あらすじ
アメリカの8人の高校生が、広島・長崎に落とされた原子爆弾の是非をディベートする。肯定派、否定派、それぞれのメンバーは、日系アメリカ人のメイ(主人公)をはじめ、アイルランド系、中国系、ユダヤ系、アフリカ系と、そのルーツはさまざまだ。日系アメリカ人のメイは、原子爆弾否定派として、演壇に立つことになる。はたして、どのような議論がくりひろげられるのか。そして、勝敗の行方は?
原子爆弾や戦争を体験していない現代に生きるあらゆる出自の十代が、それぞれに抱く考え方の違い。今後の世界を生きていく若者たちに考えてほしい、議論してほしいテーマを扱った、日本人作家による、YAジャンルのあたらしい試みともいえる作品。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
アメリカの高校生による、原爆投下の是非についてのディベート小説
---------------
アメリカの8人の高校生が、広島・長崎に落とされた原子爆弾の是非をディベートする。肯定派、否定派、それぞれのメンバーは、日系アメリカ人のメイ(主人公)をはじめ、アイルランド系、中国系、ユダヤ系、アフリカ系と、そのルーツはさまざまだ。はたして、どのような議論がくりひろげられるのか。そして、勝敗の行方は?
---------------
日本から出版された児童書という時点で、結論はどうなるか予断を持って読み進める事になる
著者はアメリカ ニューヨーク州在住
恐らく、現地の方々と接した上での意見なども反映されているのだろう
参加者は全て戦争については反対であるという前提だけれども
第二次世界大戦での原爆投下に限定した是非について
肯定派と否定派に分かれてのディベート
肯定派の主張として
戦争が続けば、日米双方の被害者数がさらに増えたであろうという主張
ただ、当時の発言や私信を掘り起こすと、日本側の被害についての言及がなかった
また、被害人数の予測が戦後に増えていった過程があり
何百万もの被害を防げたという主張には信憑性がない
核爆弾が終戦を決意させたという欺瞞
アメリカの首脳部はロシアの参戦の情報を知っていた事
それにより終結するという予測をしていたという記録があるため
戦争を終わらせるための原爆投下という理屈は成り立たない
人体実験としての意図があったという疑惑
また、人種差別としての側面
パールハーバーのリベンジという主張
どれほどの被害があったのか?そして死者の直接の要因は?
事前に参戦を知っていたという情報もある
日本軍の行った中国での虐殺
ただ、それを他の国が理由にする事はできないし
やられたらやり返すという主張が許されていいわけではない
広島の人は日本は「罪のない人」だったのか?
国民総動員法があったため、軍人とみなしてよいという主張
日本の教科書の自虐史観
広島の慰霊碑にある言葉
「安らかに眠って下さい 過ちは 繰返しませぬから」
英語に翻訳すると、日本人が自らの過ちを認めているという主張
ただ、日本語は主語がなくても成立する
ここでの「過ち」の主語の真意
個人的に、特に目新しい歴史的な情報ななかった
ただ、アメリカ人の思う「正しさ」の論拠は伺い知れる
戦争に賛成という人は殆どいない
戦争に反対する人でも、原爆の投下を肯定する人たちの意見というのに興味があった
何故世の中から戦争はなくならないのか?という問いの答えが書かれてある気がする
悪の暴走を止めるために核兵器は必要だと主張する登場人物がいるけど
正義の戦争なんてものは存在するのかね?
「ナチス・ドイツのような絶対悪が台頭してくれば、それに立ち向かうためには、強い軍が必要です。ナチス・ドイツと同盟を結んでいる国があれば、その国を叩きつぶすために、原爆が必要です」とスノーマンは言っているけど
誰がナチス・ドイツと同じ悪だと決定するのかね?
今現在、進行形でロシアとウクライナの戦争が行われているけど
どっちが正しくてどっちが間違っているとか、スノーマンは断言できるのだろうか?
断言できるとしたら、それこそどちらかに核爆弾を落とせばいいという事になってしまうけど?
抑止力としてのみの核兵器に意味はない
実際に使えるけど使わずに抑止力とできるものかね?
そもそも、これまでの常任理事国以外の核保有国の誕生を振り返ってみると
核兵器を開発しようとしている段階ではアメリカは強く出られるけど
既に所持しているとわかった時点で手控えている
この行動自体がが、核の抑止力の説得力を強めている
その理屈でいくと、すべての国が核保有国になる未来しかないのだが?
戦争というものは、平和にするために引き起こすという矛盾をはらむ
ロシアがウクライナに侵攻したのだって、自国の安全保障のためと主張しているわけで
その背景に核保有国である要因があるのならば、核兵器は他国の参戦を防ぐという悪い意味での抑止力の意味を持つ
だから、抑止力と言えど核兵器は容認してはいけないと思うよ
まぁ、そんな理想を掲げたところで、今更ゼロにするのも難しいけどね
Posted by ブクログ
ディベート形式で書かれていて、読んでいて次の展開が気になり、どんどん読み進められた。戦争について知らなかったことも多く、この本を通して多くの学びを得た。最後の勝敗の決定打ともいえる日本語の解釈に心が震えた。幅広い年代層に読んで欲しい。
Posted by ブクログ
アメリカの高校生8人による、原爆に関する討論。
とても臨場感のある文章で、目の前で実際に討論が行われているかのような気持ちになる。
そして、原爆がどうして起きてしまったのか、どうするべきだったのか、という中心的な問いに加え、人種のあるべき形や日本語の豊かさもよく考えさせられる一冊だった。また、自身の考えの偏りも強く感じた。
初読は小学生。なんの知識も持たず、ただ表紙に惹かれて取ったが、否定派に強く共感し肯定派に腹を立てた記憶がある。原爆に至ったその経緯も知らないのに、「原爆を肯定する」という言葉に酷く嫌悪感を覚えた。今思い返すと、日本を教育を受けていることで考えが偏っていると改めて考えさせられる。
また、アメリカに住む日本人と、日系アメリカ人。似たような境遇でありながら日本とアメリカどちらに気持ちを寄せるのかという点も読んでいて面白い。何系であっても、何人であっても、その生まれに考えは直結しないのだと思う。
言語の違いに言及される箇所もまた面白い。
「あやまちは二度と繰り返しません」
日本人ならば聞いたことくらいはあるだろうこの言葉の、主語は何なのか。you でも I でもない、全て。その選択が出来る日本語という言語の奥深さに、感動した。
中々に浅く、感じたこと全てを伝えられない自分の語彙に悔しさを感じる。それでも、小学生の頃から、何度も読み返し何度も感想文を書いてきた私のお気に入りの一冊だ。小学生でも読み切れる内容であったので、高校生の今、本を読み慣れていれば1日もあれば読み切れるだろう。
是非、人生で一度は手に取ってほしい。
Posted by ブクログ
私は広島出身、広島在住。小さい時から8月6日は特別な日で、地場企業も当日は休業としていた記憶がある。事実街のある所ではモニュメントも数多くあり、リアルタイムで感じている。
でも、この作品程原爆を知らない、なんかリアル世界では、もういいじゃないかみたいな感じ。終戦こんだけ経ったんだよ、みたいな特集番組がこの時期目立つ。せめてこの作品が指し示す想いを皆んなが共有できたらと思う。本当に素晴らしい作品に出会えた。
Posted by ブクログ
戦後80年の節目の年、何か戦争や平和に関する本を読みたいと思い、手に取りました。
フィクションとして書かれていますが、知識を得るために読むこともオススメします。日本人として、被爆国の国民として、私自身あまりにも知らなかったことが多すぎて、恥ずかしさも感じるほど、情報量もとても多いと思います。
そして、日本人や被爆者からの目線ではなく、原爆を落としたアメリカの国民の目線から描かれる作品もとても珍しく新鮮でした。高校生が行うディベートで作品が進んでいくため、リズムよく読めました。
この夏、1番の作品です。
Posted by ブクログ
夏。戦争と平和について考える。
1945年、広島と長崎に落とされた原爆について、アメリカに住む高校生たちがディベートをする。
日本人の私は、原爆が落ちたこと、空襲があったこと、そんな大まかなことは知っていても、
他の国に日本がしてきたことや、日本以外での国で起きたこと等は知らないことも多くてとても勉強になった。
そして、平和について改めて考えることができました。
p182〜184
日本語というのは、英語と違って、主語がなくても文章が書けるの。
日本語の『私』は、まるで風か水か空気みたいき、自己主張をすることなくら『あなた』に溶けこむような形でら『世界』と一体化するような形で、存在しているの
このメイの母親の言葉を読んで、日本語を使う私たちと英語を使うアメリカの人たちの考え方、感じ方が違うこと。広島の慰霊碑に刻まれた言葉について深く考えされられ、感動しました。
この夏、色んな人に読んで欲しい1冊。
Posted by ブクログ
読みたいと思っていたのをやっと…。
毎年夏になると気になっていて、夏が過ぎる前に読もうと、ようやくである。
アメリカに住む8人の高校生が、「原爆」について公開討論会をする話である。
原爆肯定派と否定派が話す内容の濃さは、想像をはるかに超えていた。
きっかけが何であるのか…
真珠湾攻撃が卑怯だったのか…
南京虐殺は…
人種差別は…
日本人部隊第442連隊のこと
日本の教科書に書かれてあることの意味。
最後に何故戦争をするのか⁇
戦う相手は、人間であってはならない。
われわれの共通の敵は、無知や憎悪や偏見であり、憎しみは外側じゃなくて内側だと気づかされた。
考えて考えて、もし結論が出なくても思ったことを言うのは大切で、誰かの答えに何かを気づくきっかけにもなる。
誰か正しいかよりも心が動く気づきがとても大切だと感じた。
若い世代には読んでもらいたい一冊。
Posted by ブクログ
4歳の娘が「へいわってすてきだね」という絵本を最近何度も読んでいて、そこから影響を受けて選んだ本。
「自分とは違う考えを持つ人に耳を傾ける。」こんなことが、大人になるとなかなか難しくて。
でも、その凝り固まった考えをほぐしていくことで見える世界が広がるのかもしれない。これからを生きる子どもたちにもこうやって、大きな世界を魅せられたらなぁ。
Posted by ブクログ
ずっと気になっていた本をようやく。
原爆投下の是非について、アメリカ人の高校生が賛成か反対かに分かれて討論する、というもの。学生たちのバックグラウンドがさまざまで、本当によく考えられた設定。
慰霊碑の言葉のところは日本語論にもつながって。
中高生はぜひ手に取ってほしいなあ。
Posted by ブクログ
物語の設定は2004年5月から
ハイスクールの学生が原爆肯定派・原爆否定派それぞれ4人のメンバーでディペートを行う
生い立ち、環境の違う各人のスピーチは、原爆のことをほんの少ししか知らない私にとっては、とても視野が広がり、この本を日本人が作ったこと、2019年には課題図書となったという日本の21世紀に少し嬉しくなりました
あやまちは二度とくりかえしません
この碑文のことばの説明にあたる部分にも心打たれました
主語のない日本語の心の幅
今、広島が世界のシンボルとして存在する力
を感じました
伝えていきたい本だと思います
Posted by ブクログ
青春テーマの本探しにて。
原爆投下の是非についてアメリカの高校生がディベートを行う。高校生たちの大人っぷりに驚かされる。平和の実現は個人から、人種も国境も超えて、と言えるのが若さか。
Posted by ブクログ
ブク友さんの間で、課題図書ともいわれていたのにやっと今ごろ手に取りました。
紹介してくださったブク友の皆さま方、ありがとうございます。
2004年の夏、出身国の異なる八人の高校生が、日本の広島、長崎への原爆投下についての公開討論会をするお話です。
八人は原爆肯定派四人と、原爆否定派四人に分かれて一人づつ交代に議論を交わします。
主人公で十年後日本の中学の先生になったメイは日本生まれで否定派です。
私は中学や高校の時、歴史の授業では近代史はいつも、教科書に授業が追い付かず、広島、長崎のことはあまり学んだ記憶がありません。
日本がどれだけ戦争で悪いことをしていたのかは、全然知りませんでした。
また、アメリカその他の国にによる日本人への人種差別も知りませんでした。
もう、どれだけ知らなかったのか…。
この小説はYA向きで、とにかくとてもわかりやすい討論で一冊終わるので、その辺のことがとてもわかりやすく書かれていました。
<安らかに眠って下さい
過ちは
繰り返しませぬから>
広島の慰霊碑にどれだけ深い意味が込められているのかを知りました。
Posted by ブクログ
アメリカの8人の高校生が、広島・長崎に落とされた原子爆弾の是非をディベートするお話。
色々調べて自分の意見を道筋つけて大勢の前で話す姿に、ただただびっくりで。こういう教育も今後日本でも取り入れられていくのかな。
この本を読みたいなっとお気に入りに入れて1年半。早く読んどけば良かったです。色々な角度から物事を捉える必要性等多くの学びを得ることが出来ました。
Posted by ブクログ
ひまわりめろん師匠からの夏の課題図書。兄弟子の1Q8401さんも早々に読まれている事ですし早速拝読しました。
本に関するレビューは素晴らしいものを一門の皆さん始め、多くの方があげていらっしゃるので私は思った事を素直に書こうと思います。
まず、日本の教育機関もこういったディベートの授業を取り入れるべきだと思います。
本書では自発的にジャスミンが討論会を催しましたが、アメリカではそもそも授業の一環としてディベートが取り入れられています。(主に政治に関してらしいですが)
本書にも書かれていましたが、日本人は本来思いやりが深く、他人の意見を尊重し寄り添う事が出来ます。
ところが、どうも昨今は寄り添うという行為が、行き過ぎた同調圧力に変わってしまっている気がしてなりません。
以前に60代の方とお話する機会があったのですが「僕が若い頃の日本人は、皆もっと他人を思いやる事が出来た。今は他人を思いやる余裕の無い人が多い。」と仰っていました。
終身雇用が瓦解し、経済も不安定になりSNSに支配され、日本全体がどことなく暗くなっているからという理由もあるとは思うのですが、本書のように意見を激しく戦わせても相手を尊重し合う、これを少しでも良いので日本人も出来るようにならないと、これからの日本のより良い未来への1歩が進めない時代になって来ている気がしています。
SNSで好き放題に意見を書き散らかして相手を否定して、討論をしたつもりになっている残念な方々には是非とも本書を読んで頂きたい。
真の意見交換とは何かを学んだ方が良いと思う。
話が逸れましたが、本書を読む前に予習として井上吉國さん著『あの日の前後』(原爆の体験記)と、回天の操縦士として散って行かれた隊員の方々の遺書を拝読した事が原因で、本書の原爆肯定派達の意見に対して本気で頭に来てしまう自分がいました。
特に肯定派のスノーマンの発表に怒り心頭してまった私。
〈安らかに眠って下さい
過ちは
繰返しませぬから〉
日本人が慰霊碑に刻んだこの三行を参考文献に、日本人も軍事基地であった広島が狙われた事実を受け入れていると解釈した彼。
「いいですか、ぼくも、ぼくたちも決して、原爆投下を無条件で肯定しているわけではないのです。戦争中ではありましたが、あのように非人道的な破壊兵器が使用されたことについては、胸を痛めています。広島、そして、長崎で亡くなった人たち、いえ、戦争によって傷つき、亡くなった人たち全員の悪よ、安らかに眠れと願っています。ただ、アメリカ人としてぼくらが忘れてはならないことは、日本人がみずから、自分たちの犯したあやまちを反省しているということ。日本人の懺悔、日本人の反省に敬意を表するためにも、ぼくたちは原爆投下を肯定していきます。それをしなかったら、日本人の懺悔に報いることはできません。」
待て待てぇーい!!!
これはそういう意味じゃねえよ!!
今すぐ私も参加させろ!こんちくしょうが!!
と息巻いていたのですが、待っていた最終討論で大反省しました。
日本人を母に持つ主人公のメイが、きちんと冷静に心を込めてこれに対して反論します。
結局は私もディベート慣れしていない未熟者なのです。
そうでなくても戦史については少し右寄りになってしまう癖があるので、戦史を学ぶ時はそこに1番注意を払っていたつもりなのですが、まだまだ若輩者だと思い知りました。
最終討論…稚拙な感想しか出てこないのですが、非常に感動しました。本当に感動した。
こんなに真剣に世界平和について心を込めて考える学生の様子を、創作とは言え目にする事が出来るなんて。
特に442連隊を例にあげた発表は本当に胸が熱くなりました。極限の状況でも人は命を懸けて他者を救おうとできるんです。
戦争を無くせる日が本当に来るかもしれないと夢を見させてくれる発表でした。
(命令だから、という意見もあるとは思いますが)
アメリカが悪いとか日本が悪いとかそういうミクロ視点から見るのではなく、国家、人種を超えて相手を尊重して理解しようとしなければ世界から戦争は無くならないんですよね。
戦争は必要悪だという意見を持って来られたら残念ながら今の私では全否定は出来ません。
真珠湾攻撃も、やらざるを得なかった日本の事情も分かりますし、アメリカとの戦争にずっと反対していた山本五十六艦長が奇しくも英雄になってしまった心境を思うとその葛藤はいかほどだろうかと切なくなります。
だから私達はこういった書物を手に取り、学び、全否定までは出来ずとも肯定派に「確かにそうかも知れない」と思いとどまらせる事が出来るようにならなければならない。
ひまわりめろん師匠、確かにこれは課題図書にするべき作品だと思いました。
なんなら全学校の夏の課題図書にしても良いと思います。
素晴らしい作品でした、ありがとうございました!!
原爆投下についての私の意見なのですが、
こればかりは怒り120%です。
この手の話を書き出すと際限がなくなってくるので簡単に書かせて頂きます。
彼だけが悪いと言う訳ではないんですがね。
トルーマン大統領…
ソ連が日本に進軍すると決めた時点で日本が降伏に向かう事自体、分かってたでしょうが!!
落とす必要がどこにあるんだよ!実験だか人種差別だか、経済悪化のせいだか、世界のリーダーになるためだか知らないけど、やってる事が某ちょび髭と同レベルだからな!!!
やはり私は討論には向いていないかも知れない…(猛省せよ)
最後に本書とは関係ないのですが、回天と共に散っていった隊員の同期であった方の一言がシンプルながらも説得力があり、今でも頭に残っていますので書いておきたいと思います。本当に簡単な言葉です。
「戦争は、いかんな。」
あ、1Qさん。今回の感想文は第三の人格、雪見酒αが半分出ばっています。(台無し)
Posted by ブクログ
表紙からは想像もできない濃い内容。原爆投下について語り合い平和とは何かを見つけていくアメリカの高校生8人のひと夏の熱い思い。原爆について教科書の内容しか知らない人に読んでほしい。
Posted by ブクログ
広島、長崎に落とされた原爆の是非を巡ってアメリカの高校生たちがディベート形式で議論する話なんですが惹き込まれてしまいました。
肯定派と否定派に分かれて繰り広げられる議論。多方面にわたる資料を分析して導き出してゆく手法はスマートだし、感情に訴える演出力も表現方法として胸を撃つ。
朝はご飯派かパン派かってどっちでも良さそうな話じゃなくって次の世代を担う高校生たちが、かなり重要なテーマについて自分たちの主張をぶつけ合うなんて素晴らしく思いました。断片的にしか知らなかった戦争の事実も改めて向き合うことできたし交わされる意見にはどちらにも頷きたくなる。浮き彫りにされる思惑にはゲーム感覚もあるんだけど。主張するだけでなく相手の意見も聞く姿勢等、理知的なところも文化の違いにエキサイトしました。
平和を創造することのできる個人がいたこと。こうゆうエピソードはジーンときました。
主語のない日本語の誤訳からの挽回は見事だったし、言語、文化の違いから発想も違う。相互理解するには知識も時間も必要だけど、互いに許して愛しあう簡単なようで難しくしてるのは、内なる敵の無知、憎悪、偏見なんだと。
またまた良い本を手に取ることができて爽快でした。
最後のページに核関連の年表が掲載されてましたがその歴史は1895年11月エックス線の発見から今日に至るまで続いてるんですよね。
Posted by ブクログ
母を日本人に持つアメリカ人、メイは夏休みに「原爆は肯定されるべきか否か」のグループディベートに挑む。
うっかり小手毬さんという作家を知りませんでしたが、これはすごい本でした。 広島・長崎に落とされた原爆については戦争を終わらせるために必要だった、むしろポジティブな形で受け入れられているのがアメリカ、という印象がありますが、このことをテーマにした子どもたちによるディベート対決のお話です。本自体は中学生向けなのかな。文字も大きくてすぐに読めてしまう。でも読んだ後にもたれるこのボリューム感。ずっと頭の芯が熱を持っている状態で、こういう本を読んだのは久しぶりな気がしました。
何しろすごいのがこの多層にわたって込められている情報量。血筋も考え方も「アメリカ人」という一言で括れない人たちの細やかな描写や第二次大戦時の出来事とその関係性、そしてもちろん原爆の是非(戦争の是非)。このテーマを多層に分解して中学生レベルの読み物に落とし込んであるのだから、これはすごい。しかもディベートという競技についてもよく踏み込んでいて、ミスリードや議論のすり替えなんかを(多分登場人物が意図的に)やったりするところも面白いのです。この「アメリカ」への解像度の高さは実際に作者がアメリカ在住だから見えることなのでしょうか。
ともあれ、中学生向けということもあるのか、少し無理にエピソードを畳んだような気もするのですが、なにしろこの難しいテーマを折り込んでコンパクトに優しく描いて見せた小手毬さんに脱帽です。これ、日本人とアメリカ人全員読んでいいと思います。そしてなぜ戦争が起きるのか、なぜ戦争がなくならないのか、平和とは何か、じっくり考える機会にして欲しい。
折しもウクライナ戦争に次いで今年はガザで悲劇が起こり、世界はまた分断と戦争の匂いに満ち溢れるようになってしまいました。そうした中でこういう本とメッセージは世界中のたくさんの人に届いて欲しいと感じました。
Posted by ブクログ
アメリカの高校生8人による原爆についての討論会。
4人に分かれて、肯定派と否定派に分かれての討論。
途中人種差別の事も話し合っていたが、
人類は平和に過ごすこと、戦争はしてはならぬという事。
今、ウクライナとロシア、イスラエルとガザ地区の戦争。
罪のない一般の人々を銃や爆弾で殺害したり、人質にとったりと、毎日疲弊する映像を見ると心が痛む。
この討論会のように、平和な地球が訪れることを祈りたい。
Posted by ブクログ
今読むべき物語でした
アメリカで色々なルーツのある学生が、
4対4でディベートする
原爆投下は正しかったという論を
肯定するか、否定するか
第二次世界大戦のころの
ナチスのことや、南京大虐殺のこと、
日本の蛮行、政治的駆け引きなど
ありとあらゆる過ちが論じられた
まさに、戦争はどちらも大敗
平和のための武器なんてない
武器で守られてる平和って平和じゃないと思う。
戦後80年
戦争放棄は正しいと思う
そろそろ他の国にもわかってほしい
武器はいらない
爆弾もいらない
最後が物足りなかったので
星は5にちかい4つ
Posted by ブクログ
日系アメリカ人の女子高生が、アメリカで「原爆投下の是非を問う」討論会に参加することになった。白熱する試合の行方は。
面白かった。「ディベート的」に証拠資料の使い方の巧さ、スピーチの巧さが光る。原爆の是非について考えさせられまくり。自分が知的だと思ってる人必読
Posted by ブクログ
はじめてこの作家さんの作品を読んだ。
驚いたのは、文章の読みやすさ。
本書を朗読することがあったのだが、何ページも続けて朗読しても、つっかえることなく読み終えることができる。
こんな作品はあまりない。
アメリカの学生による、太平洋戦争をめぐるディベート小説というと、赤坂真理さんの『東京プリズン』を思い出す。
あれは読んでいてつらかった(作品の価値はしかし、そこにあるのだろうが)。
そんな読書経験があると、ちょっと身構えてしまうが、本書での高校生たちは、原爆投下を肯定するか否定するかの立場を超え、みな真摯で純粋だ。
全員が「戦争を肯定するつもりはない」という考えを持っていることが、ある種の安全弁となっている。
お話としては、主人公のメイが、討論会に参加したことで成長していくさまも描かれ、読後感が非常によい。
平和の創造が大事、という結論にいくのも、いいところだと思う。
ただ、ちょっとだけ腑に落ちないのは、原爆投下が誰の責任かという問題と、投下の是非は結びつくのか。
読んでいる時は割と感情的に理解できたような気になっていたが、本を閉じて思い出すと、どんな論理でつながっているのか、自分の中でうまく思い出せない。
読みやすさに足をすくわれたか?
もう一度読み直してみよう。
Posted by ブクログ
良書。多くの人に読んでほしい。 アメリカの高校生8人が夏休みに、原爆について賛成派と反対派に分かれて公開討論するという話。彼らは非常に多くの時間を割き、綿密な調査や資料、シナリオを準備した上で討論していて、私自身、知らない内容もあった。原爆の是非だけではなく、人種差別の話や、立場による解釈の違いなど、色々と考えさせられる。 読みがなも振ってあるので、小学校高学年でも読めるかと。
Posted by ブクログ
広島と長崎への原爆投下。アメリカ人の学生達が肯定派と否定派に分かれて討論するという内容。
児童書に分類される本なんですかね?とても分かりやすくて読みやすかったです。
登場人物を色々なルーツをもつアメリカの学生達にしたのも良かったと思います。
日系人部隊第442連隊の事は全く知りませんでした。読んでいて胸が苦しくなりましたが、知れて良かったです。
読後感は良かったのですが、最後の核に関する出来事の年表を見ているとわたしは悲観的な方に気持ちのベクトルが向かいました。なんでだろ?
まだ一度も広島も長崎も行った事がないので、行ってみたいと思いました。
Posted by ブクログ
広島・長崎の原爆についての肯否にを8人の若者たち、そしてそれぞれの人種たちの議論繰り広げられるお話。
あの恐ろしい原爆から今年で79年。戦争すら知らない私たちが、もし、また戦争が起きたらどうなるのか…この本の中に、それぞれの若者たちが調査し、言葉の戦いがヒートアップ!
広島や長崎、ハワイの真珠湾戦争など争いも学校でさらりとした勉強していないため、私の知識も乏しく、改めてネットで調べたり勉強になった。
文章もルビが付いているので、小中学生さんにもおすすめしたい。
Posted by ブクログ
様々な出自を持つアメリカ人8人が、原爆の是非についてディベートを行う構成。
話として上手く纏まり過ぎているきらいが感じられ、星ひとつマイナス。
日本人としての一番のハイライトは、原爆慰霊碑の
「安らかに眠って下さい。
過ちは繰り返しませんから」
の解釈の部分。
まさか、日本人の反省と捉える解釈が有り得るとは。
フィクションだから、と思いたい。
衝撃の展開であった。
Posted by ブクログ
日本への原爆投下の是非をディベートすることにより、平和への意識を向上させるアメリカの高校生の物語。
色んな角度から原爆投下の是非を議論する。
日本が中国での虐殺したのだから当然の報いだという意見や、ナチスドイツの同盟国なのだから原爆投下のされて当然など、日本人としては意味がわからない意見もある。
広島の平和記念公園の慰霊碑の英訳もなかなか主観が入ると日本人だけの反省文にも読めるようで恐ろしい。
広島に旅行して平和記念公園に行った後だったので感慨深く読めました。
中学生くらいに読んで欲しい本ですね。
Posted by ブクログ
日系アメリカ人のメイは現在、日本の英語の教師となっていますが、なぜ教師になったのか…15歳の夏に話が戻って進んでいきます。
15歳の夏に原爆肯定派と否定派に別れて討論会を行う事になりました。
メイは否定派です。
原爆の事を良く調べ、討論し、こんな高校生がアメリカにはいるんだと感心しました。
日本人の私の方が勉強してなく、恥ずかしく思いました。
2019年中学課題図書に選ばれていますが、納得。
面白おかしくはないですが、戦争のこと、平和のことを考えるのに、入りやすいお話しだと思いました。
Posted by ブクログ
ついこの間原爆ドームに訪れたばかりだったので、なんとなく感情移入しやすかった、、、
ディベートそういえば語学学校時代に先生が好きでよく授業中やってたな笑