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Posted by ブクログ
帯に「一穂ミチの最高傑作。」と書いてあってファンとしては「おいおい、そんなわけないだろう、他にもいい作品いっぱいありますけど?」と思ったけど、たしかに、収録作品七篇全てエッジが効いていて面白かった。
以下、収録作品タイトル
違う羽の鳥
ロマンス
燐光
特別縁故者
祝福の歌
さざなみドライブ
わたしの春
どれも素晴らしくて好きだし、この並びも好き。ネタバレになるから言わないけど。
あえて一つ触れるなら「燐光」。『砂嵐に星屑』でも思ったんだけど、一穂ミチは「死んだ人が化けて出るというのは強い恨みや心残りがあるというよりも、ひょんなきっかけや些細なことが気になる場合なのでは」と考えていると思う。前に読んだ誰の何の小説だったか忘れたけど「人は案外、戸棚に隠した饅頭どうなったかな」というようなことが現世に繋ぎ止められる理由になったりするというお話があって、妙に納得したことを覚えている。一穂ミチの幽霊観もそんな感じなのではないかな。
どれもこれもとても良くて、短いのに熱量がすごいので、休み休み読むのがいいと思いますぞ。
Posted by ブクログ
「もう二度と味わいたくない
あの日々を、どうしてか、
書き留めておこうと思った。」
文庫化にあたり、著者直筆のしおりが付いていたこの作品。
私にはとても大切な物になった。
パンデミックと人の罪を合わせた造語の「ツミデミック」
人間はなんて簡単な生き物だろう。
あの思い出したくはない異常な世界を当たり前に生きて、当たり前に過去のものにしている自分に大きな失望と微かな希望を感じていた。その何とも表現し難い気持ちを、この作品は綺麗に消化させてくれた。
パラソルでパラシュート以来の一穂ミチさんの作品だったが、読みやすく誰もが抱いている人間故の罪を暴きながら綺麗に昇華させてくれている短篇集。
ますます、著者に傾倒してしまった。
直木三十五賞だけあるけれど、文庫書き下ろしの「わたしの春」には涙が出た。
大人ばかり大変だったわけではなく、子ども達が一番大変だったことを思い出したから。
自分が時間に追われて足場がおぼつかなくなったときに、この作品を読み直そうと思う。
Posted by ブクログ
2024年第171回直木賞受賞作。
大学を中退し客引きのバイトをしている優斗。そこへ中学時代に死んだはずの同級生の名を名乗る女が現れ…「違う羽の鳥」。元調理師の恭一は、小一の息子・隼が「近所の老人からもらった」と旧一万円札を持って帰ってきたため、得意の澄まし汁を作って老人を訪ねるが――「特別縁故者」。コロナ禍を生きる人びとの、刹那の“罪”を切り取った短編集。
犯罪×パンデミックから来ているタイトルでコロナ禍の中でそれぞれの思いが渦巻く内容でした。
読みやすく流れるような文章と登場人物の心情描写が良く表現されていました。
短編集なのもあり気構えることなくサクッと読めるのも良かったですし、作者の様々な作風を楽しめました。
その中で『特別縁故者』『さざなみドライブ』が好みでした。
地元で初めてコロナウイルスが発見されたときはそこの家族は村八分のような感じで、張り紙されたり石を投げられたそうで居心地が悪く夜逃げ同然で引っ越したのを聞きました。
今でこそインフルエンザと同じ扱いにされてますがその当時は先が見えない状況で恐怖感がそうさせたのでしょう。
人間の恐ろしさ醜さを感じたのを覚えてます。
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