あらすじ
大学を中退し客引きのバイトをしている優斗。そこへ中学時代に死んだはずの同級生の名を名乗る女が現れ……「違う羽の鳥」。元調理師の恭一は、小一の息子・隼が「近所の老人からもらった」と旧一万円札を持って帰ってきたため、得意の澄まし汁を作って老人を訪ねるが――「特別縁故者」。コロナ禍を生きる人びとの、刹那の“罪”を切り取った短編集。第171回直木賞を受賞した著者の最高傑作!
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「もう二度と味わいたくない
あの日々を、どうしてか、
書き留めておこうと思った。」
文庫化にあたり、著者直筆のしおりが付いていたこの作品。
私にはとても大切な物になった。
パンデミックと人の罪を合わせた造語の「ツミデミック」
人間はなんて簡単な生き物だろう。
あの思い出したくはない異常な世界を当たり前に生きて、当たり前に過去のものにしている自分に大きな失望と微かな希望を感じていた。その何とも表現し難い気持ちを、この作品は綺麗に消化させてくれた。
パラソルでパラシュート以来の一穂ミチさんの作品だったが、読みやすく誰もが抱いている人間故の罪を暴きながら綺麗に昇華させてくれている短篇集。
ますます、著者に傾倒してしまった。
直木三十五賞だけあるけれど、文庫書き下ろしの「わたしの春」には涙が出た。
大人ばかり大変だったわけではなく、子ども達が一番大変だったことを思い出したから。
自分が時間に追われて足場がおぼつかなくなったときに、この作品を読み直そうと思う。
Posted by ブクログ
コロナ禍で書かなければならなかった、書かれるべきだった作品。それぞれコロナの影響を受け、苦しんできた人々が、心の中だけでも立ち直ろうとしている。特にわたしの春の代表挨拶で白紙の紙で自分の溜め込んでいた想いを吐き出すシーンは好き
Posted by ブクログ
ひとつ前に読んだ「本屋さんのある街で」で一穂ミチさんの話に感じ入ったところだったが、続けてこの本の順番が回ってきた。
本の紹介に『パンデミック下で起こった犯罪=事件を描いている』とあるが、事件めいたものはあっても罪というのはどうだろうという感じで、それよりも寧ろ、パンデミックのさなかの日常をバラエティ豊かに描いた話として読んだ。
お気に入りは「ロマンス☆」。子育て中の主人公がデリバリーの配達員ガチャにのめり込んでいく姿が恐ろしくも面白い。ハズレを削除していけばいいだけ、って、そこかあ……。
幽霊となり現世に戻ってきた少女が主人公の「憐光」や高校生の娘が妊娠した家族を描く「祝福の歌」は、終盤に向かって加速しながら次から次へと拗れていく展開を唖然としながら楽しめる。
SNSで出会った5人の「さざなみドライブ」はコロナ禍の世相を切り取って遺したかのようなお話。これもまた最後のひっくり返しが鮮やか。
あの頃のすったもんだを忘れている昨今だけに、最後の文庫書下ろしはなかなか含蓄深い内容だと思った。
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違う羽の鳥
及川優斗
井上なぎさ
桜田
ロマンス☆
百合
さゆみ
雄大
大石耕平ママ
Takuya
憐光
ミナ
登島つばさ
松本唯
杉田先生
特別縁故者
隼
卜部恭一
朋子
佐竹
リュウ
祝福の歌
達郎
美津子
菜花
近藤久寿…鈴香
堀…ほーりー
牧野
マキノフミエ
さざなみドライブ
キュウリ大嫌い
マリーゴールド
あずき金時…遠藤三雄
毛糸モス
動物園の冬…毛利
児玉
わたしの春
松尾理実
颯真
舞香
寧々
高岡
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コロナ禍に関わった短編集。基本的には嫌な話、終盤に大きく印象を覆してくる話ばかり。コロナはともかく、人間がすごく醜い面を見せてたことを思い出させてくれる。文章なのか展開なのかどちらもなのか、とにかく分かり易いのでサラサラ読める上、各話どれも主題が明確で頭に入ってくる。ネガティブな場面が多い中、ポジティブな締め方をする話もあって、清々しい気分にはなる。書き下ろしもとても良かった。大人は教訓にすべき。
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祝福の歌
お母さんは、俺と違って歌が上手かったんだな。
そして母さんは、俺と一緒で歌が下手くそで。
実の母親のことをお母さん、育ての親を母さんと書き分けてる事と育ての親の方が自分と似ていることの複雑さが良かった。
50近くでカミングアウトされたらもはやそれは本当の親なんだな。娘があっけらかんとしてどっちでもよくない?と言っていたのも良かった。
他の話でデリバリー男ガチャをするために娘に薬を盛るところでヒェっとなった。CMソングを口ずさむのが不気味である。
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コロナ禍の抑圧された社会で、爽やかな感動作もあれば、冷たいダークな感触の作品もあり、様々なタイプの短編小説が並ぶ。
どの話も考えさせらる展開で、作者の技巧が冴え渡り、直木賞の受賞は当然と感じた。
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ガツンと殴られたような衝撃。
特に最後の「わたしの春」これを読んだ後しばらく放心したほど!
忘れかけているあの時期、未知のウィルスとの戦い…
失われた命、日常、仕事、繋がり、、、
あんなに苦しんだはずなのに、今また何もなかったように過ぎて行く毎日や世の中の現在を今一度考え、薄ら恐ろしくなるほどです。
Posted by ブクログ
本屋さんのオススメになっていたので買ってみました。初めての一穂ミチさんでしたが、あっという間に引き込まれて一気に読み終わってしまいました。
会話のテンポがよくとても読みやすいです。
内容は罪をテーマにした短編集でそれぞれが独立したお話になっています。どのお話も一癖あって、展開が想像と違ったりして面白いです。個人的に展開が面白かったのは憐光です。豪雨で亡くなった主人公の女の子が数年の時を経て遺骨が見つかったことで、幽霊として現在をみるという視点で話が進んでいきます。登場人物のほとんどが不気味です。主人公のお母さんのつくるお菓子に髪の毛が混入している描写や娘を許していないという話ぶりから、詳細には描かれていませんがこの家自体にも仄暗い雰囲気が漂っていました。ネタバレになるので書きませんが、最後の結末は衝撃的でした。
この話の他にもここまでやるんだ…と内心引いてしまうものも含めて、罪に幅があって飽きない内容になっています。
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人間の黒い部分を煮詰めたような後味の悪い話が続いたので、全編暗い話だろうと身構えて読んでいた。
しかし、結末に予想外のあたたかさを感じる作品もあって、自分まで励まされた気がして、思わずホロリとした。
文庫書き下ろしの「わたしの春」も、パンデミックに翻弄される子ども目線が新鮮で、切なくもとても良かった。
人間の「業の深さ」がリアルに表現されていて、一穂ミチさんの他の作品も一気に読みたくなった。
Posted by ブクログ
コロナ禍を物語に落とし込んだ短編集。特にパンデミック初期のあれやこれやって、今から見ると当時に増してトンデモに思えることが多かったんだな、とあらためて。そんな訳で面白く読めはしたけど、ただ今回の直木賞で”保己一”が取れなかったこととか考えると、本作が受賞したことに関しては、ちょっと複雑な気分にもなる。
Posted by ブクログ
パンデミック、あの時はただ毎日毎日明日がどうなるのか、これがいつまで続くのか不安な日々だった。
こんな毎日が一生続くのか、と思った時期。リモートが増え便利になった反面人と会うこと会話をするのとにも尋常でない気の使い方をしたし、そもそも制約や制限が多くある。誰が決めたのかわからない成約に縛られながらの生活だった。
今はまるでなかったことかのように元通り?の生活を送ることができている、ように見えるだけなのかもしれないがきっとあの数年間はなかったことにならず、今も苦しんでいる人がいると思う。どんな形にせよ。
普通を取り戻した今、読んでよかったと思える。
Posted by ブクログ
コロナ禍に生きる人の罪を切り取った短編集。コロナで友達を失い、仕事を失い、自分の人生を終わらせようとしたり…淡々と書き連ねる感じがとても読みやすい。
Posted by ブクログ
コロナ関連の短編集。
特別縁故者、祝福の歌が特に良かった。
少し怖い話だけでなく、ハッピーエンドな話もあって良かった。
予想外な展開になる話があったが、読みやすくて纏まりが良かった。
改めてコロナ流行期は大変だったと思った。
Posted by ブクログ
単行本を読んで面白かったことだけ覚えていて、文庫化されて再読。内容はキレイに忘れてて改めて楽しく読みました。どのお話もダークで密度があって一穂さんらしいエッジが効いているのにスルスルと読みやすい。文庫書き下ろしの小学校6年生のお話も良かった。
Posted by ブクログ
忘れたくても忘れられないコロナ禍という最悪の時代を、生々しく思い出させられる短編集。ウイルスそのものよりも、マスク警察とか飲み会警察とか人間の醜さが本当に嫌いだったことを思い出した。
違う羽の鳥
母に復讐するために自殺したように見せかける発想が怖くて良い。あの時街のど真ん中をクラウチングスタートでダッシュすればよかった。
ロマンス⭐︎
モラハラ夫が不快だったけど、主人公の方がもっとやばかった。フーデリ配達員をガチャに例えるのが現代的でいい。
憐光
主人公が誰からも好かれてなくて可哀想すぎた。つばさは親友を殺してまでお金が欲しかったんだろうか?
特別縁故者
自分自身が最近縁に助けられて生きているからか、すごく心に刺さった話だった。これまでに自分が積み上げてきたものと、人との縁が自分の人生を変えるよなあ、と実感する。
祝福の歌
主人公が娘の相手の不誠実さに怒って娘に堕ろすよう言ったことに対して母が手を上げたことと、結局堀くんが不誠実なままでは?という終わり方が気になった。
ウクライナでの紛争という時事の物語への組み込み方はいいと思った。
さざなみドライブ
パンデミックに人生を変えられてしまった人たちがTwitterで集まって自殺をするという設定が、時代性が盛り盛りでいい。主人公のSFみたいな能力もいい設定だと思う。
わたしの春
コロナに振り回され、楽しみを奪われた2020年から23年の子ども達はかわいそうだと思っていた。謎に潔癖なマスク警察は当時からずっと嫌いだったけど、主人公が読む卒業の挨拶を読んで、自分が2020年に小1だったらどうなっていたんだろうと、コロナウイルスが日本にもたらした社会的な影響について考えさせられた。
Posted by ブクログ
あの頃の、みんな余裕がなく今を生きるのが精一杯の日々を思い出しました。
あの一連の出来事が変えてしまったものを、完全に忘れてはいけないなと。
久々に一穂ミチ先生の文章に触れて、こんな鋭い文章書くっけと思ったけど、ありのままの人間の内面を言語化するのに長けた方だったなと思いもしました。
Posted by ブクログ
コロナ禍を生きる人びとの刹那の罪を切り取った直木賞受賞の短編集。
まだそんなに昔の話じゃないのに、あの頃のことをすっかり忘れていたのは、たぶん自分だけではないはず。そして、すっかり忘れられる人ばかりではない、ということをグイグイと突きつけられた。
あの時代を生きた(生き抜いた)すべての人が読むべき一冊。
Posted by ブクログ
どの短編も読みやすかった。
『ロマンス☆』のヒヤッとする感じも良かったが、『特別縁故者』が個人的には1番好き。
この短編集も以前読んだスモールワールズも良かったので、話題になっている『光のとこにいてね』の購入を決めました。
Posted by ブクログ
コロナがパンデミックになったあの頃を思い出してしまう一冊。表紙の一輪の菊がまた、どこか重苦しい不気味さを連想させるんですよね。今思い返しても、コロナ禍の時期苦しかったな。個人的に「特別縁故者」好きでした。
Posted by ブクログ
6編から成る短編小説。すべて読みやすく、すんなり読める。次に何が起こるのか、とわくわくしたり、少し怖かったり。ひとつの小説の中でいろいろな感情が味わえる。すべてコロナ禍に関するお話なので、感情移入しやすいのもよい。
特に「私の春」は、書き下ろしでかなり短いが、個人的には大好きな作品。最後をこれで締めるあたり、関連のない短編の中に、流れを感じさせられる。
ちょっとした暇つぶしにもさらっと読める、おすすめしたい作品。
Posted by ブクログ
パンデミックと罪を掛け合わせた造語だそうな…
あのパンデミックから発想を広げて、こんなふうにあの日々を表現するのかぁと…。
手軽に読めて良かった。
Posted by ブクログ
よくも悪くもコロナ禍によって人の本性が炙り出されることも多かったと思います。そんな期間を生きる人々の罪を描いた作品となっていますが、重過ぎずサクッと読めました。
Posted by ブクログ
ツミデミックって何かなと思ったら、パンデミックのモジリなのね。というわけでコロナ絡みの短編集です。ちょっとありがちなところもありますが、飽きなく読めました。
私は「特別縁故者」が気に入りました。
Posted by ブクログ
決してつまらないとは思わないけれど、
「直木賞受賞作」となると首をかしげたくなる作品。
これは一穂作品に共通する感覚なのだけれど、
ひとつひとつのエピソードはいいのだけれど、
エピソードがいくつ重なっていっても、なんの絵も見えてこず、
ただ大きくてきれいなモザイク画ができあがるだけのように感じる。
今作はたまたまそれを“コロナ禍”という世界を覆った出来事がつないだだけに思える。
そして今作はタイトルからもわかるように“悪いこと”が各話にからんでくる。
主人公自身がわりとイヤな奴が多いから、そのモノローグまで読まなくてはいけないのがちょっと苦痛。
“特別縁故者”だけは苦なく読めた。
Posted by ブクログ
表紙から受ける印象から、勝手にもっと全体的に重たい感じの話しが入った短編集かと思いきや、感動ものも入っていたりしました。
個人的な好みとしては「ロマンス☆」「憐光」が、最後にゾワッとするような、嫌ぁな終わり方ですごく好きでした。上記でも書きましたが、こうゆう話しの集まりだと思ったので、「特別縁故者」とか「祝福の歌」みたいにちょっといい話、みたいなのも入ってて、色んな罪の形がありましたね。
Posted by ブクログ
読みやすかった。
コロナ禍のパンデミックにより犯された罪、をテーマに書かれた短編集。
妊娠した女子高生と、その親と祖母、そして自分の赤ん坊に会えない夫婦を描いた「祝福の歌」が良かった。