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「それらを通過する前とあととでは、日本人の意識のあり方が大きく違ってしまった」1995年に起きた阪神淡路大震災、そして地下鉄サリン事件。日本の戦後史の転換期を狙い澄ましたかのようなこの二つの悲劇は、地下--「アンダーグラウンド」から突如噴き出した、圧倒的な暴力の裏と表だった。魂の最奥部を見つめ続けてきた作家が、62人の関係者への丹念なインタビューを通じて浮かび上がらせる現代日本の、そして人間の底深い闇。強い祈りをこめた、渾身の書き下ろしノンフィクション。
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Posted by ブクログ
わかりやすい構図、伝えたいこと、そんなレールに沿って語られる物語より、アトランダムに取り上げられた物語から出来上がった総体から、やんわりと感じられる何か、そんなものが私を惹きつける。 ジャーナリズムだって、その例外ではない。というか、ジャーナリズムこそ、そうあるべきなのかもしれない。 こんなに熱が...続きを読むこもっているのは珍しいくらいに、熱いものを感じるあとがきの「目じるしのない悪夢」は、今回のテーマを超えて、普遍的なメッセージとして心に響いた。 「…あなたが今持っている物語は、本当にあなたの物話なのだろうか? あなたの見ている夢は本当にあなたの夢なのだろうか? それはいつかとんでもない悪夢に転換していくかもしれない誰か別の人間の夢ではないのか?」
【2024年141冊目】 1995年3月20日、東京の地下鉄で起きた無差別テロ、地下鉄サリン事件。作家村上春樹がその被害者や関係者総勢62名に対してインタビューを行った生きた記録である。あの日、東京の"アンダーグラウンド"で、一体何が起こったのか。迫真の一冊。 きっと★いくつと...続きを読むかで評価をつけるべきではないのだろうと思いつつ、少しでも高評価であることで、手に取る人が増えると良いなと思って★5にしました。 文庫本にして777頁、しかも多くの頁は2段組という恐ろしい文量の一作です。読み進めるのにかなり時間がかかりました。一気読みはとてもできなかった。 本著が書かれた時よりも被害者数には変化があり、死者は14名、負傷者は6,000名を超えるとされています。正に未曾有の事件です。 本作において、被害者ひとりひとりの証言はまずそのバックグラウンドから語られ始めます。どのように人生を生きてきたのか、そしてサリン事件の前後でどのように変化があったのか。 あまりにも生々しい証言の数々。そこから読み取れるのは、オウム真理教への怒りと困惑でした。理解ができないことが起こったというのが正しいのかもしれません、判断の範疇外の出来事すぎるのです。 巻末で村上春樹さんが「意識をして逸らさなければならない存在」というように形容していて、なるほどなと思いました。無視をするには、少しだけこちらの世界に足を踏み入れている、そんな感じだったのかもしれません。 この本はもっぱら電車移動の時に読んでいましたが、人間の世界は性善説でなんとか均衡が保たれていて(もちろん事件は起こっていますが)こういった大事件は、起こるかもしれないという想像さえつかなかったはず。現に、この本を読むまで、電車という密閉空間の危険性について忘れていたくらいなので(サリン事件の時、まだ小学生でした) 少しボリュームがありすぎるので、なかなか気軽に読むには決心がいりますが、何百年先まで語り継いでいくべき一冊だと思います。
ぽん先輩が「これはただのノンフィクションではない」って言ってたけど、その意味がわかった。 本当に事実だけが、彼らが証言したことがそのまま書かれている。 だからサリンの匂いについてだったり犯人たちへの思いだったり、同じことを言ってるなと思うこともあれば違うことを言ってる人もいて、人間の個性が出ていて興...続きを読む味深いものだった。 わたしは信仰心に漬け込んで悪事を働いたオウム真理教が許せないけれど、本屋に足を運んでもそれ関連の本はなかなか見つからない。あれだけの凶悪犯罪なのに、肖像権の問題があり当時のニュースなどは残っていないし、仕方ないことかもしれないが忘れられようとしている気がする。風化させないようにしたいと思った。
村上春樹による「オウム地下鉄サリン事件」の被害者たちへのインタビューに基づくノンフィクション。文庫本で600ページ以上という大作。 この作品は読む前に期待していたものよりも、もっと多くのものを含んでいると感じた。 その内容は大別して2つに分けられる。「被害者たちの体験の追憶」とそこから著者によって...続きを読む分析される「地下鉄サリン事件とは何なのか」である。 前者は圧倒的な取材量がベースとなって描かれる、サリン事件の被害者たちのリアルである。著者はこの作品を書こうと思った動機として、当時のメディアが被害者たちを「傷つけられたイノセントな一般市民」としてしか描いておらず、彼らのリアルが明らかにされることがほとんどなかったからだと冒頭で語っている。 メディアは、オウム(悪・狂気)と被害者(正義・正気)という単純な二項対立を描くために、被害者たちの「顔」(個性)を排除したのだ。 対して村上春樹は、被害者たちが事件の当時どんな目に遭って、どう感じて、今(取材当時)どう生きているのか、を率直に綴る。 このリアルに圧倒された。 被害の大小に関わらず、被害者たちの人生と生活は事件の前後で一変してしまった。それが痛々しく伝わってきた。 特に、こうしたイレギュラーな大事件は人が平時に信じている価値観や「軸」、大事にしているもの、アイデンティティを浮き彫りにするのだと感じた。事件の後、多くの被害者たちがより一層自分の生き様を考えて、それに偏るようになったと語っている。 そして「地下鉄サリン事件とは何か」という問題。 村上春樹はこれに対して、いずれこの大事件が単なる「狂気の集団によって起こされた異常な事件」「都市伝説的な犯罪ゴシップ」と見做されてしまうようになることに多大な危機感を持っていると書いている。 実際、事件の後に生まれた自分もこれに似たようなイメージを持っている。この2022年において、大多数の日本人がそうだと思う。村上春樹の懸念は当たったわけだ。 では村上春樹が分析する「地下鉄サリン事件とは何か」とは、「オウムの狂気は我々の中にも存在する」という事実である。 つまりオウムとは「自律的に目標を追求する意志を抑えつけるシステム(高度管理社会)への反抗」であり、これは誰しもがうちに抱えている問題だとするのだ。 この分析は傑出した洞察かと思う。実際、インタビューの中で「彼ら(オウム信者)の気持ちも分かるんです」という被害者もいた。 個人的にもこの分析は当たっていると思う。自分の中にも社会に反抗して自律的パワープロセスを追求したい気持ちはあるが、それに見て見ぬ振りをして上手く社会に溶け込んでいる。多かれ少なかれ人はそうした感情を持っているのではないか。 麻原彰晃は人のこうした感情を非常に上手く焚き付けて、魅惑的でシンプルなストーリーを説くことで信者を獲得していった。信者は麻原についていくことで自尊心を満たし、代わりに自我という対価を渡した。 「地下鉄サリン事件」は正義と悪の単純な二項対立ではなく、我々の内にも存在する負の感情の表出である。それを理解しなければ、今後第二のオウム、地下鉄サリン事件が出てくるだろう。 今からでも学べることはあるのではないか?
長かった。やっと読み終えることができた。これを機に村上作品を読むようにしてる。村上ラジオも欠かさず聴いている。
面白いとか、好きではないのだけど、この地下鉄サリン事件の被害者62人にインタビューし、事件の一側面からの生の記録を残したことがまずすごいと思った。元気がないとなかなか読めない本。 インタビューはとても読みやすかったけど村上春樹本人のとこは、読みづらかったかな。 でも、読んで残る本。数でまとめられてし...続きを読むまう出来事の先に一人一人の人間がいるということ、そして、それぞれの人の性質やほんのひとえの行動が生死や、軽症・重症をわけること、この事件がどういうものだったかなど色々考えさせられた
村上作品でもっとも好きな作品。地下鉄サリン事件の被害者に焦点をあてたインタビュー集だが、被害者の日常や背景を淡々と描きながらも、人物像が浮かび上がる筆力に感動した作品です^_^ オススメ!
村上春樹のノンフィクション。 「あの時、本当は何が起こっていたのか」をまざまざと見せ付けられます…地下鉄サリン事件の被害者60人の証言から。 被害者の方々の、何が起こってるかよく分からないし自分も苦しいけど他の苦しんでる人を何とかしなきゃという姿勢や行動がとても尊いです。非常事態って現場の人が何とか...続きを読むしなきゃいけないんだなって、ちょっと悲しくはなりましたが。警察があたふたしてただけのように、この証言からは多く読み取れたので。 件の地下鉄にも、たまたまあの日はその時間のその路線のその車両に乗ってたという人が結構いて、怖かったです。前日まで会社休んでたのであの日は行かなきゃと思った、という人も多かった。 あと、かなり苦しいけど会社は行かなきゃ…という人も多いのも日本的な気がしました。時代もあるだろうけど。 あとがきも良かったです。麻原彰晃の荒唐無稽な物語に対抗出来る真っ当な力を持つ物語を我々は提示できるのか…物語を紡ぐ作家さんでも、そうでない一般の人でも、これは突き付けられると思います。何かよくわからないけど危なそうな宗教に身近な人がハマってるとき、どうしたら目を醒ませられるのかは作家でなくとも考えなくちゃならない。 いつか狂気を要求するかもしれない誰かの物語を自分の物語として受け取ってないか…も残りました。 村上春樹さんってエッセイやラジオの印象でもっと飄々として軽薄な感じだと勝手に思ってましたが、真摯な方なのですね。印象が変わりました。
地下鉄サリン事件で起きたこととは、沢山の無実の人達が突然に命や健康を奪われ、人生を狂わされた出来事だったのだと改めて知った。村上春樹さんと編集者の丁寧な仕事、被害者の勇気ある証言によって、この本に書かれたことは忘れられることはない。どんなメディアの報道よりも真実が深く伝わった。最初は何故?と思ったが...続きを読む、ジャーナリストではなく村上春樹という作家が本にすることの意義も強く感じた。事実だけでは、真実のごく一部でしかないからだ。
地下鉄サリン事件の被害にあったかたの辛い思いが詰まった一冊。なにがあるかわからないなと思った。当たり前だが被害にあった一人一人に人生があって、大切な人がいて、命というもは重いと思った。我慢している人が多いので、しんどいときはしんどいと言うことは大切だなと思った。村上さんの人間の分析力はすごいと思った...続きを読む。
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