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夢破れた30代の将来への不安、認知症がはじまった本人と周囲の驚愕。
いまの日本の現代的なテーマと、台湾と日本との現代史がからみ合う、乃南アサ台湾ものの決定版!
30代前半、独身の杉山未來は、声優になるという夢に破れ、父母、妹、弟と離れ、祖母・朋子と東京でおだやかな二人暮らし。
ある日、祖母の骨折・入院を機に、未來は祖母が台湾うまれであることを知る。
彼女を元気づけるため、未來は祖母ゆかりの地を訪ねようと台湾へと旅立つ。
ところが戦前の祖母の記憶はあいまいで手掛かりが見つからない。
そこで出合ったのはひと癖もふた癖もある台湾の人たち。
台湾が日本の植民地であったこともぼんやりとしか知らない未來は、中国国民党に蹂躙された台湾の人々の涙を初めて知る。
いっぽう、朋子は認知症を発病し、みずからの衰えに言いようのない恐怖を覚えていた。
それに追い打ちをかける、朋子の遺産目当ての実の娘、真純(ますみ)の突然の出現……。
未來は祖母のふるさとに辿りつくことができるのか。
朋子の衰えに、未來は間に合うのか。そして長い旅路の果てに、未來が下した重大な決断とは……。
『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』と続く著者の台湾ものの、決定版とも言うべき感動巨篇。
※この電子書籍は2018年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
Posted by ブクログ 2023年07月06日
欖李花(ランリーファ)
マングローブ樹種の一種である欖李は、海水と淡水が混じる場所にしか育たない。
台湾の北部の海岸近くにたくさん植わっている。
雪を見たことのない台湾の人たちからまるで雪が降り積もっているかのように小さな白い小花がたくさん咲く。
ストーリーは、けがで入院した主人公の祖母が、幼少...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年07月05日
文庫本であるが、比較的厚く最初は少しためらわれたが作者乃南アサの文の読みやすさに助けられ、スラスラ読めました。
近くて遠い国、台湾。私などはその実体や歴史的事実を殆ど分かっていないが、これを読んだら前よりはそれなりに分かってきました。
台湾の複雑さ、そこに住む人たちの心情描写は、流石に上手。
...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年06月28日
「六月の雪』という題名
南の国「台湾」で、降るはずのない「六月」に、目にすることのできない「雪」
それだけで、ドラマが鳴り響く。
主人公の成長物語に、あまり教育の場に出てこない「昭和における日本とアジア」のこと。
太平洋戦争が終わるまで「日本」であった地域「台湾」
最近話題になった、同時期の朝鮮...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年01月29日
祖母の故郷、台湾を訪れることによって、異なる文化や生活習慣、さらには根深く現地の人々に残された歴史の爪痕を知ることになる主人公。入院している祖母のモノローグと、主人公の進行形の旅の様子が交錯して描かれ、時に双方の誰かの性格や人生が近似する様が面白く描写されていた。
蒋介石統治時代の悲しい歴史は、...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年09月20日
台湾にはまだ行ったことがないのだが、まるで旅している気分になれた。そして、行きたくなった。
主人公よりは、基本的な歴史を理解していたが、その時代を生きてきたからこその、人間性、苦しみ、など歴史の裏に存在するそれぞれの立場での思いや気持ちなどが、この小説を通して、より理解でき、身近に感じられた。
最後...続きを読む
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