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誰もが心の奥に抱える闇と社会への違和感を哲学とユーモアで昇華させた、笑い飯・哲夫が贈る愛と悟りに溢れる渾身の長編小説!
なぜ、こんなにも生きづらいのか――。
お笑い界の知性派・笑い飯の哲夫が、現代人が抱える自己嫌悪と社会への違和感の正体に迫る。
独自の哲学と鋭いユーモアを注ぎ込み、「僕たちは人間をやるのが下手なのではないか」という痛切な問いに挑んだ長編小説。
主人公は、組織という檻を脱ぎ捨て、ハンドルを握ることで個の静寂を手に入れたはずのタクシードライバー。
しかし、理不尽な社会の牙は、そのささやかな聖域すらも無慈悲に食い破る。
最後に待ち受けるのは、破滅か、それとも――。
【編集長よりコメント】
すごい原稿を頂いてしまった。いつもの仕事のつもりで読み始めた原稿なのに、めくるめく展開に感情が先走り、ついに仕事が手につかなくなってしまった。
笑い飯 哲夫(ワライメシ テツオ):1974年、奈良県桜井市生まれ。関西学院大学文学部哲学科卒。2000年、西田幸治と「笑い飯」を結成し2010年、M-1グランプリ優勝。自称“仏教マニア”で関連番組・催事の出演多数。スポーツ、農業、料理、写経、純文学、学習塾、花火鑑賞など趣味多彩。著書に『えてこでもわかる 笑い飯哲夫訳 般若心経』『ブッダも笑う仏教のはなし』ほか。
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Posted by ブクログ
又吉直樹のYouTube「渦」で著者がゲストとして出演され、本作を紹介していたことから興味を持った。
買ったその夜、数ページ読んだ直後に寝たら、久しぶりに悪夢を見た。
「課題が終わらない(というより、全容すら見えていない)」「締切が目前に迫っている」……そんな、ジワジワと脂汗をかくタイプの悪夢。
作品を通過することで、自分の知覚状態が変質していることは分かっていた。
自分が薄汚く惨めで、世界の誰も味方をしてくれない。そんなレイヤーに、ヌルっと嵌まり込んだような感覚。
それでも、止めときゃいいのに読み進めていった。
その日はちょうど雨が降っていて、日中でも視界が悪かった。
車一台がやっと通れる細い道で、対向車に道を譲るため、それと十字を成す細い道へ避けた。
対向車が通り過ぎた後、元の道へ戻ろうと右折した際、低い位置にあったブロックで車を盛大に擦ってしまった。
すり抜けていった対向車に、瞬時に敵意が爆発した。
「善意に欠け、コストを払わなかったお前が、なぜ無傷なのだ」
最悪の気分だった。
……しかし、よく考えれば、「わたしが車を擦ったこと」と「わたしの怒り」と「相手が何事もなく通過していったこと」には、何の因果関係もない。
「人間は欲望や執着によって、『自己でないものを自己とみなし、自己のものでないものを自己のもの』と見なしているのです。」
(中村元『ブッダ伝 生涯と思想』角川ソフィア文庫)
この小説を読んだことを契機に、身を呈して得た学び内訳。
・書籍本体 1,760円
・車の修理代 100,000円(概算)
安いもんだ。
来月から仕事増やします…モーヤダー…涙
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白い。
何をしてもうまくいかない時期を過ごしたことがある人はかなり刺さると思う。とにかく地の文の主人公の思考回路が面白くて、考えすぎやろと思いながらも不思議と共感もできてしまう。途中で統合失調症と鬱(躁鬱?)を併発したような病気になり、本人は自覚はないのだが、ここの地の文が凄まじい。何が現実で何が想像かわからないまま閉塞的な日常を過ごしているんだけれど、しんどい思いをしたことがない人には書けない文章だと思う。そしてラスト、タイトルの意味がわかりめちゃくちゃ笑ってしまった。諸行無常、色即是空。
あらすじ
主人公は何をやってもうまくいかない中年男。写真週刊誌の記者として働いていたが失態をしてしまい、転職し、今はタクシードライバーとして働いている。しかし妊婦を乗せていた時、前に有名な覆面パトカーを発見し、スピードが出せず、こっぴどくクレームを言われてしまう。内勤を命じられるのだが、今度は忘れ物を取りにきた客に理不尽に怒られる。世の中や会社の決まりを守って真面目に生きているだけなのに、何にもうまくいかない。そんな時、上司からスピード違反を犯したドライバーの代わりに出頭するように命じられる。勤務時間じゃなくプライベートで会社のタクシーを運転したことにしてくれ、その代わり出世させるから、と。迷いながらも甘い言葉になびいてしまい、警察署に向かう。だがそこで待っていたのは……。
もう一人の主人公は、主人公の息子。夏休みを利用して、父のルーツを探るために岐阜へ向かう。市役所で振り回されるという大人の洗礼をうけるシーンから始まり、父の父、そのまた父という家族の先祖のことを知っていく。
Posted by ブクログ
この本を読んで、人生を思い通りにしようと力み続けるよりも、変化していくことを自然なものとして受け入れ、その時々の流れに身を任せることも大切なのだと感じた。
「諸行無常」という言葉は、失うことへの寂しさではなく、「どんな状況も変わり続ける」という希望にもなる考え方だと思った。また、「吾唯足るを知る」という言葉からは、足りないものばかりを追い求めるのではなく、今自分の周りにある人や環境、日常に目を向けることの豊かさを教えられた。
この本を読んで、「もっと、もっと」と何かを求め続けるよりも、今あるものに感謝しながら、一つ一つの出来事を大切に生きていきたいと思った。
Posted by ブクログ
主人公と息子。
ふたりの目線で交互に描かれる章立て。
メインとなる父のキャラクターが
あまりに悲劇的な時間を過ごしていて
読んでいてしんどくなった。
悲劇につぐ悲劇。悪循環。
ただ家族と過ごしたい。
多くの希望は抱いていない。
それひとつだけのために生きている。
そのためには全てを投げ出せるほどに。
そんな控えめな生き方。
なのに…。
明智光秀やその家臣たちなどの歴史や
自身のルーツである先祖が描かれていき…。
後半には、寺や住職が出てきて
諸行無常や諸法無我などが語られる。
ここが作者の描きたい部分なのだと思う。
後半は展開としては現実離れしていて
ふわふわした印象。
正直ちょっとわかりにくい。
ラストのラストは、さらに
ちょっと詩的で壮大で
感性のみで(神がかって?)
書き上げたような印象を受けた。
ただ、
序盤あれだけ悲劇的だったわりに
読後感はまぁ、悪くない。
その理由は…
命や人生を
近視眼的なところから見ていたのに、
急に引も引き、宇宙的であったり
悠久の時間の流れ越しでみる視点に変わる。
一冊の本の中で
仏教的宗教観を体験させてくれるからだと思う。
(阿字観のあとの清々しさのような…)
悟るであるとか
献身的、無私無欲に生きることは、
されるがままになることや
期待しないことや
諦めることじゃない。
厳しい経験も苦しい過去も
己が全体性の中の一部であると気づき
引きの視点からみられたときに初めて
ひとつ上の境地にたてる。
そこに慈悲も感謝もあらわれる。
その境地にたち
強く生きはじめる明るい結び。
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