あらすじ
初老ホテルマン、正義に狂う
仙台の老舗ホテルに勤続30年、初老ホテルマンの「正義」が暴走する。家庭も職もある50代中年男の独りよがりはあぶない。
大山茂は幸せな人間だった。子どもの頃に見た悪をくじく特撮ヒーローに己を重ね、日課のジャスティス体操を欠かさず、不心得者には必殺技のダイヤモンドヘッドを食らわさんとする。――「皆が俺に全幅の信頼を寄せている。目を見ればわかる」
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Posted by ブクログ
歪曲した正義を、頑なに貫き通す大山茂。挙げ句、周囲に疎まれ、自滅の道へ。思い込みが激しく、低身長がコンプレックスらしく無闇矢鱈に攻撃的。彼の正義への自制が、正常に作動していたらと思うと残念である。妻の光恵やタカヤマ書房の浅利の東北弁が、カスハラの緊張を緩和していた。
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ハラスメントは甘えだ、耐性がなさすぎる若者が劣っているというひとに是非とも読んでいただきたいが、そういう人はこれを手にも取らず、ビジネス書や自己啓発書に盲目だろうな、という偏見。この本を手に取るのはいつだって、ハラスメントを受けそうな、(受けそうなってなんやねん?)人なんちゃうかって。この主人は最終的に地獄っぽい天国へいってくれるけど、現実のジャスティスプライド高おじたちは天国っぽい天国でノラリクラリしてて憤慨したいよな、こういう視野狭窄おじに限って、おれにもしんどい過去があって、とかそういうのに耐えてきたからお前たちもとか言うねんな、ってこれも視野狭窄ばばあとか言われるんかもなあ
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自らの正義を盲信する男、大山茂。
自己肯定感が異常に強い男が、周囲の人たちの感情を踏み潰しながら自らの正義を押し通すのだが…。
異質な男の行動に共感する部分もある自分に驚く場面があった。
黒い感情に溢れ面白いのだが、面白さが微妙だ。
Posted by ブクログ
主人公が、勘違い正義野郎で、最後成敗されてスカッとすんのかな、なんて思って読んでたんだけど、そんなことなかった。清廉潔白な人間なんていないもんだけど、それにしても。中々悪い奴しか出てこなかった感。面白かったし、さくさく読めたし、考えさせられる内容だった。敢えてだとは思うけど、不明瞭な点が多くてすっきりせず、読後感はあまり良くない。独善的にならず正しく生きるって難しいよね。
Posted by ブクログ
正しくないことが許せない、仕事に誇りを持っているホテルマン、大山茂(推定48歳)。従業員への、無自覚のパワハラ、セクハラ、客に対する毅然とし過ぎた対応。自己認識と、現実の乖離が、見ていてひやひやする。というか、完全にヤバい人。支配人には認められているようで、まったく認められておらず、妻はパチンコ狂いで、夫に対して口もきかなければ、何の反応も示さない。行きつけの書店でのカスハラ行為に、げんなりするものの、世間が自分を理解してくれていないと、完全に思い込んで、あくまで己の正義を肯定、貫き通そうとするこの男が、どんどん気の毒になる。そして自滅。
世間に眉を潜められ、疎まれても、こんな生き方をする人間は幸せだな、ということなのか。滑稽でいて、ほのかに悲しい。芥川賞受賞作、『荒地の家族』との作風の違いに、おどろいた。