桜井鈴茂のレビュー一覧

  • 探偵になんて向いてない
    新しい作家の気概というか覚悟が文脈に伺える作品。ストーリーはちょっと昭和チックな探偵ものだけれど、会話も人物造形も令和に合った軽妙で心に沁みる新時代の探偵ものでした。あと3冊は連作でお願いします。
  • できそこないの世界でおれたちは
    主人公のシローは売れっ子ではないが別れた妻に養育費を払い、好きなレコードを買い、好きなものを食べ、飲んだり映画を観たり、好きな事がそこそこ出来るコピーライター!

    そんな彼の周りにいるソコソコ愉快な人々

    ドラム:紅白にも出場するデカメロンズのドラム
    ヒロ子:バーアラバマの店主、密かに?シローが思い...続きを読む
  • できそこないの世界でおれたちは
    「できそこないの世界で」の曲は作者の脳内では流れているだろうから是非音源化してほしい。

    Cloud Nothing「Stay Useless」は桜井鈴茂の小説の大半のテーマソングにできる。良い曲を知れた!
  • できそこないの世界でおれたちは
    吉永シロウはもうすぐ50歳。昔バンドをやっていて、今は下請けコピーライターをしている。バンド仲間だった(通称)ドラムは今では紅白に出るようなバンドにいる。昔タイで知り合ったさっぱりしていてキュートな久美ちゃんにメールしても2年も返事がない。やはり昔すきだったバー・アラバマのママ、ヒロ子さんにも会って...続きを読む
  • できそこないの世界でおれたちは
    読むたびに焦燥や狂騒が込み上げる。青春に挫折しそこねた大人たちのやりきれなさを他人事とは思えなくて、過ぎ去った日々とこれからの日常に思いを馳せる。うまく負けること、転がることの難儀さ。かつてクラッシュはrebel waltzを歌ったが、桜井鈴茂の描く哀惜はクラッシュよりももっと懐が深い。生きていく日...続きを読む
  • できそこないの世界でおれたちは
    四捨五入すると50歳のシロウのお話。
    最初読み辛いかもと思ったけど、言い回しが面白くて笑いながら読んだ。いくつになっても楽しみながら私も生きたい!
  • できそこないの世界でおれたちは
    内容紹介(ネット転載)
    パンク歌手として世に蔓延る嘘や欺瞞と闘った日々も今は昔。
    40代半ばとなった吉永は、下請けコピーライターとして、
    養育費の支払いに四苦八苦する毎日だ。
    ある日、今や紅白歌合戦に出場するほど出世(堕落?)した
    かつての相棒から久々に電話がかかってきて――。
    ジャズをかけ...続きを読む
  • どうしてこんなところに
    こうするしかなかったんだ。
    どうしようもなかったんだ。
    心の中で繰り返しながら、高速道路を走る男。
    東京~新潟~函館~宗谷岬~仙台~四国~大阪~小倉~沖縄。。。2年4か月に及ぶ逃亡生活のなかで、彼が下した決断とは。

    彼の人生は、最愛の妻を殺した時点で終わったものに等しかった。自殺することも自首する...続きを読む
  • どうしてこんなところに
    序盤はあまりはまらなかったが、久保田が居場所を転々とする度に、日本から久保田の居場所が無くなっていくにつれ話に惹きつけられた。
  • 走る?
    14人の新進気鋭の作家たちが、Number Doに寄稿した「走ること」に関する短編集。走る気になる作と、ならない作があるが、作家さんたちがランナーという訳ではないので仕方ない。でも、その著者なりの「走る」ということの考え方がなんとなくわかり面白かった。
  • 終わりまであとどれくらいだろう
    ぶっ飛んでいるようで、実はお手本のような群像劇なのではなかろうか。群像劇というのは、私小説と並んで、近現代において生まれるべくして生まれた文学の形態なのだろうと思う。キャラクターに過度な個性は必要なく、誰もが記号的で、けれど明確に個人である。形而下にありながらどこまでも形のない。つまりは矛盾というも...続きを読む
  • できそこないの世界でおれたちは
    これも、本の雑誌・年間ベスト企画から。著者のことはここで初めて知ったけど、本作中でバンド音楽が重要な位置を占めることからのイメージか、町田康を思い浮かべました。といっても、氏の音楽は聴いたことないし、読んだ作品も数作だけなんだけど。本作は、キャラも特徴体な人が多いし、矢継ぎ早に事件が起こるしで、楽し...続きを読む
  • 探偵になんて向いてない
    ハードボイルドっぽい探偵小説って久々かも。ダメ人間でも何だかんだで上手くいっちゃうタイプ。依頼の本筋よりも、猫シッターにびっくり。家族は嫌じゃないのか…。
  • 探偵になんて向いてない
    読んでいて毎日が暇な年金生活の自分が「探偵でもはじめてみるか」とちょっと思った(もちろん冗談)。気楽に楽しめる一冊。
  • 走る?
    スポーツ雑誌 NUMBER Doに連載されたランを題材にした短編小説を集めたアンソロジー。

    ランナーではなく、ランを題材にしているってのがポイント。王道に走る楽しみを描いた小説だけではなく、走ることがイヤになる小説、走らされる小説等各種色が揃っている。出来もマチマチで、トータルで評価すると凡作って...続きを読む
  • 走る?
    走るがテーマですと言われて作家は書くのだろうか?
    走らないこと、走ると飛ぶを比べる人、追いかける人、
    いろいろ読めて面白かった。

    俳優の岩松了のが、なんか後味ぞくっとする。

    「熊の夜戦」
    「いびきが月に届くまで」
    「パン、買ってこい」
    もよかった。
  • できそこないの世界でおれたちは
    色々な描写に「それ知ってる」と既知感が湧くなぁと思っていたら、作者は俺と同い年みたい。生きてきた時代背景が似ているということだったのか。

    フリーのコピーライター中年おっさん吉永が主人公。なんとも冴えない、ウジウジしてて、フワフワした生き方のおっさん。若い子らからみたら「こいつらバブル世代が日本を住...続きを読む
  • できそこないの世界でおれたちは
    もうすぐ50になる、もとパンクロッカーであり現フリーのコピーライターのシロウの青春物語。

    とくに何か大きな事が起こるわけではないが、回りにいる魅力的な友達との楽しく、時には悲しい青春物語。
    面白かった。皆が幸せでありますようにアレルヤ!

    ってな感じ。星3.5
  • できそこないの世界でおれたちは
    子どもの頃にかけられた、『お勉強しないとちゃんとした大人になれませんよ!』という暗示、、、
    これは『ちゃんとした』大人になれなかった人々の物語だ。
    世の中との妥協を良しとせず、俺流を貫いて来た人たちもいつか歳をとる。
    間もなくやってくる冬を前にキリギリスだって
    己の帰し方行く末に思いを馳せたりするの...続きを読む
  • 走る?
    未読の作家のたくさんつまったオムニバス。それぞれの作家の傾向と実力の片鱗がうかかわれて楽しい読書だった。
    走るということは苦しいけど楽しい。そんなテーマに集まった作家たちの目の付け所がみどころか。