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Posted by ブクログ
ジャスティスを日本語に訳すと、「正義」や「公正」とされ、本作の主人公の価値観に基づく正義や公正を貫き通す。健康体操など自らを厳しく律し、私生活から職場であるホテルマンとしても、自己価値に基づく判断を下し、管理者として部下や外国人労働者を厳しく指導する。ただし、主人公の「正義」な名のもとに正当化する独善的な判断は、強烈なハラスメントして上司や部下から忌避される。また、自己陶酔した価値観は妻への過干渉による人格否定となり、妻は木人化(木偶・でく)して、私生活にも支障を来す。鬱積(うっせき)した感情は、自宅の破壊活動を起こし、行きつけの本屋でのカスタマーハラスメントとして爆発し、鬱憤(うっぷん)を晴らすことで主人公の気持ちは落ち着くが、被害者である店員には最悪のシナリオが待ち受ける。社会や人間関係における正義と公正とは何か?本作では、悲喜こもごも考えさせられる作品であり、適正な倫理観なしにはジャスティスが成り立たないことを痛感した。
Posted by ブクログ
自身を正義の男と自認する主人公と周囲との軋轢がやがて
初手から主人公の正義に狂った感じが全開で驚きました。手前勝手な勘違いで自身が迷惑そのものにもかかわらず正しい人と信じて行動する主人公。徐々に狂っていくのではなく、最初から狂ってる存在が徐々に排除されていく過程が描かれていて、じゃあ周囲は正しく動いているのかというとこの主人公に面倒ごとをおっかぶせて追い出す意図もあったりする。「正義を掲げる人は基本迷惑」と、「正義を掲げない人も大体ずるい」という2つのしんどいポイントが描かれた作品のように思いました。
最初から正義に狂ってるよりは、正義に飲み込まれていく過程が見てみたかったなというのと、主人公の独白形式なのもあって、どこまでが現実に起こっていることなのか、どこまでが主人公の妄想なのか切り分けにくい表現が多く、「で、実際はどうなの?」と疑問がよぎることが多かったのが(そういうフォーマットなので仕方ないとはいえ)ちょっと残念でした。
でも、文章自体は読みやすく、すーっと一気に読めた。それなりに面白かったです。こういう、自分の正義を他人にぶつけることに夢中になって、相手という存在が見えなくなってる人、ネットなんかよくいるよなと思いました。
Posted by ブクログ
ハラスメントは甘えだ、耐性がなさすぎる若者が劣っているというひとに是非とも読んでいただきたいが、そういう人はこれを手にも取らず、ビジネス書や自己啓発書に盲目だろうな、という偏見。この本を手に取るのはいつだって、ハラスメントを受けそうな、(受けそうなってなんやねん?)人なんちゃうかって。この主人は最終的に地獄っぽい天国へいってくれるけど、現実のジャスティスプライド高おじたちは天国っぽい天国でノラリクラリしてて憤慨したいよな、こういう視野狭窄おじに限って、おれにもしんどい過去があって、とかそういうのに耐えてきたからお前たちもとか言うねんな、ってこれも視野狭窄ばばあとか言われるんかもなあ
Posted by ブクログ
正しくないことが許せない、仕事に誇りを持っているホテルマン、大山茂(推定48歳)。従業員への、無自覚のパワハラ、セクハラ、客に対する毅然とし過ぎた対応。自己認識と、現実の乖離が、見ていてひやひやする。というか、完全にヤバい人。支配人には認められているようで、まったく認められておらず、妻はパチンコ狂いで、夫に対して口もきかなければ、何の反応も示さない。行きつけの書店でのカスハラ行為に、げんなりするものの、世間が自分を理解してくれていないと、完全に思い込んで、あくまで己の正義を肯定、貫き通そうとするこの男が、どんどん気の毒になる。そして自滅。
世間に眉を潜められ、疎まれても、こんな生き方をする人間は幸せだな、ということなのか。滑稽でいて、ほのかに悲しい。芥川賞受賞作、『荒地の家族』との作風の違いに、おどろいた。
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