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「ままならぬ現実を生きる彼らのしんどさを、私たちはよく知っている。けれど、ほんの少しの希望があれば前に進めることにも、私たちは気付いているのだ。」――恩田 陸
「新たな一歩」を踏み出す人々のひと夏を描いた感動作!長嶋有デビュー25周年記念作品。
築50年の大規模マンションの子供用プールで、監視員のアルバイトをする高校生の少女二人、ある日漫画が描けなくなった元人気漫画家、万引き癖をもつシングルマザー、突然高校を自主退学した息子とその父、年下の友人を亡くした漫画好きの老嬢……。ささやかな悩みを抱えた老若男女が過ごす夏の日々。老朽化し利用者も減る一方のプールに廃止の危機が迫り、
少女二人が立ち上がる。大好きなプールを守るために。
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Posted by ブクログ
長嶋先生特有の人間描写、言葉の選び方がそれぞれ光っています。夏のプールの水面に映る水しぶきが、同じに見えてもいっ時いっ時すべてが違っているように唯一無二の輝きです。私は特に長嶋先生がもとより大好きなので贔屓目も入ってしまうのだけれど、小さな事柄の楽しみ方の向かう方向、行き着くところが同じ気がするので。
マンションの中庭の子どもプール、地域の市民プール、果ては与那国、ロンドンにまで場所を広げての人と人のかかわり合い。それぞれの視点から淡々とそれでも心根は熱く読み込めて何度もページをひっくり返しながら。
夏の濃い緑の林の木漏れ日、プールの塩素のかすかな匂い、暑すぎる日差しが感じられる小説です。
Posted by ブクログ
タイトルが良い。とあるマンションのプールが多元的な視点から語られる。八方塞がりな状況や瑣末な日常が最後の章で軽やかに飛躍を遂げるのが気持ちよかった。長島有ならではの小さな視点の連続。小さいけど大切なね。「母親は必ず心配するもの」だ、そのことについて謝るだけではなく自分で気づいてほしいという父親の思いとか。世の中がタイパ、コスパで測られてしまうことのやるせなさと打開しようと奮闘する若者への眼差しとか。悪者、と表現されたおじさんの考え方にも心を寄せる。いつも温かい気持ちになります。
プール施設にはセブンティーンアイスの自販機。これはマーケティングの成果なのでしょうか。毎度買わされた(そして、一口もらった)。
Posted by ブクログ
夏を感じるのは、マンションにある子供用プールでの話だからだろうか…。
このプールだけではなく市民プールを利用する人の話もあるのだが、ひと夏を描いた物語はちょっとだけ暑さを軽減できた気がした。
今日も茹だるような暑さ…
お盆も過ぎたのにいつまで続くのだろうか…
そんな日にこの表紙のプールを見ていると、さて私はいったい、いつからプールに入っていないのだろうかと。
小学生の頃は、夏休みでも学校のプールが開放されていて、地域ごとに決められた日に通っていた。
そんなことを思いだしながら、こうも暑ければ日中に炎天下でのプールなど禁止しているところもあるだろうと思う。
この物語のように労朽化し利用者も減り、プール廃止の危機が迫る中、監視員のバイトをしている女子高生二人が、ナイトプールを考えつくのだが…
未来のことを考えると何が良いのか、どうすれば良くなるのか、課題はまだまだあるかもと思った。
Posted by ブクログ
夏に読んで正解だった。何かが劇的に変わるわけではないけど、小さな一歩を踏み出すことが希望になる、そんなプールにまつわるままならないそれぞれの日常の物語。小学生の頃に通ったスイミングスクールの帰りに食べるアイスボックスの美味しさとか、夏休みにチャリで学校の開放されたプールに行って友達と遊んだことだとか、プールの後の授業の心地の良い気怠さと塩素の匂いだとか、あのかつての夏を懐かしく思い出しながら読み進めた。「皆が知らない幻想的なほどの景色を知っていることの優越は、たとえば勉強ができるとかインフルエンサーになるとかよりも、はるかに人を強くするものなのではないか。」日常に溢れるうつくしい瞬間を切り取って大切にできる人になりたい。
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小説・文芸
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