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夢破れた30代の将来への不安、認知症がはじまった本人と周囲の驚愕。
いまの日本の現代的なテーマと、台湾と日本との現代史がからみ合う、乃南アサ台湾ものの決定版!
30代前半、独身の杉山未來は、声優になるという夢に破れ、父母、妹、弟と離れ、祖母・朋子と東京でおだやかな二人暮らし。
ある日、祖母の骨折・入院を機に、未來は祖母が台湾うまれであることを知る。
彼女を元気づけるため、未來は祖母ゆかりの地を訪ねようと台湾へと旅立つ。
ところが戦前の祖母の記憶はあいまいで手掛かりが見つからない。
そこで出合ったのはひと癖もふた癖もある台湾の人たち。
台湾が日本の植民地であったこともぼんやりとしか知らない未來は、中国国民党に蹂躙された台湾の人々の涙を初めて知る。
いっぽう、朋子は認知症を発病し、みずからの衰えに言いようのない恐怖を覚えていた。
それに追い打ちをかける、朋子の遺産目当ての実の娘、真純(ますみ)の突然の出現……。
未來は祖母のふるさとに辿りつくことができるのか。
朋子の衰えに、未來は間に合うのか。そして長い旅路の果てに、未來が下した重大な決断とは……。
『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』と続く著者の台湾ものの、決定版とも言うべき感動巨篇。
※この電子書籍は2018年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
欖李花(ランリーファ)
マングローブ樹種の一種である欖李は、海水と淡水が混じる場所にしか育たない。
台湾の北部の海岸近くにたくさん植わっている。
雪を見たことのない台湾の人たちからまるで雪が降り積もっているかのように小さな白い小花がたくさん咲く。
ストーリーは、けがで入院した主人公の祖母が、幼少期にすごした台湾の思い出の場所を写真に撮って見せようとひとりで旅立つ。
50年も日本人が住んでいて、たくさんの建造物やサトウキビ工場を建て、豊かになった時代があり、日本が戦争に負け蒋介石率いる中華民国がやってきて、日本語・台湾語を禁止され、たくさんの虐殺もあった。
今まで知らなかった台湾の歴史に触れることが出来た。
Posted by ブクログ
「六月の雪』という題名
南の国「台湾」で、降るはずのない「六月」に、目にすることのできない「雪」
それだけで、ドラマが鳴り響く。
主人公の成長物語に、あまり教育の場に出てこない「昭和における日本とアジア」のこと。
太平洋戦争が終わるまで「日本」であった地域「台湾」
最近話題になった、同時期の朝鮮半島を描いた『パチンコ』とこの本を比べてしまうと、日本人作者のせいか、どことなく日本人の身勝手な“甘さ”が、目についてしまう。
ひとつ、間違えてはいけないこと。
中国にも、韓国にも、ロシアにも、マレーシア、インドネシアにも、親日家がいて、嫌日家がいる。
そしてどちらでもない「無関心」が、本当は大多数であること。
物語はとても面白い。
甘っちょろい成長物語ではなく、同時期の女性たちの生き様が強烈にぶつかってきて、旅先の味わいだけでなく、後味にピリッと何か残る物語でした。
Posted by ブクログ
祖母の故郷、台湾を訪れることによって、異なる文化や生活習慣、さらには根深く現地の人々に残された歴史の爪痕を知ることになる主人公。入院している祖母のモノローグと、主人公の進行形の旅の様子が交錯して描かれ、時に双方の誰かの性格や人生が近似する様が面白く描写されていた。
蒋介石統治時代の悲しい歴史は、初めて知ることとなった。日本統治時代は日本語を強要され、日本軍が引き上げてからの時代は中国語を母国語とすることになる。母国語を自由に話せないなんて、現代の日本人には考えられないことである。
祖母の容態は楽観できないが、主人公が現況から一歩踏み出していこうとする矢先、悲しい事故が起きる。六月の雪をバックに写真を撮った4人の姿は、永遠には続かないのだ。目の前の現実を飲み込み、さらに一歩進んでいこうとする主人公の姿が爽やかだった。
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