無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
これぞ直木賞!
醜女をヒロインにして成功した小説はとても少ない。美女をヒロインにすれば「誰もが振り返る美女」と書くだけでだいたい想像できる。
しかし、醜女を魅力的に描くには筆者の描写力が必要になる。そこがさすが朝倉かすみ先生である。
この「けんぐゎい」のヒロインふゆは、全身にあばた(痘痕)のある醜女として描かれているが、だからと言って心が美しいとかコミュ力に秀でているとかそういうわけでもない。
自分の内面のコンプレックスと向き合い、いわゆるフレネミーな家族や友人たちと受け流しながらつきあい、目立たぬように毎日を過ごしていく。
その日々に起きた事件が、ふゆの運命を変えていく。
けんぐゎい(圏外)のふゆがたどり着いた天職とは…
エロもグロもあり、映像化は不可能と思われるので、ぜひ本でこの文章を感じてほしい。
Posted by ブクログ
独特の言葉づかいや表現でわかりにくいうえに、終始気持ち悪い。気持ち悪いを突きつけられる感じ。この本がどう分類されてるのか知らないけど、個人的にはホラー。
ただ、人間のどうしようもなさみたいなものを生々しく描きながらも、人間嫌いではないだなって伝わってくるような。人それぞれ嫌なところも変なところもあるけど、一旦「良し」としてくれる温かさがある。でも自分を攻撃してくる人は許さなくていいんだっていう強さもあって。ホラーでもあり、成長譚や英雄譚的な感じもある。
多分誰もが持っている(持っていたことがある)自分の中のユニコールを、ちゃんと味方にして、時々は声を聴くのも大事よね。
Posted by ブクログ
利発だが顔に酷い痘痕(あばた)を持つ姉のふゆ。美貌に恵まれつつも逆上せ癖のある妹のりよ。幼くして父を亡くした姉妹を待ち受けていたのは、あまりにも理不尽で暗い江戸の社会構造だった。
特に手習師匠の養子・宗三郎の禍々しく歪んだ性癖と、自分の欲望をどこまでも正当化する身勝手な不気味さには絶望すら覚える。
しかし、物語は「昔の女の悲劇」では終わらない。現人神と崇められる女医者との出逢い、そして命の誕生を経て、ふゆは自らの意志と知性で「自我」に目覚めていく。
読書中、朝倉かすみさんの一種独特で鋭利な言葉選びに何度も心を撃ち抜かれた。
「おっかあの『にちゃにちゃ』とした執着と、気持ちの浮き沈みに溺れて生きる弱さ」
「ふゆの心の中に棲む『真白と真黒』という、深層心理の凄絶な対比」
ルッキズムや貧富、地頭の良し悪しによって「圏外」や「真ん中」と区分けする世間の勝手な線引き。
だが、そんな線引きをすること自体がおかしい。誰もが等しく、ただ必死に生きている。
生物学的な道理と人間の割り切れない感情の衝突に胸を締めつけられ、宗三郎のサイコパスぶりに激怒しながらも、「自分の胤は残したくない」という一線に奇妙な救いを見出す。
誕生した生命の前で、言葉が消えて涙があふれるあの瞬間。人間の愚かさや欲望を遥かに凌駕する命の無垢さと尊さに、生きることの根源的な肯定を感じずにはいられなかった。
人生に当たりもハズレもない。まさに「禍福は糾える縄の如し」。
もし運悪くハズレの籤を引き当ててしまったのなら、神社の木にくくりつけて「そんなことありましたっけ?」とすっと忘れて帰ってしまえばいいのだ。
世間の不条理なレッテルも、内なる黒さも引き受けた上で、自らの足で生の尊厳を獲得していくふゆの姿。時代小説の枠組みを軽々と超えて、現代を生きる私たちの魂を強く揺さぶる怪作だった。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸