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史上空前の大帝国をつくりだしたモンゴル人は、いまも高燥な大草原に変わらぬ営みを続けている。少年の日、蒙古への不思議な情熱にとらわれた著者が、遥かな星霜を経て出会った一人のモンゴル女性。激動の20世紀の火焔を浴び、ロシア・満洲・中国と国籍を変えることを余儀なくされ、いま凜々しくモンゴルの草原に立つその女性をとおし、遊牧の民の歴史を語り尽くす、感動の叙事詩。
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Posted by ブクログ 2021年02月28日
打ちのめされました。短い文庫本。
ほとんど「街道を行く」のスピンオフなのかな、という感じなんですが。
モンゴルの女性の話で、どうやら実在の人物で、司馬さんが数回は会っているヒトのお話し。
戦前戦中戦後にかけて、日本とソ連と共産中国とモンゴルの「政治」に翻弄されて家族と人生をズタズタにされた女性の人...続きを読む
Posted by ブクログ 2013年09月04日
司馬遼太郎は、1923年生(大正12年)まれ。
大阪外大のモンゴル語科。
モンゴルには、思い入れがある。
匈奴と言われる遊牧騎馬民族がいた。
モンゴル語で、人とは、フンという。それから、フン族となった。
モンゴルは、空と草しかない。
草は、土に根を張り、土を守る。
耕せば、それは、土がむきだしとな...続きを読む
Posted by ブクログ 2009年12月22日
司馬遼太郎の年来の心のふるさとであるモンゴルについて語った紀行であり評伝である。
モンゴル民族は、著者の言葉を借りれば、「奇跡的なほどに欲望すくなく生きて」きたのである。
このふしぎな民族を象徴させるように、13世紀に帝国の基礎を築いたオゴタイ・サーンと現代史の非情を淡々と生きぬいた知的な女性「...続きを読む
Posted by ブクログ 2009年10月04日
この本を読んで、漢民族と草原の騎馬民族の考え方が根本的に違う根っこの部分が、始めて納得できた。
司馬御大はエッセイも素晴らしいが、この本の書き出しは絶妙だと思う。
以下に引用する。
「空想につきあっていただきたい。
モンゴル高原が、天にちかいということについてである。」
この2行だけで、中国史を好き...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年03月16日
静かな感動を覚えた1冊。
1人のモンゴル人女性の生き様をとおして、20世紀のモンゴルと歴史が描かれている。
当時の様子、人の生き様が目の前に現れてるいるかのように表現され、圧倒される。
壮絶な生き様なはずなのに何処となく軽やかに感じられるのは、筆者の力か、それともモチーフとなった女性のお人柄なのか。...続きを読む
Posted by ブクログ 2016年10月07日
著者が大阪外国語大学の蒙古語学部出身というのは有名な話だが、本書は1992年刊行だから著者にとって最晩年の作品と言える。司馬さんはなぜ、数々の日本の歴史小説を書き終えた末に、遊牧民の文化を切り取る紀行文に取り掛かったのか……?
その意図を正確に知ることはできないが、刊行された90年代初頭はちょうど世...続きを読む