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Posted by ブクログ
初めて読んだ絲山秋子さん作品。自分にコンプレックスを抱えていて他人を警戒して鬱々とした主人公の描写に、最初はリアルで読んでいると重たい気持ちになってしまいました。
しかし中盤以降は、自然に付き合えるリスナーとの交流が始まったり、行きずりでなった友達に対して自分を出すようになったり、少しずつ楽に生きていく道が拓けていくような展開にすごく惹き込まれて良かったです。
絲山秋子さんご自身が、東京出身ながら地方都市を転勤しながら暮らされていたご経験があるとのこと。地方都市ならではのローカルな暮らし、人間関係、町の少し寂れた部分など、リアリティのある世界観も見事でした。
他の作品も異った地方都市が舞台のものがいくつかあるそうなので、ぜひ読んでみたいです。
Posted by ブクログ
昔から人と関わるのが苦手で、今では人に心を開くことをほとんど諦めているアラサー女性の新天地での物語。そこで出会い、されるがままに付き合いを続けるも気を許していなかった沢音に対して野枝が初めて心を開く場面が個人的にとても良かった。カーチェイスって言うの?猛スピードを出して追い越したり追い越されたりしながら車を走らせる。互いに自分の車の中という別の空間にいて当然言葉も視線も直接交わることのない状況でありながら、そのうち感情が高揚し気がついたら心を通わせていたーー。こんな心の交わし方もあるんだって心の底から驚いたし希望も感じた。何がきっかけで友情が芽生えるかって本当に分からないものだし、対人関係でひどく悲観的になることはないのだなと自然に思うことができ、とても気分がいい。
Posted by ブクログ
東京で生まれ育ちながら東京嫌いのラジオDJ、野枝。仙台でDJをした後、思い立って群馬のラジオDJに。医者らしくない医者の沢音、リスナーである「恐妻センター前橋」、群馬・高崎でのいくつかの出会いの中で美丈夫(本当の名前は忘れたらしいが)という過去にいた唯一の彼氏の存在も徐々に薄まり、今の自分を受け入れられるようになっていく…。
何かに雁字搦めにされたように精神の殻に閉じこもっていた野枝が、群馬の街(高崎だったり前橋だったり)や群馬の人々の等身大の姿に感化され、次第に凝り固まったものが溶けていく感じ、なんだかスゥーっとする。
絲山作品には妙な男っぽさがある。この小説の主人公は女なんだけど、とことん無愛想。どこか荒っぽい登場人物、だけども読後感がなんとも優しい気持ちになるのは、主人公は所謂"ダメ"な人、そしてその"ダメさ"を全否定しないところかもしれない。
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