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秋が終り冷たい風が吹くようになると、彼女は時々僕の腕に体を寄せた。ダッフル・コートの厚い布地をとおして、僕は彼女の息づかいを感じとることができた。でも、それだけだった。彼女の求めているのは僕の腕ではなく、誰かの腕だった。僕の温もりではなく、誰かの温もりだった……。もう戻っては来ないあの時の、まなざし、語らい、想い、そして痛み。リリックな七つの短編。
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Posted by ブクログ
めくらやなぎと眠る女がアニメ映画化されたので、どんな話か読もうとこちらの短編集を買ったけど、肝心のめくらやなぎも、そのほかの短編も、どれも読んだことがあって、初読なのは三つのドイツ幻想だけだった。 納屋を焼く、はいろいろな短編集に入っているので、読むのはもう三度目かな。 好きな話なので、良い。 ...続きを読む蛍、納屋を焼く、めくらやなぎの短編ほ、ガールフレンドとうまくいくとかそういうことはなく、友人が死んでしまったり、友人のガールフレンドがいなくなったり、喪失についての物語だと思う。 納屋を焼くというのも、納屋を消滅させるということになるのかもしれない。けど、それは誰からも必要とされていないから、気づかれもしない消滅だ。 何かを失う、ということについて。身近だけど、あまり意識して生活することはなく、だけどあまりにも身近な物語。
『螢』は「ノルウェーの森」の原形とされている短編。 『納屋を焼く』は「バーニング」の題で韓国で映画化されている。 40年前の短編集であるけれど、いつもの村上春樹作品と同じく、時代性を感じさせないので現代の作品と同じ感覚で読める。 この、時代にとらわれていない感じがいいところだといつも思う。 どの...続きを読む時代の読者が読んでも、その時代時代を借景にして普遍的に通じるのである。 本作に収録の短編はどれも完成度が高く、ミステリアスな感じも村上春樹作品の入門としてよいと思う。
村上春樹さんの再読2冊目。この本は案外内容を覚えていた。もう20年以上前に読んだはずなのに、深く印象に残ったのだと思う。特に「納屋を焼く」が独特で好きだ。これを原作とした韓国映画「バーニング」も読後に観てみたが、自分の想像とはずいぶん異なる雰囲気と結末だった。想像の余地が大きいのが春樹さんの作品のま...続きを読むた面白いところだなと思った。
さびしさ 喪失 やるせなさ 学生の時にはなんとも思えなかった、この静かな、たしかにある感傷がしみた。これが歳を重ねたということだろうか
映画『めくらやなぎと眠る女』が好みの映画だったので、数年ぶりに引っ張り出して読み直した。 村上春樹の作品のなかでは長編、短編含めて一番好きな作品かもしれない。 特に本作のなかで一番好きなのはイ・チャンドン監督で映画化された『バーニング』の原作『納屋を焼く』だろうか。ミステリアスだがホラー的な要素もあ...続きを読むって面白い。 そして『踊る小人』もシュールな怖さがあってとても良い。寓話のような、ファンタジーのような雰囲気もある。 『ノルウェイの森』の習作となった『螢』も良かった。何ならこっちのほうが良いかもしれない笑 読後、どこか空虚さを感じるのだが、この独特な空虚さを感じるのも村上春樹作品の魅力かもしれない。
理屈がないのに滑らかで、安心感のあってそれでいてやるせのない話を読んでいると、この感情は自分ただ1人しか味わえない、誰にも共有し得ないものだと実感すると同時に、自分がだだっ広い空間にポツンと投げ出されて行き場をなくしたような停滞感も味わうことになる。進めないのか進みたくないのか、もう分からない。
7つのうち、最初の短編の「蛍」で、「僕」は「彼女」と中央線の電車の中で偶然に出会い、四ツ谷駅で降りる。その後、彼女は何も言わずに歩き始め、僕は、そのあとを1メートルほど離れながら歩く。四谷から飯田橋、飯田橋から神保町の交差点を経てお茶の水、さらには本郷に抜けた後で、駒込まで、僕は彼女のあとをついて歩...続きを読むく。そして、彼女は僕に「ここはどこなの?」と聞く。「駒込」と僕が答えると、彼女は「どうしてこんな所に来たの?」と尋ね、僕は「君が来たんだよ。僕はあとをついて来ただけさ」と答える。 グーグルマップで調べてみると、四ツ谷駅→飯田橋駅(2.1km、徒歩27分)、飯田橋駅→神保町交差点(1.2km、18分)、神保町交差点→御茶ノ水駅(950m、15分)、御茶ノ水駅→駒込駅(ここはほぼ直線、4.3km、62分)となり、合計で8.5km、122分となる。全く休まずに、口もきかずに、それだけの距離と時間を歩きとおし、「どうしてこんな所に来たの?」と僕に質問してしまう。 彼女は、彼の高校時代の友人のガールフレンドだったのだが、彼の友人は、どういう理由か分からないまま自殺してしまう。それから久しぶりに彼女と僕は偶然会うのだが、僕から見て彼女はやせてしまっていて、そして、上記の通り、普通ではない。 その後、彼女と僕は時々デートを重ねる。そして、クリスマスの夜に結ばれるが、彼女はそのまま僕の前から姿を消してしまう。その後に来た手紙には、彼女は「療養所」に入っているという内容が書かれている。 僕の友達の自殺により、彼女は心に深い傷を負い、まだ癒えてはいない、というよりも、異常をきたしている。デートを重ねるが、彼女は僕と一緒にいても、僕のことを見てはいない。「彼女の求めているのは僕の温もりではなく、誰かの温もりだった。」そのように、僕は感じながらも彼女と会い続ける。そして、結ばれた直後に、彼女は姿を消す。 とても哀しい物語だと思う。なぜ、このようなことが起こるのかということには、小説の中では一切触れられていない。ただ、そのように時は過ぎていくのである。 小説の最後に、僕は、別の友人からもらった瓶に入った蛍を屋上で逃してやる。蛍は飛んでいき、弱い光を放つが、彼にはその光をつかまえる術はない。
「納屋を焼く」の話が印象的だった。スマートな見かけの青年が、どういう理由か周辺の納屋を焼いていく。納屋を焼く人と納屋は焼かない人とに分かれるという。その不思議な世界観にひかれた。村上春樹の素敵な文章に浸れて、幸せな時間を過ごせて良かった。
これは完全に村上春樹ワールドです。この世界にどっぷり浸かりたいと思う健全な精神で読んだらとっても面白いと思います。
だいぶ昔に読んだ本。再読。 その頃は、二回同じ本を読まない主義というか、他にも読みたい本が山ほどある中で、後戻りしていられないという、読書を味わい尽くす使命感のようなものがあった(今もあまり変わらない)。その頃の記憶が、当時の音楽や情景に宿っていて、それは小説にも閉じ込められていたと気付く。 私...続きを読むにとって村上春樹はそうしたタイムカプセルの象徴であり、本書の「蛍」はストーリー自体も回想のようで、私自身の記憶と錯綜し、感情が紐解かれるようだ。そして、案外、話を覚えているものだ、というのが自分自身、意外だった。 言葉の意味も深く分からず、夢中で読んだ。その余韻に浸りながら、感受性豊かだった学生時代を思い出す。世界観、喪失感に厨二病のように取り憑かれ、誰かや自分の言葉、価値観に振り回されながら、それに陶酔していた日常を。 『ノルウェーの森』を教えてくれた人が、この短編集に世界を広げてくれたのだった。今はもう、その人と簡単に会える関係性にはないが、元気でいてくれたらなと思う。
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