アメリカの高校生による、原爆投下の是非についてのディベート小説
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アメリカの8人の高校生が、広島・長崎に落とされた原子爆弾の是非をディベートする。肯定派、否定派、それぞれのメンバーは、日系アメリカ人のメイ(主人公)をはじめ、アイルランド系、中国系、ユダヤ系、アフリカ系と、そのルーツはさまざまだ。はたして、どのような議論がくりひろげられるのか。そして、勝敗の行方は?
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日本から出版された児童書という時点で、結論はどうなるか予断を持って読み進める事になる
著者はアメリカ ニューヨーク州在住
恐らく、現地の方々と接した上での意見なども反映されているのだろう
参加者は全て戦争については反対であるという前提だけれども
第二次世界大戦での原爆投下に限定した是非について
肯定派と否定派に分かれてのディベート
肯定派の主張として
戦争が続けば、日米双方の被害者数がさらに増えたであろうという主張
ただ、当時の発言や私信を掘り起こすと、日本側の被害についての言及がなかった
また、被害人数の予測が戦後に増えていった過程があり
何百万もの被害を防げたという主張には信憑性がない
核爆弾が終戦を決意させたという欺瞞
アメリカの首脳部はロシアの参戦の情報を知っていた事
それにより終結するという予測をしていたという記録があるため
戦争を終わらせるための原爆投下という理屈は成り立たない
人体実験としての意図があったという疑惑
また、人種差別としての側面
パールハーバーのリベンジという主張
どれほどの被害があったのか?そして死者の直接の要因は?
事前に参戦を知っていたという情報もある
日本軍の行った中国での虐殺
ただ、それを他の国が理由にする事はできないし
やられたらやり返すという主張が許されていいわけではない
広島の人は日本は「罪のない人」だったのか?
国民総動員法があったため、軍人とみなしてよいという主張
日本の教科書の自虐史観
広島の慰霊碑にある言葉
「安らかに眠って下さい 過ちは 繰返しませぬから」
英語に翻訳すると、日本人が自らの過ちを認めているという主張
ただ、日本語は主語がなくても成立する
ここでの「過ち」の主語の真意
個人的に、特に目新しい歴史的な情報ななかった
ただ、アメリカ人の思う「正しさ」の論拠は伺い知れる
戦争に賛成という人は殆どいない
戦争に反対する人でも、原爆の投下を肯定する人たちの意見というのに興味があった
何故世の中から戦争はなくならないのか?という問いの答えが書かれてある気がする
悪の暴走を止めるために核兵器は必要だと主張する登場人物がいるけど
正義の戦争なんてものは存在するのかね?
「ナチス・ドイツのような絶対悪が台頭してくれば、それに立ち向かうためには、強い軍が必要です。ナチス・ドイツと同盟を結んでいる国があれば、その国を叩きつぶすために、原爆が必要です」とスノーマンは言っているけど
誰がナチス・ドイツと同じ悪だと決定するのかね?
今現在、進行形でロシアとウクライナの戦争が行われているけど
どっちが正しくてどっちが間違っているとか、スノーマンは断言できるのだろうか?
断言できるとしたら、それこそどちらかに核爆弾を落とせばいいという事になってしまうけど?
抑止力としてのみの核兵器に意味はない
実際に使えるけど使わずに抑止力とできるものかね?
そもそも、これまでの常任理事国以外の核保有国の誕生を振り返ってみると
核兵器を開発しようとしている段階ではアメリカは強く出られるけど
既に所持しているとわかった時点で手控えている
この行動自体がが、核の抑止力の説得力を強めている
その理屈でいくと、すべての国が核保有国になる未来しかないのだが?
戦争というものは、平和にするために引き起こすという矛盾をはらむ
ロシアがウクライナに侵攻したのだって、自国の安全保障のためと主張しているわけで
その背景に核保有国である要因があるのならば、核兵器は他国の参戦を防ぐという悪い意味での抑止力の意味を持つ
だから、抑止力と言えど核兵器は容認してはいけないと思うよ
まぁ、そんな理想を掲げたところで、今更ゼロにするのも難しいけどね