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高校時代の同級生五人――三十代後半になった彼らの人生は、一人の自死をきっかけにして、さまざまな挫折や変貌や再出発を強いられていく。宗教二世、小説家、主婦等々、五人それぞれの生きることの迷いと歓びと傷、そして再生への切なる希望を深い声で語り、無常観の果てにある祈りの旋律が鳴り響く著者真骨頂の感動作!
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Posted by ブクログ
僕はこの作家さんの文章が好きです。 今回の読後もなんだか、ほんわかと心が温かくなりました。死というものに向き合い、そして生きる。 生きる大切さと、生きるということは難しくないよというメッセージが刺さりました。
「窓辺の夕餉に」 「野辺の送り」 「空夜」 「柘榴色の雪」 「芍薬の星月夜」 五編を収めた連作短編集。 私がずっと待ち望んでいた窪美澄作品だった。 初期作を思わせるひりつくような描写に冒頭から一気に引き込まれる。 沙耶、健太、倫子、達也、菜乃子の五人は高校の同級生。 仲の良いグループに見えても...続きを読む胸の奥には複雑な感情が渦巻いている。 グループの中心だった菜乃子の自死をきっかけに、残された四人の人生も静かに揺れ動く。 読みながら何度も息を呑んだ。 「不在」がもたらす哀しみが、じわりと胸に押し寄せてくる。 最終章では堪えていた涙が溢れた。
菜乃子、達也、健太、倫子、沙耶。 高校の同級生の彼らはいつも5人でいた。 ずっとその関係が続いていた彼らだったが、 グループの中心的存在だった菜乃子が自死し、 そのバランスが崩れてしまう。 5人それぞれの複雑な関係性に驚く。 ああ、実はそうだったんだなと。 彼らの恋愛感情が、なかなか複雑。 一見、...続きを読む仲が良さそうな5人だが、内側には ドロドロした物を抱えており、お互いを 肯定しているわけではないところが、 なかなか面白い。残された者たちが 菜乃子の死を、どう乗り越えていくのか。 倫子は作家として活躍し、沙耶は結婚して 子どもを産み育てる。さて、男性陣はというと、 達也は菜乃子の死を受け入れることが出来ないまま、生きていく選択をし、健太は母親が入信し、 拒絶していた宗教の教祖となっていた(なぜ?) 最終話の、亡くなっている菜乃子の語りが 謎だったが、美しく、憧れられていた彼女の 内側にも、色々と思うところがあったのだと 分かる。 彼女が愛した芍薬の咲く季節に、彼女が成仏 していく描写がとても美しかった。 「死にたい気持ちと闘わなくていい。 死にたい気持ちを抱えて生きていくのは、 ちっともおかしなことじゃないから」 最後の達也の言葉が胸に残る。 決して明るくはないストーリーだが 印象に残る物語だった。
高校の同級生5人のうち、40代を前にした1人の自死。それをきっかけに浮き彫りになる、複雑な人間関係とそれぞれの本音。歳を重ねたからこそ、一筋縄ではいかない関係性が描かれている。 ラスト数ページ、同じような気持ちを抱えている人には何かしら刺さるものがあるのでは。
高校の同級生5人組の中心的存在だった菜乃子が自死した。5人の繋がりは仲良しグループと言うには不均衡で、下に見ていたり苦手意識があったり。恋愛感情も存在するが、菜乃子と達也の2人以外は成立せず。それでも卒後社会人となってからも5人の関係は、徐々に薄れつつも続いている。 菜乃子の死は生きる4人それぞれの...続きを読む人生を大きく、あるいは少しずつ変えてゆく。達也はそれまで全ての人生をいったんリセットし、その後も生涯菜乃子からの解放を拒む。健太の選択はただただ謎。猫を捨てたくせに。この男性2人に対し、主婦となって子供を育てる沙耶、作家として活躍する倫子。後進のサポートをする倫子はとてもカッコいい。女性2人には前進する強さが感じられ、男性2人とは対照的だ。 最終話は菜乃子が語り手となる。いきなりファンタジーになるのかと思って身構えてしまったが、ここで初めて菜乃子の内面が語られる。この形でなければ伝えられないことなのかもしれない。5人の中心だったはずの菜乃子のことを、他の誰一人として知らなかった。そしてその後の4人の人生についても、菜乃子の視点から語られる。 物語全体が、水に白い絵の具を落としたように、白く霞んで、輪郭が曖昧だ。霞の中は静謐でどこか温かい。不思議と暗い印象はなかった。
はじめましての窪美澄さん 装幀と表題のイメージ通り、静かな雪の夜を一人孤独に歩くように、5人の登場人物達がそれぞれの人生を語る連作短編集。 つい最近、多くのお宅の庭で芍薬の花が美しい姿を見せてくれたばかり。 芍薬を愛する菜乃子がその花の咲く季節にこの世を去り、数十年後の芍薬の咲く季節に成仏するま...続きを読むでが描かれている。 芍薬という花を軸にした時間の流れや、様々な表現の美しさが心地よく、文学の味わいを感じる。 テーマは菜乃子の自死であり、周りの人々の後悔や不安、密かな悩みや秘密が語られる。 人の悩みなど、想像以上であることもあるし、その逆もある。 それでも当事者にとっては死を考える程であることもあるのだと改めて知る。 それでも若い頃の悩みの多くは、歳を重ね、さらに大きな悩みができることで消化されていくのだろう… 老いた達也が若い子と菜乃子へ語る言葉がいい。 「…死にたい気持ちがあっても別に死ななくてもいいんだよ。…死にたいって思うことは、お菓子が食べたいとか、水が飲みたいとか、そういう気持ちのひとつでしかない。その気持ちを特別な感情だと思わなくていい。呼吸をして、それが過ぎるのをただじっと待つんだ。死にたい気持ちと闘わなくていい。死にたい気持ちを抱えて生きていくのは、ちっともおかしなことじゃないから。」 私も2年前に亡くした友人の死をよく思いだし、辛くなる事がある。 窪美澄さんもそんな経験をされたのかもしれない。 死を選ぼうとする者と、近しい人の死から立ち上がれない人。その両方にほんのり温かな気持ちをともしてくれる、そんな小説。
高校時代のクラスメイトの5人、その中心人物だった女子の自殺から、物語が始まる。 5人がそれぞれに生きづらさを抱えていて、自殺をきっかけに各々の悩みと向き合い始める。 どうしてこの5人が仲良くなったのか、ちょっと強引な感じがして、そこが引っかかったまま読み進めた。 結局引っかかったままで、最後までスト...続きを読むーリーにのめりこめなかった。
高校時代の男女5人組の20年後が描かれていている。 友情物語かと思ったら、男女の枠を超えて恋愛感情が入り乱れていて、なかなか複雑な関係性。 一方通行の気持ちのはずなのに、時に肉体関係を持ってしまうこともあって、「なんだかなぁ…」という気持ちになった。 ままならなさを抱えている5人、それぞれの視点から...続きを読むの5章。最後はこのグループの中心人物でもあり、自死をしてしまった菜乃子の目線。この最終章は良かった。「死にたいと思う気持ちを抱えながら生きていけばいい」という言葉が、思い通りに人生が進まない5人の物語を読んだ後だから、すっと入ってきた。
自殺と自死の違い、それは受け止め方の違いなのかもしれない。 誰かの死が残された誰かの生に与えるもの、永遠に答えの出ない問い、ぬかるんだ憂鬱の沼、歪んでしまった世界に歪まされる心。 菜乃子という人間の不安定さやミステリアスさや特別さ、乖離していく当人以外からの評価と自己評価の差異。 自死という答えは、...続きを読む選択した者たちにとってはどうしようもない程に正解なのかもしれなかった。 本を読むことで吸収できるチカラのようなものは確実にあるはず。 死生観は変わらずとも拡がりますね。
高校時代連んでいた男女5人組。約20年後、その中心的人物だった菜乃子が自死した。 残された4人が主人公となり、それぞれの人生に彼女の死が大きな影響を与えていく連作短編集。 残された人たちは、自分のせいじゃないか、あの時こうしておけば良かったのかも、などと永遠に正確な答えなどわからない問いを考え続け...続きを読むる。 本当に辛い。 残された4人が主人公となる連作短編集だが、最後の章はそう来たかと。この最終章があったからこそ、残された者のさらにその先がわかり、亡くなった菜乃子の気持ちも少しだけ理解できた。 最初から最後まで装画そのもの。とても寂しくて、切なくて悲しい物語だった。でも、こういう窪さんの作品が私は好きだな。
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