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40歳の植木職人・坂井祐治は、十数年前の災厄によって仕事道具を全てさらわれ、その2年後、妻を病気で喪う。自分を追い込み肉体を痛めつけながら仕事に没頭する日々。息子との関係はぎこちない。あの日海が膨張し、防潮堤ができた。元の生活は決して戻らない。なぜあの人は死に、自分は生き残ったのか。答えのない問いを抱え、男は彷徨い続ける。止むことのない渇きと痛みを描く芥川賞受賞作。(解説・小川洋子)
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Posted by ブクログ
佐藤厚志『荒地の家族』新潮文庫。 第168回芥川賞受賞作。 様々な形の別れや喪失を淡々と描きながら、読者に生きることの意味を問いかけるような生々しい小説だった。 自分の経験からすれば、死別よりも生き別れの方が悲しみと苦しみが深いように思う。本作の主人公である坂井祐治が会わせてもらえないことが解...続きを読むっているのに、何度も元妻の職場を訪ねて行くことも理解出来る。自分にもそういうことがあった。 また、この歳になってみると、自ら生命を断つことが如何に卑怯で家族や知人にどれほど迷惑を掛けるかよく解る。数年前に風の噂で、以前勤めていた会社で同じように出世を重ねていた同期が自殺したと聞いたが、不思議と心が痛まなかった。その同期が自殺するに至った理由も何となく解った。自分はそうなる前にその会社を辞めたのだ。 さて本作。舞台になる阿武隈川の河口の荒浜の近くというと、東日本大震災で壊滅的な被害を受けた地域である。大震災の発震した日の夜、毛布に包まりながらラジオに耳を傾けていると『荒浜で2、3百体の遺体が……』という、とても信じられないニュースを聞いたことを覚えている。 そんな海辺の街で40歳の植木職人である坂井祐治は十数年前の東日本大震災の津波で2トントラックに積んだ仕事道具を全て失い、その2年後には妻を病気で失う。その後、祐治は知人の紹介で再婚するが、その妻は出奔し、一方的に離婚届を送り付けて来た。 以来、息子と母親と3人で暮らしていた祐治であるが、息子との関係はぎこちなく、自分の肉体を痛めつけるかのように仕事に没頭していた。目にするのは巨大な防潮堤。再び海が膨張すれば、そんな防潮堤も意味をなさぬはずなのに…… 生きるというよりも、何かに追い立てられながら、逃げるように彷徨い続ける淋しい男の物語。 本体価格520円 ★★★★★
優しくも不器用な男の人生を描く 東日本大震災を軸に置いたストーリー。 最後に灯った明かりが暖かく人生を包み込んでくれる。 もう一つの自分の人生を見てるかの様な気持ちだった。
仙台の丸善(作者の元職場)で購入 →しかし、帰りの高速バスに置き忘れる・・・ 妻の実家が物語の舞台でもある宮城県の亘理町で、何度も行ったことがあるので読みながら『あの辺かな』『この辺かなぁ』と思いながら読むことができました。 震災をテーマにする場合『再生』をテーマにするか『再生』でオチをつける物...続きを読む語が多く見受けられます。しかし解説で小川洋子も言ってるとおり本書に『再生』はありません・・・ 一度壊れてしまっても再生する物もありますが、再生しない物もあります。 形の無いものは、あの日あの時『壊してしまった』と後から自覚する事はあっても、その時に『壊した』という自覚は無いものです。 自分だけの物を壊してしまっても、誰かとのモノは壊したく無いと本書を読んで思いました! 植木職人の坂井祐治は東日本大震災で商売道具が流され、その二年後妻をインフルエンザで失う・・・ その後再婚するものの・・・ 祐治は肉体を酷使する事で仕事に没頭する。 息子との関係はイマイチで何をどうしていたらと悩む・・・ 仕事に没頭しながら悩み続ける男の物語。 舞台となる亘理町には郷土料理の【はらこ飯】があります! 本書を秋口までに読み終えて是非【はらこ飯】をご堪能ください!
佐藤厚志、初読み。 『芥川賞』受賞作品。 40歳の植木職人・祐治。東日本大震災で仕事道具を失い、その2年後、妻・晴海を病気で亡くす。再婚し、妻・知加子との間に子どもを授かるも、生きて産まれてくることはなかった…そして、知加子は、祐治と啓太のもとを去る。 幼馴染・明夫は妻と娘を震災で亡くし、みずから...続きを読むはがんを患っていた… 元の生活に戻りたい… が、戻れない… その思いを打ち消すように、身を粉にして、働く祐治。 同じ時代なのに、なぜだか昭和三十年代のような感じを受ける。 白黒でしか言い表せないような、薄暗い世界が広がっている。 そんな中、息子・啓太のために懸命に働く祐治。思春期を迎えた啓太との関係はぎこちない… 震災から10年以上が経った今も、震災から立ち直れない人たちはたくさんいるのだろう。 祐治のように、なんとか、なんとかして生きている人たちが。
東日本大震災の津波によって自分を見つめ直してる男の回想記、過去と今を行き戻りながら進んでく。失うものが多いほど悲哀も大きくなるのかしら。失う可能性があるものを積み重ねてく方が喜びも大きくなるのだろうか。 リアリティのある小説には特殊な性癖の人を特殊と感じさせずに紛れ込ませてる気がする(今回は噛みグ...続きを読むセのある元嫁)。そもそも特殊と思う人はほんとは特殊じゃないくらい居て、その事実を違和無く表現できてるからリアリティがあるのかな。 何も成し遂げられない人間の悲哀と少しでも何かを残せた人の対比が悲しかった。
東日本大震災を経験した主人公のフラッシュバック、震災時の様子、その後の生活再建など·····天災だとは言え、苦悩が数多くあることに驚き、そこから立ち上がる姿や周りの方達との関わり合いなど読んでいて辛いと感じることもありましたがそういう実態を知れたと思う。 今もあちこちで天災があり平和な日本といえども...続きを読む住む所を失った人達が毎年、いらっしゃるのを心苦しく思う。
隣県のしかも現役書店員という もう読んでみたいしかない。さらわれた街の再生と新しい風景と、海から人間を守るのではなく人間から海を守っている錯覚するとある様に海の景色がガラッと変わる本当にこれでいいのだろうか、が自分も感じるんだが。ギリギリまで肉体を痛め付けて追い込んで、死者に懺悔なのだろうか、何もか...続きを読むも捨てて逃げ出したい気持ちとも戦っている、焚火するおじいさんにも葛藤がある、六郎さんにも。これを読んで救われて欲しいとしか言えないちっぽけな自分が見えた。
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荒地の家族(新潮文庫)
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