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フランス留学時代に女でしくじり、帰国後も生来のヨソ者として暮らしてきた乾ケンジロウ。東京でのヒモ生活から遁走し、新潟で人生初の恋に落ち結婚するも破局。富山では偶然再会した大学の女友達に、美術館で盗んだジャコメッティの彫刻を餞別に渡し、逃げるようにして故郷の呉へ――。『異邦人』ムルソーを思わせる嘘つき男の、太陽と海をめぐる不条理な彷徨。著者の最高到達点。
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Posted by ブクログ
何だかわからないけど「凄い!!」 実は人生初のぎっくり腰。動けない程の重傷ではないのですが、動くほど悪化するようなので一日会社をお休み。普通の倍くらいの時間をかけて行った整形外科医院のジジババ一杯の待合室で読み始めました。 いきなり引きずり込まれます。待ち時間1時間半。その長さが気にならないほど没頭...続きを読むしていました。 まともに読めば不愉快な主人公です。パリへの留学経験を持ち高学歴でありながらヒモのように暮らし、変態的な性癖を持ち、金貸しとして陋劣な手段を平気で行い、他人を顧みない。しかしそんな主人公がなんだか愛おしくなる。何やら著者の魔法にかけられたような。その不思議さも小説というものの楽しみだと思います。
読んでないと思ったら単行本版で読んでいた。 誰もが持つ不愉快な本に身を委ねることは理想であれども難しい。
呉から始まり、各地を転々とし、呉に終わる話。主人公が終始好きになれず、物語にも結局いまひとつ肩入れできなかった。
思わず手にとってしまうタイトルに衝動買いしましたが、短編集『ニート』に収録されている「愛なんていらねー」の著者を主人公にした作品なのだそうです。短編のスピンオフのはずが堂々の1冊になったというところでしょうか。いわば続編ではありますが、本編を知らなくても問題なく読めます。本編は私の苦手なスカトロの描...続きを読む写もあるようなので、むしろ知らずにいてよかったかも。(^^; この続編から察するに、主人公のボク、「乾ケンジロウ」はイケメンの賢い奴。しかしというのかだからというのか女が放っておかず、ずっとヒモとして暮らすろくでなし。性的倒錯者でもあるが自分のほうから女にのめりこむことはない。そんな彼が初めて恋をする。金を貸してやった友人を追いかけて行った新潟で。結婚までしたのに、まさかの相手の浮気。恋破れて乾は富山へ、そして故郷の呉へ。 ろくでなしなのに、なぜかこの男には惹かれます。嫌な奴になりたいのになりきれない。スカトロの描写があるとしてもやはり本編を読もうかなと思ってしまう(笑)。各地を転々とする彼が出会う言葉がまた面白くて、それを書き切る著者の感性にぞっこん。呉ではよそ者のことを「たびの人」というのですね。素敵です。 タイトルは主人公自身を表しています。「ほんとはどういう人間なのかと聞かれたら、不愉快な本の続編みたいなもんでしたってはぐらかすかもしれないね」。不愉快でも知りたくなる。
富山の美術館に足を運んだ時にこの小説が掲載されていて、久しぶりに絲山さんの本を手に取ってみた。ニート以来倦厭していたのですが、まさかニートの続編とは思わず…。タイトル見れば分かるんだけど笑。やっぱりちょっと苦手かも。
だらしない男の話。 続編てそんな本なかったけどなと思ったら そういうことだったんだな。 当然あらちは全く覚えとりません。
「ニート」収録作「あいなんていらねー」で語り手を翻弄するスカトロ男がいたが、彼のその後。 不思議な題名が気になるが、表紙にはカミュ「異邦人」(すなわちよそもの)、裏表紙には乱歩「芋虫」が刻印されているらしい。 そして絲山秋子ならでは、不在の人物こそが登場人物を操っていると、あるタイミングでふと気づか...続きを読むされる。 本書では弟だが、実は書き出しすぐに言及されていた。 ただしそれを初読時に感じさせることないほどにふらっと現れた語り手。 本が開かれたから現れたといえるほどに。 (まあ成田さんと別れてしばらくヒモ暮らしをしていたみたいだけと) 流れるように新潟に行き、好きになった女と結婚するが、「不愉快な本」(性)を預けきれない。 なぜなら彼にとって生は孤独で、性は孤独を際立たせる苦痛に他ならないからだ。 ちなみにいつも怒っているところにキュートを感じるというところ、とても「いい」。 相手の浮気を知り富山へ。 ここでジャコメッティに感動。芸術ってやつはお互いの魂が飛び出しちまうことなのか。言葉を捨てることの快さ。 たまったま再開した同級生が空き巣趣味に狂っていることを知り、衝動的に美術館から盗み出したジャコメッティをあげて、逃亡。広島は呉へ。 弟の死を知り、時間が止まる。 そして本の中へ入ってしまう。 書かれたコトになり、ボクを読むあんたと向き合っている。 筋だけを追えばなんということのない駄目男。 しかし方法に意識的で、知的で、深みのある小説。
最後が少し怖かったぐらいでイマイチよくわからなかった本だった。 物語も浮浪者みたいな主人公が自分の人生を語り口調で淡々と話しているみたいな内容。 内容自体もまぁ太陽が頻繁にでていたり昔関わった女性の話が度々出ていることから、過去の場所や出来事に囚われていないように見えてるが、本当は誰よりも囚われてい...続きを読むるんじゃないん?と思った。 そう考えると最後の主人公の行動が今までの逃亡者のような人生を、最後に本当に逃げないといけない出来事を起こすのをきっかけに逃亡生活みたいな人生を終わらせるためだったんじゃないかと思い少しだけ主人公の気持ちがわかった気がした。
2017年、37冊目です。 主人公の故郷の町には、何度か行ったことがあるので、物語の最後あたりで急速に親近感を感じました。
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絲山秋子
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