吉永シロウはもうすぐ50歳。昔バンドをやっていて、今は下請けコピーライターをしている。バンド仲間だった(通称)ドラムは今では紅白に出るようなバンドにいる。昔タイで知り合ったさっぱりしていてキュートな久美ちゃんにメールしても2年も返事がない。やはり昔すきだったバー・アラバマのママ、ヒロ子さんにも会って
...続きを読むない・・・久しぶりにヒロ子さんに会いに行き、とんでもないところで、久美ちゃんに再会する・・・
これは思わぬ収穫。他の所で、一つの文が長すぎると批判されてたけれど、全然問題ない。AだからBになったけど、Cのような論理の展開とか、感情の展開が3つの文になっても、1つでも、リズムが良ければどっちでもいい。
自分の人生はこんなことで良いのかと悩んでみたり、あるいは悩むのをサボって一時の快楽に耽ったりする男の話を他人事とは思えない。他人事だと思えないから面白いのではなく、面白いのに別の調味料が加わった感じがする。
自分の事がよく分からなくなったり、厭世観が強くなったりする、いわゆる「中二病」的な病。それが一度で済めばいいけれど、またいい歳してビョーキったりする。そのビョーキをネガティブに描かずに、笑えるポジティブに変える。そんな小説だった。