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小説集 Twitter終了
恋も友情もあった。人生があった。ここだけが、私たちの居場所だった。 2023年夏、突如として「X」と名前を変えられ、姿を消した世界最大のSNSプラットフォーム、Twitter。たったひとりの人間の思惑によって、居場所を奪われた人たちがいた。無邪気に飛び回る青い鳥を、140字でしか気持ちを伝えられない世界を、愛し続けた作家たちが紡ぐ「Twitterなき世界」の物語集。 収録作 青井タイル 「オタクどもの精霊降臨日(ペンテコステ)」 Twitterが終わろうとしている今、オタクたちはどう生きるか。 足立いまる 「それじゃあまた、Twitterという天国で会おう」 昔、相互フォローになった女性から、突然DMが送られてきた。 乙宮月子 「近くて遠い二人の距離」 学生時代からの友人は、今はインスタグラマーをやっている。 根谷はやね 「もう一人のあなたを作る方法」 誰からも愛される同級生が死んだ。私は彼女のアカウントを発見した。 九科あか 「結論から言うと、ツイッターが一番性に合いました」 私がやってしまったことを告白する相手は、あなたがいいと思ったんです。 斜線堂有紀 「Twitterが終了したので、ここでしか繋がっていなかった助手との関係が切れた。」 探偵と助手として多くの事件を解決したのに、俺はあいつのことを何も知らない。 -
神と黒蟹県
架空の県を舞台にした連作小説集 「黒蟹とはまた、微妙ですね」 微妙、などと言われてしまう地味な県は全国にたくさんあって、黒蟹県もそのひとつだ。 県のシンボルのようにそびえたつのは黒蟹山、その肩に目立つ北斎が描いた波のようにギザギザの岩は、地元では「黒蟹の鋏」と呼ばれ親しまれている。県庁や裁判所を有し、新幹線も停まる県のビジネス拠点としての役割を担う紫苑市と、かつての中心地で歴史的町並みや重要文化財である黒蟹城を擁する灯籠寺市とは、案の定、昔からの遺恨で仲が悪い。空港と見まごうほどの巨大な敷地を持つショッピングモールの先には延々と荒れ地や牧草地が続き、廃業して解体されてしまって今はもう跡地すらどこだかわからない百貨店に由来する「デパート通り」はいつまで経っても改称されず、同じ姓を持つ住民ばかりの暮らす村がある。 つまり、わたしたち皆に馴染みのある、日本のどこにでもある「微妙」な県なのだ。 この土地に生まれ暮らす者、他県から赴任してきた者、地元テレビ出演のために訪れた者、いちどは故郷を捨てるもひっそり戻ってきた者、しばしば降臨する神(ただし、全知全能ならぬ半知半能の)。そういった様々な者たちのささやかでなんてことないが、ときに少しの神秘を帯びる営みを、土地を描くことに定評のある著者が巧みに浮かび上がらせる。 -
私労働小説 ザ・シット・ジョブ
「あたしのシットはあたしが決める」 ベビーシッター、場の夜間作業員にホステス、社食のまかない、HIV病棟のボランティア等。「底辺託児所」の保育士となるまでに経た数々の「他者のケアをする仕事」を軸に描く、著者初の自伝的小説にして労働文学の新境地。 「自分を愛するってことは、絶えざる闘いなんだよ」 シット・ジョブ(くそみたいに報われない仕事)。店員、作業員、配達員にケアワーカーなどの「当事者」が自分たちの仕事を自虐的に指す言葉だ。 他者のケアを担う者ほど低く扱われる現代社会。自分自身が人間として低い者になっていく感覚があると、人は自分が愛せなくなってしまう。人はパンだけで生きるものではない。だが、薔薇よりもパンで生きている。 数多のシット・ジョブを経験してきた著者が、ソウルを時に燃やし、時に傷つけ、時に再生させた「私労働」の日々、魂の階級闘争を圧巻の筆力で綴った連作短編集。 ■声を出さずに泣く階級の子どもがいる。 ■水商売では年齢と美醜で判断されて、失礼な言葉や態度を許容することでお金を貰う。失礼を売り、失礼を買う。失礼は金になるのだ。 ■何かを感じたり、ムカついたりする主体性のある存在として認識しない者は、相手の賃金だけでなく、人間としての主体性さえ搾取している。 ■革命とは転覆ではなく、これまでとは逆方向に回転させることなのかもしれない。 【目次】 第一話 一九八五年の夏、あたしたちはハタチだった 第二話 ぼったくられブルース 第三話 売って、洗って、回す 第四話 スタッフ・ルーム 第五話 ソウルによくない仕事 第六話 パンとケアと薔薇 あとがき ※本書は「小説 野性時代」2021年4月号、22年1月・5月・9月号、23年1月・5月号に掲載された作品を書籍化したものです -
トゥデイズ
どこにでもある日常が、どうしてこんなに愛おしいんだろう。かけがえのない「今日」を描く、芥川賞・大江賞作家の最新作。 夫婦と5歳の息子が暮らす築50年の大型マンションに、今日もささやかな事件が降りかかる――。日本に「住む」すべての人へ、エールを送るマンション小説! 「しゅっ」「ぱーつ!」――5歳の息子コースケと僕たち夫婦は、今日も小さな冒険の旅に出る。子育てのため、郊外にある大規模マンション「Rグランハイツ」に引っ越してきた美春と恵示。管理組合の理事になった妻とリモートワークの夫は、築50年のマンションに集まり住む住人たちとともに、どこにでもあるけれど、かけがえのない日々を重ねていく。 -
妖怪コンビニでバイトはじめました。
コンビニなのに薄暗い。 そんなコンビニに、なにげなく入った少年イズミ。 イズミは、霊感が強く、幽霊や妖怪が見える。 そのコンビニは、幽霊や妖怪専用のコンビニだった。 イズミは、この店でバイトをすることになる。ある日、死んだばかりの美少年の幽霊が入ってきた。 美少年の名は、タカジュン。アイドル志望でダンスが得意だった。 タカジュンは、生きる希望をなくした少女と一緒にパフォーマンスを演じ、店は大変盛り上がる。そんな中、タカジュンの葬儀が行われることになり、イズミも出席することになる。 タカジュンは、自分の葬儀をながめていたところ、重大なことに気がついた … …。 面白く読めて、読者に様々な生きるヒントを感じさせる物語。 -
東家の四兄弟
星めぐる家族の不協和音!? 占い師を父に持つ、男ばかりの四兄弟。 1枚のタロットを引き金に、ほろ苦い過去や秘密がうきぼりに。 『ありえないほどうるさいオルゴール店』の著者が贈る、ツイていそうでツイていない家族のハートフルな日常! もがくほど、事態は悪くなるでしょう――。 占い師の父を持つ東家は、男ばかりの四兄弟。上から研究者の朔太郎、占い師の真次郎、会社員の優三郎、大学生の恭四郎と両親が、ほどよいバランスで暮らしている。 ある日、優三郎が趣味のタロットで<最凶>のカードを引き当てた。直後、優三郎と彼女の秘密が真次郎によって恭四郎に明かされ、信頼関係に亀裂が入ってしまう。 不運の連鎖は止まらない。朔太郎や両親にも波及し、隠れていたトラブルが表面化しはじめた。あげくの果てに家族関係を崩壊させそうな女性まで現れ……。 噴出する秘密と本音に大わらわの東家に、平穏な日常は戻るのか!? -
げいさい
気鋭の現代美術家が描く、美大青春物語! カオス化した美大の学園祭で、田舎出の藝大志望の青年は浪人生活を振り返る。心を打つ表現とは。揺れ動く青年期を鮮明に描いた傑作。 佐渡出身で藝大志望の僕は多摩美の学園祭を訪れ、カオス化した打ち上げに参加する。酒を飲み、芸術論を戦わせる中、僕は浪人生活を見つめ直す。表面的なテクニック重視の受験絵画は、個性や自由といった芸術の理想とはかけ離れていた。真に人の心を揺さぶる表現とは。気鋭の現代美術家が、揺れ動く青年期を鮮明に描いた傑作小説。 ※この電子書籍は2020年8月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
ミドルノート
ひと振りの香水で 明日のわたし、もっと輝く! ベストセラー『翼の翼』『君たちは今が世界』で大躍進の著者がすべての女性に贈るエール。 食品会社同期でワーキングマザーの菜々と愛美。アロマデザイナーに転身した元同期の麻衣。 菜々たちと同い歳の派遣社員・彩子。 働くスタイルや活躍の場が異なる四人のアラサー女性は、新型肺炎が蔓延し、混沌とした時代の波に揉まれ、変化を余儀なくされる。 焦りや不安、重圧のなかで、彼女たちが拠りどころにしたものとは!? 「香水は、使われている成分の揮発性に細かい差があり、時間とともに香り方が変化してゆく。 肌につけた時、最初の数分の香りをトップノートというそうで、 次にくるのがミドルノート、その先にラストノートと呼ばれる香りがあって、 最後の香りがずっと続く(中略)とはいえ、ミドルノートも、ラストノートの手前の大事な香りです。 強く香ることも多いので、やっぱりミドルノートがその香水の中心っていうか、 わたしはミドルノートを基準に香水を選ぶことが多いかなって感じがします。」(本文より) 社会人同期として、同じスタート地点(トップノート)から歩み始めたのに、 結婚、出産、昇進、転職など、それぞれが別々の道を進んでいる―― 人生の「ミドルノート」で試行錯誤する女性たちは、この先どこへ向かうのか。 -
真田の具足師
「武士を生かすも殺すも、わしらの腕一本や」――こう言い放つ気概ある具足師たちが、真田信繁を日の本一の兵(つわもの)にした! 本作の主人公・岩井与左衛門は、南都奈良の具足師(甲冑師)の家に生まれ、修業を積んでいたが、あるとき「ズクを打った」(不良品を作った)と言われ、勘当される。その才能を惜しみ、目をつけたのが徳川家康。徳川軍が信濃の国衆・真田との戦いに惨敗した理由は、真田兵が身に着けている「不死身(しなず)の具足」にあり、と考えた家康は、与左衛門に真田潜入を命じる。甲賀の忍びの女と夫婦を装い、真田の本拠地・上田に入った与左衛門だったが、そこで思いがけない光景を目にする。赤備えをつくった具足師たちの命がけの闘いを描いた、戦国エンタテインメント。真田vs徳川のもう一つの死闘に、手に汗握る傑作長編小説。 -
青天 包判官事件簿
宋代、瑞州の新任知事・包希仁は、二十代で科挙に合格した秀才ながら、どこか抜けた青年。その資質を疑問視する世話係・孫懐徳であったが、州内で起きた「生きた牛の舌が切り取られる」事件をきっかけに――(「雪冤記」)。清廉潔白、裁きは公平、晴れ渡った空の如し。中華小説の名手・井上祐美子が、中国史上屈指の人気を誇る名判官「包青天」の活躍を描く中華ミステリ短篇集。待望の文庫化! ◆目次 ・雪冤記 ・赤心 ・紅恋記 ・黒白 ・青天記 ・文庫あとがき ※本書収録の「黒白」は、『C★NOVELS Mini - 黒白 - 包青天事件録』に加筆修正を加えたものです。 -
恋愛の発酵と腐敗について
太宰治賞作家が描く大人の恋愛群像劇。 人生経験を積んだ大人でも、恋愛だけは不器用なまま。太宰治賞受賞作家・錦見映理子が大人たちの恋愛模様を鮮やかに紡ぎ出す。 不倫の恋に破れ、勤めていた会社を辞めた元OL・万里絵は、知らない町で夢だった喫茶店を開き、ここで穏やかに暮らしていこうと決心する。そんな矢先、店に奇妙な男が現れ、サンドイッチに難癖をつけてきた。その男・虎之介は、商店街の一角にできたパン屋のパン職人。高い技術を誇り職人気質な男だが、こと女に関してはだらしがない。二度と恋はしないと誓った万里絵、夫に先立たれ久方ぶりの恋心に戸惑う早苗、夫の浮気を許し続ける伊都子。虎之介に翻弄された女たちの人生に予想外の転機が訪れる。太宰治賞作家が描く大人の恋愛群像劇。解説は中江有里さん。 Apple Books限定先行配信・有料小説ランキング1位、ブクログデイリーランキング1位、第2回「書店員が選ぶ大人の恋愛小説大賞」ノミネート、朝日新聞、日本経済新聞、NHKでも紹介された話題の小説が待望の文庫化。 ※この作品は単行本版『恋愛の発酵と腐敗について』として配信されていた作品の文庫本版です。 -
ストロベリー戦争 弁理士・大鳳未来
『このミステリーがすごい!』大賞・大賞受賞作家、最新刊! そのいちごの名前は違法!? 絶体絶命からの大逆転ほど胸のすくものはない。 ――大矢博子(書評家)※「労働新聞」令和5年2月27日掲載の書評より抜粋 種苗法、商標権、農業ってかなり大変なんです。生産者の苦労を助けてくれるキレキレの頭脳に読む手が止まらない。 ――鈴木典子(ヤマト屋書店仙台三越店) 大震災からの復興を目指し、新品種“絆姫”の開発に成功した久郷いちご園。 そこに、大手商社の田中山物産から絆姫の名称は、商標権侵害との警告書が届いた。 さらに、クリスマスケーキに絆姫を使用することが決定している世界的パティスリー「カリス」から、 名称変更せずに解決か、全被害額を支払うかを迫られ――。 大手商社という巨大な敵から、いちごの名称と農家たちの熱い想いを守るため、 弁理士・大鳳未来は驚天動地の策に出る! (著者情報) 南原 詠(なんばら・えい) 1980年生まれ、東京都目黒区出身。東京工業大学大学院修士課程修了。元エンジニア。現在は企業内弁理士として勤務。第20回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞を受賞し、『特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来』(宝島社)で2022年にデビュー。 ※本書は2022年9月に刊行した単行本 『ストロベリー戦争 弁理士・大鳳未来』を文庫化したものです。 -
スマホを落としただけなのに 連続殺人鬼の誕生
映画化も大ヒット!累計100万部突破の人気シリーズ最新刊 ある朝目覚めると、首を吊った母親を発見した佐藤翔太。身寄りのない小学生の翔太は養護施設に送られ、そこでヨシハルという少年に出会う。そして、彼が翔太と距離を縮めて殺人を促したことで、翔太はとある殺人に加担することになり……。スマホを駆使した詐欺や暴行、殺人を繰り返してきた「怪物」の正体とは。黒髪の女性ばかりを凄惨な方法で殺害した連続殺人鬼が生まれるまでの物語。 (著者情報) 志駕 晃(しが・あきら) 1963年生まれ。明治大学商学部卒業。第15回『このミステリーがすごい!』大賞・隠し玉として、『スマホを落としただけなのに』で2017年にデビュー。他の著書に『ちょっと一杯のはずだったのに』『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』『スマホを落としただけなのに 戦慄するメガロポリス』(以上、宝島社文庫)、『そしてあなたも騙される』(幻冬舎)などがある。 -
ほたるいしマジカルランド
大阪北部の蛍石市にある「ほたるいしマジカルランド」は、願い事を叶えてくれるという噂のあるメリーゴーラウンドが人気の老舗遊園地だ。ここで働くのはどこか不器用で悩みを抱えた人ばかり。アトラクションやインフォメーションの担当者、清掃スタッフに花や植物の管理。お客様の笑顔のために奮闘する従業員たちの日常が、ふとしたきっかけで動き出し――。毎日がんばるあなたの心をふっと軽くする温かな物語。 -
ホーム
20年前、大リーグのニューヨーク・フリーバーズでプレーをしていた藤原雄大。52歳となった今は、マイナーリーグの巡回コーチをしている。ある日藤原は、現役時代のライバルで、大リーグ機構上級副社長であるヘルナンデスの訪問を受けた。東京オリンピックのアメリカ代表監督が亡くなったため、代わりに監督をやってくれないかと打診されたのだ。悩んだ末にその依頼を引き受けた藤原は、戦力補強のため、アメリカと日本の二重国籍を持つ大学生天才スラッガー、芦田をスカウトする。しかし、そこには二つの故郷の狭間で苦しむ若者の姿があった――。元日本人大リーガーが金メダルを目指す! 圧巻のスポーツ小説!! -
鳩護
「お前は鳩に選ばれたのだ」 小森椿27歳、会社員。 鳩に謎の使命を背負わされる! 文学界を席巻する新星が放つ、 摩訶不思議な鳩をめぐる物語。 一人暮らしのベランダに突然、真っ白な鳩がきた。 怪我をしているらしく、飛び立つ気配もない。 小森椿は仕方なく面倒をみることにする。 白鳩に愛着がわいてきた数日後――。 帰宅途中、謎の男に奇妙な宣告を受けた。 「お前は俺の次の『鳩護』になるんだ」 鳩を護ることを宿命づけられた者。 それが鳩護だという。 なにその宿命? どうして私が? 混乱する椿をよそに、 白鳩は椿の日常を否応なく浸食していく! スピンオフ小説『福田さんの白い羽根』収録。 -
「舌」は口ほどにものを言う 漢方薬局てんぐさ堂の事件簿
累計20万部突破「薬剤師・毒島花織の名推理」新シリーズ誕生! 薬剤師試験に3回落ちた薬局の新米店主と漢方医学のプロが、様々な謎に挑む!漢方の豆知識もわかる養生ミステリーです。 新宿で50年以上続く「漢方薬局てんぐさ堂」には、今日も様々な悩みを抱えた患者がやってくる。薬剤師が患者に不可解な忠告をした理由とは? 元教師が木の実を恐がるのはなぜ? 味覚をなくしたグルメリポーターを襲った悲劇とは? 毒草を探す会社員の目的は? 薬剤師試験に3回落ちたてんぐさ堂の新米店主と漢方医学のプロが、患者が抱える不調と謎を解き明かす! (著者情報) 塔山 郁(とうやま・かおる) 1962年、千葉県生まれ。第7回『このミステリーがすごい!』大賞・優秀賞を受賞し、『毒殺魔の教室』にて2009年デビュー。他の著書に『悪霊の棲む部屋』『ターニング・ポイント』『人喰いの家』『F 霊能捜査官・橘川七海』「薬剤師・毒島花織の名推理」シリーズ(すべて宝島社文庫)がある。 -
セゾン・サンカンシオン
アルコール依存症の母親をもつ柳岡千明は、退院後の母親が入所する施設「セゾン・サンカンシオン」へ見学に行く。そこは、さまざまな過去を抱えた女性たちが共同生活を行いながら、回復に向けて歩んでいくための場所だった。迷惑をかけ続けられた母親に嫌悪感を抱く千明だが、入居者のひとり・パピコとの出会いから、母親との関係を見つめなおしていく――。人間の孤独と再生にやさしく寄り添う感動作! -
教室のゴルディロックスゾーン
自分だけの孤独を大切にしてください。 中学校のクラスに馴染めず、現実から妄想の世界に逃げがちな依子。彼女が頼れるのは 父と、幼い頃から一緒に育ってきた愛犬のトト、そしてたった一人の友人・さきだけだった。しかしクラス替えからしばらくして、さきは依子を避けるようになる。 どうして? なんで? 今までのようにさきと仲良くしたい依子だったが、新しい友達と一緒にいるさきは、話し掛けてもすぐに離れていってしまう。 いっぽう、クラスメイトの伊藤さんは、クラスでいちばん目立つグループに所属しながらも、誰にでも分け隔てなく接してくれる女の子。優等生タイプの子にも、オタクっぽい子にも、そして依子にも話し掛けてくれる。 そんな彼女を好ましく思う依子だったが、伊藤さんと同じグループのリーダー・濱中さんに苦手意識を抱いているため、自分から話し掛けることはできなかった。 その後、事態は伊藤さんのけがを契機に思わぬ展開を見せる。 -
完璧な小説ができるまで
人気小説家・相崎一歌の監禁事件。暴走したファンによる犯行かと思われたが、逮捕された月村荘一は高校時代の友人だった。 取調室で「ぜんぶ小説のせいだ」と何かにとりつかれたように訴える月村。彼は相崎一歌になりすまして執筆していたという。二人の間に一体何があったのか。問いただす刑事を前に、月村は驚くべき告白を始めた――。 すべてを語り終えた先に待ち受けていた驚愕の真相とは? 二転三転する展開に一気読み必至の衝撃サスペンス! -
光をえがく人
東アジアのアートが照らし出す五つの物語。その一つ一つが大切な人との繋がりを浮かび上がらせる。世界の「今」を感じさせる小説集! 【ハングルを追って】 ハングルが書き込まれたアドレス帳を拾った美大事務職の江里子は、油画科の親友に相談し、ソフィ・カルにちなんで韓国へ行ってアドレス帳の持ち主を探すことに……。 【人形師とひそかな祈り】 伝統の御所人形を作り続ける正風は子どもにも弟子にも恵まれず、そろそろ工房を畳もうと考えていた。そんな折、フィリピンからの留学生を紹介され心を開いていく……。 【香港山水】 現代水墨画家の成龍は、コレクターたちのパーティに駆り出される。そこで本土の実業家の夫人・美齢と出会い、デモ隊と警察が衝突する混乱のさなかに二人は再会し……。 【写真家】 有名な写真家だった父が、記憶をなくして海外から帰国。娘は世話をしながら、母から写真家としての父の話を聞き、生涯を辿ることになる。知らなかった真実がそこに……。 【光をえがく人】 ミャンマー料理店の店主に、自国の政治犯についての話を聞くことになった。学生のころ反政府運動に加わって投獄され、劣悪な監獄生活のなかでの奇妙な体験とは……。 -
殲滅特区の静寂 警察庁怪獣捜査官
怪獣パニック×本格ミステリ!! 怪獣の襲来が「日常」になった世界で起こる、三つの謎めいた殺人事件。 『名探偵コナン』、『ウルトラマン』シリーズの脚本も手がける大倉崇裕の最新作! 正体不明の巨大生物「怪獣」の度重なる出現に対抗すべく、専門省庁「怪獣省」が置かれ、発見・予報・殲滅の撃退プロセスを確立させた日本。怪獣の進行方向や攻撃方法を分析する予報官の岩戸正美は任務中、奇妙な事件に遭遇する。風力発電所の停止命令が届かなかった町で、瓦礫の下から見つかった死体。音響統制が敷かれた静寂の中で鳴り響いた一発の銃声。怪獣が生息していると噂される湖で失踪した調査官――そして、怪獣にまつわる事件には必ず、年季の入ったコートをなびかせた一人の中年男が現れる。警察庁特別捜査室の船村と名乗った男のことを、正美は噂で知っていた。怪獣に関連した特殊な事件を扱う「特別捜査官」。正美は、怪獣を巡る奇妙な事件の捜査に巻き込まれていく……。 -
渦の中へ おいち不思議がたり
医塾に通い、医者を目指しつつ、女としての幸せもつかみ取ろうとするおいち。そんなおいちの祝言の日に事件が……。浦之屋という商家で、毒物混入事件が起きたのだ。おいちは、祝言の席から浦之屋に駆けつけ、父・松庵らとともに、苦しんでいる人達の手当てに奔走する。そして、浦之屋の若旦那の乳母が服毒死し、菖蒲長屋の元住人の巳助が犯人として名乗り出る。この世に思いを残して死んだ人の声を聞けるおいちは、巳助が闇に呑み込まれていく姿を見てしまい、事件の裏に何かある、と思い、真相を突き止めるべく動き始める。やがておいちの身体に異変が……。父の手伝いと勉強、そして家庭をもったおいちは、大切なものや人を守っていけるのか。シリーズ累計35万部突破! 人気の青春「時代」ミステリー第六弾。 -
凪に溺れる
夢を追うべきか、諦めるべきか。「小説すばる新人賞」史上最年少受賞でデビューを飾った若き才能が、青春の難題を真っ向から描く! ●あらすじ 二〇一九年、無名のアーティストが歌う『凪に溺れる』という曲が、突如ネット上で拡散され始めた。その曲は多くの人々を魅了するが、後日、公式サイトにて、ボーカルの霧野十太(じゅった)が一年前に亡くなったことが発表される。なぜ今になって『凪に溺れる』が注目を浴びているのか。霧野十太とは何者なのか――。一人の天才音楽青年と、彼が作った歌を軸に、夢と現実との狭間で藻掻く六人を描いた著者渾身の青春小説。 -
いい人ランキング
中学校生活をおくるのが不器用な子にエールをおくる、ちょっとビターな青春小説です。 木(き)佐(さ)貫(ぬき)桃(もも)は中学2年。母の再婚によって、2学期から名字が変わりました。本人にとってはどぎまぎするできごとですが、クラスメイトには、違和感があるのは最初だけ、慣れれば別にどうということのない小さな変化だとばかり思っていました。でも、9月の終わりの文化祭で、開催する予定だったミスコンを職員会議で禁止されたことから、2年1組は「いい人ランキング」といういい人を選ぶコンテストを行うことになります。木佐貫桃が第1位になり、そこからクラスの空気が変わりはじめます。小さなきっかけが、さまざまな連鎖を引き起こし、少女が追いつめられていく過程、そして、友人と妹の協力によって意外なところから、その状況を打破していく姿が、いきいきと描かれています。 -
カンブリア
《能力》って、そんなに役に立つものじゃないんですよ。 物を持ち上げたければ手を使えばいい。 誰かと意思疎通したければ、その相手と話せばいい。 でも、あることに限り絶大な効果があるんです。 それは――犯罪です。 三鷹の賃貸住宅で若い女性が死亡した。当初は急性心臓死と思われたが、尾島警部補と相棒の閑谷巡査は過去にも同じ部屋で女性の突然死があったことを突き止める。だが怪しいと睨んだ大家・水田をいくら調べても、証拠は出てこない。感じたことのない奇妙な感覚を抱く中、尾島はこの事件の鍵を握る青年と出会い……。 虚ろな瞳が見つめる先には、若い女性の標的が。 常軌を逸した犯罪者を、黒ずくめのクールな刑事が追う! -
今度生まれたら
※本作品は、2020年発売の単行本版『今度生まれたら』を文庫化した作品となります。重複購入にご注意ください。 70代では人生やり直せない? 人間に年齢は関係ない、なんてウソ。 人生100年はキレイごと。 「今度生まれたら、この人とは結婚しない」70歳の主婦、佐川夏江は自分がやり直しのきかない年齢になっていることにショックを受ける。人生を振り返ると、あの時別の道を選んだらどうなっていたかと思うことばかり。進学は、仕事は、結婚は。少しでも人生をやり直すため、夏江はやりたいことを始めようとあがく。 大好評の著者「高齢者小説」シリーズ。 「元気をもらいました」「自分のことのように読みました」「もっと早く読みたかった」 など読者の声多数のベストセラー! -
こんばんは、太陽の塔
アメリカ人の著者が全編日本語で書き上げた小説第二作。 少女時代から陶芸家を目指してきたカティアは、ある出来事をきっかけに、 師匠であり恋人でもあったライダーと決裂、偶然舞い込んだ 大阪の女子校の英語講師の椅子にとびつき、逃げるようにアメリカを離れた。 カティアの新地は、大阪の北摂。そこには、師ライダーとそっくりの顔をした 「太陽の塔」がそびえたち、あたりを睥睨している。 カティアにはひとに言えない悩みがあった。少女時代のある日、 ライダーに「伝承」されて以来、自分の手が師匠のものになってししまった。 ありえないことだが、腕先に、骨ばった長い指の「ライダーの手」がくっついているのだ……。 胸に傷を抱えながら、異国の地で未来を探して奮闘する、若きカティアの青春物語。 -
セクシャル・ルールズ
「普通の夫婦」っていったい何!? 社労士事務所を経営している岩瀬麻衣子は、結婚するときに仕事を辞めると申し出てくれた夫の耀太に育児を任せ、大黒柱として家計を担い、日々の仕事に邁進していた。しかし世間の不理解、お互いの仕事と家事への不満、さらに忙しさですれ違う生活のなか、ある決定的な出来事が起こり、とうとう二人は離婚することに。だが、麻衣子にはこれまで任せっきりだった育児、耀太には再就職という高い壁が立ちはだかっていて……。世間の価値観とのギャップに振り回される夫婦生活のゆくえは!? 人気シリーズ「居酒屋ぜんや」の著者が描く、新しい家族の形を捉えた、感動の長編小説。 -
それでも、陽は昇る
産業誘致、防災、オリンピック……真山仁が鋭く描きだす本物の“復興”とは? 東日本大震災から12年、阪神・淡路大震災から28年。ふたつの被災地がともに抱える葛藤を描く三部作、完結!――東日本大震災で被災した遠間第一小学校で応援教師として勤務した二年を経て、小野寺徹平は神戸へ戻る。自らも妻子を亡くした阪神・淡路大震災を語り継ぐNPO活動に奮闘する小野寺だが、復興の名の下に生じた歪み、けして癒えない傷と向き合う日々は続く。一方、遠間では復興五輪、産業誘致など新たな葛藤が生まれていた――。ふたつの“震災”をつなぐ感動の物語。解説・渋谷敦志 -
東京湾臨海署安積班
青海三丁目付近の海上で遺体が発見される。身元は、かつて特殊詐欺の出し子として逮捕された戸沢守雄という七十代の男だった。安積たちが特殊詐欺事件との関連を追う中、遺体発見の前日に戸沢と一緒にいた釣り仲間の猪狩修造と和久田紀道に話を聞きに行くと、二人とも何かに怯えた様子だった。何らかの事情を知っていると踏んだ安積たちが再び猪狩と和久田の自宅を訪れるも既に誰もおらず、消息が途絶えてしまう……。「自分が誰からも必要とされなくなる。それでも毅然としていられるかどうか……。それが怖い」(本文より)。 安積が事件の先に見たものとは――。ドラマ化もされた大ベストセラー“安積班シリーズ”熱望の最新刊! -
最後の記憶 〈新装版〉
患者・秋山和雄を診察したのは7月の終わりだった。CTスキャンの結果、脳底部に腫瘍影が認められた。脳外科医の俺は秋山を自分の大学病院に入院させた。それが事件の発端だった。手術の前日、執刀医が俺であることを確認した秋山は突然言った。「眼鏡を、かけられたほうがいいかと、思うのです」…何を言っているのかわからないままに、手術当日になった。頭部切開の最中、ふとしたはずみで秋山の髄液が目に飛び込んできた。俺の脳裏におかしな映像が映るようになったのはそれからだった。脳外科医の身に何が起きたのか?『蟻の棲み家 』(新潮文庫)の大ヒットで俄然注目が集まる著者による、本当に怖い長篇サスペンス! -
一人称単数
人生にあるいくつかの大事な分岐点。そして私は今ここにいる。 ――8作からなる短篇小説集、待望の文庫化! ビートルズのLPを抱えて高校の廊下を歩いていた少女。 同じバイト先だった女性から送られてきた歌集の、今も記憶にあるいくつかの短歌。 鄙びた温泉宿で背中を流してくれた、年老いた猿の告白。 スーツを身に纏いネクタイを結んだ姿を鏡で映したときの違和感――。 そこで何が起こり、何が起こらなかったのか? 驚きと謎を秘めた8篇。 「一人称単数」の世界にようこそ。 ※この電子書籍は2020年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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