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母親との確執を抱えて育ち、望まれない子を妊娠、たった一人で出産を迎えようとするカメラマンの真菜。七十歳を過ぎても、育児中に始めたマタニティスイミングの指導員を続ける晶子。あの日、あの震災が、二人を結びつけた――。食べること、働くこと。子供を産み、育てること。世代の違う二人の物語を丁寧に紡ぎつつ、時代とともに変わりゆく女性たちの生を凝視した渾身の長編小説。
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Posted by ブクログ
孤独な若い妊婦の真菜と大家族育ちのおばあちゃんコーチ晶子。 マタニティースイミングスクールで薄い縁を繋いだだけなのに、震災という大きな困難が二人を引き合せる。 昭和で平和も戦争経験した晶子、平成で豊かな地獄を送ってきた真菜。 女性が働きたいと願う動機も、働く事で抱え込む困難も理解できる。 女性に...続きを読むは勿論ダイレクトに刺さるが、敢えて男性に読んで欲しい。読書こそエンパシーだと思う。
3.11を受けて幼少の戦時中を回想していく晶子と、3.11時に私生児を妊娠していた真菜との交流をを描いている。 非常におもしろかった。 10歳で空腹の辛さを経験した私たちが、人に食べ物を勧める性分は多分死ぬまで一生なおらない。というような文面に始まり、大変印象的な文が多かった。
続きが気になって一気に読んだ。 東日本大震災の年に妊娠している真菜。 母親との確執があり、父親のいない子を妊娠し自暴自棄になっている。 75歳で現役のマタニティスイミングの講師である晶子はそんな真菜を気にかける。 地震、そして原発事故がふたりを結びつける。 真菜の抱えているトラウマのような...続きを読むものは、わかる気がするし、晶子の存在がうざったいことも理解できる。でも結局は晶子に救われたんだなと思う。 晶子のお節介がなかったら、真菜はつぶれていたと思う。 子どもを生んだ今、読むからこそ響く言葉もたくさんあったし、共感できる部分もとても多かった。 真菜が出産したことによって、悩みながらもどんどん逞しく強くなっていく姿は美しかった。 完璧な母親になんてなれないし、誰しも初めてのことで不安に押し潰されることも多い。 自分が母親との関係をうまく築けなかったっていう負い目も真菜にはあると思う。 でも真菜はきっといい母親になるんじゃないかなって思う。 そして晶子の世代も子育てには苦労したと思う。今みたいに父親が積極的に育児参加するわけでもないし。それが当たり前って思ってる世代だとは思うけど、想像しただけで大変だと思う。 頼れるものは頼りきらないと育児なんてできないよなあと身をもって実感する。 母の視点、娘の視点、どっちにも感情移入できるし、それらが重なって編み出されるストーリーは本当に素晴らしかった!
震災直後、望まれない子を産んだ真菜と、彼女を家族のように支える七十代の晶子。世代の違う二人の自らの存在証明と生きていくための行動と思考を描く渾身の長編小説。 時代の変化とともに、女性の社会的立場も大きく変わってきた。本書に登場する女性たちの晶子、真希、真菜、そして千代子の人生は、旧来の男性社会と闘っ...続きを読むた女性たちの一代記と言ってもいいだろう。それでも人間は食べなければ生きていけない。「食」を重要なピースとして物語に導入したところも秀逸。
子どもを産むのが怖かった。母のように、自分の娘にブスとか死ねとか言うのが怖かった。大切にできる自信がなかった。 自分が言って欲しかったことを言ってあげればいい。それが正解かはわからないけど。息子にはそうしてあげたい。今はそう思っている。
血が繋がってるからいつかはわかりあえるとか、我が子は可愛いから愛せるとか無責任なことばかり言う人への嫌悪感。その善意が、無邪気さが人を苦しめることもある。素直にそれを受け入れられない自分を責めてしまう人がいる。窪美澄はそんな者を救う。無理なものは無理でええんやで、と。だから尊い。 窪美澄を読むと初め...続きを読むはグサリと突き刺さり穴が開いたり傷口が開いてしまう。しかし結果的に風通しが良くなり、楽になってる自分がいる。「アニバーサリー」を読んだ後はまさしくそういうかんじだった。 傷を治すのではなく、傷痕をコンプレックスと思わないようになる。自分の一部なんだと認めることができるようになる。それこそが生きていく上で最も大事なことなんだと気付かせてくれる。過去は傷と違って無かったことにできないのだから。
とても重く、そしてとても温かい物語だった。窪美澄さんの小説はいつもそう。 娘として育ち、そして自分もまた母親になった人ならば、さらに思うことが多いかもしれない。 母親との確執を抱えて育ち、望まれない子を妊娠し、たった一人で出産を迎えようとしている30歳の真菜。妊娠中友人に連れられて行ったマタニティ...続きを読むスイミングの指導員である75歳の晶子との出逢いが、出産後の真菜の人生を変えて行く。 3.11の震災直後、放射能を避けるように自分が住んでいた土地を離れた人々がいた。今や遠い記憶になりかけているけれど、この小説を読んで、あの時の不安な状況を思い出した。 売れっ子料理研究家として忙しく働く母親を持った真菜は、母親の愛情を感じることが出来ずに育った。投げやりな学生だった1999年に世界は終わると思っていたのに、終わることなく世界は続いた。 そして時は流れ、出産を迎えようとしている2011年に震災は起こった。 終わりかけている世界でも、命は待ってくれることなく否応なしに産み落とされる。 母性って何だろう、と思った。 母親にしてみたら自分なりのやり方で愛情をかけているつもりでも、それを受ける側の子供からすれば、それを愛情だと感じられないかもしれない。親子という一番近く血の濃い間柄であっても、思いがすれ違うことは多々ある。 大人になって自分も親になった時に、その業を深く感じるものなのかもしれない。そして親の気持ちを、理解出来るのかもしれない。その上で、分かっていてもやはり自分の子どもとはすれ違うのかもしれない。 戦時中の飢えを知っているからこそ向上心を持った晶子の世代と、何でも与えられてきたからこその飢えを感じる真菜の世代では、どうしたって大きな隔たりがある。 私は真菜と同世代だから、やはり戦時中の飢えを想像することは出来ない。 でもその世代差を超えて全てを受け入れようもする晶子の懐の深さは、真菜だけじゃなくて、きっとこれを読む読者さえも救うだろうと思った。 重いけれど爽やかさも感じる、独特の読後感だった。
遅ればせながら最近、窪 美澄さんを知って嵌まってしまい過去の作品も立て続けに読んでいます。 この作品もとても良かったです。 マタニティスイミング講師の晶子。 有名な料理研究家を母に持ち何一つ不自由なく育ちながらも家族愛に恵まれないシングルマザーでカメラマンの真菜。 この二人が軸となり物語が展開し...続きを読むて行きます。 現在75歳になる晶子が幼少時に体験した第二次世界大戦 晶子と真菜が遭遇した3.11の東日本大震災・福島原発事故。 晶子はマタニティスイミングの先駆者金澤直子さんがモデルになっておりそこに実際に起きた出来事が織り込まれているのでフィクションと言えどもリアリティーがあり、ストーリーにのめり込んで一気読みでした。 登場人物が少ない事もあり、それぞれのキャラが非常に解りやすく、特に晶子と真菜のシーンでは絶えず脳内映像で二人が動いていました。 窪 美澄さんの作品を読ませて頂いていつも感じる事なのですが、底知れぬ暗さの中に確実に力強さが存在していて救いがない場面でも強く引き込まれてしまいます。 おせっかいな晶子、自暴自棄で人に素直になれない真菜、この二人が出逢えた事の奇跡や 妊娠、出産、育児、そして生きて行く事、生きぬく事、色々考えさせられました。 タイトルも秀逸です。
産む女、育てる女、働く女、母親だけど1人の女、その娘。時代とともに家族の在り方、女性の在り方は変わってきたけど、女性の生きづらさは変わらないと訴えてくる。 知らない者同士が女という括りで同志になれたらいいのに。わたし達はお互いの境界線を越えるための勇気を持たなくてはいけない。
「女」を主人公にした物語は、寂しくて、ヒステリックで、戦いの連続だ。 戦後の混乱の中女性の社会進出を当事者として目指した晶子、美人料理研究家として確固たる地位を築こうと奔走する真希、真希の娘で父のいない子どもを東日本大地震直後に出産した真菜。この話は三世代の女性たちが抗いようのない世界の大波に揉ま...続きを読むれ、懸命に息をし、明日へ手を伸ばす様を描いている。 晶子はテレビの仕事に忙しい夫との間に二人の子を持ち、子育てがひと段落した後に自分の役割を社会に求めるようになる。得意な料理と天性のおせっさい焼きを武器に妊婦や新米ママを支えるマタニティプール講師という天職を得る。定年を超えてもなお続けるクラスで出会った「気になるママ」こそ、クラス終わりに生徒たちに振る舞う栄養満点の手づくり惣菜のタッパに一切手を伸ばさない、真菜だった。 有名人の真希を母に持ち、テレビに映る家庭的なイメージとはちぐはぐの「バリキャリ」な母親に違和感を感じる日々を過ごした真菜。複数の男と寝たお金で唯一興味を持ったカメラを買い、修行中に師匠の男との間に子ができた。人間としては最低の子の父親とは決別し1人で育てることを決意したものの、震災後の「滅びゆく」日本でシングルマザーとしてやっていくことに言葉にできない不安を感じていた。 晶子は真菜に特別のお節介を焼く。女性である自分が家庭の外にも役割を持とうと戦ったことが、母親が家にいない「当たり前」を作り出し、冷たい食事を余儀なくされる真菜のような「被害者」を生んだのかもしれない。そのことにどこかで罪悪感を感じながら、真菜を見守る。献身的に。 真菜は晶子のケアに対して鬱陶しさを感じたり「あるべき家庭」の温かさに目を背けたくなる。だけど、娘を気にかける存在が自分だけではないことに安堵し、この世界で生きていくことに前向きな心持ちになる。この先どこかで真希の生き方を、1人の女性の人生として客観的に理解することになるかもしれない。そんな希望を見るのは私だけか。
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