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人はなぜ、金に狂い、罪を犯すのか――。 ニュース記事で知人女性による監禁・傷害事件を知った花。 彼女たちと疑似家族のように暮らした20年前の記憶が甦る。 本屋大賞ノミネート。読売文学賞受賞作。
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Posted by ブクログ
こういうノワール小説は柚木麻子のバターを想起させて面白い。冒頭で黄美子という女が捕まった事から始まり花の回想シーンからどのようにしてそうなっていくのかが明らかになっていく構図で引き込まれるようにして読んだ。上巻では40前後の黄美子はまだ穏やかだが、下巻になるにつれて豹変していくのだろうな。登場人物が...続きを読むどれも描写の詳細が素晴らしい。映水の語る話が金の成る木の話が夜の世界に住む人々を的確に現していたのが印象的。花が置かれた環境の中で精一杯生きているのに報われないのは読んでいて少し辛くなる。多分下巻でもっといろんな事件が起こるのだろうなと続きを読みたくなる。 ----------- 以下ネタバレ含む 黄美子: 最初に黄美子の罪状の記事で、被害者の所持品や交友関係を管理するなど行動を監視したり、外に出てもどうせ生きていけないと脅迫を繰り返して恐怖心を与え女性が逃げようとする意思を喪失させた、不法監禁、マインドコントロールしたという内容から始まる。どんだけヤバいやつが出てくるのかと思って2章からの回想シーンに入るが、むしろ40手前頃の黄美子は花と共同生活をしても特に制限するでもなく自由放任というかあっけらかんとした、無頓着な印象すら受ける。お金にも無頓着だし。ただあまり語られないが母親が収監されていたり過去に何かある様子。 母に金を取られてこれからの人生を不安に思っている花とのやりとりが印象的だ。「337 お前の人生どうなんだって訊かれたらなんて答えられるんだろうって。誰に訊かれるの?誰も訊かなくない?自分で自分に訊くのもやめればいいじゃんか。困りはしないならいいじゃん。親のことはしょうがないよ。なんだっていつか終わるまで待つしかないよ。」 これから下巻に向けてどのように黄美子が豹変していくのかその過程が楽しみでもある。 花の母:不動産屋と不倫して花を置いて出て捨てられた後にはネズミ講に引っかかって200万円の借金を背負い、花に金をせがみにくる。花はやはり母からの愛情に飢えていたのではなかったのだろうか?突然会いに来た時も一緒に住もうという話なのだろうかとと想像したら金のことかと失望している。母がもっとしっかりしていれば、花ももう少し楽をさせてあげれただろうに、、と読んでいて辛くなるシーンだ。 映水:在日3世。日本で生まれて日本語しか話せないのに日本人ではない韓国人で小学校や近所の子供と少し違う枠にいると感じる。219かろうじて友達と言えるかもしれないと思っていた相手とちょっとした事で言い合いになった時に韓国人のくせにと吐き捨てられたり、何か問題があるとこれだから韓国人はと何度言われたかわからない。たまたま日本人であったことと親の金に守られて何不自由なく生きて来た連中とできる話はもうなさそうだった。自分や仲間を守らなければならなかった。強くなる必要があった。強いとは金を持つことであり、自分たちがその一部であることを示すだけで相手が手出しをすることを躊躇うような大人と繋がることだと考えた。 黄美子みたいなのは、悪い人間からしたら金の成る木だ。家族もいない、昼の世界とも繋がっていない、身元も適当で今日突然いなくなっても何の問題もない。夜の世界にはそういうのが使い勝手のいちものになって、飛ばすのにも沈めるにも一番都合がいい。そういう世界なんだよ。何も言えねえし、誰も聞く耳持たないし、元々世間ではそういう奴らを存在しない事になっているからな。ふらふらしてるとこをちょっと優しくして甘い言葉でつけこんだらあっという間に思い通りにできる。親身なふりして借金つかませて利子だなんて言ってあとは無限にむしり取るだけ。花、あまり家出してるとか親と連絡取ってないとか自分のことあんまり言わないようにしろよ。誰がどんな絵を描いてるかわかんねえし金の成る木と思われないように目つけられるなよ。 黄美子母: 敢えて相手の店側も了承の下で保険金目的に放火をするなんて事が本当にあるのか。10歳の黄美子も一緒に火をつけに行ったってどれだけ修羅場なんだろう。映水の言う、使い勝手のいい金の成る木にされてしまって抜け出せなくなったのだろうな。
[上・下 合わせた感想] めちゃくちゃ良かった。ヒリヒリするのに瑞々しくて、自分とはかけ離れた世界のはずなのに、どこか「知ってる」気がしたり。距離感が絶妙な感じがした。素晴らしい物語だった。
面白くてあっという間に読み終わった! 昔一緒に暮らしていた女性が捕まったことをニュースで知る主人公。 上巻は捕まった女性と一緒に暮らしていた主人公の少女時代が描かれていた。 母親と2人暮らしでお金のない生活を送っていた主人公が、女性と出会い家を出て、一緒に暮らしながら懸命に働くことでお金を稼ぐが、そ...続きを読むのお金もまた母親の都合で失ってしまう。主人公が苦しい経済状況の中でも懸命に働き、女性やそこで出会った仲間と過ごす日々は主人公にとってら青春のように読んでいて思えた。 主人公が大金を手にするようになり、どうなっていくのか、後半がとても気になる! お金がないと人はどう感じ、どうやって生活していくのか。筆者の実体験であるかのようなリアルな描写にとても引きこまれた。
上巻。 このあとどうなっていくのか‥。 主人公の花がとことん可哀想で。 頑張っても頑張っても突き落とされてしまう。 どうしてこんな辛い試練ばかり‥。 上巻の最後は『なんでこうなるの、、』と目を塞ぎました。 苦しいけど、下巻が楽しみ。 2026.3.17(火)
あるニュース記事から甦る、過去の記憶。 家族でもない、ただの友達とも違う、ある女性たちと一緒に暮らした日々。 *********************** 普段何気なく毎日を過ごしているけど、本当は「生きる」ことってこんなにも難しいと気付かされる。 暖かく清潔な家があり、食べるものに困らず、一...続きを読む定の収入がある。自分が「普通」に受け入れているものが、実は親が道筋を引いてくれたものなんだなと、幼少期の花を見ていると感じる。 黄美子さんはそんな花に、不器用で歪ながらも生きる希望を与えてくれる存在だったのだろう。 みんな少しずつ欠けている。だけど、だからこそ寄り添って、一つの「暮らし」を作り上げようとしたのかな。
『夏物語』で初めて読んだ川上未映子は、 文体のリズムと軽やかさとは裏腹に、 繊細で切実な物語の紡ぎ方で一気に魅せられたが、 まー、今回も度肝を抜かれる。 花。 抱きしめてあげたい。 孤独に必死で人生と闘っている小さな魂に、 ちゃんとそこにいるんだよねって、 見つめてあげたい。
2026/05 花ちゃんの家庭環境キツすぎる。 私は親が離婚していて、母親が父親の借金を抱える家庭で育ったので、読んでいてとんでもなくしんどくなった。 花ちゃんのお金や家への執着が、私にはとてもよく分かる。どれだけ目に見えないものが大切とはいっても、結局自分自身を生かしてくれるものってお金だと...続きを読む昔からずっと思ってきたし、なにがあってもお金に苦労しない人生を送ろうと小さい時から思ってきた。 でもこの本を読んで「お金に苦労しない人生」っていうのは、他の誰かに頼るんじゃなくて自分がどれだけ踏ん張って努力して頑張れるかなんだなと思った。 大人になって、結婚をして生活に余裕ができて、ちょっとした贅沢をするようになった。 昔みたいに値札を穴が空くほど見つめたり、買えないものが多すぎて苦しくなることはなくなったけど、結婚したことで「何かあっても守ってもらえる」と他人に甘える弱さが生まれたことも再確認した。 自分の中にあるもので立ち上がるしかない、と花ちゃんを見ていて感じました。 「そのお金を稼いだやつは、それが自分のお金であることを絶対に忘れないし、金を出すやつは金を出してもらうやつより強い」 桃子のように何も考えない強さがあれば最強なのにね。
主人公の伊藤花は、小さなネット記事で監禁・傷害事件に関する事件を見つけ、吉川黄美子という名前に思い当たる。 今から二十年くらい前、まだ若かった頃の数年間を家族のように一緒に過ごした人だった。 加藤蘭と玉森桃子、あの時一緒に暮らしていた二人は今どうしているのか。 あの頃の記憶が一気に蘇る…。 元々母の...続きを読むホステス仲間だった黄美子さんと二人でスナック「れもん」を開店し、二十歳と偽って働き始め、同じような境遇の人たちが集まって、働いても働いても一生貧乏で、自分が育ってきたあたりまえの生活とはものすごくかけ離れていて、自分が知りえない世界を目の当たりにして震えが止まらない。 川上未映子さんの筆致が猛スピードで私たちに畳みかけてきて圧倒されます。 親って何だろう。 気がついたらこんな場所でこんなことになっていて、考えても仕方なくなってくる。 彼女たちの行く末は…。
とりあえず上巻の感想です。 ネットで黄美子さんの事件を見つける冒頭から一挙に緊張感が高まるが、その後、過去を振り返る構成。 黄美子さんとの出会いが語られる東村山編と、スナックれもんの三軒茶屋編は、実にじっくりと描かれている。 下巻はこれからなので判らないけれど、恐らく大きな事件が起きるのはこれ...続きを読むから。 まだ何にも起こっていないけど、ジリジリするような日常がよい。 主人公の花の焦燥感に共感して、こちらまでジリジリヒリヒリしてしまう。 続きが楽しみです。
病院の待ち時間に読もうと、お出かけのお供に。読み出したら止まらなくなって1日で上巻読破。 話の筋は全然違うけど、他人同士が身を寄せ合って暮らす感じが小池真理子の「恋」を思い出した。 家族の呪縛、貧困、そのなかでももがきながら逞しく生きる人たち。登場人物がリアルで物語に一気に引き込まれた。
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