無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで200万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
しょっちゅう小説を読んでいると、こうなればこう感じてこう行動する、みたいな定型、クリシェによく出会う。少しずつ表現を工夫して変化をつけても、どっかで読んだな〜と思うときがある。でもこの短編集には、予想に裏切られどう展開するのか全く見えない新奇さがある(特に『もう十分マジで』)。だから時間を費やして消費した以上の果実を手にした感じがある。結局コロナ禍って前代未聞の経験を私たちみんなに与えたのだなと実感する。細部がとってもリアルで、どうやって資料集めしているのだろうか。軽いトーンで書かれていても、内容はずっしり重たかったりして、不穏な時代の空気を反映しているようだ。
Posted by ブクログ
5篇の短編集。
特に好きだったのは『令和枯れすすき』と『非常用持ち出し袋』の2篇。
『令和枯れすすき』はシニアの派遣労働者の「わたし」が主人公です。コロナ禍で仕事を首になった主人公は、日雇い派遣で働くことになります。毎週金曜日に派遣事務所から現金で給料を受け取るのですが、いつも事務所に周りから浮いているひとりの女性がいることに気づきます───
老人に対する世の中の冷たい眼差しをこれでもかと突きつけてくる小説でした。
ひとは老化とか貧困、病気から目を逸らしたいものなんだろうな…と思いながらも苦しくて堪らなくなります。
自分の中にある、自分でも気づいていなかった老人への差別心にも気付かされました。
今までぼんやり「老人」と、ひとまとめに見ていたひとたちの姿が一人一人個性を持った姿として見えてきたとき、自分がその中のひとりになっていることに気づく描写には身につまされるものがありました。そうだなぁ、そうやって、自分も老人になっていくんだろうなぁと。
胸がギュッと締め付けられるような作品でした。
Posted by ブクログ
U-NEXT。とちゅうから、オーディブル。著者らしい、独特の文体、視点の短篇集。コロナ禍で、人生が狂ってしまった人たちの話。とにかく『令和かれすすき』が衝撃すぎて。
日雇いの派遣で働く、独り身の、まあまあのおばあさん。悲しみしかない細かい一人語りが続く。「つっとのおうち」のことを話すあの人との交流。あの人は誰なのか、なんなのか、よくわからず、しょっちゅう脱線して半生を語るおばあさんに、読むのつらいな、と、いらいらしていたら、ラストに戦慄が走った。ネタバレはやめときます。なんだかもう。こんなのって、ありかな。つらいな。
『ドトールにて』介護をしてきた母、妻をそれぞれ最近亡くした中年のおっさん二人が、ドトールで待ち合わせてくっちゃべる。『もう充分マジで』大学受験を失敗した男の人生。『非常用持ちだし袋』高校中退で肉体労働をして家族を養っていた男が、体を壊して退職。中三の娘は、読書家の弟のため、高校へ行かない選択をする。『みんな夢のなか』夫の浮気で離婚後、その子供を産んだシングルマザーが、コロナ禍で少し交流のあったママ友と、偶然再会する。
『非常用持ちだし袋』の「男を立てろ」ということを、冗談ぽくではあるが、家族に強いている父が、絶妙に嫌だった。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。