子育て中のパパさんに、ぜひオススメしたい。7人の作家さんによる「現代人としての」父の姿。不器用ながらも懸命に子育てしているパパたちが勢ぞろいした短編集。どの話もどうってことのない日常ではあるんだけど、本としてまとまってくると「みなさん色々抱えてますよね…」と言いたくなる。めちゃくちゃ秀逸な1冊。
どの話にも共感しかない…と思って読んだ。特に子どもが小さい、という話は苦しいくらいに我が家の話。7つのうち6つが共働き夫婦の話なのも、私にとっては共感につながった。
岩井圭也『連絡帳の父』と、河邉徹『髪を結ぶ』は泣いた。
7人の作家さんのうち、6人が1980年代生まれなのだそうだ。私と同世代だ。全員パパさんだというから、「父になったからこそ書けました」という作品なんだな、としみじみ思う。
今の世の中、パパさんの役割ってめっちゃ多いんじゃないかと思う。仕事に加えて子育ても男女平等。男性の家事時間はまだまだ女性に比べて少ない、というけど、やってる人はやってる。きっと。
作家さんは、基本的に会社員よりも時間の制約が少なそうなイメージがある。家事や育児は融通がきくほうがやる、というと、それなりに多くの時間を担っているんじゃないかと想像する。
それでいて、仕事の成果も求められる。
キッツー。
これ、みんなどうしてるの?と聞きたい。
我が家も、夫は私と同等、いやそれ以上に家事と育児に多くの時間を割いている。私は融通がきかない昭和的な職場で働いていて、夫はかなりフレキシブルな職場なので、ついついお願いしてしまう。
「なんでオレばっかり!」と怒られてしまう。言いたい気持ちはよくわかる。
「パパ友になれそうな人がいっぱい出てくるよ」と言って、夫にオススメした。
「装画のクロッキー画が素敵だから、それだけパラパラ見るだけでも」と言っておいたら、その装画を見て、気になった話だけ読んだ、と言う。
そう。装画が素敵なのよ。
読み終わってから見返すと、ストーリーの中で印象的な場面が描かれていて「あー、なるほど」と思う。
夫は全部を読んでいないとは言うものの、外山薫の『ダディトラック』を読んでかなり共感した様子だった。
この本は、雑誌VERY2026.2月号『VERY的誌上読書会』のコーナーで、カツセマサヒコという作家のオススメに載っていた。
ご自身も、7つのストーリーの最後に入っている。この話だけが専業主婦の話だ。共働きだったが「もう無理」と、妻自身が専業主婦になることを選んだ。共働きであることが珍しくもなんともない現代において、「あえての専業主婦」という視点。
[もうさ、みんな大変って話をしようよ、こうなったら。飲もうぜ、飲もう。それしかないだろうが、幹事!]
と言い放つ夫の友人に、「カンパーイ!」とジョッキを合わせたくなった。
世の中にはいろんな家庭がある。
それぞれの家庭に、それぞれの事情がある。「ウチはこうやってます」という他のご家庭が参考にできる場合もあるけど、私の家庭で使えるワザとは限らない。
私も夫も、ひとり暮らしをそれなりの期間やってから結婚した。得意というほどではないけど、やっていて苦にならない家事はある。お互いに「これなら自分がやってもいい」という家事をそれぞれがこなしている。
片付けは、2人とも苦手だ。だからいつまでも部屋はぐちゃぐちゃ…。
育児も、2人とも苦手。なにをどう扱ったらいいか、まるでわからない。
そっか。
だから、この本に出てくる不器用なパパたちに共感するんだな。
子どもがいなかったら良かったのに、と時々夫が言う。
そうかなぁ?そうでもなくない?と、最近になって私は思う。
[たしかに大変だけれど、ラクであることと幸せであることは意味が違う]
『連絡帳の父』の中で、岩井圭也がそう書いている。そのとおりだと思う。
[もし親としての適正検査があるのなら、きっと面接を受ける前に落とされる。だけど向いてないと知ったからといって、辞めることのできないのが子育てだ]
『髪を結ぶ』の中で、河邉徹がそう書いている。これも、そのとおりだと思う。
ひと月ほど前に読み終わって、夫も読んだら感想を書こうと思って塩漬けにしていた。
共感できる本があって、共感してくれる人がいて。
みんなそれぞれの生活があって、家族の数だけ物語があって。
なんか、それでいいんだよな、と思う。
いろんな家庭の事情があって当たり前。
社会がもっとフレキシブルになったらいいのにな、と思う。生き方も、考え方も。