貧血、更年期、専業主婦・妊活、不妊…女性に多い疾患やしんどさをこんなにもしっかりまとめてくれているなんて、感動!新キャラ・宇野女さんもすごくキャラ立ちしててすき!
p.98 女にある3つの性
『母性』『女性』『個性』
「ここで言う「女性」は、いわゆる『性別としての女』の部分だね。恋愛でもファッ
...続きを読むションでもメイクでも、何でもいいよ?要はともかく、世間でよく言われる『女』の部分だよ。ドラマチックに言えば『女を武器にしてー』ってヤツの『女』も含むかな」そう言われてすぐに思い浮かんだのは、またもや紗歩だった。
恋愛、ファッション、メイクに限らずーそれが良いか悪いかは、まったく別として紗歩は日常生活にも社会生活にも「女性」を前面に押し出していなかっただろうか。
「・・・・・・・なるほど」
「あ、分かる?」
「私のことじゃないですけど・・・・・なんとなく」
ニッと口元にだけ笑みを浮かべた宇野女さんもまた、かっこいいいと思う。
「次の『母性』は簡単に言うと『母親としての役割や存在』だね。そして最後の「個性」は、『女性』とも『母性』とも関係ない、その人の「人間性=キャラクター』のこと」
「昔はさ。だんだん、ひとつずつ『なくなっていく』と思ってたんだけどー」すっかりリラックスした様子の、宇野女さん。隣にイスを引いてきたかと思うと、座るや否や思いきり背伸びをした。
「なくなる?」
「そう。ひとつずつ、失っていくんじゃないかって」
結婚して子どもができたら「女性」の部分が「お母さん=母性」に変わってなくなってしまった、という話は聞いたことがある。
だとすると、子どもから手が離れて「母親の役割」が終わると、「母性」の部分もなくなってしまうということだろうか。
「でも最近、それは違うんじゃないかなって、思うようになったんだよね」「失わない、ってことですか?」
わかってるね、という意で親指を立てた宇野女さん。なんでこの人、こんな仕草が似合うというか、かっこよく見えるのだろう。
「この3つの割合を、年を重ねるごとに、その人が自分に合うように、その時々で変えていくのが一番いいんじゃないかなぁ」
…
宇野女さんは最初、結婚や出産や更年期を契機に、次第に「女性」の部分を失っていくのではないかと考えていたらしい。そしてお子さんのいる家庭では「女性」が「母性」に置き換わってしまい、やがてお子さんから手が離れるとその「母性」さえも不要となり、失ってしまうのではないか。そして最後に、その人の「個性」ーつまりその人そのものだけが、むき出しになって残るのではないかと。
でも長く婦人科の看護師や助産師をしているうちに、どれも「なくなる」わけでも「手放さなければならない」わけでもないと気づいたのだという。
当たり前だけど、いつまでも「女性」であっていいし、むしろ死ぬまで忘れるべきではないだろう。ただその割合が、何歳になっても、いつでもどこでも、常に最大でいいのかということだった。「母性」が必要な時でも、「個性」を殺してまでも、何より優先して「女性」を前面に押し出すのはどうだろうか、ということだ。
同じように「母性」も、子どもが何歳になっても母親がベッタリで子離れしないのでは、いずれお互い困ることになるだろう。だからといって「もう役割は終わった」と、完全に打ち切る必要もない。全身全霊の「母親」から、別の様々な「母性的な優しさ」に形を変えてもいいのではないか。あるいは、ご自身のお子さん以外に向けられる「母性」があってもいいのではないかと。
「要はバランス、つまり配合の割合なんじゃないかな。誰かと競うことなく、自分に合った割合でその3つを持ってる人って、見ていてキレイだなって思うようになって」「なんとなく、分かります」
「あ、分かってもらえる?どれかに偏ってそれをバーンと前面に出してくる人に、ちょつと困ったことってない?」
「そんなに困りはしないですけど・・・・・・ありますね」
「どっちなの」
キラキラ女性で、母で、経営者で、コンサルタントで、プロデュースしていて、そんな女性と母性と個性=スキルを全部詰め込んで、並べられたプロフィールや画像や動画を見るのに疲れて、やめたSNSがある。きっとその人たちは、すごくできる人だと思う。でも、なぜ憧れるより、ねたむより先に、しんどくなってしまった。もしかしてるとあれば、自分には合わないバランスを見せられたからかもしれない。