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れんげ荘
有名広告代理店を早期退職したキョウコは、古いアパート「れんげ荘」で貯金を切り崩しながら自由な暮らし。近所の花店で元気なチューリップを買ってきたり、お腹周りが心配になってきたので、遠回りして買い物に出かけたり、「れんげ荘」の元住人・コナツさんの結婚のお披露目会に、久々におめかしして出かけたり。ネコやイヌ、鳥や花や隣人とのお茶の時間などに心を癒されながら、キョウコは今日も小さな幸せを見つけています。 幸せは、人それぞれ―― キョウコは自分でも「休みすぎ!」とツッコミを入れながらも、無職のまま、月10万円の生活をのんびり続けています。 ささやかな楽しみを見つけながら。 ロングセラー「れんげ荘物語」シリーズ、第7弾! 書き下ろし長篇(どの巻からでも、お楽しみいただけます) -
カンザキさん
「わしのこと以外、書くことなんてないやろ」 カンザキさんは、悪魔だったのか、それとも――。 大学卒業後、引きこもりを経て、僕が働くことになったのは、離職者続出、いつでも求人中の超絶ブラックの配送会社。 そこで先輩として出会ったのが、誰にでも優しい人格者のミドリカワさんと、「殺すぞぼけ」と人を罵り、蹴りを入れる悪魔のようなカンザキさんだった。 ナンバーワンの配送員になって幹部を目指す!と豪語した同期は、カンザキさんと組んで入社2週間で辞めた。要領の悪い同期はカンザキさんに殴られ続け、走るトラックの助手席から飛び降り、入院してしまう。そしてカンザキさんと組まされた僕は、カッター片手の彼に、荷台の上へ引きずり込まれ「服を脱げ」と命じられて――。 圧倒的な暴力と不条理の果てに、見えてくる戦慄の光景。 注目の劇作家による初小説! 第47回野間文芸新人賞受賞作。 【著者略歴】 ピンク地底人3号(ぴんくちていじんさんごう) 1982年生まれ。同志社大学文学部文化学科美学芸術学専攻卒業。劇作家・演出家。2019年「鎖骨に天使が眠っている」で第24回劇作家協会新人戯曲賞受賞。2022年「華指1832」で第66回岸田國士戯曲賞最終候補。初の小説である本作で第47回野間文芸新人賞受賞。 -
私はスカーレット
林真理子が描く『風と共に去りぬ』第一巻! 〈小説『風と共に去りぬ』を読んだことがあるだろうか。私を作家へと導いてくれた小説である〉ーー自身の「原点」と語るあの名作を、ヒロイン、スカーレット・オハラの一人称小説として林真理子が鮮やかにポップに現代に甦らせた! 南北戦争時代の米国ジョージア州。「このあたりいちばんの美人」ということになっているスカーレットは、わがままでうぬぼれやで思慮浅く、華やかなドレスとパーティー、そして男の子たちにちやほやされるのが大好き。「他の娘の恋人を奪うのが趣味」だと、まわりの女子どころか実の妹にまで嫌われている。 そんな史上最強のヒロインの波瀾万丈な人生。恋あり、三角関係あり、冒険あり。最高に面白い、待望の第1巻! ※『私はスカーレット』文庫版の1~4巻は単行本として配信されている『私はスカーレット 上』 と同様の内容になります。 -
超 すしってる
○幾原邦彦(アニメ監督 代表作『少女革命ウテナ』『輪るピングドラム』など)激賞! きっと何者にもなれないモラトリアムたちの明日はどっちだ? これは僕たちの生きる世界と、その生存戦略についての物語だ。 スシが僕たちのことなら、スタンドバイミーは、ここから始まる。 モラトリアムは電気マグロの夢を見るか? ――「すし」になりたい、さもなくば何にもなりたくない。 時は2020年3月。 東大に落ちた女子高生・サッチャーの元に届いたのは、「西東京すし養成大学」の合格通知。 藁にもすがる思いで赴いた怪しい説明会には、同じく合格通知を受け取った親友3人の姿が。 入学オリエンテーション「シャリ化」の洗礼を受けた4人の少女達は、 すし大学の講義を受けるうちに、水中呼吸を会得したり、 手の平からワサビが出るようになったり、だんだんと「人間離れ」をしていく。 未来にも社会にも背を向けて、負け犬になりたくないから「すし」になる。 ――でも、本当にそれでいいの? 大人と子供の狭間でもがく少女たちが選ぶ未来とは。 異色の不条理青春ラプソディ、爆誕! 【目 次】 1 オリエンテーション:シャリ 2 実技試験:ネタ 3 中間試験:ガリ 4 プレゼン課題:サビ 5 最終試験:握り -
石狩七穂のつくりおき
派遣切りにあい求職中の七穂は、親戚の隆司が鬱で休職したと聞く。エリート街道まっしぐらのイケメンだった隆司だが、今や祖父の残した古民家に閉じこもり、盆栽いじりと居ついた猫の相手をするほかは、万年床で寝るばかりのとぼけた青年になり果てていた。抜群の家事能力を生かし隆司のお食事&見守り当番として奮闘する七穂だが、やがて彼が休職した本当の理由を知り……。心もおなかも満たされる、おとなの夏休み物語。 -
森崎書店の日々
日本の小説作品として異例の大ヒット! 恋人から突然、「他の女性と結婚する」と告げられた貴子は、深く傷つき、ただ泣き暮らす毎日をおくることになった。 職場恋愛だったために会社も辞めることになり、貴子は恋人と仕事をいっぺんに失うことに。そんなとき叔父のサトルから貴子に電話が入る。叔父は妻の桃子に家出され、ひとり神保町で「森崎書店」という古書店を経営していた。 親類の間では変人として通っていた叔父からの連絡は、「店に住んで、仕事を手伝って欲しい」というもので――。 50の言語で翻訳オファーが殺到し、世界的大ヒットを遂げたヒーリング小説の傑作が新装版で遂に登場。巻末には書き下ろしの掌編、「午後の来訪者」も収録。 -
境界のメロディ
メジャーデビュー目前にして相方のカイを事故で亡くしたキョウスケは、音楽から距離を置き無気力に生きていた。しかし事故から3年。突然カイがキョウスケの前に現れる。 「生きていても、何もやらずに止まったままだったら、死んでるのと一緒じゃん」 生前と変わらない歯に衣着せぬ物言い。そして思わずつられて笑顔になってしまう強引さ。キョウスケはカイに説得され再び音楽の世界と向き合い、共に音を重ねる喜びを感じる。でも、カイとの幸せな時間は永遠ではなくて――。 2人の音が交わるとき世界は色を取り戻す――。 *電子特典として、ドラマCD参加キャスト&イラストレーターからのコメントを掲載! -
アフター・ユー
遠い地で、見知らぬ男と海に消えた恋人―― ●一穂ミチ3年ぶりとなる待望の長編 『光のとこにいてね』(島清恋愛文学賞受賞)、 『ツミデミック』(直木賞受賞)、 『恋とか愛とかやさしさなら』(本屋大賞ノミネート)と、 次々と話題作を発表する一穂ミチさん。 3年ぶりの長編となる今作は、 一穂さんが「いつか書きたかった」という、 「不在」と「喪失」の物語となりました。 互いに秘密を抱えながら暮らす 男女に訪れた突然の別れ――。 喪失を通して愛を問う、大人の恋愛小説です。 〔あらすじ〕 タクシー運転手の青吾が仕事を終えて家に帰ると、帰宅しているはずの恋人・多実がいない。 翌日以降も戻る気配がなく焦りを募らせる青吾のもとに、 <多実が見知らぬ男性と五島列島の遠鹿島で海難事故に遭い、 行方不明になった>というしらせが届く。 謎の多い事故の真実を求めて、 男の妻だという沙都子と遠鹿島へ向かう青吾。 多実の人生のかけらを拾い集める旅は、 青吾自身の過去をも照らしながら、 思いも寄らぬ場所へとふたりを導く――。 -
世界はきみが思うより
ある出来事がきっかけで他人が作った料理を受け付けなくなってしまった高校生の冬真は、同級生の時枝くんに「難病を抱えた美少女」の妹がいるという噂をきく。友達にそそのかされ、時枝くんの家まで行ったことがきっかけで、冬真は時枝くんと仲良くなっていくが――。一方、国際交流プラザで働く紗里は、「きれいなものが好き」なあまり、太ることへの嫌悪感を抱えていた。自分が撮影した写真が原因で時枝くんを傷つけたことを知った紗里は、“罰”としてマッチングアプリを始めて……。それぞれの理由で世界への信頼が薄くなった彼らが、大切な人と歩いていくために一歩を踏み出す感動作。 -
オーロラが見られなくても
それはわたしの人生に、ひさしぶりに点った、遠い目標だった。 壁も屋根も、街全体が真っ青でまるで夢の中に迷い込んでしまったような、モロッコのシャフシャウエン。二十七歳の岬はここに「自分を少し捨てに」やってきた。グラスにあふれんばかりの生のミントと熱くて甘い緑茶を注いだミントティーや、帽子のような鍋に入ったレモンとチキンのタジン。初めての景色と料理に出会った岬に、予想外の事態が起こり……。(「ジブラルタルで会えたら」)長年の介護が突然終わった佳奈は、アイスランドを訪れた。胸を突かれるように美しい氷河湖や、屋台で買って頬張る熱々の“全部のっけ”のホットドッグ。輝かしい未来なんて想像もできなかった佳奈だけれど、胸にある思いが湧きあがる……。(「オーロラが見られなくても」) -
最後の一色
本屋大賞受賞作家が描く、戦国巨編! 「二〇一九年七月、取材を本格化。『村上海賊の娘』以降、遊んでいたわけではありません。この小説を書いていました。 この丹後一色氏最後の男の物語を。」 和田竜 「信長か。珍しゅうもない。ざらにいる男よ--。」 織田信長による天下布武の軍団が日本全土を侵略していくなか、その怪物は戦場にあらわれた。名を丹後の守護大名、一色義員(いっしき・よしかず)の嫡男・五郎(ごろう)と言った。 十七歳の青年は、父が倒された圧倒的不利な状況下で、凄惨な戦闘を繰り広げ、その場にいた全ての人間を恐怖に陥れる。 -
奇想怪談×天外推理 今日も彼女と”溜息”のオカルト研究会
宇都機理世は今日も怪談の謎を解く。”ホンモノ”と出会うために――! 高校一年生、水井境太郎は友人の高野聖から元恋人である加賀見清花に呪い殺されると相談を受けた。その実態を調べるために加賀見清花が所属するオカルト研究部に行くと、部長の宇都機理世と出会う。 理世は”呪われている”と噂される謎多き少女だった。 理由付けができないもの、反証できないものこそがホンモノの怪異!と主張する理世とともに、境太郎は掲示板に寄せられた怪談がホンモノかどうか調査することになるが――。 ●目次 プロローグ 3 第一話 天狗 隠しの怪―Invisible Ladder 21 閑話休題 112 第二話 羅切丸の怪―Ripper RIP 125 閑話休題 175 第三話 両喜亭の怪―THE CURIOSITY HOUSE OF RYOKITEI 183 エピローグ 270 ●著者 久青 玩具堂(ひさお がんぐどう) 千葉県出身、在住。2010年、玩具堂名義の「なるたま~あるいは学園パズル」で第15回スニーカー大賞〈大賞〉を受賞。受賞作を改題したデビュー作『子ひつじは迷わない』(KADOKAWA)は、青春ミステリシリーズとして人気を博す。他の著作に『漂流王国』『探偵くんと鋭い山田さん』(いずれもKADOKAWA)『まるで名探偵のような 雑居ビルの事件ノート』(東京創元社)がある。 -
高宮麻綾
会社への不満を抱えるすべての人へ捧ぐ! \こんな会社辞めてやる! そう思ったことがある人、全員集合!/ 精魂込めて作り上げた新規事業が、親会社に潰された。理由はリスク回避。 「なんであんたたちの意味わかんない論理で、あたしのアイデアが潰されなきゃなんないのよ!」 怒りを爆発させた三年目の社員・高宮麻綾は、社内外を駆けずり回り、“リスク”の調査に乗り出す。 私は私の仕事をモノにしてみせる―― だってそういうたまらない瞬間のために生きているんだもの。 忖度、義理、出世……それって昭和の話? いえいえ、いつの時代も会社はややこしくって面白い! 今日の味方は明日の敵――めくるめく令和のサラリーマン小説が爆誕。 \松本清張賞選考会で話題沸騰/ 完成度が高いエンターテインメント作品。構成の密度、キャラクター設定ともによく練られていて、著者はエンタメの世界で即戦力の持ち主だと感じた。――辻村深月(作家・松本清張賞選考委員) 勢いに引っ張り込まれた。非常に良くできた作品で、私などは見事に感情をコントロールされたクチである。私はこの作品を一推しした。――森絵都(作家・松本清張賞選考委員) \各界から絶賛の声/ 仕事が好きな人、仕事の理不尽を知る人にとって間違いなく、心にぶっ刺さる物語。――瀧井朝世(ライター) 仕事ってむかつくけど面白いよな!!!そんな感情を思い出させてくれた痛快・最高・天才の仕事小説です!全員読んでくれ!――三宅香帆(文芸評論家) 引き継がれるのは事業への想い。読むと仕事のやる気が湧いてくる。エナジードリンクみたいなお仕事小説です。――新川帆立(作家) ただ面白いから仕事を続けてきた。それでも良かったんだと胸を張れました。――安島隆(ディレクター) 会社が憎い。だから今日も働く。会社員の屈折した魂の輝きの全て。――メン獄(『コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル』) -
げいしゃわるつ・いたりあの
若き日の有吉佐和子が、実際に花街を取材して書き上げた渾身の一作。 陰りを見せ始める花柳界の問題を鋭く示しながら、 当時の煌めきをユーモラスに活写した“幻の快作”が、 66年の時を経て初の文庫化! 【内容】 1950年代、東京の花街。 置屋「綾津川」の女あるじ・綾千代のもとに、 正体不明のイタリア系アメリカ人・フランチョリーニから、 芸者遊芸ブロードウェイ公演の話が舞い込んだ。 綾千代はライバル・亀千代とタッグを組み、 芸妓組合での根回しや渡航の金繰りに奔走するが、徐々に暗雲が立ち込める。 売れっ妓・千々代と花奴、 縁あってフランチョリーニの秘書となった 国際電話交換手の能村勢子とその同僚・横井新也、 日本舞踊の家元・梶川猿寿郎らが巻き起こす騒動と恋のさや当て――。 混迷を極める“ゲイシャガール・ダンシング・ティーム”は、 果たしてアメリカへ行けるのか!? 〈解説〉岩下尚史(作家・國學院大學客員教授) -
黄金と水飴のアパルトマン
〈五感のすべてを響かせる描写が素晴らしい。 時代の空気を見事に捉えたこの物語は、 まさに「いま」読んでおくべき一冊!〉 内田剛さん(ブックジャーナリスト) 僕たちは黄金をもっている。はずだった―― ここは、夢を追う若者たちの共同住宅〈アパルトマン黒猫〉。 イラストレーター、アイドル、書道家、脚本家…… 自分の黄金(たったひとつの才能)を信じるアーティストたち。 生成AIの進化に芸術が脅かされる時代、 彼らが手にした黄金は、いつまで黄金であり続けるだろうか。 夢を失ったピアニスト・梨音は、 アパルトマンの管理人になり、 芸術と真剣に向き合う住人たちと交流することで、 少しずつ変わっていく。 『後宮の百花輪』、『パンダより恋が苦手な私たち』など 好評シリーズの著者による、 芸術家たちの青春ストーリー。 -
老坂クリニック
高齢者の疾患全般を診る老坂クリニック。院長の小町先生には短歌の趣味があり、治療に応用も。現役医師作家が描く書下ろし医療小説! 東京・自由が丘にある老坂クリニックは「老年内科」を看板に掲げる、高齢者の疾患全般を診る診療所。ちょっとした坂を上り切ったところにあり、お年寄りにはきつい。医師は2人。普通の高齢者の治療がしたいと言って、都心の大学病院から移ってきた31歳の山里羊司医師と、赤茶色に髪を染めた68歳のベテラン・老坂小町院長だ。小町先生には短歌の趣味があり、患者への診察メッセージを短歌に込めるという特技を持つ。それが治療に役立っているのかは不明だが。そして集まってくる患者は狙いどおりお年寄りばかり。今回の診療項目には、エンディングノート、白内障、免許返納の三つが並ぶ。 -
砂上の王国
第17回角川春樹小説賞受賞作 沙漠の風が吹く、西域(オリエント)歴史小説の新星。「大陸的な人物が上手く描けている」北方謙三 「力作。古代中国に関する豊富で確固とした知識に裏付けられている」今野敏 「リーダビリティが高い」今村翔吾 「可能性、伸びしろという点で一番」角川春樹 誇り高き小国の皇子とその兄弟の物語。 七世紀、小国でありながらシルクロード交易の要衝である高昌(こうしょう)国は揺れていた。大国ながら新興国である唐につくか、強大だが荒々しい西突厥(にしとっけつ)と手を組み、この地で独立を貫くか――。第一皇子である麴(きく)智盛(ちせい)は、そのどちらでもなく、西域の国々で手を取り、助け合って生き抜くべきだ、と考えていた。だが父王の考えは違い、中華文化をこの干からびた土地へ持ち込んだという矜持から、高昌国こそが盟主として立つべきだ、と西突厥と組むことを選ぶ。この砂の海に浮かぶ小さな舟のような国は、時代の荒波をどう渡っていくのか。 オリエントの風を感じる歴史浪漫、開幕! -
未来への人生ノート
『17歳のビオトープ』待望の続編! “就職”という人生の転機を迎えた4人の大学生を、就活アドバイザー・人生先生がやさしく導いていく 2025年10月、東京・名古屋にて、舞台化決定! 【主演】辰巳雄大(ふぉ~ゆ~) 自信満々で臨んだ面接練習で「“いい人”の壁」に当たる千佳。好きな人に振り向いてもらえず、「面白さ」の正体に悩む不器用な一平。就活を拒否し、自分探しの旅に出た直樹。目立つものが何もない自分に劣等感を抱き、「本当の自分」を見つけようともがく夕。 4人の前に現れたのは、謎めいた就活アドバイザー・平人生――通称、人生先生。人生先生との対話を通して、学生たちは少しずつ、自分の足で“人生”と向き合い始める。 第1話 いい人の見分け方はありますか 第2話 面白い人ってどんな人ですか 第3話 自分探しはどこへ行けばいいですか 第4話 自分って、なんですか -
ハンチバック
23の国と地域で翻訳決定! 芥川賞受賞作 【2025 国際ブッカー賞ロングリスト】【2025全米図書賞・翻訳文学部門ロングリスト】に選出! 23の国と地域で翻訳決定。話題沸騰の芥川賞受賞作がついに文庫化! 「私の身体は生きるために壊れてきた。」 井沢釈華の背骨は、右肺を押し潰すかたちで極度に湾曲している。 両親が遺したグループホームの十畳の自室から釈華は、有名私大の通信課程に通い、しがないコタツ記事を書いては収入の全額を寄付し、18禁TL小説をサイトに投稿し、零細アカウントで「生まれ変わったら高級娼婦になりたい」と呟く。 ある日、グループホームのヘルパー・田中に、そのアカウントを知られていることが発覚し――。 【文庫版の特徴】 ・ルビを大幅に増やしました。 ・著者が執筆にあたり大きな影響を受けたと語る『凜として灯る』の著者・荒井裕樹氏との往復書簡「世界にとっての異物になってやりたい」(「文學界」2023年8月号)は、大変話題となりましたが、今回新たな書簡を特別付録として追加し、全文を巻末に収録しました。 単行本 2023年6月 文藝春秋刊 文庫版 2025年10月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 -
たとえば、葡萄
ひたむきに生きる現代の大人女性への応援歌。 まったく先の見えない状態で会社を辞めてしまった美月(28歳)。折悪しく時代はコロナ禍に向かってまっしぐら。閉塞感、不安感でいっぱいの時、転がり込んだのは母の昔からの友人・市子(56歳)の家。昔なじみの個性の強い大人達に囲まれ一緒に過ごすうち、真っ暗闇の絶望の中にいた美月は徐々に上を向く。 誰の心にも存在する将来への恐れや不安、葛藤……。自分と格闘する美月を周囲の大人達は優しく見守る。さりげなく、自然に、寄り添うように。 何度も心が折れそうになりながらも、やがて美月はひょんな出会いから、自分自身の夢と希望を見つけていく……。 今や歴史の一部になりつつあるコロナ禍の時代とそこに生きる人々を描き、改めて人との絆、働くとは、生きるとは、をさりげなく優しく感じさせてくれる作品。そして、登場人物たちは、大島作品好きならたまらない「あの」人々。 心に刺さる、巻末の有働由美子さんの解説原稿も必読です! ※この作品は過去に単行本として配信されていた『たとえば、葡萄』 の文庫版となります。 -
シナントロープ
話題のドラマを完全ノベライズ!! アニメ「オッドタクシー」の脚本でも知られる此元和津也氏が、原作・脚本としてオリジナルストーリーを書き下ろした超話題作を完全ノベライズ!! 街の小さなバーガーショップ「シナントロープ」では、8人の若者たちが働いている。大学生の都成剣之介は、同僚の水町ことみに想いを寄せていた。都成は今日も、いつもと変わらない穏やかな一日が始まると思っていた──オレンジ色の目出し帽をかぶった男が店内に座っているのを見つけるまでは。不可解な強盗事件が、店を非日常へ連れ込む。 何が本当で、何が嘘なのか。謎が謎を呼ぶ緻密な伏線と巧みな会話劇がクセになる、美しくエモーショナルな青春群像ミステリー。 -
在る。 SOGI支援医のカルテ【電子版特典付き】
「あなたの性にまつわる在り方は、あなたが決めて良いの。どんな選択をしたって、間違いなんてないしね」 富士見ウエスト病院には、性の在り方に関する不調をケアする「SOGI支援外来」がある。同外来を担当する、第七病棟医長の精神科医・海野彩乃先生は、マイペースな人だけど患者には優しい・意外と面倒見も良いという評判で、各地から患者が集まっていて……。 『藍色時刻の君たちは』で山田風太郎賞を受賞した現役看護師作家がおくる、希望が広がる医療連作短編集。 第一章「二人のエックス」 春、富士見ウエスト病院に勤める休職明けの看護師・倉木透子が配属になった第七病棟は、ストレスケアの治療を中心におこなう「病棟に見えない病棟」。病棟医長の海野彩乃先生とは、休職前にあるやりとりをしていた。復帰した倉木が紹介された患者は、十代のXジェンダーで……。 第二章「溶ける光」 夏、精神保健福祉士の岡田樹里は、アルコール依存症患者の退院支援をしている。担当する尾形佳奈のベッドの近くには、【公正証書 謄本】と書かれた封筒があった。 第三章「反転文字の向こうで」 秋、服飾学生の山口佑樹は、急性一過性精神病性障害で入院している。病室に持ち込んだ【自分史】には、「性別不合の診断を頂けたら、ホルモン療法を開始したいです」という文言があった。 第四章「種の行方」 冬、医師の滝本政成は、新しい病院への転職を予定している。海野先生が新担当となった患者の実姉の情報は、自身の境遇のことを思い起こさせるものだった。 エピローグ「春に」 当直明けの海野は、強迫性障害を患っている担当患者の千田光一から、亡くなった大学の同級生の話を聞く。 *電子書籍版特典として、「反転文字の向こうで」の番外編ショートストーリー「窓辺の声、輝く壁」を収録 -
口訳 太平記 ラブ&ピース
圧倒的な面白さ!!南北朝の動乱を描いた日本最大の軍記物語が、唯一無二の文体と圧倒的な面白さで生まれ変わる!大反響ロングセラー『口訳 古事記』に続く〈町田日本史〉、新たなマスターピース! 「どえらいことになりました。主上御謀反です」「マジか」 「マジです」―― 利権を求めて誰もが争い、混沌を極める世の中。なんでこんな事になってしまったのか? 鎌倉時代末期、権勢をふるう執権・北条高時に対抗し、武家政権の転覆をめざす後醍醐天皇の謀略はあえなく失敗。窮地に陥った帝の前に、天才戦略家・楠木正成が現れる――。智謀と裏切り、欲得と愚行と涙にみちた人の世の実相を、破天荒なスケールで描き尽くす、壮大な〈歴史人間絵巻〉! -
恋に至る病
やがて150人以上の被害者を出し、日本中を震撼させる自殺教唆ゲーム『青い蝶』。 その主催者は誰からも好かれる女子高生・寄河景だった。 善良だったはずの彼女がいかにして化物へと姿を変えたのか――幼なじみの少年・宮嶺は、運命を狂わせた“最初の殺人”を回想し始める。 「世界が君を赦さなくても、僕だけは君の味方だから」 変わりゆく彼女に気づきながら、愛することをやめられかった彼が辿り着く地獄とは? 斜線堂有紀が、暴走する愛と連鎖する悲劇を描く衝撃作! -
埼玉おいしい出張レシピ
26歳の春、根岸は6年間勤めていた料理店を辞めた。長年お世話になったオーナー夫妻と板長、そして同僚たち。その全員の顔を根岸は未だに覚えられない。人の顔を認識できない脳機能障害の一種、相貌失認を抱える根岸は、もっと自分に向いている働き方を探し続けていた。そんな根岸が次の道として選んだのは「出張料理人」。出張料理人は依頼人の元へ出向いて料理をするため、不特定多数の客を迎える機会はなくなるからだ。幸運にも埼玉・与野でぴったりな物件にめぐり逢い、新しいスタートを切った根岸。そんな根岸の元へ、結婚記念日のサプライズメニューのオーダーが入る。張り切る根岸だったが、物件が地元で愛された名店の跡地だったことから、その名店の跡継ぎだと誤解されていて――。依頼人の心に寄り添いながら供されるおいしい料理たちと、駆け出し出張料理人の奮闘記! -
レペゼン母
なんと潤沢な物語だろうか。 強烈なパンチラインであり、まさに「ブレイク」作品なのだ。 ――逢坂冬馬さん 予想する「面白い」の1000倍面白い! ――大垣書店京都本店 荒川夏名さん マイクを握れ、わが子と戦え! 山間の町で穏やかに暮らす深見明子。 女手一つで育て上げた一人息子の雄大は、二度の離婚に借金まみれ。 そんな時、偶然にも雄大がラップバトルの大会に出場することを知った明子。 「きっとこれが、人生最後のチャンスだ」 明子はマイクを握り立ち上がる――! 第16回小説現代長編新人賞受賞作。 ーーーーーー 選考委員も激賞! こんなにスカッと面白い作品が新人賞なら、いっそ清々しいじゃないか!(中略)おかんのラップが響く今宵、この余韻! ――朝井まかて 「親との戦い」ではなく、親の側から「子との戦い」を力強く描いた、大人の小説であると感じさせられた。 ――宮内悠介 -
終活シェアハウス
女4人で272歳。終の棲家に立退き迫る! 人生は、黄昏れてからも面白い。 東洋文化大学の学生である速水翔太は、自称料理研究家の奥村歌子さんを始めとした女性三人が住むシェアハウスのアルバイト秘書(なんでも屋)をしている。小学校入学から短大卒業まで同じ女子校に通った68歳のオバサマ達からあれこれ押しつけられても辞めないのは、歌子さんの賄いが美味しすぎるからだ。そこに、新たな同居人・緑川恒子さんがやってきた。彼女は軽度認知障害で、帰り道が分からなくなることもしばしばある。さらに歌子さん所有のシェアハウスにも売却の危機が迫っていた……。 「私たち、まだまだ人生諦めませんから!」元気いっぱいのエンターテイメント小説! 「道を譲れって……譲って脇にどいた私の道はどうなるのよ。 私だって、前に進まなくちゃならないでしょうが。道がなければ生きていけないでしょ。 脇で指くわえたまま、どうすんのよ、人生まだ、終わってないのに」 ーー本文より ※この作品は過去に単行本として配信されていた『終活シェアハウス』 の文庫版となります。 -
フィールダー
総合出版社・立象社で社会派オピニオン小冊子を編集する橘泰介は、担当の著者・黒岩文子について、同期の週刊誌記者から不穏な報せを受ける。児童福祉の専門家でメディアへの露出も多い黒岩が、ある女児を「触った」らしいとの情報を追っているというのだ。時を同じくして橘宛てに届いたのは、黒岩本人からの長文メール。そこには、自身が疑惑を持たれるまでの経緯が記されていた。消息不明となった黒岩の捜索に奔走する橘を唯一癒すのが、四人一組で敵のモンスターを倒すスマホゲーム。その仮想空間には、橘がオンライン上でしか接触したことのない、ある「かけがえのない存在」がいて・・・・・・。誰かを「愛でる」行為の本質を暴く傑作長編! -
右から二番目の星へ
結末に涙する、仕掛けに満ちたひと夏の物語。 ノイズに溢れたこの世界で、 「大人になる」とは一体どういうことなのだろうか。 「子どもの土地」で永遠の子どもだった「その子」は、心に曇りが生まれ、ある日飛べなくなってしまった。だから、地上に堕とされた……自らの代わりとなる子を一人、連れ去るために。 夏休みの始め、青森のボーイスカウトで、スナメリが座礁した熊本の海岸で、埼玉から繋ぐオンラインゲーム内で、悩める子どもたち3人に奇妙な出会いが訪れる。いなくなる子は、誰なのか。自由と不自由のあいだでもがく少年少女、それぞれの決意とは。 誰もが経験し、忘れてしまう、「あの頃」の怒りと光にいま向き合う。 意外なその結末にきっと涙する、仕掛けに満ちたひと夏の物語。 最後の2行に込められた意味を 理解できる「大人」でありたいと思いました。 ……青山美智子氏 人が生きる底の底から、子どもという存在を見詰めれば こんなにも不思議で美しく、残酷な物語が生まれる。 ……あさのあつこ氏 -
誘拐にドライバーはいらない
6億円奪取の鍵は自動運転!? 二転三転、世界最新(たぶん)の誘拐劇 迷惑運転手の車を盗む灰塚、鴨宮、土橋の泥棒三人組。その夜、車のトランクで監禁されている女を見つけた。夏川と名乗る女は、自分を攫った犯人捜しの協力を求め、三人はさらなる悪事に手を染めるはめに……。一方、駐車場の予約サービスで急成長中の「パークコネクタ」社長の山喜は、副社長の夏川が行方不明となり狼狽していた。警察は、別の事件に夏川が巻き込まれた可能性があると言い――。 【著者について】 浅瀬明 あさせ・あきら。1987年、東京都生まれ。日本大学理工学部建築学科卒業。現在は書店員。第22回『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリを受賞し、『卒業のための犯罪ブラン』(宝島社文庫)で2024年にデビュー。 -
黒ばら先生と秘密のはらっぱ
書評家 藤田香織氏おすすめ! 「〈子どもは、自分のいる場所を選べない〉という容赦のない事実に、木地雅映子が魔法をかけた――。心の中にローズ先生がいる頼もしさ。さあ行こう。私たちの秘密のはらっぱへ」 秘密の〈魔法使い〉だった先生との 思い出が、今、わたしを支えてる。 長谷川はんなが通う寒々しい保育園に、突如やってきた黒原ローズ先生。彼女は先生、ときどき魔法使い!? その後9年間、はんなを力づけ続けた〈魔法〉とは? 〈本好き〉にこそ読んでほしい、じんわり心ふるえる物語。 名作『氷の海のガレオン』、話題作『ぼくらは、まだ少し期待している』の著者による、待望の書き下ろし長編。 【目次】 ローズ先生 トム・ティット・トット こどものとも サミール パンチング・ギル 穴 光る本 旅 客 魔法の夜 Hannah 蝶々の渡り -
霧の出る森
白霧に包まれた御山ば見たらいかんとじゃ。 贄になる…… シアライ――死洗 クギ――供犠 タイサン――泰山 福岡県の片田舎で、禁足地を集落とした者たちの信仰。 御山と骸石(むくろいし)。 底冷えの民俗ホラー! 福岡県の片田舎。 かつて信仰の対象とされてきた山の裾野を切り拓き、禁足地に集落を作った村人達がいた。 クギの者と呼ばれる彼らの子孫は村独自の信仰を嫌というほど教え込まれて育つ。 いつか死ねば山へ行く。御山に手を引かれ、贄となるのだと……。 土地の謂われを知らずに山を崩して造成された霊園では、霧が出るたびに失踪事件が相次ぐ。 山に山菜採りに入った移住者は妙な石を握りしめ呆けて帰ってきた。 また別の移住者は購入した中古住宅の二階に不気味な開かずの間があることを知る……。 ◆「なもなきもの」 山菜採りに山に入った夫が、裾野の霊園で意識不明状態で発見された。その左手には石が握り込まれ… ◆「くべられるもの」 家庭訪問の時期を前に小学校の新任の先生に伝えられたのは昨年の薄気味悪い一家全員死亡の事件で… ◆「しらぬもの」 リフォーム前提で購入した山間の中古住宅。だが二階には開かずの間があり、中に石を祀った祭壇が… ◆「おかすもの」 都会の企業が土地を買い造成した霊園。背後に聳える霧深き山を恐れる従業員達。やがて失踪事件が… ◆「つながるもの」 保険の営業で訪れた集落の一軒家。家主の老人は営業マンに村の若い女性との見合いをすすめてきて… ◆「ひかれるもの」 父に虐待されて育ち、母とも確執のある男性。父が死に、妻の勧める山裾の霊園に墓を建てるのだが… ◆「ついでいくもの」 古代の祭祀場を探しに禁足地の山へ入った民俗学研究室の大学生。彼らはそこで恐ろしきものを見る… 結ばれる点と点。 忌まわしき土地の因果を辿る七つの土俗怪奇譚! -
永遠猫の祝福
「生きるのに、誰かの許可なんて必要ない」 ――400年を生きる猫が導く、令和最愛のおとぎ話。 人の間に生き、なによりも深く人を愛した猫は、今日も誰かの心に「生きる意味」を問う……。 愛情への渇望に揺れる、母と二人暮らしの中学生・景奈がある日出会ったのは、尻尾の長い、ベージュと黒のマーブル模様の猫だった。 エルと名乗る「彼」は、舐めて瞬時に傷を癒やし、人語を操る不思議な力を持っていた。 「私はもう四〇〇年 生きている」 なぜか老いもせず、病に倒れることもなく。 永遠にも似た時間を生きるエルが、母や友との向き合い方に悩む景奈に問いかけた言葉とは――。 「彼」は、ほかにも様々な事情を抱えた人々と時間を共にする。 仕事も人間関係もすべてが嫌になり自死を考えるアラサー会社員男性、 父親の死を看取れなかったことを後悔し続ける50代の豆腐屋2代目男性、 病を患い余命宣告を受ける心優しい80代女性……。 これは巡る季節の中、傷つき迷える人々にそっと寄り添い、希望の光を灯す奇跡の猫の物語。 作家デビュー10周年記念! ドラマ化ヒット『さよならの向う側』の著者が贈る、渾身の書き下ろし最高傑作! どう生きるのか、そして、どう死ぬのか――。 「奇跡の猫」が、人々の生と死に寄り添い、生き方と死に方、生き様と死に様について、大切なことを教えてくれる物語。 ヒューマニズムの名手・清水晴木が贈る、後世に残したい感涙ファンタジー! -
じゃないほうの歌いかた
こんな奇跡があるのなら、人生にNOは言えない 落合南長崎の独立系カラオケ店「BIG NECO」では、今日もドラマが巻き起こる。 「カラオケの再現映像に出ていそうな女」と過去2回言われたことのある池田。 音が鳴らないトランぺッター・加賀と、その恋敵・サナ。 反抗期の娘と暮らす、元俳優の佐藤待男。 74歳にしてカラオケでアルバイトをする謎の老人・石崎さんと、 石崎さんを心配する指導役アルバイター・小野。 「E.YAZAWA」のステッカーを集め続ける、売れない作家・染井暖。 うだつのあがらない凡人たちが起こす、ちょっとした人生の奇跡ときらめき。 -
女王様の電話番
好きだけど、触れあうことはできない。 そんな私は異端者なのだろうか。 主人公の志川は、新卒で就職した不動産会社を辞め、現在、SMの女王様をデリバリーするお店の電話番をしている。友達には「そんな職業は辞めたら?」と眉をひそめられたが、女王様の中でも美織さんという最高に素敵な人に出会い、そこそこ幸せに暮らしていた。 ある日、あこがれの美織さんと初めてごはんを食べに行く約束をして舞い上がるものの、当日にドタキャン。そのまま音信不通になってしまう。彼女の常連のお客さんなどにこっそり連絡を取り行方を探るうちに、どうも自分の知っている美織さんとは違う面ばかりが見えてきて・・・・・・。 過去、志川が不動産会社を辞めた理由は、あこがれの男性社員・星先輩と付き合う寸前に、先輩が自分に求めている性的なことが一切無理だと気づいたからだった。好きだったのに。付き合えないと正直に言っただけで、志川は同僚に悪女扱いをされ、そのまま会社にもいづらくなり、退社することになってしまったのだ。 私はアセクシャルなのだろうか? 「ない」ことを証明するのは、悪魔の証明だ。もしかしたら、まだ見ぬピンクのひつじに会えるかもしれないのに・・・・・・。なんでも性的なことや恋愛に結びつける世の中に馴染めない主人公の戸惑いを通じて、現代社会を描く問題作。 アセクシャルの自身に戸惑い、彷徨い、清爽と一歩を踏み出す――。 小説すばる新人賞受賞から10年。物語はしたたかに進化する。 【著者プロフィール】 渡辺優(わたなべ・ゆう) 1987年宮城県生まれ。2015年に「ラメルノエリキサ」で第28回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。他の著作に『自由なサメと人間たちの夢』『アイドル 地下にうごめく星』『クラゲ・アイランドの夜明け』『アヤとあや』『カラスは言った』『私雨邸の殺人に関する各人の視点』『月蝕島の信者たち』などがある。 -
切手がとっても高い郵便局で
「切手代として、百二万円をお願いします。相手から返事がほしい場合、さらに百二万円分の切手が必要です」 亡くなってから四十九日までの間なら、天国へ手紙を送れるという不思議な郵便局。そこでは、手紙を送りたいと願う人の年収や貯金によって切手の値段が決まる。 推しを失った会社員。恩人を裏切ってしまった男。恋人が自殺した社長……。高額な切手を買ってでも、天国の大切な人に想いを伝えたい――。生者と死者。もう二度と会えない者同士の最期の“文通”。 -
天下の値段 享保のデリバティブ
江戸も令和も、国家の命運は米価で決す! 世界初の先物取引所で繰り広げられる、享保の知られざる米騒動――大坂商人vs.将軍吉宗。究極の頭脳戦の行方はいかに!? 時は江戸時代、天下の台所――大坂堂島には全国から米が集まり、日々、値が付けられ膨大な取引がされていた。特に盛んだったのが、先々の米価を扱う先物取引(デリバティブ)。商人たちは紙と筆と頭脳を用い、利鞘の多寡で泣いたり笑ったり。 一方の江戸では、将軍吉宗はじめ、幕閣たちは忸怩たる思いを抱いていた。米価の変動はすなわち武士の年貢収入の変動であり、あろうことか、それらを商人たちが汗もかかず、意のままに決めている。そんな不実の商いは許すまじ、と堂島を支配すべく動き出すのだが……。 市場の自治を守らんとする大坂商人たちと、武士の誇り(とお金)を懸けた江戸幕府との究極の頭脳戦! -
黄昏時の魔女
旅する魔女と、人々との絆。 それは温かく、強く、優しい―― 魔女や魔法使いが存在するこの世界に、紅という名の魔女がいた。 紅は祈りとともに小さな奇跡を起こし、永い命を少し削っては大きな魔法を使う。 旅先で出会った母子を癒やし、夫を喪った妻の次の一歩への背中を押し、家出娘たちの門出に祝福を与え――その交流の中で紅も探すのだ。自らの「生きる意味」というものを。 そしてまた、魔女は旅を続ける。傍らに「小さな奇跡」を携えて……。 最後はきっと、泣いてしまう―― ヒューマンドラマの俊英・沖田円が紡ぐ、最高に切なく温かい4つの感涙ストーリー! -
誘拐劇場
近畿地方のベッドタウン・水倉地区で起きた薬物事件。バニッシュと呼ばれるペーパーアシッド、最初の被害者は小学生だった。 県では薬物撲滅キャンペーンが展開され、イメージキャラクターとして俳優・師道一正が選ばれた。クリーンなイメージで俳優としても超一流、人を魅了することに長けた彼は、探偵としての能力も発揮。県警の義永誠刑事に協力して、事件の恐るべき真相を看破した。 事件解決の名声も手伝って師道は国会議員となり、水倉を地元として帰ってくる。そして囁かれはじめる黒い噂。 事件解決の熱狂の最中にも師道に違和感を持っていた支倉彼方と義永刑事の娘・真理子は、師道の真実に迫ろうと仲間を集め、位置情報アプリ「MK2」を使って水倉丘陵に隠されているはずの秘密を調べ始める。 そして誘拐事件は起こった。 二転三転する物語と手に汗握る知的攻防。善とは悪とは? 『スイッチ 悪意の実験』『伯爵と三つの棺』の潮谷験が贈る、傑作ジェットコースターミステリー! -
完璧じゃない、あたしたち
自分を呼ぶのに「私」も「あたし」もしっくりこない妙子が出会ったのは、一人称からフリーな夏実(「小桜妙子をどう呼べばいい」)。ほか、恋愛、友情、くされ縁……名前をつけるのは難しい、でもとても大切な、女同士の関係を描く23篇。読後に世界の景色が変わる1冊。 -
たえまない光の足し算
若者たちの生を鮮やかに描く、芥川賞候補作 第173回芥川賞候補作 若者たちの生を鮮烈な文章で描く、これが文学の未来! 「かいぶつ」と呼ばれる時計台が見下ろす公園で出会った二人の少女と一人の青年。 美容外科のポスターに啓示を受け、花を食べる“異食の道化師”薗(その)。 「みんなのひと」になりたくて、フリーハグを続ける“抱擁師”ハグ。 “プロの軟派師”としてデビューしたばかりの弘愛(ひろめぐ)。 「こんなふうだったら、かんぺきだと思う」 「なにが」 「人と人とのむすびつきがさ」 ここは帰るべき家を持たない少年少女たちの残酷な楽園 21歳の新鋭が爆発させる愛と幻想の世界! -
ほくほくおいも党
お父さんに家族との対話を要求します! 高校三年生の千秋は、父と兄との三人暮らし。左翼政党員の父は、勝てない選挙に出続けて六年。兄は父の出馬をきっかけにいじめられ、引きこもりになった。母は同じころ家を出た。政治と政党に没頭し話の噛み合わない父だが、千秋は対話をしたいと願う。 すれ違う三人の家族を中心に、左翼政党員を親にもち風変わりな名前の自助サークルに集う「活動家二世」たち、震災のボランティアをきっかけに政治活動に出合う青年、高校の生徒会長選挙のドキュメンタリーを撮ることで新たな視点を得る高校生──それぞれの姿を家族の物語とともに描く全六話。 わたし選挙権の話なんてしてないじゃん。話聞いてよ──「千秋と選挙」 母の言葉とわたしの言葉はちがうのに、わたしは母の言葉を借りてしまう──「佐和子とうそつき」 どっちもそのひとで、どっちも親子の本当じゃん──「和樹とファインダー」 ボランティアって素晴らしいと思ってん──「康太郎と雨」 親父は結局、子どものことなんて考えてないんです──「健二とインターネット」 話すことを諦めたら、わたしはお父さんを憎んで、憎んで憎んで、死んでほしいと思っちゃうかもしれない──「千秋と投票日」 -
あの夏をラムネの瓶にとじ込めて
これはなんの記憶? 高一の雨宮さつきは、自分の記憶にない映像が頭に流れる奇妙な既視感に悩んでいた。ある日、神社で目眩に襲われると、なんと戦時中の広島で路面電車の車掌として生きる前世の姿・ハナになっていた。不慣れな勤務中、乗客の剛に助けられ、彼の優しさに心惹かれていくが、ハナの幼馴染・楓も剛に想いを寄せていることを知る。広島に原爆が投下される1945年8月6日が近づく中、さつきは大切な人たちを助けようと奔走する。人を想いやる気持ちが起こす奇跡とは――。 -
盗んで食べて吐いても
どうかあなたに、希望の光がさしますように。 「太ったら、食べちゃダメなの」。幼いころに聞いた母の言葉をずっと忘れられないでいる早織。 早織は小学校6年生ごろから体重が増えはじめ、体型を何よりも重視する母は彼女の食事量を厳しく制限した。お菓子はダメ、お代わりはダメ。でも、もっと食べたい、もっと痩せたい。 早織は食べて吐くを繰り返すようになり、吐くための食料を手に入れるため、食べ物を万引きするようになってしまう。結婚をして夫と娘と仲良く暮らしながらも、彼女は万引きをやめられないでいた。 そんなある日、早織は妹からの電話を受ける。それはずっと避けていた母の命が、もう長くないと告げるものだった――。 母の呪縛。痩せたいという願い。間違いだとは分かっているのに、今日も彼女は正解を選べない。 既刊続々実写ドラマ化、『殺した夫が帰ってきました』『塀の中の美容室』で大注目の著者が描く新境地の傑作小説。 -
怪獣殺人捜査 高高度の死神
神出鬼没の災厄―― 死神。 ――彼が現れたからといって、よくないことが起きるわけではない。 よくないことが起きた場所に彼が現れるのだ。 飛行中の飛行機内で殺人事件が発生。 機内が混乱に陥る中、大型飛行怪獣が姿を現す。 無事に着陸できるのか? 怪獣省の予報班の岩戸正美は、エースとして活躍していたが、彼女をもってしても不可解な事件が発生することがある。そんな時に決まって姿を現す警察庁特別捜査室の船村秀治。船村に彼女は振り回されているが、彼の悪い予感はよく当たる。船村に頼まれ、岩戸が搭乗した飛行機の中で、飛行中に殺人事件が発生してしまう。閉鎖された空間での混乱の中、危惧していた飛行怪獣が姿を現してしまう。 別日にはロシアに現れた二種の怪獣が日本の方向に南下。うち一種が武器庫を襲い、核をのみ込んだという。その怪獣を特定するため、岩戸は船村と北海道に渡る。 また、七年前に山中の集落で放火殺人事件があった。犯人は捕らえられ、死刑が確定していたが、同時期に事件現場の北で小型怪獣が現れていたため、この事件も怪獣が引き起こしたもので冤罪が疑われた。執行まで限られた時間の中で、岩戸と船村は事件の解決に奔走する。 『名探偵コナン』『ウルトラマン』シリーズの脚本家・大倉崇裕による〈怪獣×本格ミステリ〉シリーズ第二弾! -
筏までの距離
小原晩、カツセマサヒコ推薦!! 恋ではない。友情ではない。 ふたりの関係の、呼び方を教えて。 学生の頃、彼女とはよく大学の付属植物園で過ごした。花の名前もよく知らないのに。 ある日彼女は、園内の礼拝堂の前で突然、耳鳴りがすると言った。 昨日、眠れなくて、宇宙の動画を見ていた時からずっと耳鳴りがする。 宇宙で鳴っている音を想像してからずっと、と――「植物園にて」 新幹線で出会った女性と偶然にも温泉街で再会した私は、 彼女に導かれて、古びたリゾートマンションの屋上から花火を眺めていた。 30分足らずで終わった花火の後、彼女は先に部屋に行っていると言い残して、 屋上から去ったが――「筏までの距離」 デビュー作で芥川賞候補に挙がった著者が贈る、 書き下ろし2篇を含む、わたしとあなたの8つの物語。 【著者略歴】 水原 涼(みずはら・りょう) 1989年兵庫県生まれ、鳥取県育ち。北海道大学文学部卒業。早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。2011年に「甘露」で第112回文學界新人賞を受賞しデビュー。同作が第145回芥川龍之介賞候補作になる。著書に『蹴爪(ボラン)』、『震える虹彩』(安田和弘との共著)がある。
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