桜井鈴茂のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
主人公のシローは売れっ子ではないが別れた妻に養育費を払い、好きなレコードを買い、好きなものを食べ、飲んだり映画を観たり、好きな事がそこそこ出来るコピーライター!
そんな彼の周りにいるソコソコ愉快な人々
ドラム:紅白にも出場するデカメロンズのドラム
ヒロ子:バーアラバマの店主、密かに?シローが思いを寄せる
久美ちゃん:シローとドラムのかつての同居人、今はパラグアイにいる?
ミラさん:女装するバーのマスター、かつては音楽レーベルのオーナー兼プロデューサー!
その他にも個性的なキャラクターが多数登場!
シローの役目は皆んなを微妙な弱い力で繋ぎ止める事!
奇跡は起きないかもしれないが心が何と -
-
Posted by ブクログ
ネタバレこうするしかなかったんだ。
どうしようもなかったんだ。
心の中で繰り返しながら、高速道路を走る男。
東京~新潟~函館~宗谷岬~仙台~四国~大阪~小倉~沖縄。。。2年4か月に及ぶ逃亡生活のなかで、彼が下した決断とは。
彼の人生は、最愛の妻を殺した時点で終わったものに等しかった。自殺することも自首することもできず、何人もの人と関わり、助けられ、騙され、与えられ、盗まれ、魂の旅を続ける。「どうしてこんなところに」と自らに問いかけながら、流れ流され、苦しみのたうちまわる姿がなぜか心を打つ。
仙台での復興の仕事、釜ヶ崎での日雇い仕事、どん底の生活を経て、そこに生きる人々のそれぞれの事情や深い絶望を目の -
-
Posted by ブクログ
ぶっ飛んでいるようで、実はお手本のような群像劇なのではなかろうか。群像劇というのは、私小説と並んで、近現代において生まれるべくして生まれた文学の形態なのだろうと思う。キャラクターに過度な個性は必要なく、誰もが記号的で、けれど明確に個人である。形而下にありながらどこまでも形のない。つまりは矛盾というものに整合性を付けようという試みなのかもしれない。きっと、「世の中」というものが漠然としたものでは済まなくなって、人が一人で生きていくのに必要なエネルギーが人一人分の質量では足りなくなってしまって、それを見据えたかのように大きめに造られていた容器に、他人を部分部分、継ぎ接いで、自分+αを自分だと言い聞
-
-
Posted by ブクログ
ネタバレスポーツ雑誌 NUMBER Doに連載されたランを題材にした短編小説を集めたアンソロジー。
ランナーではなく、ランを題材にしているってのがポイント。王道に走る楽しみを描いた小説だけではなく、走ることがイヤになる小説、走らされる小説等各種色が揃っている。出来もマチマチで、トータルで評価すると凡作ってことになってしまうなぁ。アンソロジーはそこが難しい。
好きな作品は
「パン買ってこい」中田永一
「ホープ・ソング」王城夕紀
「桜の並木の満開の下」遠藤徹
どれも結局はちゃんとランに目覚める人の話だった。
読み手によって好みは絶対分かれるだろうなぁ。 -
-
-
-
Posted by ブクログ
「走る」をテーマに14人の作家が競作。
日々のランニングのモチベーションが上がるような疾走感あふれる作品が収録してあるのかと思いつつ手に取りましたが、そこは実力派の先生方。凡人の思い通りにはいきません。思わず膝を打ち、唸ってしまうような「走る」小説が並び、裏切られました(喜)
14本どれもが個性的で、未知の作家さんとの出会いも。もちろん、苦手な話もありましたが、それも出会いです。
お気に入りは「パン、買ってこい」(中田永一)、「桜の並木の満開の下」(遠藤徹)、「誰にだって言いぶんはある」(桜井鈴茂)
人生の半分は現実ではないと彼は思う。
なぜならば精神が摂取するものの半分以上が、現実では