孤島に建つ洋館・奇岩館に連れてこられた日雇い労働者の佐藤。
館では古典ミステリーになぞらえた猟奇殺人事件が次々と起こる。それは、「探偵」役の顧客のために催される、実際の殺人が行われる推理ゲームだった。
佐藤は自分が殺される前に「探偵」と「犯人」を突き止め、ゲームを終わらせようと奔走するが……。
...続きを読む富裕層の為の、実際に殺人事件を起こして行う「推理ゲーム」。そんな推理ゲームに巻き込まれた青年の話です。
巻き込まれた青年・佐藤と、主催者(犯人)側の2視点から読める倒叙ミステリですが、「犯人当て」ならぬ「探偵当て」の側面もあって面白い。
ちょっと不謹慎寄りではあるけど、佐藤側から見るミステリ劇あり、主催側から見る不測の事態だらけのドタバタ劇ありのザ・エンタメって感じで純粋に楽しいです。
読者視点は神の視点のようで、実はちょっと違う。ミステリのお約束を逆手に取ったようなネタも満載です。
ネタといいえば、古典ミステリの軽いネタバレっぽいものがあるので、まだ読んでいない人は注意した方が良いかもしれません。
こんなトンデモイベントの主催者側でも、やっぱり中間管理職は苦労人なんだなと。変な所に同情してしまった。主催者さん側も良いキャラしてます。
主人公のキャラはちょっと最初と最後でブレてるかなと思わなくもないですが、何かに目覚めちゃったんですかね(笑)
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不謹慎系推理ゲームものと言ったらやっぱこれもオススメ。
『密室殺人ゲーム王手飛車取り』歌野晶午/講談社文庫