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Posted by ブクログ
自分の中にすごい電流が走った。芥川賞受賞作や純文学がどちらかというと苦手で、金原ひとみさん、高瀬隼子さん、綿矢りさみたいな軽やかな書き振りのものなら楽しく読めるのだけどそうじゃないものはなかなか…と思いながらの読書人生を生きてきたのだが、これは自分の中で天地がひっくり返る感じがあった。文章の難解さ、硬度、芸術性において純文学のど真ん中を行きつつ、まるで大衆小説を読むときのような感じでどんどんページがめくれてしまう。言葉と文章のチョイスやテンポがとにかく心地よい。主人公である牧名沙羅と、相手役の東上拓人の内面、思考回路をもっと知りたい、もっと浸りたいと思うし、書き振りがクセになるww荒唐無稽な心理描写なのに、なんかわかりみが深い。理屈ではない。思想にロマンが感じられて、読みながら「これすごい…すごいものを読んでる…!」とゾクゾクした。こんな文章を書ける人がこの世にいるんですね…まさしく文才…。想像がつかない。この著者の文章を今後も読んでみたいと思った!
Posted by ブクログ
ザハ・ハディド案の国立競技場が完成した、もう一つの東京。建築家・牧名沙羅は、〈同情されるべき人々〉が暮らす新時代の刑務所「シンパシータワートーキョー」のコンペに参加する。
刑務所が、社会のシンボルになる。
その時点で、もう違和感でしかない。ザハ・ハディドが建つ東京という設定も強烈だった。理想と現実を振り切った世界。共感されなくても建てる、という意思がそこにある。
建築物は、建った瞬間から周囲に影響を与える。それは言葉も同じなのだと思う。同情、寛容、平等。どれも正しいことを言っているようで、読み進めるほど足元が不安定になる。
正直、難解だった。けれど、高層建築の構造を自分がすべて理解できているわけではないように、この小説もまた、理解しきれないまま確かにそこにある。高く、異様で、圧倒的な存在感。
読む人は選ぶのかもしれない。けれど、言葉や社会の「正しさ」に少しでも違和感を覚えたことがある人には、深く刺さる作品だと思う。
建物の解釈が時代によって変わるように、この小説の読み方も、読むたびに変わるのかもしれない。
読み終えても、その違和感だけが崩れずに残った。
Posted by ブクログ
新感覚系
導入がすごく好きでのめり込んだ。
まず現代思想、大独り言時代の到来、言葉の軽率さと理解し合う前提のなさについて話してる。
またAIが文盲だとよく言ってる。保守的な発言をしすぎてムカつく話とか、
「自己存在を疑うことは、誰にとっても健康的な自己評価を持つ上で有害であり、誰もが自分自身を肯定的に受け入れることが大切です.」
って言ってるのに対して
「自己存在を疑わずして、人はどうやって進化するの?無批判な自己肯定は、人間の潜在能力を過小評価することにならない?
「誰もが」って誰?君には本当のことを言ってくれるお友達でもいるの?」
って言ってる。
「AI自身の好奇心によって疑念を発生させるには、どのように言葉を覚えさせるべきか?」
これまじ確かになと思う
AI自体の好奇心ってそもそもなんなんやろって感じ
いわゆる教師なし学習に該当するのかもしれないけど、自身で正解ラベルなしで学習を進めていくってことは自身で疑念を生んで解決する学習を進めるってことなんかな?
建築関連の話を読んだことはなかったけど、
建築が与える周囲への影響って、言われてみれば確かに大きいものだと思った。景観維持法が身近にある京都では、そのトーキョートドージョートーみたいな近未来的建築物を建てることはできないんだろうと思うし、万博とかでもかなり反感が多かったしね、知らないだけで世の中を支配する影響力にちょっと興味が湧いた。
Posted by ブクログ
自分の美学の実現しか考えてない女が私は大好き。
言葉をぶんぶん振り回しながら、言葉の伝達性には興味がないふりをしている人にとって、AIは言葉を解釈しないから、文盲ならぶん殴ってもいいだろうという気分になるのだ、ということを描いている。
あと、東京都同情塔って言葉思いついたとき相当気持ち良かっただろうなと思ってたら、予想以上にそれが気持ち良かった話を本編でずっと言ってた。
あの儚い感じのイケメンの年下の男の子に思いつかせるという、構築的でマッチョな女が惹かれちゃう魔法的な感覚を彼に投影するのは、かなり作家の嗜好がわかる。わかる^_^
Planet Her いいね!!
あと永山祐子と全然話が合ってなさそうで笑った。
Posted by ブクログ
AIに頼ることが当たり前となってきて、自分で言葉を探すことをしなくなって、与えられる言葉を使って生きていくことにむしろ気楽さを感じていた。誰も傷つけないふわふわしたカタカナみたいな言葉を使うことが当たり前のように染み付いていたので、そのアンチテーゼの思想を持つ建築家の女性は理解し難いものだったが、同じような葛藤を抱える人間なのだと感じる面もあった。建築を生み出す究極のエゴイズム、人間の支配欲求は理解するのに難しい。ただ淡々とそれを良いものか悪いものか感情は置いておいて受け入れる。そんな一市民として生きてしまうことは果たしてダメなのか?このお話で伝えたいだろうことを理解できた気はしないので、もう少し寝かせることにします。
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小説・文芸