたが、彼はかたくなに固辞します。

    ある日、上役が彼の家を訪ねてくる。
    二人はよい碁仇がたきでした。
    やがて碁も終わりました。そして、案の定、役替えの話となった。
    彼女は耳をそばだてます。
    彼は言う、「役所の仕事というものは、
    どこに限らずたやすく練達できるものではありません。
    …だれか私に代わるべき人物がございましょうか」
    「いや、それはいない」と上司。
    「その人たち(義弟)には私が栄えない役を勤め、
    いつでも貧寒でいることが気のどくにみえるのです。
    …身ぎれいに気ままに暮らすことが、
    粗衣粗食で休むひまなく働くより意義があるように考えやすい。
    …(たとえ出世しても、さらに上をと)人間の欲望には限度がありません。
    …大切なのは身分の上下や貧富の差ではない。
    人間と生まれきて、生きたことが自分にとってむだではなかった。
    世の中のためにも少しは役だち、意義があった、
    そう自覚して死ぬことができるかどうかが問題だと思います。」

    彼女は夫の言葉によって、これまでの迷いが霧散しました。
    「縫い張りや炊事や、良人に仕え子を育てる煩瑣な家事を
    するかしないかが問題ではない、
    肝心なのはその事の一つ一つが役だつものであるかどうかだ。
    …少なくとも良人や子供にとってかけがいのない者ならなくては」

    周五郎は「男は外で仕事、女は家事」といった
    古い固定観念で書いているのではありません。
    それはこの小説全体を読んでいただければわかるのではないでしょうか。
    この「小説 日本婦道記」は女性讃歌だと思います。
    むしろ、私たち男性が読むべき本かもしれません。

    尚、この作品は直木賞に推されましたが、彼は固辞しました。
    直木賞の辞退者は後にも先にも彼だけです。
    そして、文学賞と名のつく賞はすべて固辞しています。

    0
    2014年06月07日

    Posted by ブクログ

    女性は一読すべきと思います。
    現代では難しいかもしれないけど、日本女性として産まれたなら忘れちゃいけないし、こうありたいと感じさせられる本。

    古臭い、と敬遠する方もいるかもしれませんが私はこの世界観が好きです。

    0
    2013年01月21日

    Posted by ブクログ

    年齢を経て読むほどに味わい深い。生き方を教えられるところ多し。でも反発する人も多そうだ。しかしこの生き方を自分で選び、そこに満ちて生きていければ、それこそが誇り高い生き方だと思うよ

    0
    2012年08月29日

    Posted by ブクログ

    形や言葉じゃなく、信条と本物の愛で亭主と家督を支える、武家の妻・日本の女の姿。
    自分を振り返ってみるには時代が違いすぎるけれど、この国の女と生まれたからには、心根として持っていたい。
    せめて知っていたい、そんな潔さ。
    シュッて背筋が伸びちゃうような、そんな短編集。
    大好きな一冊。

    0
    2012年01月19日

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